OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

育児休業期間中に支払われた賃金の扱いについて

2023-02-13 00:17:30 | 産前産後・育児・介護休業

育児休業期間中に支払われた賃金についての取扱いについて、事務所のスタッフや社労士の間ではちょっとした話題になっています。

これまでは、育児休業期間中に支払われた賃金がある場合であっても、下記リーフレットの記載にある「一部分でも育児休業期間外を対象とするような給与・手当等や対象期間が不明確な給与・手当等は賃金に含めない」という考え方の元、例えば就労分賃金が支払われたとしても、育児休業期間中に支払われた賃金に含めないという扱いで問題なく認められていました。

しかし昨年10月以降、この「対象外、不明確な給与・手当」の扱いが厳しくなり、期間外の賃金が計算できると思われる場合は賃金分を計算して育児休業給付金の減額の仕組みを厳密に適用するようにハローワークの対応が変わったようなのです。

雇用保険業務取扱要領や、リーフレットの記載が変わったわけではなく、どうも内部通知等により扱いが厳しく(法律通りといえばいえるのですが)なったものと考えられますが、内部の通知に止まっているだけにかえって現場は戸惑っている感じがします。想像するに出生時育児休業では厳密に支払われた賃金との調整が行われるのに対して、原則の育児休業では異なる扱いになると説明がつかないからということなのかと思います。私などセミナーでリーフの書きぶりの違いを並べた資料を作り、賃金が支払われた際の扱いが異なるという説明をしていました。取扱いが厳密になったということなのであればその旨の説明がある方が納得できると思うのですが、そういう説明をすると、突っ込まれるということなのでしょうか。

●リーフ
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000986158.pdf

リーフ『『例:賃金締切日20日、支払日25日、休業開始日4月15日の場合の、支給単位期間4月15日~5月14日に支払われた賃金(4月25日支給分=3月21日~4月20日分)については、3月21日~4月14日の期間(育児休業の期間外を対象とした給与)が含まれているため「育児休業期間を対象として事業主から支払われた賃金」に含めません。』とあります。計算できないわけではないと思われる3月21日から4月14日の賃金は当然に含めないという書きぶりです。「含めません」と明確に言い切っているということは、リーフレットを作った段階では実際の運用についての変更までの考えがなかったということでしょうか。

金曜日は雪になるということで事前にかなり大騒ぎになっていましたが、結局東京23区については1ミリも積もることはなく、助かりました。そもそもここ数年とにかく「警報級」「経験したことのない」という表現が天候について使われて、凄いことになるのではと身構えていたのに拍子抜けというケースが多いような気がします。まあ転ばぬ先の杖ということもある程度は大事だとは思うのですが・・・。ともあれ金曜日は雪にならず助かりました。


育児目的休暇について

2022-11-13 22:35:03 | 産前産後・育児・介護休業

育児目的休暇についてどのように定められているか調べてみました。

まず育児介護休業法24条に「小学校就学の始期に達するまでの措置」として労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用できる休暇であり、子の看護休暇、介護休暇及び年次有給休暇を除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含むものを与えるための措置を講ずるように努めなければならないと育児目的休暇が定められています。

さらに、両立支援指針(名前が長いのですが正確には「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針<令和3.9.30号外厚生労働省告示第365号>)にその具体例として以下の記載(少し略しました)が示されています。

12 法第24条第1項に規定する休暇及び同項各号に定める制度又は措置に準じて、必要な措置を講ずるに当たっての事項
 (一) 労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇とは、例えば、次に掲げるものが考えられること。
イ 配偶者の出産に伴い取得することができるいわゆる配偶者出産休暇
ロ 入園式、卒園式等の行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇(いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として措置することを含む)

2023年4月には、常時雇用する労働者数1000人超の企業が対象ではありますが、男性の育児休業等取得率の公表が義務付けられており、その算定においては育児休業だけではなく「育児を目的とした休暇制度」を含めて算定することもできることとされています。なお、公表は公表前事業年度終了後速やか(概ね3か月以内)に行うこととされており、事業年度とは各事業主における会計年度をいいます(通達P124)。

先週末コロナワクチン5回目を接種しました。4回目からはファイザー、それまではモデルナで、いずれもそれほど副反応はなかったのですが、今回は接種した後から翌日の朝まで結構のどが痛くなり、翌日は何となく熱っぽくダラダラしてしまいました。今日はすっきり目覚めたのでホッとしましたが、やはり休みの前の日の夜接種をしておいてよかったです。このワクチン接種もいつまで続けなければいけないのかなあと少しユーツになりますね。


育児休業給付金の就業賃金による減額について

2022-10-30 21:55:59 | 産前産後・育児・介護休業

育児休業給付金については表題にある通り賃金が支払われた場合には減額の仕組みを持っています。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超80%の未満の場合は賃金額と給付金の合計が80%を超える額が給付金から減額され、支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上の場合は給付金が支給されません。

そもそも育児休業期間中の就業は臨時的であれば認められてはいたものの原則としては認められていなかったので、育児休業期間中の賃金が支払われるというのは例外的な位置づけでした。しかし10月施行の改正で「出生時育児休業」では労使協定の締結など一定の条件のもと就業が認められることとなったため、これまでの減額の仕組みが必要であるかどうか疑問に感じるようになりました。

