退職代行サービスがだいぶ一般的になってきているようです。この退職代行サービスを利用して退職を申出られた際に会社はどのように対応すればよいのかということについては、まだご相談数が少なくそれほど知見・経験があるとは言えないのですが、少し考え方を整理しておく必要もあろうかと思い取りあげてみたいと思います。
まず退職代行というサービスですが、日本特有のものであり、外国では「なぜ退職するのに自分で言い出せないのか?」と不思議がられる、ということを読んだことがあります。これまでの常識からいえば「退職は本人からの申し出を上司や人事が受ける」というのが当たり前であり、まだまだ退職代行サービスを利用してきたということで会社としては「もやもやした感じ」があるかと思います。会社が引き止めたい人材であればそれもわかりますが、利用すること自体日本的なのだと考え、退職代行サービスの利用があった場合でも、ドライに割切ることも必要なのかもしれないと思います。
退職代行サービスを行うのは3つの形態があるということです。①弁護士(法人)、②ユニオン(労働組合)、③事業会社です。法律的に問題はないのかという点ですが、弁護士が本人から委任を受けて代理人になっていれば条件の交渉も可能ですし、ユニオンの場合は団体交渉権により要求をしてくることは法律上の要件を満たした労働組合であれば法の抵触はないといえます。事業会社が本人の意思を伝達するということであれば法的に問題ないとネットでは示されているようですが、こちらについては非弁行為に該当する可能性が高いという考えもあり、また、報酬を得て「条件交渉」をすることは確実に非弁行為として弁護士法72条違反になります。
退職代行サービスの利用により退職の申し出があったときは以下が留意点となります。
➀代行業者を確認・・・上記の適法性などを確認したいところです。
②就業規則の退職の申出を確認・・・1か月前に申出ることと規定されている場合でも、おそらく退職代行サービスから来た文面では即日退職の申し出が多いと思います。就業規則に「申出は退職日1か月前」と規定していても、民法の定めにより、申出より2週間経過日が最短の契約解除=退職日となりますので、即日退職を認めるか、又は2週間経過日とするか判断する必要があります(ただ、2週間後とした場合でも、体調不良などで出勤不可と言ってくる可能性は高いようです)。
③退職届を求める・・・就業規則に義務として「退職の際は退職届を提出すること」と規定しておき、本人からの退職届を受理することが良いと考えます。退職届は本人の意思表示であり退職代行サービスを利用する場合でも、病気などの理由がない場合以外は他人が作成できないものとされており、退職届を受理することにより本人の意思を確認することができます。
④手続等について・・・法定期限のあるものは法定期限を守って手続きをする必要があります。
雇用保険被保険者資格喪失届等の法定期限は、離職した翌々日から10日以内です。資格喪失届に離職証明書を添えて公共職業安定所に提出し離職票を交付してもらいます。早めに欲しいという要望があっても法定期限内に手続すれば問題ありません。
給与については就業規則等で定めた給与支給日に支払うことが原則ですが、労基法23条の規定により退職者から請求があった場合には7日以内に支払う必要があります。賃金額などについて争いがある場合は、異議のない部分を7日以内に支払うことになります。
逆に健康保険証や会社で貸与していたもの等は、だれがいつまでに返却等するのかを、退職代行サービスに確認するのは良いと思います。
週末2日間は、7月27日(土)に行われるBBクラブの勉強会のレジュメを作っていました。昨日はいきなりすごい雨やヒョウまで降って、うちのベランダにも氷の塊が転がりビックリしましたし、今日は都知事選挙で外に出たところ凄い暑さでしたので、あまり遠出する気も起きずレジュメ作りにはピッタリの週末でした。今回の勉強会では改正のあった雇用保険法、育介法、子ども子育て支援法、フリーランス保護法に加えて、最近ご相談の多い、リファラル採用、副業・兼業、時間単位年休のおさらい等取り上げる予定です。レジュメはだいたい6~7割程度できたかなというところですので、あと少し頑張ります。