OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

退職代行サービスについて

2024-07-07 21:25:56 | 労務管理

退職代行サービスがだいぶ一般的になってきているようです。この退職代行サービスを利用して退職を申出られた際に会社はどのように対応すればよいのかということについては、まだご相談数が少なくそれほど知見・経験があるとは言えないのですが、少し考え方を整理しておく必要もあろうかと思い取りあげてみたいと思います。

まず退職代行というサービスですが、日本特有のものであり、外国では「なぜ退職するのに自分で言い出せないのか?」と不思議がられる、ということを読んだことがあります。これまでの常識からいえば「退職は本人からの申し出を上司や人事が受ける」というのが当たり前であり、まだまだ退職代行サービスを利用してきたということで会社としては「もやもやした感じ」があるかと思います。会社が引き止めたい人材であればそれもわかりますが、利用すること自体日本的なのだと考え、退職代行サービスの利用があった場合でも、ドライに割切ることも必要なのかもしれないと思います。

退職代行サービスを行うのは3つの形態があるということです。①弁護士(法人)、②ユニオン(労働組合)、③事業会社です。法律的に問題はないのかという点ですが、弁護士が本人から委任を受けて代理人になっていれば条件の交渉も可能ですし、ユニオンの場合は団体交渉権により要求をしてくることは法律上の要件を満たした労働組合であれば法の抵触はないといえます事業会社が本人の意思を伝達するということであれば法的に問題ないとネットでは示されているようですが、こちらについては非弁行為に該当する可能性が高いという考えもあり、また、報酬を得て「条件交渉」をすることは確実に非弁行為として弁護士法72条違反になります。

退職代行サービスの利用により退職の申し出があったときは以下が留意点となります。

➀代行業者を確認・・・上記の適法性などを確認したいところです。

②就業規則の退職の申出を確認・・・1か月前に申出ることと規定されている場合でも、おそらく退職代行サービスから来た文面では即日退職の申し出が多いと思います。就業規則に「申出は退職日1か月前」と規定していても、民法の定めにより、申出より2週間経過日が最短の契約解除=退職日となりますので、即日退職を認めるか、又は2週間経過日とするか判断する必要があります(ただ、2週間後とした場合でも、体調不良などで出勤不可と言ってくる可能性は高いようです)。

③退職届を求める・・・就業規則に義務として「退職の際は退職届を提出すること」と規定しておき、本人からの退職届を受理することが良いと考えます。退職届は本人の意思表示であり退職代行サービスを利用する場合でも、病気などの理由がない場合以外は他人が作成できないものとされており、退職届を受理することにより本人の意思を確認することができます。

④手続等について・・・法定期限のあるものは法定期限を守って手続きをする必要があります。

雇用保険被保険者資格喪失届等の法定期限は、離職した翌々日から10日以内です。資格喪失届に離職証明書を添えて公共職業安定所に提出し離職票を交付してもらいます。早めに欲しいという要望があっても法定期限内に手続すれば問題ありません。

給与については就業規則等で定めた給与支給日に支払うことが原則ですが、労基法23条の規定により退職者から請求があった場合には7日以内に支払う必要があります。賃金額などについて争いがある場合は、異議のない部分を7日以内に支払うことになります。

逆に健康保険証や会社で貸与していたもの等は、だれがいつまでに返却等するのかを、退職代行サービスに確認するのは良いと思います。

週末2日間は、7月27日(土)に行われるBBクラブの勉強会のレジュメを作っていました。昨日はいきなりすごい雨やヒョウまで降って、うちのベランダにも氷の塊が転がりビックリしましたし、今日は都知事選挙で外に出たところ凄い暑さでしたので、あまり遠出する気も起きずレジュメ作りにはピッタリの週末でした。今回の勉強会では改正のあった雇用保険法、育介法、子ども子育て支援法、フリーランス保護法に加えて、最近ご相談の多い、リファラル採用、副業・兼業、時間単位年休のおさらい等取り上げる予定です。レジュメはだいたい6~7割程度できたかなというところですので、あと少し頑張ります。


就業規則に規定のない懲戒処分

2024-06-16 23:31:16 | 労務管理

就業規則に規定されていない懲戒処分は可能かという点を調べてみました。懲戒に関する事項は、労働基準89条において、定めをする場合には必ず就業規則に記載しなければならないとされる相対的必要記載事項とされており、「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度の関する事項」を定めることとされています。

従って①懲戒処分の種類と②懲戒処分の事由を就業規則に定めた上で、懲戒処分を行う際は、③行為と処分が整合性のとれたものであること、④判断にあたっては軽い処分から重い処分へ段階的に検討する必要があること、⑤処分にあたり懲罰委員会の決定など手続きが決められている場合手続きを厳守すること、⑥二重処分にならないように注意すること、が留意点としてあげられます。

労働契約法15条には、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする(日本郵便事件、最一小判令和4.6.23)。」と定められており、例えば上記③にある行為に対して処分が整合性が取れておらず処分が重すぎる場合は権利濫用とされる判決が出ることになります。