元々育児休業の給付率はどのような経緯で67%(180日経過後は50%)になったかのか調べてみたところ以下の通りでした。なお、平成7年創設当時から平成19年10月改正までは職場復帰給付金として育児休業終了後6か月在籍して追加支給される仕組みがありましたが、その支給率も合計した給付率を示します。

平成7年4月創設時 25% ➡平成13年1月改正施行 40% ➡平成19年10月改正施行 50% ➡平成26年4月 67%

制度創設時は25%の給付率(育児休業基本給付金20%と職場復帰給付金5%)ということで給付率が上がったことは少子化に苦しむ我が国にとっては必要なことだったと思いますが、私の記憶では冒頭の賃金日額の80%までというルールは一度も見直されていません。67%の給付率の場合減額されないためには賃金は13%の範囲内に収めておく必要がありますが、13%に相当する日数はわずかです。出生時育児休業の就業は所定労働日数・時間数の約1/2は認められているわけですから28日の1/2の休日分を控除したとしても10日程度は就業できることになります。いくらそのような仕組みを作ったとしても育児休業給付金が減額されてしまうのでは会社も社員も使い勝手が悪い感じがしてしまうと思います。

男性の育児休業は特に取得を控える要因になるのは「収入を減らしたくなかったから41.4%※」という数字が出ており、せめて賃金日額の100%までは減額がない仕組みに変える必要がある(あるいは少子化対策としては100%を超えてしまうのを許容する)仕組みでもよいのではないかと考えます。令和2年4月に育児休業給付は失業等給付とは異なる給付体系と位置付けられ、また独自の保険料率を持ち資金設定をされたこともあり、他の雇用継続給付との整合を考えることなく仕組みの見直しも可能になっているのではないのかなと思います。

経団連のHPに週間経団連タイムス2022年5月19日NO.3544「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」が載っているのですが、少子化は日本社会の構造にかかわる問題とあり、とても興味深い内容でした。本当に少子化に対して多方面で真剣に手を打たなければならない状況にあると思っており、社労士としてできるだけ発信したいと思っています。

※出典:第146回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会参考資料より

今日は「はまっている」ケーキを買いに日本橋に行くことにしていたのですが、お店に行ってみたところ凄い列にめげてしまいました。以前夜になり帰りがけに寄ったときも購入できたので他の用事を済ませて、再度立ち寄ったところなんと2つだけぽつんと残っており「運が良いなあ~」と嬉しくなりました。小さな幸せを拾っていきたいですね。


帝王切開の場合の産前休業について

2022-05-01 23:08:55 | 産前産後・育児・介護休業

顧問先のお問い合わせをスタッフと一緒に調べていて、産前休業についての考え方に疑問を持ってしまいました。というのも、「産前休業は自然分娩予定日を基準として計算」するものであり、帝王切開した場合は自然分娩ではないため、自然分娩予定日の前に帝王切開した場合には労基法上の産前休業は発生しないという考え方をとる場合があるということなのです。この根拠になるのは、昭和26年に発せられた以下の通達です。これは「妊娠中絶と産前産後休業」についての通達です。

妊娠中絶とは、胎児が母体外において生存を続けることのできない時期に胎児及びその附属物を人工的に母体外に排出させることであり、産前6週間の休業の問題は発生しない。なお、産前6週間の期間は自然分娩予定日を基準として計算するものであり、産後8週間の期間は現実の出産日を基準として計算するものである(昭和26.4.2婦発113号)。

確かに「産前6週間の期間は自然分娩予定日を基準として計算するもの」とされていますが、昭和26年当時は今のように母体や胎児のことを考えて「帝王切開」を選択する頻度は高くなかったと思われ、またこの通達は人工妊娠中絶に関する通達でもあり、それを現在の「帝王切開」にあてはめてよいのだろうかと疑問を持ちました。昭和26年といえば70年前の通達ですから、その文言を今にあてはめるのはあまりに無理があると考えます。

一般的には帝王切開の場合であっても常識として産前休業を認める会社が多いとは思いますが、もし会社が認めたとして自然分娩ではないため上記通達により産前休業は発生しておらず、ゆえに産前の保険料免除を認めないという健康保険組合も稀にあるようです。ちなみに協会けんぽやお問い合わせした健保組合は例え帝王切開であったとしても産前休業の保険料免除は認めているとのことです。

自然分娩予定日に「帝王切開による出産(分娩)をした日を含む」とする通達の改正を是非望みたいところです。

ちなみに健康保険法では以前「出産育児一時金」を「分娩費」といっていた記憶があり調べてみたところ、1994年(平成6年)に分娩費と育児手当金を統合して「出産育児一時金」とした改正があったようです。その年はTAC社労士講座の講師になった年なのですが、労基法関係の文言もその年に改正されたのかどうかは悲しいかな記憶に残っていないのです。

連休に入り3日目です。OURSはカレンダー通りなので明日は出勤ですが、5月3日以降が本格的な連休といってよいと思います。4月は比較的仕事も楽だったのですが、連休明けにしましょうとお伝えしてある打合せや労務監査、セミナー準備がいくつかあり忙しくなりそうなので、ここはまとめて研修をオンライン受講したり本を読んだりしつつ少しゆっくり過ごしたいと思っています。旅行をはじめとしてお出かけの方も多いと思いますので、晴れると良いですね。

