OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

3年を超える有期労働契約について

2010-03-28 23:25:02 | 労務管理

有期労働契約に関係する労働法の適用は複雑です。先週は若年者の正社員転換制度を設計しましたが、雇用対策法の募集・採用の際は原則年齢制限禁止という規定があり、それにかなり制約された形になってしまいました。

企業というのは人と同じで年をとっていくものだとよく感じます。ちょっと前まで30代の社員が主力であった企業も5年もすると40代が中心になっているものです。常に社員の年齢構成のバランスをとるために、新卒採用がないとしても20代の社員を入れていくことが大切です。それが企業の活力にも発想力にも賃金や退職金原資にとっても必要なことだと思います。そういう意味で、有期契約であってもそれを活用して若年者を雇用できれば、新卒の採用状況が厳しい状況下においてはとても良いことだと思います。

2月に厚生労働省から、「有期労働契約施策の方向性について中間とりまとめ案」が公表されました。その中で7割以上の事業所が雇止めを行ったことがなく、結果として勤続年数が10年を超えるような有期労働契約者も存在するとのことが書かれていました。

契約社員は契約更新をしていき3年を超えると正社員にしなければならないのか?というようなご質問をよく受けるのですが、これはそういうことはありません。契約社員は何年たったら正社員にしなければならないというような法律はありません。ただ、3年を超えて使用すると雇止めをする場合に解雇権濫用法理が類推適用される可能性があるということはあります。そこでリスクを避けるため契約社員の契約更新は3年以内で雇止めという運用をしている会社はあります。

現実には雇止めがそれほど頻繁に行われることでもなく、契約更新の手続きをきちんと行い、更新の有無と更新しない場合のその理由をきちんと決めて明示し運用するということであればトラブルはそれほど起こることもありません。そこはきちんと整理しておいて有期雇用契約を労使にとってともに有効に活用できればと考えています。

本当に本当に今日は寒かったですね。先週は山手線の混乱にも巻き込まれてしまい、なかなか大変な思いをしました。まだ春のウキウキした気分になれないでいますが、今日は目黒川沿いに桜が少し咲き始めていましたので、少し気持ちがふんわりするといいなと思いブログのテンプレートを桜の色にしてみました。

4月26日のOURSセミナーまだ空きがありますのでよろしくお願いします。詳細は以下の通りです。できるだけ実務の事例を取り上げて役立つお話をできればと考えています。

 http://www.koiso-jimusho.com/info/moushikomi1.html

 


就業規則改訂セミナー

2010-03-21 23:51:23 | セミナー

4月26日にOURSでは就業規則改定セミナーを行います。今年は労基法に続き育介法の改正もあり、就業規則を見直す企業は多いと思いますが、自社で改訂作業を行うことを予定している企業も多いかと思います。OURSの就業規則改訂セミナーでは改訂時の参考に、またいざという時に使える規程にしておくために記載しておく方が良い文言などをアドバイスさせていただく予定です。詳しくは以下をご覧ください。

http://www.koiso-jimusho.com/info/moushikomi1.html

最近ご質問があるのはアルバイトや契約社員向け就業規則についてです。就業規則にはこの規程が誰を対象にしているのかを第2条あたりで明確にしており、おおむね「アルバイト・契約社員は別に定める」となっています。この場合はアルバイト・契約社員向けにも規程を作らなければならないのですが、別に定める規程は定めてない場合も結構あり、労働契約書によるとしている企業が多くあると思います。アルバイト向けの就業規則を作るのはちょっと面倒という感じもあるかと思います。

しかし、アルバイト向けの就業規則だからといって正社員とまったく異なるものを一から決める必要はありません。正社員の就業規則の中でたとえばアルバイトには「出向」はさせないということであればその文言を削除、「定年はない」ので載せない(契約上限年齢を載せることで対応する場合もあります)など正社員向けの就業規則の規定を対照しながら決めていけばよいのです。アルバイト向けだからといって条文数が少ないという必要もありません。むしろ正社員と大きく変えないことで、法改正の時も一緒に見直すことができるようにしておくという考え方もあります。そう考えるとちょっと気楽になりませんか?

 OURSセミナーはこれから年に4、5回行う予定です。一般企業の担当者向けではありますが、開業社労士の方の参加も歓迎です。

私も開業して18年目に入りますので、少しずつ自分のこれまで仕事をしていく中で経験したことを自分よりあとから開業した社労士に伝えていく責任があるのではないかと考えているからです。たった2年程度のOL時代総務部であったという経験しかなかった私にとって、支部の先輩方からこれまでいろいろな場面で話してもらったこと、教わったことが社労士の仕事をしていく中でどれほど役に立ったことか、いつも感謝しています。支部の先輩方の話は、本当に実学という感じで私は駆け出しのころはその話を情報として企業に話したりすることもできて、本当にありがたかったです。そんな考えもあって、少しでもいろいろな立場の方にとって役に立つお話がセミナーでできればと思っています。

 

※なおOURSセミナーについては顧問先企業は無料です。BBクラブ会員(教え子OB会)は40%割引です。


社会保険労務士の仕事のこと

2010-03-14 22:16:40 | 雑感

企業とのかかわりにおいて社会保険労務士はどのような役割を担うことが求められているのかと考えるとき、平成5年に開業したころに比べるとずいぶん変化しているように感じます。企業の人事担当者はとてもよく勉強されていると感じることが多いのですが、一つの企業にいると他の企業の状況を知りたい、改正に適正に対応しているかどうか心配ということでアドバイスや相談できる窓口を必要としているケースが多くあるのです。そういうニーズに手続きの方法も含め的確に対応できるのは社会保険労務士しかいないと思うのです。