それでは、就業規則にない事由による懲戒処分は権利濫用とされるか否かですが、最高裁判決(フジ興産事件、最二小判平成15.10.10)において、「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要し、就業規則が拘束力を生ずるためには、その内容を、適用を受ける労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。」としています。その他の判決を見ても、就業規則に定めのない事由による懲戒処分は懲戒権の濫用と判断されるものと考えられます。

これは労働者が守るべき事由が示されていないにもかかわらず、いきなり懲戒処分だとされるのは理不尽なケースが起こりうるということから、就業規則に処分の種類とその事由を定めておく必要があるということです。

ただし、古い判決ですが「被申請人会社のような企業に於て、明らかに企業の秩序をみだし、企業目的遂行に害を及ぼす労働者の行為に対しては、使用者はたとえ準拠すべき明示の規範のない場合でも企業にとつて必要やむを得ないときは、その行為に応じて適当な制裁を加え得ることは、企業並に労働契約の本質上当然であるから、被申請人会社は右の固有の懲戒権を根拠として従業員に対し懲戒をなし得るものといわねばならぬ(北辰精密工業事件、東京地判昭和26.7.18)。」という判決もあります。

個人的には、上記判決について本質的に納得できないわけではないのですが、やはり懲戒処分を行う際は就業規則の定めを根拠とすることが原則だと考えます。

開業当初の頃は、「うちの会社に懲戒処分をしなければならないような社員はいない」ということで就業規則に制裁の規定がないというケースもありました。会社は一家、社員は家族、という感覚だったのだろうと思いますが、流石にそういう会社は当時から少なかったです。ただ、今でも懲戒処分の規定については、就業規則のリーガルチェックの際に指摘事項が多い箇所ではあります。トラブルを避けるためにはかなりきちんと整備しておく必要があることは間違いなく、かなり広く適用できる規定ぶりもありますが、やはり今は具体的に服務規律とつながる形で処分の事由を規定しておくことが肝要だと思います。


労働生産性の国際比較

2024-04-29 22:29:35 | 労務管理

顧問先のご担当者からのご依頼で、労働生産性に関する資料を探したところ、2023年12月22日に日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2023」がとても興味深いものでした。その資料によると、2022年の日本の時間当たりの労働生産性は52.3ドル(5,099円/購買力平価(PPP)換算)OECD加盟38ヵ国中30位。日本より後順位はスロバキア、ハンガリー、韓国、ギリシャ、チリ、コスタリカ、メキシコ、コロンビアとなっており、昨年から順位を2つ下げ、データ取得可能な1970年以降最低ということです。主要先進7か国の時間当たりのグラフを見ると2018年を境に移行極端に順位が下がっていることが分かります。※OECDの2022年の円ドル換算レートは1ドル=97.57円・・・もちょっと驚きですが。

さらに1人当たりの労働生産性は85,329ドル(833万円/購買力平価(PPP)換算)、OECD加盟38か国中31位ということで、やはり主要先進7か国で最も低い水準です。日本の製造業の労働生産性は、94,155ドル(1,078円/為替レート換算)。OECD加盟主要34ヵ国中18位で、主要先進7か国で比較するとイタリアより上位につけたため6位となっています。ただこれも驚くことに、2000年にはOECD加盟主要国でトップだったが、2005・2010年に9位、2015年に17位と後退して、以降16~19位で推移しているということなのです。ここの約20年間に国際的に後れを取ってしまったことがよくわかります。

労働生産性がなぜ日本は低いのか、という点についてはネットで検索してみるといくつも分析が上がっていますが、総じて「年間労働時間の長さ」が原因の一つとしてあげられています。ドイツでは、労働者が所定労働時間内で業務を終わらせる文化が根付いているということで、日本の残業は当然という考え方とは全く異なっていることが分かります。日本の場合時間に追われず納得できるところまで仕事に取り組みたいというある意味仕事熱心な国民性があるように思います。しかし、女性も働き夫婦で家庭を支え、またプライベートを大切にするという考え方から行けば、所定労働時間内で仕事を終わらせるという習慣は大切だと感じます。これは今後変わっていく兆しはあると思いますが長年の習慣はかなり強く意識改革をしないと短期間では変わらないかもしれません。

またICT(情報通信技術)が長時間労働解消をはじめとして効率化には当然欠かせないこと、あと65歳以上の就業率が高いことにより短時間労働であるのも要因になっていると考えられるとしている分析もあります。

令和5年労働経済の分析の中で「労働生産性向上の取組み」が取り上げられていますが、1位営業力・販売力の強化、2位業務プロセスの見直しによる効率化、3位働き方改革による労働時間短縮となっています。働き方改革ということで、フレックスやテレワークを導入してある意味形から入ることはもちろん大切なのですが、並行して業務分析をすることで必要のない会議や作業をやめたり統合することや、IT化をすべての作業において推進することなど個々人の細かな業務改革が非常に重要なように感じます。

[参考] 労働生産性の国際比較2023(公益財団法人日本生産性本部)
https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html