※来週はブログもお休みさせて頂きます。

ベランダの花もここに来て満開状態で毎日楽しんでいますが、昨年秋に購入したバラがかなり綺麗に咲いてくれて感激です。まだ1つだけですが蕾がいくつかありまだまだ楽しめそうです。昔は息子に「花、よく枯らすよね」といわれたもんですが、年のせいか花の育て方も少しわかってきたような気がします。


保育所に入所できない場合の育児休業給付金の延長について

2022-04-10 19:12:27 | 産前産後・育児・介護休業

このブログは2009年の11月から毎週日曜日始めているのですが、アクセス解析を見ると不動の閲覧数トップは「育児休業不承諾通知」ですでに何回か取り上げています。令和3年4月から取扱いが緩やかになったとはいえ、育児休業を1歳6カ月まで延長する際には、やはり注意が必要であることに変わりはないと思います。ポイントは2つです。

➀保育所への入所申込みを1歳の誕生日の前日以前に行っていること
②入所希望日が1歳の誕生日以前であること

よく整理されたリーフレットを見つけたので以下確認されると良いと思います。

「保育所に入所できない場合の育児休業給付金の延長について」リーフ
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/000900009.pdf

リーフレットに書かれていますが②は誕生日が月の後半である場合でも、不承諾通知は前月末で申込みを締切り毎月1日付で発行されるという仕組みの自治体が多くあるようです。例えば8月25日が誕生日の子については8月1日付の保育園の不承諾通知を受けておく必要がある(9月1日付不承諾となると誕生日のあとになってします)ということなので、誕生月が近づいてきたら念のため前々月くらいには住所地の自治体によく確認されると良いと思います。

これまで「労働法」というカテゴリーでくくっていたのですが、検索しやすいように「産前産後・育児・介護休業」というカテゴリーを作りました。

いよいよ春になりましたね。気持ちの良い季節で散歩なども楽しめるのが嬉しいです。年度末まで3か月間が毎年忙しく、4月になると少し余裕ができるので、これまで懸案としていた提案書の作成やモデル就業規則の整備など楽しみながらやっています。やはり余裕があると丁寧に仕事ができるので気分的にも良いです。ただ事務所はいつもながら有難いことではありますが仕事の依頼が多く担当が増えそうなスタッフや、また担当によっては大変な作業をやっているスタッフもいるので、OURSも私もみんなに支えられているということは忘れないようにしなければいけないと思っています。

昨日はBBクラブの幹事会がありました。zoom参加と事務所に来てくれたメンバー半々程度になりましたが、やはり会場開催はまだまだ難しそうです。会社が大勢集まる集会などの参加を認めていないという意見がかなりありました。またBBクラブは法改正の勉強も大事なのですがやはり懇親がとても重要なので、研修だけでリアルに集まってもそのまま解散ではやはり侘しく、それであればむしろzoomでの勉強会後zoom懇親会でお話しする方が良いように思うので、心おきなくリアルで懇親会ができるまでは辛抱しようということを提案して、了承されました。本当は20周年記念のお祝い会をしたいと思っていましたが、この調子では25周年になってしまうかもしれません。とにかくみんなが元気で集まれる日を心待ちにしています。

都内の散歩で撮った写真です。まだまだ知らない沢山良いところがありそうです。旅行はいけない分近くで楽しみたいと思います。


育児休業期間中の賞与保険料の免除について

2022-03-27 22:19:47 | 産前産後・育児・介護休業

育児休業期間中の保険料(健保・厚年)については、現状「月の末日が育児休業期間中である場合の月額保険料及び賞与保険料が免除」されていますが、2022年10月の育児介護休業法の改正に合わせて10月から以下の2点が改正により追加となります。

①月額保険料については、「同一月内で育児休業を開始及び終了しその日数が14日以上である場合」が加わる
②賞与保険料については、「連続して1か月を超える育児休業を取得した場合」に限る

これまで短期間の育児休業であっても月末を含むことによりその月の保険料が免除されていましたが、月の途中で育児休業を開始し終了した場合の保険料は免除されませんでした。改正により同一月内の育児休業を開始し終了した場合であっても14日以上の休業であれば月額保険料が免除されることとなりました。

また賞与保険料についても育児休業の日数にかかわらずその月に支給される賞与保険料は免除されていましたが、連続1か月を超えない場合の保険料の免除は行われなくなります。

今回顧問先から「1か月超の育児休業の場合の賞与保険料の免除はどの月で行われるのか?」というご質問がありました。例えば12月20日から1月25日まで育児休業を取得した場合の、12月の賞与保険料は免除されるのかというご質問です。1か月超えた時点は確かに1月であり12月に支払われた賞与の保険料が免除されるか迷うところではありますが、この場合12月に支払われた賞与保険料は免除されることになります。

すなわち、「賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除」という考え方となります。例えば賞与月の末日を含まない、11月20日から12月25日までの育児休業の場合、12月に支給される賞与保険料は免除になりません。

育児休業期間中の保険料免除は「休業開始日の属する月から終了日の翌日の属する月の前月まで」です。12月20日から1月25日までの育児休業の場合は1月25日の終了日の翌日が属する前月は12月ということになりますので、12月の保険料が免除されることとなり、12月支給の賞与も休業期間が1か月を超えるのであれば免除されるということになるわけです。