社会保険労務士の仕事というのはどのようなものなのか、開業した時点で、イメージはありませんでした。最初は労働・社会保険の手続きをしながら時々就業規則の作成や改定の仕事が入るといった感じでした。それに給与計算や年金相談などが従来からの主な業務だと思います。

開業して10年後くらいから相談業務だけで顧問契約ができるようになりました。相談業務というのは、それまで手続きを受託した会社から受けていた社会保険の適用や手続きの方法という相談だけではなく、会社の分割の際の労働条件の変更とか、裁量労働の適用の法的な妥当性などそれまでより難しい案件であったり、規模が大きい企業であれば契約や労働時間の管理などについて様々なケースが発生するため、日常的にアドバイスが欲しいということで、相談だけで契約というニーズがあるのです。

また、たとえば同業他社の行う募集の賃金の設定が最賃法からみてなぜ違法にならないのか調査・分析して欲しいなどの調査・分析的な仕事もあれば、正社員転換制度の設計などの仕事の依頼もあります。ここのところに来て社会保険労務士の仕事は大きく拡大している実感があります。

最近は派遣法に絡む質問やご相談が多くあります。派遣法が国会で審議され、厚生労働省が2月に「専門26業務派遣適正化プラン」を策定したこともあり、企業が対応を本格的に考え始めているからです。現在の派遣業務での対応が不明確であるためその部分を計画的に直雇用に切り替えるという社内提案文書の内容に問題がないかチェックをして欲しい、請負契約に切り替えるため請負の法的なポイントを教えて欲しいなどがここのところきています。これらのご質問によってこちらも勉強させてもらう結果となり、顧問先企業に育てられてきたということに感謝することも多いです。

企業のニーズにこたえられる仕事がしたいといつも考えてきましたが、依頼のあった仕事が難しく、本当にこのテーマでレポートを仕上げることができるだろうかと2週間くらい頭の中でまとまらずモヤモヤしていることもあります。追いつめられてアイディアをなんとか絞り出し形にできたということもあります。ただ、一つ一つ依頼された仕事をこなすことでそれが蓄積になっていくことは確かです。積み重ねていくことによりさらに良いアドバイスができると実感できる仕事です。

アイディアが欲しいときの私のポイントはお風呂です。お風呂を出たときに「ひらめく」というのはこれまでも何度も経験しています。朝起きた時も寝ている間に脳が考えるので良いと聞いていますが、最近そういう感じも出てきました。

 先日新人社労士の方から「社労士の仕事は面白いですか」と聞かれましたが、私は「毎朝スキップして事務所に行くくらい仕事が面白いです」と答えました。これは本当のことなのです。


まだ頂点ではないということの幸せ

2010-03-07 22:26:14 | 雑感

今日は就業規則のチェックシートを作っていました。就業規則チェックリストはもう随分前に作ってあったのですがやはり当時の自分の実力で作ったものだけにもう少し細かく作りこみたい、事務所のスタッフが一人でチェックするときの基準になるようチェックのポイントを分かりやすく記載しておきたいと考えていたので、やっと時間ができてとりかかれたという感じです。

始めてみたら、事務所のモデル就業規則を参照しながらであっても、1つ1つ留意点を考えながらなので結構時間がかかりそうです。4月以降労務監査の仕事が入るかもしれないのでそれに間に合えばと思い、今月はできるだけ時間をとる予定にしています。労基法や育休法の改正もあるので、丁寧に作りこんで改正対応の依頼に応えられるようにしようと思っています。

昨年まで社労士の受験講座の講師として担当クラスを持っていたときは、なかなかそういう時間がとれませんでした。講義をしているときは本当にひとりひとりの受講生とのかかわりが楽しく、また合格した時に一緒に喜ぶことができることが何にも代えがたいものと感じていました。ただ、15年間でやれることはやったような気がしたこと、自分の講義はこれ以上には成長していかないのではないかという感じがしたのも事実でした。講師を卒業したらやってみたいことが仕事でも勉強でもたくさんある、まだまだ上を見て行くことができる今の時期を逃したくないという気持ちもありました。

バンクーバーオリンピックで心配していた浅田真央選手が銀メダルを取って本当によかったと思っています。それまでとても不調だったのでメダルは無理かも知れないと思っていましたから、本当に本番でよく立て直したと思います。詳しいことは分かりませんが、今の実力であれば銀が精いっぱい、金は無理だったように思います。でも私はそれ以上に、真央ちゃんにとっては銀が一番良かったと思っています。今、頂点を迎えるのではなく、金を目指して、十分実力をつけて充実した時を迎えるために。今以上を目指すという人生の中での大切な時間を持てるために。まだ頂点ではないということの幸せというものがあることを、この年齢になると感じるものなのですね。

今年再挑戦している社労士受験生はきっとまだ先の見えない中で頑張っているのだと思います。でも「目指している」ということはとても人生の中で大切な時間、きっと合格した後良い記憶になっていくと思います。頑張っていただきたいと思います。