連休前半はどのように過ごされたでしょうか。私は応援している相模原ダイナボアーズ(ラグビー)の試合を見に行ったり(特に後半は盛り上がり、1部残留も決めてとても楽しかったです!)、この春引退される顧問先第1号の会社の社長ご夫妻をランチにご招待したり、衣替えのついでに着れなくなった洋服は寄付できることを聴き、またよく購入するメーカーがリサイクルで買い取りをしてくれるとのことなので服の仕分けしたり、読みたい本を3冊読み終えたりとかなり充実した連休前半でした。後半は少しのんびりしたいと思います。よって5月5日(日)のブログはお休みさせて頂きます。


厚生労働省の履歴書モデル

2024-01-21 21:38:21 | 労務管理

令和2年7月に日本規格協会がJIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除したため、厚生労働省で新たな履歴書の様式について検討を行い、新たな様式例(厚生労働省履歴書様式例)を作成し示しています。令和3年4月16日の労働政策審議会の資料には新たな履歴書様式例を作成に至った背景について以下の通りの記載があります。
・ 厚生労働省では、これまで公正な採用選考を確保する観点から、一般財団法人日本規格協会(JIS)が示していたJIS規格の履歴書の様式例の使用を推奨していた。
・令和2年7月に、LGBT当事者を支援する団体から、厚生労働省、日本規格協会等に対して履歴書様式の検討(性別欄の削除等)を求める要請が行われた。
・当該要請を契機に、JIS規格の履歴書の様式例全体が削除された。
・このため、公正な採用選考を進める上で参考となる様式を厚労省において定めることとした。

JIS規格の履歴書と厚労省が作成した履歴書様式例の相違点のポイントは以下の通りです。
1.性別欄を「男・女」の選択ではなく任意記載欄に変更。なお、未記載とすることも可能とする。
2.「配偶者」「扶養家族数」「配偶者の扶養義務」「通勤時間」の各欄を様式内に設けない(各欄を削除する)こととする。

以下のリーフに様式例の作成に至る状況や、変更点、新旧を比較した具体的な記載例も載っています。
https://jsite.mhlw.go.jp/aomori-roudoukyoku/content/contents/R3_jigyonusi_rirekisyo.pdf

 確かに「公正な採用選考の基本」という厚労省のHPには、公正な採用選考を行うためには「公正な採用選考を行うことは、家族や生活環境に関することなどといった、応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しないということです。
 そのため、応募者の適性・能力に関係のない事項について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。」とあります。女性か男性かという点については能力には関係がない事項かもしれませんが、適性には関係がない、また採用をする場合に考慮すべきでないということについては良く考えてみたいと思います。厚生労働省の履歴書様式は、男・女いずれかを選択する方法ではなくて任意記載欄になっており、未記載も可能ということなので、どのように記載するのかということについてがある意味意思表示になるような気がします。

コロナでここ4年間中断していた、事務所の社外研修に横浜に行ってきました。コロナ前は1泊で主に顧問先の博物館や工場見学に行くことが多かったのですが、今回は久しぶりなので日帰りで行ってきました。やはり顧問先のお仕事の一端に触れることは、事務所の方向性を振り返り、またそれぞれが担当している日常的な業務についても新たな気持ちで取り組めるようになるように感じ、中華街でのランチでもみんな楽しそうでしたので、とても実りある1日になったのではないかと感じました。

   


福祉業界の賃上げについて

2023-12-24 23:36:37 | 労務管理

「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況(以下URL)」が11月28日に発表されました。令和5年の春闘は労組側は5%、企業側は3パーセント代と、団体交渉では攻防が繰り広げられたと思います。調査でどのような結果が出たかというと、P5の改定額及び改定率の調査結果一覧を見てみると一番高い鉱業、採石業、砂利採取業の5.2%(前年2.5%)の他、4%台もいくつかあり、3%台が一番多い状況となりました。1人平均賃金の改定額もおおよそ7,000円代から最高は18,000円代と例年の倍近くとなった業種が多いです。

この調査をお見せしながら顧問先の定例会議でご説明するのですが、先日社会福祉法人の人事の責任者の方が業界の厳しい状況をお話しされ、これは何とかしなければいけないのでは、と感じました。上記にあげた改定額及び改定率の調査結果一覧を見ると確かに令和5年には「医療・福祉」以外のすべての産業で賃金がアップしているにもかかわらず、医療・福祉だけ6,403円から3,616円と下がっているのです。なぜそうなるのかということなのですが、コロナウィルス期間中は補助金などが出ており、それを従業員に還元できたのが、その補助がなくなってしまい令和5年は他の産業のように昇給ができなかったということなのです。

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とした非営利法人であり、法律により税制や補助などの優遇措置はあるものの、一般企業のように利益を目的とした事業の展開はできないことになっています。従って利益よりも社会貢献的な活動が重視され、地域に密着して運営されており、地域の福祉ニーズに応えるという役割も担っています。顧問先の社会福祉法人も地域で郊外の立地を生かした素敵なイベントを行っており、地域住民の憩いの場になっていると感じています。

コロナ禍補助が出ており令和4年の昇給額は良かったといっても他の産業に比較して特に良いというわけでもありません。また医療と福祉が同じ産業のカテゴリーにくくられていますが、これは分けて考えてみる方がよさそうです。いずれにしても、社会にとって非常に大事な仕事をしており人手不足では困る福祉関連の産業の昇給額が、他の産業に比べあまりに低いという状況は改善されなければならないと感じました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/23/dl/10.pdf