これまで月末短期間の育児休業でも賞与保険料まで免除されていたという違和感は解消するわけですが、給与計算泣かせになるのではないかと危惧します。12月の賞与の支給時点では1か月超えて育児休業を取得する予定であり保険料免除としていたものが、終了予定日を繰り上げて休業期間が1か月に満たなくなった場合、保険料は徴収することになり再計算の必要が出てくる可能性があると思われるからです。

(参考)育児・介護休業法のあらましp99
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355354.pdf

今日は桜が満開になりました。お天気も良く満開の桜を満喫することができました。ベランダの花も満開でいよいよ春到来を感じます。コートを着なくても外を歩けるようになると気持ちも軽くなりますね。


改正育児介護休業法4月施行分準備

2022-03-21 23:47:36 | 産前産後・育児・介護休業

今年の人事労務関連の一番の大きな改正は、4月と10月施行の育児介護休業法ということで、いよいよ3月も後半に入り準備も追い込みになってきたと思います。ここ1カ月程度、顧問先企業の育児介護休業規程の改正対応を地道にお手伝いしてきましたが、10月改正分は出生時育児休業の就業をどうするかまだ未定である、また今回の改正に合わせて育児休業関連の施策を検討したいなどの要望があり、まずは4月施行分のみ対応という企業が半数程度でしょうか。4月改正対応については以下を準備しておく必要があります。

①育児介護休業規程の改定  4月に向けた改定は「有期雇用労働者の育児休業申出の要件緩和」と「同労働者の介護休業申出の要件緩和」の2点です。「引き続き雇用された期間が1年以上である者」を削除する必要があります。

これまで有期雇用労働者については法による除外ということで一定の要件を満たさないと育児(介護)休業をすることができないものとされてきましたが、だんだんにその要件が緩和されてきました。今回は1年以上の勤務実績要件が撤廃されることになり、子1年6か月(介護休業は開始予定日から93日+6か月)に達するまでに契約が満了しないことのみが残ることになりました。またこれまで法による除外と労使協定による除外が混同されていることも多かったのですが今回労使協定による除外は改定がなく、1年以上の実績を求める部分も残ります。有期契約労働者に引き続き1年以上の勤続実績を求めるのであれば正社員と同様に労使協定により適用除外と定めることは可能です。これまで労使協定による適用除外に有期雇用労働者が含まれていなかったということであれば、労使協定を新たに締結する必要があります。

②制度の個別周知と意向確認の準備 妊娠・出産を申出た社員への1)育児休業の制度、2)申出先、3)育児休業給付、4)社会保険料の取り扱いを周知をすることと、育児休業を取得するか否かの意向の確認を行う準備が必要です。

これまでも育児休業等に関してあらかじめ周知をする努力規定はありましたが、今回は「申出」があった場合に個別に制度を周知することと取得についての確認が義務になりました。育児休業を取得するつもりはない、と言っている社員に対しても個別周知は必要であるとQ&Aに示されています。意向確認は厚労省の参考様式を使うのが良いと思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000852918.pdf

③雇用環境整備の措置の準備  雇用環境整備の措置は、1)研修の実施、2)相談体制の整備、3)自社の取得事例の収集・提供、4)方針の周知のいずれかを実施する必要があります

相談窓口は既にある場合、周知している等の要件を満たす場合であれば新たに設ける必要はありません。また研修は管理職はすべて受講している状態にすべしとされており、以下のイクメンプロジェクトサイトのダウンロードのページの研修動画などは有用だと思います。
https://ikumen-project.mhlw.go

 連合会の前副会長である石谷隆子先生が女性社労士として初めて叙勲されたお祝い会が大阪であり1泊で行ってきました。小柄ながらいつも堂々とされており、また祝賀会でのドレスアップもとても素敵でした。会議でも要所で的を得た発言をされるということで見習いたい先輩です。

「育児・介護休業法」について改正ごとに労務行政さんの書籍の執筆をさせて頂いて、今回4冊目となりました。2010年に初めて執筆させて頂いてから10年以上改正を追っていても育児介護休業法の条文は本当に難しいと思います。育児介護休業規程の改定もなかなか大変ですが、まずは改正内容を抑えてから改定作業に入ることがポイントになると思います。今回発刊された「育児・介護休業法(株式会社労務行政)」を参考にして頂けると幸いです。以下のサイト(URL)より購入可能です。

https://www.rosei.jp/store/book/9908


父親の育児休業制度について

2022-01-23 21:43:10 | 産前産後・育児・介護休業

今年の4月と10月を中心とした育児介護休業法の改正は、男性の育児休業を促進させるための仕掛けがいくつもあるといえます。厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」で、男性の家事、育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高く、また第2子以降の出生割合も高い傾向にあることが示されています。

フランスでは、出生率が2010年に2.01を超え、コロナ禍第2次世界大戦後最低水準となった2020年でも1.84だそうです。方や、日本の2020年の合計特殊出生率は1.34と低水準です。しかしフランスもこれまでずっと出生率が高かったわけではないそうです。JILPTの調査研究によると「女性が高い教育を受け社会進出が進むと、仕事と子育ての二者択一を迫られた結果、女性は就労を選択し、出生率がさらに低下する。しかし、社会における女性の地位が向上するにつれて、出生率は回復することが指摘されている。」ということで、「この20年間に女性労働力率を上昇させながら出生率も回復してきている国の社会環境には、男性を含めた働き方の見直しや保育所整備等の両立支援、固定的性別役割分担意識の解消や男性の家事・育児参加、雇用機会の均等などが進んでいるという特徴がある。」と指摘する、とあります。

