OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

フリーターの正社員化について

2019-04-21 23:51:29 | 雑感

今年になり特に新聞を見ていると「フリーター」の就職についての記事が増えているように感じます。日経新聞でも、2019年2月2日「フリーター、正社員の道広がる 内定率8割も」、少し古いですが2016年4月4日「女性フリーター大幅減 15~34歳、消費や結婚を後押しも」、また最近では、2019年4月18日「フリーター立場一転」として取り上げており、フリーターがここのところ大幅に減ったことを記事にしています。

4月18日の日経新聞の記事では以下のようにフリーターに対する変化について書いています(一部加筆省略)。

フリーターが日本経済新聞に初めて登場したのは1987年8月のこと。時代はバブルに向かって右肩上がりだった。「苦学生」という昭和のバイト像は遠のき、次々に開店する外食チェーンやコンビニがフリーターを歓迎した。「24時間モーレツ」を拒み、働きながらも自分の時間を十分に確保したい若者たちの選択肢になった。

暗転したのは、バブル崩壊で就職氷河期が始まった1990年代半ばごろ。人件費抑制のため、正社員をバイトに置き換える動きが広がった。フリーターは社員になれない新卒学生の受け皿に。社会は「就職できなかった人」と受け止めるようになっていった。政治も厳しい目を注いだ。当時の企業の意識調査では「フリーター経験者は雇いたくない」という意見が大半だった。

職探しも通学もしない「ニート」も現れ、国は2000年代から就職支援などを本格化。総務省の労働力調査によると、フリーターは2003年に217万人に達した。

2013年ごろ、再び風向きが大きく変わる。景気回復が続き、一転して企業に人手不足感が強まった。売り手市場に変わり、フリーターに就職をあっせんする人材会社が活況を呈する。

2018年のフリーターは143万人。ここ5年でも2割減った。ただ国の定義は15~34歳で、それ以上は統計に含まれない。就職氷河期に大学を卒業した世代は40歳を超えており、中年のフリーターも多いとみられる。

 「フリーターという言葉は使われなくなる」と予測されるそうです。あとはフリーターが正社員になりそれまで気楽な立場だったものが、責任が重くなり、多様な仕事を任される正社員の立場で仕事に違和感なく取り組むことができるか、企業はどのように社員を育てていけるかという点を今後は見ていく必要があるように思います。

最近、気軽に転職できる時代が来たと感じます。一つの場所に定着しないで経験を積むということも一つの人生の選択肢であろうとは思います。その選択が実りあるものになることを願うばかりです。

先週修論計画の報告をしました。昨年9月から少しずつ準備をしてきたものを整理して発表し、指導教授の菊池教授よりアドバイスを頂いて、論文の構成もある程度みえてきました。ここから連休明けくらいまではこれまでの続きで資料集めをする予定ですが、そこから夏の報告会までは先行研究が少ない論点である特別加入を成立史や裁判例を中心に徹底的に研究してみようと思っています。昨年は修論についてどのように取り組んでいくか段取りも見えていない中で手探りでしたが、図書館に行き資料を探しコピーし読んでいくうちに、少しずつ取組む段取りが見えてきたように感じています。

連休の後半はルーマニアに行くことになりました。社労士の類似制度がヨーロッパにもあるということで、連合会の会長に国際化の委員として同行できることになりました。めったに頂けない機会と考え日本の社労士制度との連携を深めるとともにしっかり勉強してきたいと思っています。 


現役時代の資産運用の大切

2019-04-14 23:01:12 | 雑感

以前は日本人の平均寿命も今ほどは長くなく、厚生労働省の2017年分の発表によると日本人の平均寿命は、男性が81.09年、女性が87.26年ということですが、国民皆年金が施行される前年の1960(昭和35)年は男性なんと65.32歳、年金支給開始年齢65歳という法改正が行われた1998(平成10)年は男性77.16歳となっています。

上記の数字から考えると、そもそもの年金は60歳定年で5年間支給するという計算で考えられていたとも推察され、平成7年の雇用保険の雇用継続給付が施行され65歳まで働く人がぼちぼち増えてきたあたりでは、65歳の引退から77.16歳までの約12年間支給とかなり想定より支給期間が長くなったということがわかります。それが今や81歳まで16年間、さらに今後人生100年ということで100歳まで生きれば65歳から35年もあるわけです。

年金の財政が厳しくなるのも当然で、制度設立当初の試算からはかけ離れた支給期間になっていると思われます。これに対してどのように考えていくかということなのですが、先日テレビを見ていて、アメリカ人の配偶者の親が日本の自分の親より定年時10倍の資産をもっていたという話をしており、日本人もこれまで会社に時間をかけていた分働き方改革で余力ができたら自分の時間で資産形成をするべきだということを聴きました。

確かに401Kが日本に導入されたときのTACの授業ではよく「自助努力」という言葉を使っていた記憶があります。大きな資産形成を考えるのではなく少しずつで良いので、今後の日本人は年金の上乗せを自分自身で手配しておく意識を持ってもらうのが良いと思われます。