今日はクリスマスイブということで、街は凄い人出でした。今年は5月にコロナが5類に移行してから徐々に人出が増えてきて、11月あたりからは電車もラッシュがひどく、やはり人は人と接して生きていくことが幸せなのだなと再認識した年でもありました。とにかく今年も健康で色々な仕事を経験できたこと本当に有り難いことと思っております。来年は事務所の組織体制をさらに工夫して、よりアクティブかつ安定的な事務所運営ができるように頑張っていこうと思っています

※来週の日曜日のブログは年末年始のためにお休みさせて頂きます。良いお年をお迎えください。


求められ始めた65歳以上の労働力

2023-12-18 00:32:28 | 労務管理

最近のご相談で、65歳で高年齢雇用確保措置が終わっても引き続き雇いたい場合どうすればよいか、というものが増えてきたように思います。これまで大きな規模の企業については、60歳定年、定年後再雇用ののち65歳で退職のルールをかなり厳格に運用していたと思います。稀に余人に代えがたい人のために65歳の再雇用上限年齢後も個別の契約を結び働いてもらうということはありましたし、警備業などの一定業種においては第二定年を70代の半ばに設定する必要があるということで70代の契約社員も普通に働いているというケースもありました。しかし規模が大きければ大きいほど、後に続く人たちに役職や仕事を引き継いでいく必要があることが大きな要因となり65歳で再雇用がキッパリ終了という状況であったと思います。

しかしこのところそのような企業であっても、今の規程で65歳以上も契約することは可能か、または規定を改定したいというお話がやや増えてきました。これは人手不足が大きな要因なのだと思いますが、もう少し分析してみても良いような気がしています。考えられるのは、人口減少の影響が出るには少し早いような気がするので、人口減少は少し置いておいて、むしろ人手不足については、これまでの産業から新たな産業への業種移動が始まっているのではないかという点です。もう一つは、65歳以上でも全く問題なく元気に働くことができる人の増加でしょうか。さらに、40代半ばから50代半ばまでの就職氷河期で採用を控えたため各社ともその層の社員が少ないという事情がありそれを補う必要があることも影響しているように思います。これらを考えると、みすみす年齢が来たからと言って会社内で培ってきたスキルを失うのは残念という企業側の考えも理解できるような気がします。

 

現状2022年の総務省労働力調査の結果を見ると65歳以上の就業率は、男34.2%、男女計25.2%、女18.3%となっています。ちなみにいわゆる生産年齢人口といわれる15~64歳までは、男84.2%、男女計78.4%、女72.4%となっていますが、60歳から64歳だけを見ても男83.9%、男女計73.0%、女62.7%とほぼ変わらない状況です。この結果からするとやはり65歳以上はまだまだ労働市場から退出している状況であることがわかります。

高年齢雇用継続給付は、令和2年の雇用保険法改正により一定の役割を終えたということで令和7年4月から給付率が各月賃金の15%から10%に引き下げられることになり、その後廃止も含めて検討とされています。確かに定年退職後の賃金も、定年前よりは減るものの、65歳までの雇用確保措置が義務化された時期に比較すると水準もだいぶ上がってきていますし、65歳までは働くことが当たり前の時代になったと思います。今後70歳まで働くことが当たり前の時代になる可能性は高いと思われるので、65歳の再雇用後の働き方をその企業に合わせてどのようにデザインするか、試行段階に入ったと感じます。まだ努力義務ではありますが、高年法の70歳までの就業機会確保措置を上手く取り入れられるよう考えていきたいと思います。

12月は研修の予定が入っておらず、仕事が一段落したこともあり、かなり学生時代や会社に勤務していた時代の友人その他プライベートなお付き合いの友人と会う機会が沢山ありました。友人といってもほぼ先輩が多いのですが、久しぶりに会っても話が尽きず(この年齢になるとほぼ健康の話)、忘れたことを思い出すこともあり楽しい時間です。今年も残りあと2週間となりましたが、仕事、執筆、新たな業務への取組みとプライベートなお付き合いも含めて様々満足感がある1年だったような気がします。


就業前の着替え時間の扱いについて

2023-11-26 21:56:24 | 労務管理

就業前の着替え時間について、最近動向が変化していることを感じます。今年の10月にイケア・ジャパンが制服を着替える時間について1日10分を労働時間に含めることに変更したという報道がありました。この件については多くの弁護士・社労士がブログなどで取り上げているので詳しくはそちらに譲るとして、感想を書いてみたいと思います。

元々制服の着替え時間については、平成12年の最高裁判決である三菱重工長崎造船所事件が考え方の基本になっています。判決では、「実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられ、装着を事業所内の所定の更衣所等において行うものとされていたことについては、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、実作業の終了後も、更衣所等において作業服及び保護具等の脱離等を終えるまでは、いまだ使用者の指揮命令下に置かれているものと評価することができる。」とされました。

これまで研修や顧問先企業より相談があった場合、考え方としては上記判決の作業服、保護具等の装着というと『簡単な着替えではない』と考えて、その場合は労働時間であるが、就業規則で「始業時刻には就業できるよう準備を整えておくこと」という条文により常識的に対応していただければとアドバイスしてきました。