上記のような両立支援に取り組んだほか様々な政策を打ってきたフランスでも必ずしも男性の育児休業の取得率は芳しくないそうです。「『女性に多様な選択肢を与え』『仕事か子育ての二者択一を迫らない』家族政策をさらに一歩推進するために、父親に対して家庭責任と育児を分担することを、特に、1歳までの育児を半分分担することを求め」労働時間の短縮などは効果があったようです。今回の育児介護休業法の改正だけではなく、生産性の向上による労働時間の短縮や、在宅勤務などの導入により父親が家事・育児を担う部分が多くなることで、日本の出生率が高まることを期待しています。

【参考】

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「フランスにおける父親の育児休業制度-なぜ、高い就業率と特殊合計出生率が両立したのか」
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2018/12/france.html

厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000693710.pdf

昨日は年に2回開催しているBBクラブの勉強会でした。コロナ前は、10時から17時頃まで、法改正と旬なテーマで講演、その後懇親会という流れで行っていたのですが、この2年間はずっとzoomでの開催です。法改正セミナーは91名の参加があり相変わらず会員の勉強意欲を嬉しく感じました。その後のzoom懇親会はやはりリアルとは違って若干歯がゆい部分がありますが、参加してくれたみんなの近況を聴くことができて、zoomのお蔭で継続できていることについては感謝しています。きっとリアルで会える日が来たらとてもとても嬉しいのだろうなと楽しみにしようと思います。延期になっているBBクラブ創立20周年記念パーティーが新たな再開になるかもしれませんね。とにかく今はオミクロン株に気を付けて元気に毎日を過ごすことを心がけたいです。


保育所に入所できない場合の育児休業延長について

2021-11-07 18:23:10 | 産前産後・育児・介護休業

先日山の手メンター塾で意見交換をしている際に「以前は絶対に認められなかった育児休業の延長申請の手続の不備案件が、今年になってから疎明書により何件も認められるようになった」と聞いて、思い出したのが行政評価局のあっせんの件でした。

以下の「保育所に入所できない場合の育児休業給付金 支給対象期間の延長についてのご案内」のリーフに書かれている通り、延長となる事例と延長にならない事例が整理されています。まず延長の要件として、①市町村等で認可保育所等の入所の申込みを行うこと、②入所申し込みの際に入所希望日を1歳の誕生日以前にしなければならないこと、が条件となります。

ところが間違いやすいのが、入所申し込みをしようとしたところ既に「空きがない」という市区町村の回答であったため、申し込みをしなかったとか、入所希望日を子の誕生日の翌日以降で申し込んでいたというようなケースで、これらの場合これまでは育児休業の延長要件を満たしていないということで、雇用保険の育児休業給付金を受けることができないということになってしまっていました。
https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/content/contents/000914799.pdf

今年の春から取り扱いの緩和があり、4頁のご相談の多い事例を見ると、上記ケースが疎明書により対応可能な場合があると書かれています。実際現場ではかなりこの対応で以前であれば受け付けられなかったものが受け付けてもらえるようになりました。

これは行政評価局のあっせんによるもので、1歳と1歳半以降の延長について「保育所に入ることができない場合」が一番の理由になることが多いのですが、延長が認められなかったという苦情がやまなかったということです。

育児休業給付金の受給期間延長申請に関する事例・判断材料の整理と制度の改めての周知に向けた見直し-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん(行政運営の改善)-
https://www.soumu.go.jp/main_content/000739676.pdf

上記にも書かれていますが、保育所に申し込みをしていない場合については認められないことに変更はありませんが、あまりに複雑な手続等に神経を使わなければならず、手続に不備があったというだけで権利があるのに受給できないのは考えてみればおかしなことで、行政評価局への相談についてもここまで効果的なのであれば、社労士であっても活用すべきだろうと思いました。

原稿の仕事もやっと先が見えてきて、コロナの感染者数も減ったため、先週若かりし頃勤務した会社の先輩のお誘いを受けて、先輩がやっている喫茶店での集まりに参加してきました。あっという間に2時間が過ぎ、最後にLineの交換をしたのですが、これにかなり手間取り、更に写真を撮った方が良いということになり自撮りを試みるもなかなかうまくいかず、大騒ぎでしたが、久しぶりに楽しい時間を過ごしました。コロナ禍、1年半くらい電車に乗っていなかったという先輩もいて、みんな我慢していたのだなあと実感しました。仕事をしているとやはり減ったとはいえ外出する機会は多くあり、そのあたりは想像していませんでした。このまま落ち着いてくれると良いですね。

そういえば最近睡眠アプリに凝っていて、毎日自分の睡眠状態を見るのを楽しみにしています。だいたい睡眠時間がいつも短いため気になっていたのですが、意外に良い睡眠をとっているようです。朝の目覚めもアプリの音楽で目覚めてなかなか気分が良い感じです。


有期契約社員の育児休業等の取得率について

2021-08-09 22:40:46 | 産前産後・育児・介護休業

 来年4月1日から、有期雇用労働者の育児休業および介護休業の取得要件が緩和され「引き続き雇用された期間が1年以上である者」が削除されることになりました。従って有期雇用労働者が法律の定めにより育児休業等の申し出が拒まれるケースは「子が1歳6か月到達までに更新後の契約も含んだ労働契約が満了することが決まっている者」のみとなります。