 特に大企業の社員は会社に守られてサラリーマン生活を送ってきており、税金でいえば年末調整があるため何もしなくても税金の還付を受け、年金手帳や雇用保険被保険者証を会社が預かり管理してくれている場合もあり自分の基礎年金番号は会社に問い合わせなければわからず、出張は飛行機、新幹線またホテルの手配も会社が行ってくれるなど、定年又は再雇用終了時点で何もわからない状態で会社から離れるというケースもかなり多いのではないかと心配になります。大企業の社員であっても、定年退職後企業を離れればあとは自分だけが頼りです。会社に滅私奉公をすれば退職金が出て、年金や企業年金で悠々自適という時代は過ぎたと思います。現役時代から自助努力で定年後安心できる生活を送るための資産運用をしておくことを、これから色々なところでお勧めしようと考えています。

来週のゼミで修論の進捗報告会があり、今日はずっとその準備をしていましたが何とかなりそうです。先週は水曜日と木曜日花粉症がひどくて頭がぼーっとしてしまいチコチャンに怒られそうな状態でしたが何とか昨日から少しすっきりしたので助かりました。

昨日は次回のBBクラブの幹事会だったのですが、終わってから鳥ぎんに行き美味しい釜飯をみんなで和気あいあいと食べたのが良かったのかもしれません。やはり気のおけない仲間とわいわい集まるのは人生の楽しみですね。感謝です。 


心身の状態の 情報の適正な取扱いのための規程のひな型

2019-04-07 22:12:26 | 法改正
労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成30年9月7日)が発表された際に、「心身の状態の 情報の適正な取扱いのための規程」の策定することで取扱いを明確化することとされていました。関与先の人事担当者の方から「規程のひな型がないでしょうか」というお問い合わせを受けており厚労省に問い合わせたところ作成予定があるということでしたので待っていたところ、3月末近くにパンフレットがHPに掲載され、その中に「規程のひな型」もありました。適用開始は、平成31年4日1日で既に適用開始日を過ぎていますので、早めに準備しておくと良いと思います。
 
(指針より)
事業場において、労働者が雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受け るという不安を抱くことなく、安心して産業医等による健康相談等を受けられるように するとともに、事業者が必要な心身の状態の情報を収集して、労働者の健康確保措置を 十全に行えるようにするためには、関係法令に則った上で、心身の状態の情報が適切に 取り扱われることが必要であることから、事業者が、当該事業場における心身の状態の 情報の適正な取扱いのための規程(以下「取扱規程」という。)を策定することによる当 該取扱いの明確化が必要である。

規程のひな型は、パンフレットの後ろの方の参考2にあります。
 
また、上記指針には、心身の状態の情報の取扱いについて、労働者の同意を必要とするか否かが以下の3つの区分で表に整理されており、実務的に有用だと思います。
 
「心身の状態の情報の分類」 -「左欄の分類に該当する心身の状 態の情報の例」とここには載せませんが「心身の状態の情報の取扱いの原則」が示されています。
 
① 労働安全衛生法令に基づき事業者が直接取り扱うこととされており、労働安全衛生法令に定める義務を履行 するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
(a)健康診断の受診・未受診 の情報 (b)長時間労働者による面接 指導の申出の有無 (c)ストレスチェックの結果、高ストレスと判定され た者による面接指導の申出 の有無 (d)健康診断の事後措置につ いて医師から聴取した意見 (e)長時間労働者に対する面 接指導の事後措置について 医師から聴取した意見 (f)ストレスチェックの結 果、高ストレスと判定され た者に対する面接指導の事 後措置について医師から聴 取した意見

② 労働安全衛生法令に基づき事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが適当である心身の状態の情報
(a)健康診断の結果(法定の項目) (b)健康診断の再検査の結果(法定の項目と同一のもの に限る。) (c)長時間労働者に対する面 接指導の結果 (d)ストレスチェックの結 果、高ストレスと判定され た者に対する面接指導の結果
 
③法令において事業者が直接取り扱うことについて規定されていないため、あら かじめ労働者本人の同意を得る ことが必要であり、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用すること が必要である心 身の状態の情報
(a)健康診断の結果(法定外 個人情報の保護に関す項目) (b)保健指導の結果 (c)健康診断の再検査の結果 (法定の項目と同一のもの を除く。) (d)健康診断の精密検査の結 果 (e)健康相談の結果 (f)がん検診の結果 (g)職場復帰のための面接指導の結果 (h)治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書 (i)通院状況等疾病管理のた めの情報
 
この週末は暖かく桜も満開でお花見日和でした。来週からいよいよ大学院2年目が始まります。また新たな勉強が同級生たちとできると思うとワクワクします。「そんなに勉強が好きだったっけ?」と大学時代の友人にはいつも言われますが、確かに正直勉強が面白いと思い好きになったのは社労士の勉強を始めたあたりかなと思います。
 
約2週間前に、転んで右手薬指の筋が切れました。2週間くらい支えを当てておくと、自然に「筋がくっつくかつかないかどちらかわからない」という診断だったのですが、今のところ戻っていません。この話をすると意外にも「ほっておいたから曲がったまま」という人(男性が多い)が結構いることに驚きます。何とかくっついてまっすぐになってくれると良いと思うのですが。