労働時間と判断されるのは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、業務関連性が強くなればなるほど、また、使用者からの強制の度合いが強ければ強いほど、労働時間と評価されるというのが基本的な考え方です。

従って、制服着用が任意である場合や、自宅で制服を着てから出社するなどの場合は労働時間ではないと判断されます。さらに単に上着を制服に着替える程度であれば労働時間とはならないという考え方が通常であったと思います。ただし、就業規則や社内規定などで義務付けている場合には実労働時間として取り扱われる場合が多いとされています。

イケア・ジャパンの場合、シャツ、パンツ、靴を会社指定のものに着替えることとなっていたということで、労働組合「東京管理職ユニオン」に所属して訴えを開始し、さらに「イケア・ジャパン・ユニオン」が東京乖離職ユニオンの支部として結成され、過去分の支払も求めるということです。イケアの場合着替え時間を一律5分として出勤時と終業時合計10分を着替え時間として賃金を支払うこととしたとのことです。今後イケアのように必要な時間を加算していくケースは増えてくるものと思いますし、実際ご相談もあります。要検討事項であることは間違いがないです。

1分単位での労働時間の把握が義務とされているわけですから、数分の時間も塵も積もれば山となるで、曖昧な時間であればカウントすべきなのだろうと思いますが、正直若干せちがらさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

先日、社労士稲門会のラグビー早慶戦の観戦に参加しました。建て替えられた国立競技場に初めて行ったのですが、まだまだとても綺麗で、座席の前のスペースもゆったりとっており(傾斜が急なので前の人が気にならない)とても良い競技場だと思いました。天井部分に覆いがないのは気持ちが良いのですがとてもお天気が良かったので、かなり日焼けしそうな感じがしました。サングラスと日焼け止めは持って行く方が良いようです。座席部分は天井が張り出しているので雨が降っても濡れない(何年か前の早慶戦は秩父宮でずぶ濡れになりましたので)濡れないようにできているのはとても嬉しいです


「ビジネスと人権」労使対話の重要性

2023-11-19 23:55:07 | 労務管理

木曜日夜から岡山に入り「ビジネスと人権」の研修をしていたので、頭がビジネスと人権から離れないので、今日はビジネスと人権の中でも「労使対話の重要性」について書いてみようと思います。ビジネスと人権の中でも労使対話の重要性はかなり大事な部分であり、これは最近の労務管理上のポイントでもあると思います。

最近実務でそれを一番感じたのは「転勤」に対しての考え方の変化で、以前は会社の辞令1本で2週間後には地方に転勤など当たり前だったと思うのですが、最近は労働者の意向を聴くこととしている会社は50%を超えるという結果が労務時報の国内転勤の最新実態という調査でも出ています。転勤だけでなく小さな様々なことからも資本主義の利益至上主義から、働く人の働き甲斐、人間らしい生活に視点が移ったことがわかります。労働者の希望や意向を聴かないで企業運営をすることは、人口減少もあいまって今後本当に難しくなってくるのではないかと考えます。

今回の研修の中である意味感動を覚えるのが、労使の考えていることが表裏一体で重なり合う部分がかなり多いということを学ぶワークです。例えばもっと収入が上がって欲しいという労働者が願うことと、経営層が利益を出そうとすることとは表裏一体といえます。これは現実にはなかなか労使共実感できていないように思います。むしろ労使の関係は、使用者の立場が強く労働者が弱い立場であるため労働基準法第2条でもわざわざ労働条件は労使対等な立場において決定すべきと規定していますし、経営層としては労働者のことを考えているのになぜわかってもらえないのか、と思うことも一度や二度ではないと思います。しかしよくよく考えてみると労使が違う方向を見ているようで実は目指すところはかなり共通しているということをワークの中で実感していくのはなかなか感動的です。もちろん企業経営の中で労働者個々人の希望が通らないことも多くあるかもしれませんが、だからこそ労使対話で双方が理解を深めておくことが重要だということなのだろうと思います。

ビジネスと人権の中で労使対話がなぜ重要とされているのか、勉強してみて私なりに考えるのは、企業運営に潜むリスクが隠されてしまう可能性があるからだと思います。労務監査や労働条件審査を実施した際、労働者からのヒアリングで、思いがけない現実を見ることがありますが、経営者層が気が付いていないという場合もあるわけです。労使対話がきちんとなされていることが企業の価値を高めることに通じると思います。

ビジネスと人権という新しいテーマに取り組むのは楽しいです。理解が進むにつれてますます楽しくなってきました。またこれまで講師として一方通行の講義形式に慣れてきたので、ワークを中心とした研修は戸惑いがちでしたがだいぶ慣れてきました。新しいことに取り組めることで少しずつ新しい知識が増え、できることが増えるのはやはり楽しいですね。


就労証明書の電子化撤回

2023-10-30 01:38:35 | 労務管理

子どもを保育園に預ける必要があると証明する「就労証明書」の提出手続きに関し、デジタル化の取り組みの一部が一転、見送られることになった。政府は2023年秋に導入する予定だったが、デジタル庁が10月までに導入撤回の方針を全自治体に通知した。(日経新聞2023.10.16より)