 今回の有期雇用労働者の申し出の要件が緩和された背景には、いわゆる正社員に比べて有期雇用労働者の育児休業取得割合が低いためであろうと思い、どの程度低い取得率であるか調べてみました。

 平成 30年10月1日から令和元年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、令和2年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は 81.6%、同期間に配偶者が出産した男性のうち、令和2年10月1日までに育児休業を開始した者の割合は 12.65%です。それに対し、同期間内に出産した有期雇用労働者の育児休業取得率は 62.5%で、同期間内において配偶者が出産した有期雇用労働者の育児休業取得率は11.81%となっており、特に女性は有期雇用の場合かなり育児休業の取得率が低くなっています。

 ただし、有期雇用労働者が入社1年未満の場合の申し出が拒めるとする法律の規定は削除されますが、引き続き労使協定により「入社1年未満の労働者」について適用除外とすることが可能である法律の規定は残ります。すなわち正社員と有期雇用労働者ともに入社1年未満の場合は同じ規定により適用除外と定めることが可能となり、これまで有期雇用契約の場合重複感があった部分についてはすっきりすることになります。

「令和2年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/03.pdf

オリンピックが無事に終わり何となくホッとしました。コロナがなければもっともっと楽しめたのだろうと思いますが、テレビで見る競技でも沢山の喜びや感動は味わえたと思います。今回はロンドン以降活躍してきた選手から新たな顔ぶれに変わる世代交代の感が強かったですが、卓球の水谷選手やマラソンの大迫選手は感動しました。水谷選手の団体戦のシングルスの試合が出勤中で見ることができなかったのが心残りです。あとは男子400メートルリレーが本当に残念だったです。

今後はコロナの感染拡大が広がっているのをいかにパラリンピックまでに抑えるか、お盆の過ごし方が重要になろうかと思います。私はというと、オリンピックの関係で祝日が多く、しかし家にいることが多いので、仕事はサクサクと捗り、また本もどんどん読めるため今日は本の収納場所を整理したりと、それはそれで快適に過ごしています。最近は夜寝る前に世界の街の紹介しているYouTubeを見たりして、近年にないある意味いつもより汗汗せず優雅な過ごし方をしています。

来週の日曜日はお盆休みということでブログもお休みさせて頂きます。お盆が過ぎたらまたシャッキリと仕事にまい進したいと思います。受験生はとにかく最後の2週間で天才になれるよう頑張ってもらい、皆様にとって良い夏休みとなりますように。


就業可能な育児休業改正について

2021-06-27 23:54:04 | 産前産後・育児・介護休業

来年の育児介護休業法の改正ですが、今のところ政省令が出ていないので詳しい点はまだわからないのですが、なかなか難しいけれど男性の育児休業取得は進むかもしれないと感じるのが「休業中の就業可能」です。

以下のリーフにもありますが、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業が可能であるということで、就業したとしても育児休業中ということで育児休業給付金の対象となるということです。この育児休業中の就業が認められるのは、改正条文を読むと産後8週間の範囲内で取得できる「出生時育児休業」の期間のようです。

また、就業可能日等の上限は、労働日・所定労働時間の半分ということですので、だいたい月10日又は80時間程度になるのでしょうか。これは施行規則等で定められることになるということです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

現在も育児休業中の就業が全く認められていないというわけではなく、「子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労」できることになっています。 
就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されることになっており、就労しても育児休業期間中であるという点については改正による就業可能と同じです。

ただ、「恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりません」ということになっており、条文に「就業可能」と定められる今回の改正とは決定的に異なるといえます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000706037.pdf

改正によりこのあたりの整理はどうなるのかまだ不明ではありますが、働くことができる育児休業という考え方は、育児短時間勤務との違いも分かりにくくなりそうで、なかなか複雑な気がします。

先週は久しぶりにリアルのセミナーを顧問先で行いました。テーマは管理職セミナーということで、主に中間管理職の役割の話なのですが、なかなか面白い内容なのです。これは、TAC時代からの同僚で法人社員にも10年ほど就任してもらっていた島中先生から引き継いだもので、中間管理職がどのような役割をもって仕事をしていくか、認識してもらう内容になっています。皆さん真面目に熱心に聞いて頂きました。


傷病手当金、育休中の保険料免除等健康保険法の改正

2021-06-20 18:47:36 | 産前産後・育児・介護休業

かなり長くて覚えにくい名称ですが「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が、令和3年6月4日に可決・成立、6月11日に公布されました。かなり実務的な改正が含まれているのでポイントをあげてみたいと思います。

①任意継続被保険者に関する改正(令和4年1月1日施行)
これまで任意継続被保険者の資格喪失事由には「本人が希望したとき」という事由はありませんでしたが、改正により任意継続被保険者でなくなることを希望することを保険者に申出た場合に、資格喪失することが可能になりました。

これまで任意継続被保険者の標準報酬月額について、①退職者の従前の標準報酬月額又は②所属する保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額」とされていましたが、改正により健保組合の規約により「従前の標準報酬月額」することができることになりました。

②傷病手当金に関する改正(令和4年1月1日施行)
これまで傷病手当金は支給開始から1年6か月の期間内を限度に支給されることとなっていましたが、改正により支給開始日から通算1年6か月分支給されることになりました。

傷病手当金の支給を行う場合に、労災保険等の給付の支給状況について必要は資料の提出を求めることができることが明記されました。

育児休業中の保険料免除に関する改正(令和4年10月1日施行)

これまで月中において育児休業開始日と終了日の翌日が同月内であった場合には保険料の免除は行われませんでしたが、改正により育児休業の日数が14日以上であれば保険料が免除されることになりました。
なお、育児休業期間が1か月以下である場合な賞与保険料は免除されないこととされました。

④その他
高齢者医療確保法の改正により、後期高齢者医療における窓口負担がこれまで1割負担であった被保険者で一定所得以上である場合の窓口負担については「2割負担」となりました。(政令で定める日施行予定)

健康の保持増進のために必要がある場合事業者等に対して、保険者が40歳未満の者も含めた定期健康診断に関する記録の写し等の提供を求めることができるとされました。(令和4年1月1日施行)

※概要その他新旧対照条文などは以下をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/204.html

7月に株式会社 ニッセイコム / 三菱電機ITソリューションズ株式会社様共催のオンラインセミナーで話をさせて頂くことになっているのですが、テーマがDX時代の総務・人事についてです。DXは以前から気になっており本を読んだりしていたのですが、今回準備をするにあたり、ガイドラインなどを読んでだいぶイメージができたような気がします。特に「2025年の崖」は面白く、Win7など様々なサポートが終了し、基幹システムが21年以上経過するのが6割に達し、IT人材が不足するのが2025年。顧問先の基幹システムは、建増しに次ぐ建増しで複雑になり、手作業部分も多くなったため昨年から今年にかけて新規のシステムの入れ替えに忙しく、自分の頭の中でのパズルがピッタッとはまった感じです。お話の中ではちょっとクスッと笑える話も交えて楽しくいきたいと考えています。


2022年改正予定 育児介護休業法

2021-05-23 17:50:31 | 産前産後・育児・介護休業

2022年から男性の育児休業促進のための育児介護休業法の改正が行われるということは時々ニュースで流れているかと思います。2月26日に法律案要綱や法律案新旧対照表が出ており、今国会で成立すれば2020年4月及び10月施行になる予定です。今企業では在宅勤務が軌道に乗り始め、秋に新たな人事施策を検討されるところも多いと思いますが、特に「働き方」については来春の育児介護休業法の改正予定を踏まえて検討されることが必要かと思います。気になるポイントだけ取り上げてみたいと思います。

①1歳に達するまでの育児休業の取得回数2回までに
現状の育児休業は子が1歳になるまでに原則1回(要件に該当すれば子が1歳6ヶ月、2歳まで延長可能)しか取得できないことになっています。今回の改正で育児休業を2回に分けて取得できるようになります。

②出生時育児休業の新設
これまでいわゆる「パパ休暇」と言われていた、産後8週間以内に取得した育児休業については子が1歳になるまでに特別の事情を問わず2回目の育児休業を取得できる(パパ休暇についてはカウントしない)とされていましたが、この仕組みが原則の育児休業とは別に「出生時育児休業」として新設として衣替えします。ただし全くこれまでの「パパ休暇」と同じわけではなく産後8週間以内の期間内に4週間以内の期間を定めて休業するものをいい、産後8週間の期間内に2回まで、出生時育児休業の日数が28日までとされています。これにより、①の育児休業と出生児育児休業と合わせ、計4回に分けて育休を取得することが可能とります。

③期間雇用者の育児休業取得要件の緩和
期間雇用者の育児休業取得の要件が緩和され、1歳6ヵ月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない者に限り育児休業の申出をできることとされます。1年以上の雇用期間の実績が求められなくなりますが、労使協定により雇用期間1年未満の労働者を適用除外することができる規定は残り、この点無期雇用者と同じ扱いになるということです。

④雇用保険法、健康保険法の改正
今回の育児介護休業法の改正に合わせて雇用保険法、健康保険法も改正が行われる予定です。
・雇用保険法の育児休業給付金は、同一の子について3回以上の育児休業を取得した場合支給しないこと、出生時育児休業給付金が創設されます。
・健康保険法の保険料の免除については、育児休業の期間が1か月以下である場合の保険料免除は標準報酬月額に係る保険料のみ(賞与に係る保険料は免除しない)ことになります。

⑤その他
事業主への申出は2週間前{現在1か月前)までに短縮、事業主へ育児休業に係る研修の実施等育休取得の環境整備を義務づけることなどがあります。

以下、令和3年国会提出法案です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/204.html

今回の育児介護休業法の改正法案は、育介法だけでなく雇用保険法、健康保険法と多岐にわたり、実務的には大きな改正になると思います。男性の育児休業の促進には効果があるかもしれませんし、特に「出生時育児休業」によって取得率は進むような気がします。

これまで男性の育児休業については、下手をすると1日だけ等どちらかというと保険料免除を狙ったものかもしれないということが疑われるものも散見され、特に賞与月は育児休業が多く発生する等の現象を憂えていましたので、今回の健康保険法の改正で少しはそのようなまやかし的な育児休業がなくなるのは良いことだと思います。