上記は少し古い記事ですが、この記事が出る前の9月1日付で以下の通達が出ています。通達の内容としては、令和6年4月入所分に係る就労証明書の様式について5月にこども家庭庁成育局保育政策課事務連絡「就労証明書の標準的な様式について(周知)」により、標準的な様式が示されており、これに伴いマイナポータル(ぴったりサービス)では、企業等事業者から直接市区町村に対し就労証明書を提出する方式を検討していたが見送るというものです。

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/3ceda661/20230904_policies_hoiku_30.pdf

確かにこれまでの就労証明書は各市区町村で様式がバラバラで、企業が記入がするのに時間がかかりかなり非効率的であったといえます。また社員が就労証明書を入手し、企業に記入を依頼し、、企業が記入した就労証明書を社員に渡し、社員が市区町村に提出するという手順が多い状況でした。国はデジタル化の一環として様式をそろえた上で電子化をして、企業から自治体にデータを直接送る仕組みを考えていました。実際2022年12月には河野デジタル大臣から発表もありましたが、撤回ということになりました。

なぜ撤回となったかですが、記事では一部企業から実務の手間が増えるといった反対が出たと書かれていますが、これまで保護者である社員が市区町村に提出していたものが、企業が提出に変更になると企業に新たな責任が生じることも問題になったということです。また自治体も企業と保護者それぞれが送ったデータのひも付けの負担が生じるという理由もあったようです。確かに就労証明書は保育所に入れるか否かの大切な書類であり、企業から市区町村へ直接提出であれば、企業の責任は重く、また確かにそこまで保育園への入所という個人的な部分まで企業が負担を負うのは酷というものです。

結局各市区町村で様式は揃え9月15日より利用可能となっており、マイナポータルのぴったりサービスには新様式のダウンロードができるようになっています。書式が揃っただけでもありがたいと先日顧問先の人事労政部の担当者がコメントされていましたが、デジタル化の道遠しと感じてしまいます。

先日「ブラックベリー」の映画を見ました。アイフォンが出る前、携帯電話にキーボードを組み合わせた形で一時期とても人気があった携帯だったと思います、アイフォンが出てきて結局消えていく運命なのですが、その展開を見てとても切ない気持ちになりました。当時かっこいいと思った記憶があり、探してみたところ私も一時期使用しており、まだ機器だけは残っていました。あまり長い期間使わなかったのはなかなかブラックベリーが高価で入手できなかったうえにスマホが出てきたことによるものと思います。とにかく何事もスピードが速い世の中にはブラックベリーのように消えていったものはたくさんあるのだろうと思います。常に先を見据えて手を打たなければと思っています。


特別休暇制度について

2023-06-25 18:48:02 | 労務管理

ボランティア休暇などどの程度の会社が導入しているのかというご質問があり調べてみました。厚生労働省では「特別休暇制度導入事例集」を2023年1月に出しており、病気休職(6割弱)・病気休暇(2割弱)のほか裁判員休暇(4割強)、ボランティア休暇(1割弱)、骨髄ドナー休暇、犯罪被害者等の被害回復のための休暇の導入状況を調査し、事例紹介をしています。これらの導入状況は,カッコ内となっており、思ったよりボランティア休暇は少ない気がします。また「働き方・休み方改善ポータルサイト」では様々な休暇制度の周知リーフレットを出していますので、導入をするときの参考になると思います。

働き方・休み方改善ポータルサイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/

上記の中でも知らなかった休暇制度がありますが、令和3年12月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「令和3年度『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報告書を出しています。その調査によると以下の休暇があるということです。( )は導入割合

裁判員休暇(39.4%)、被害者休暇(0.7%)、ボランティア休暇(6.9%)、ドナー休暇(3.3%)、不妊治療休暇(1.4%)、その他何らかの特別休暇制度を導入しているは88.2%となっており、リフレッシュ休暇、スキルアップ休暇、災害時に利用できる休暇、多目的休暇などがあります。令和4年就労条件総合調査を見るとリフレッシュ休暇は11.8%、教育訓練休暇は4.0%となっています。

ちなみに『仕事と生活の調和』報告書では、失効年休の導入は全体で14.5%、1000人以上では5割強となっており、積立可能日数は全体では20~40日未満が39.5%、40~60日が30.5%と意外に多いように感じます。使用事由については本人の傷病(95.6%)のため以外に看護・介護(58.2%)、育児(34.6%)、ボランティア(17.7%)、自然災害等で被災(16.9%)、不妊治療(14.9%)、研修参加等スキルアップ(11.5%)、裁判員等(11.3%)、骨髄ドナー(10.0%)、犯罪被害回復(8.7%)となっています。

上記を見ると特別に休暇制度を設けなくても失効年休の取得事由に幅を持たせることでもかなりカバーできることがわかります。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「令和3年度『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報告書
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category4/20220328_1.pdf

来週までは各組織の総会が多くあり、今年からはすべて立食が復活しました。かたやコロナ陽性者はかなり増えているようで、参加した立食パーティー後感染したという話を聴いたりします。まあ感染しても2,3日でだいたいは良くなっているようですのでそれほど心配はないようですが早くしっかりとした治療薬が出てくれると良いなあと思います。