育児休業給付金の受給上の留意点

2021-05-16 21:18:42 | 産前産後・育児・介護休業

育児介護休業については10年以上前からずいぶんセミナー等をさせて頂いたのですが、先日のブログでも取り上げた通り、とにかく制度が育児介護休業法だけでなく、労基法、均等法、健康保険法、雇用保険法といくつもの法律が複雑に絡み合い、さらにそれぞれの法律の中でとても細かな運用が決められており、周知がなかなか大変だと感じます。その中でも特にトラブルが多いのが育児休業の延長時の育児休業給付金の受給なのだと思います。

例えば「保育園に入所できなかったことを理由として1歳6ヶ月まで育児休業を延長」する場合、以下のことが注意点になります。

①子の1歳到達日前までに保育所入所の申込みを行い「不承諾通知」をもらう必要がある。
・・・市区町村によっては毎月1日の入所希望でなければ入所申し込みを受け付けないところがあるため、例えば10月29日が誕生日である場合、10月1日の入所希望をして不承諾を受けておく必要があり、10月に入ってから申込むと11月1日入所希望となってしまうところに注意が必要です(従って10月下旬の誕生日であっても9月中旬には申込みをするつもりでいる必要があります。だいたい、毎月15日くらいに入所できるか否かが判明するようです)。

また今は保育所は満杯ですと役所等に言われたとしてもとにかく「不承諾通知」をもらっておく必要があることも注意が必要です。

②入所希望日は、誕生日以前となっていることが必要である。
…これは延長を前提で考えず、「あくまで復帰を前提としていたが保育所に入所できなかったため育児休業延長を申請」したという状況である必要があるためです。

この申込みについては、平成23年8月前まではもっと注意が必要でした。会社のルールでは子が3歳まで育児休業を認めている場合であっても、法に定める育児休業ごとにいちいち申し込みを行っていく必要がありました。これは改正により1歳の誕生日以降の育児休業の取得を予定していても良いことになり、少し改善はされています(ただし、1歳以降も育児休業給付を受給するためには保育所に入所できずという法律上の要件に該当しなければなりません)。

令和 3 年 3 月 24 日、「行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん」で総務省行政評価局は、育児休業給付金の受給期間延長申請における手続をより分かりやすくしていくために、厚生労働省に改善についてのあっせんがされました(あっせんには上記①②も含まれています)。
このあっせんは、「全国における行政相談を基に、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたもの」ということで、行政相談の内容 として「延長申請が認められないとされた三つの類型」が示されています。やはり育児休業の延長の際の育児休業給付金については苦情が多かったのだとわかります。社労士が行政相談にもっていくという手もあったのでしょうか。厚生労働省の措置結果については、「令和 3 年 6 月 25 日(金)までにお知らせください。」とあり、どのような結果が出るか楽しみです。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000739676.pdf

最近白いスニーカーをスカートに合わせて通勤にも履いていくのが流行りということで研究して購入してみました。うまくおしゃれに着こなせるかどうか、手持ちの服に合わせることができるのかどうかが非常に疑問なのですが、何とか履きこなしたいと思っています。

Twitterを始めて1か月たちました。ブログはどちらかというと細かく解説、分析等をしていますがツイッターは短い文章で気軽に投稿しているので読みやすいと思います。またフォローが50も行かない状況なのですが、結構楽しんでやってます。ぜひ見に来ていただいてフォローもしていただけると嬉しいです。よろしくお願いします
https://twitter.com/OursKoiso


育児休業給付の雇用継続給付からの分離の意味

2021-05-03 18:43:27 | 産前産後・育児・介護休業

4月30日に厚生労働省より発表された雇用保険事業月報・年報によると、育児休業給付の令和3年3月の支給金額は661億2500万(令和2年3月の支給金額は565億1300万円)となり前年同月比約100億円増加しています。令和2年5月以降、コロナ感染拡大の影響か、育児休業の延長がぐっと減るところが、例年に比べて減り方がなだらかであることも支給金額増加の一因になっているようです。

育児休業給付は令和2年4月の改正で、「失業等給付から独立させ、子を養育するために休業した労働者の生活及び雇用の安定を図るための給付と位置付ける」とされ、育児休業給付の保険料率(1,000分の4)を設定するとともに、経理を明確化し、育児休業給付資金を創設することになりました。雇用継続からさらに一歩前進して休業中の生活保障の意味を持たせたといってよいと思います。

この改正は、2019年12月13日の日経新聞によると、(厚生労働省は)出産後も働く女性が増え給付額が増加している育児休業給付を、将来的に雇用保険財政からの切り離しも視野に入れるとしています。失業給付の基本手当は19年度には育児休業給付が逆転する見通しだ(実際にはこちらもコロナ感染拡大の影響か令和2年6月以降の基本手当の給付額が急増し逆転はしていないようです)。
安心して子どもを産み育てられる環境の整備が国の重要施策に位置づけられるなか、育児休業給付のあり方について中長期的に検討する、とあります。

出産・育児周りの給付等は、各法律が複雑に関係しており、育児休業給付に加えて、出産に関する健康保険法の給付と保険料の免除、こども子育て拠出金を財源とする児童手当があり、これらをまとめることができればさらに子育て支援が充実するように思います。

2度目の緊急事態宣言下の5月連休となりましたが、昨年のような人の流れを抑えられてはいないようで心配です。テレビで見ていると、人混みが映し出されており、それを見るとかえって出かけてしまう人も増えるような気がしますが、ここは辛抱ではないでしょうか。来年こそは気持ちの良い季節を思い切り過ごせると良いですね。