5類感染症への移行後のコロナ対応

2023-04-30 20:18:42 | 労務管理

5月8日から新型コロナは、これまでの2類感染症から5類感染症の位置付けに移行することになりました。企業としては連休明けからどのように対応するか気になるところだと思います。

今後どのように変わるのか、NHKのネットの情報(2023年4月27日付)に詳しく記載があります。ポイントだけかいつまむと以下の通りとなるようです。

①検査費用の公費支援は終了し、PCR検査は有料。
②外来の診療費、入院費用等の公費支援は原則終了し、3割等が自己負担。
③外出自粛は、個人の判断による。推奨として発症翌日から5日間は外出を控えること、症状が軽減してから24時間程度外出を控えること。10日間が経過するまではウイルスを排出する可能性があり、マスク着用や高齢者との接触は控えること。  
④濃厚接触者について外出自粛が法律により求められることはない。
⑤ホテル療養などの施設は終了、保健所の健康観察は終了、相談については近くの医療機関を受診するか、都道府県の相談窓口を利用。
⑥発熱外来はなくなるため感染証明書は医療機関の発行する診断書による。
⑦検温やアクリル板については事業者の判断による。
⑧マスクは3月13日より個人の判断となっているが、医療機関や高齢者施設、通勤ラッシュ時など混雑した乗り物に乗車する際の着用を厚生労働省は呼びかけ。
⑨緊急事態制限による行動制限、入院勧告・指示、外出自粛要請はなく、海外からの入国についてもワクチン3回の接種証明は求めず。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/category5/detail/detail_51.html

4月27日付で厚生労働大臣名で発表された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る
新型インフルエンザ等感染症から 5 類感染症への移行について」は以下の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/content/001091810.pdf

5類に移行することになると、会議などはどのようになるのかなと思って調べてみたところ、コロナ禍定着したオンライン会議の変化について帝国データバンクが調査、公表しています。その調査によると、『社内会議』の実施方法について尋ねたところ、「主に対面で実施」と回答した企業は61.8%で最も多く「主にハイブリッド」が26.3%、「主にオンラインで実施」は6.3%。

一方、『社外との会議』については、「主にハイブリッドで実施」が50.2%で最も多くなり、『社内会議』より23.9ポイントも高く、『オンライン会議を積極的に導入』(「主にハイブリッドで実施」「主にオンラインで実施」の合計)の割合は65.0%だそうです。
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20230425.php

だんだん訪問や来所が増えてきたと感じているものの、やはり社外会議はオンラインが主流になりそうです。これは元に戻ることはないような気がします。

本の収納が限界に来ていたので絶対に連休中に整理してブックオフに持って行こうと思っており、昨日決行。今日ブックオフに持って行きました。2700円で買い上げてもらいました。お蔭でかなりすっきりとしたので、これで心置きなくまた本を購入することができそうで嬉しいです。

今度の日曜日は連休中なのでブログはお休みします。季節も良い時期ですし皆さんにとって良い連休となりますように。


コロナ5類移行 会社の対応

2023-03-19 22:50:55 | 労務管理

コロナウイルス感染症が連休明け(5月8日)に現在の感染症法上の位置付け2類から5類へ変更されることになりました。5類に分類される疾患は、インフルエンザ、風しん、麻しんなどがあり、入院の措置や就業制限があった2類のような制限はかからなくなります。5類移行によりどのような変化があるのか、いくつかの新聞に整理されていました。(以下2023.1.27日経新聞参考)

・感染者の待機   原則7日間→なし
・濃厚接触者の待機 原則5日間→なし
・緊急事態宣言   発令可能→発令不可
・医療費      公費負担→公費を段階的に縮小
・診療       発熱外来→一般の医療機関へ段階的に拡大
・マスク      屋内で推奨→原則制限なし

5類になり自宅待機の制限がなくなった場合に会社の対応をどうするかは検討しておく必要があると思います。これまでの2類であれば感染症法による感染者の待機期間が定められていたため、会社が自宅待機を命じたとしても休業手当の支払い義務はありませんでした。しかし5類になり感染者の待機制限がなくなると、会社が自宅待機を命じた場合、原則として休業手当の支払いが必要になります。濃厚接触者についても同様のことが言えます。

ただし、5類になったからといっていきなり感染者の出社を認めるのは会社としても、周りの従業員にとっても不安があるのではないかと思います。医療体制の見直しも徐々に新たな体制に取り組んでいくようです。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sankou_r050310.pdf

会社の対応としてヒントになるのはインフルエンザに罹った際の対応だと思います。就業規則の出社禁止の条文には「伝染性の疾患にかかった場合」という規定がされていることが多く、この規定を根拠にインフルエンザは出社を禁じていると思われます。

インフルエンザの場合、出社禁止については「発症後5日経過+解熱後2日経過まで出勤停止」としているケースが多いのではないかと思いますが、これは学校保健安全法施行規則第19条イを参考にしていると思われます。これまでインフルエンザに罹った際は年休(推奨)で対応することが基本であれば、5類に位置づけられたコロナ感染症も同様の対応を原則とすることになると思います。

ちなみにワクチン接種については、令和5年度も自己負担なしで接種することができるそうです。65歳以上の高齢者や基礎疾患を有する人、医療従事者は春から夏に1回目と秋から冬に2回目の接種が推奨されており、それ以外の人については1回接種のイメージのようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/001068244.pdf

ワクチン接種についてはそもそも強制ではなく任意だったのですが、会社でワクチン休暇制度を設けてきた場合にどのように対応するかも併せて決めておくほうが良いと考えます。インフルエンザの予防接種については休暇制度がないという場合は、ワクチン休暇の廃止も検討することになると思います。

ここのところなかなか体調がすっきりと戻らず、週末のお天気の良い日も自宅で自粛で過ごしています。締め切りが近づいている原稿の執筆を一つ一つ丁寧に取り組めるのは有難いのですが、いつも元気なだけに、健康の大切さを実感しているところです。


最近の弔事の際の会社の対応

2022-12-26 01:57:44 | 労務管理

最近、特にコロナ禍、葬儀は家族・親族のみの小さなお葬式や家族葬が多く、その場合供花辞退のご連絡を頂くことも結構増えてきたと思います。ネットで調べたところによると「供花」は神仏や個人に対してお供えする花のことをいいますが、家族葬ではお香典や弔問と同様に辞退されるケースもあるようです。もし供花を辞退するという場合は送らないことがマナーであり、供花の相場は約12,000円~20,000円程度ということです。

トレンドとして弔電や供花を送ることはどのようになっているのかを知りたかったのですが、ネットで検索した限りではそこまで細かな統計は出ていませんでした。ただ、色々な会社さんの就業規則をいつも見ている感じとしては、社員本人や家族の弔事の際の対応として、弔電や供花まで記載しているものはほとんどなく、慶弔休暇に加えてお香典等慶弔見舞金のことが決められている場合が多いのではないかと思います(そこまで規程には定めていないが実際はお送りしているということもあるかもしれませんが)。

労務行政さんの特別調査(労政時報3937号)を見てみると慶弔休暇は98.4%と高い制度導入率です。日数としては、配偶者、子供、本人の父母は5日(労働日)が最も多く、配偶者は5.7日、本人の父母は5.6日が平均となっています。本人の兄弟姉妹と祖父母については3日が多く、配偶者の父母も本人の父母より2日少ない3日となっているようです。

2017年JILのアンケート調査(シリーズ203号)によると、福利厚生制度の施策がある割合は、慶弔休暇制度が90.7%、慶弔見舞金制度が86.5%と高い数字です。しかし非正規従業員に適用している割合は、慶弔見舞金制度が46.6%、慶弔休暇制度は44.3%と約半分になっています。

今日はクリスマスでしたが、人出は以前ほどではないような気がしました。特に百貨店は以前はクリスマスや年末はごった返していたと思うのですが、店員さんが手持無沙汰な感じがしてしまうくらいで、一般的に購買意欲は戻っていないのかもしれません。

今年もあと残すところあと1週間となりました。人事労務的には育児介護休業法の改正が大きく、春前から秋の終わりまでかなり時間を取られていたと思います。それ以上に社会の変化が大きく、会議や研修はオンライン、働き方の自由度もかなり高まり、事務所では新たなシステムを入れて仕事の効率化を図るといった状況でした。ある意味非常に前に進んだ年といっても良く、少し将来の方向性が見えてきた感じもあります。

いよいよ来年1月のBBクラブはハイブリット開催となり、久しぶりにリアルで受講生OBとお会いできることになっています。どのくらい集まって頂けるか心配だったのですが、現時点ですでにリアルとオンライン半々で合計120名を超える申し込みを頂いており嬉しい限りです。またコロナ禍の間会費を徴収できなかったため寄付をお願いしたところ、沢山の方が寄付をして頂いたので傷んだ財政状況を戻すことができそうです。有難うございました。

1年間ブログを読んでいただいた皆様には本当に感謝します。また来年もよろしくお願いします。来週は元旦のためお休みさせて頂きますので、今年最後のブログとなります。よいお年をお迎えください


来春の賃上げについて

2022-11-27 18:02:53 | 労務管理

来年の春の賃上げ状況については、物価上昇もあり期待されるところだと思います。先日のニュースで連合は来年の春闘で5%程度の賃上げを求める(平成26年以降で最大)としており、経団連も「2023年春季労使交渉では、様々な考慮要素のうち、物価の動向を最も重視して検討すべきである。」という十倉会長の発言があったと伝えています。

それではどの程度の賃上げ率になるかという点については、もちろんまだまだ分からないところではありますが、前出の十倉会長の発言要旨の中では「〔5%程度の賃上げを求める連合の方針案を問われ、〕足もとの物価上昇を見れば驚きはないが、高めのボールではある。各企業において、どの位が適切な賃金引き上げの水準であるか、労使で慎重に検討されるであろう。」とされており、驚きはないがということからするとここ数年の賃上げ率よりは上回ってくるだろうということは当然考えられます。

春闘の賃上げ結果の推移でも平成12年から平成25年までは2%を超えておらず、平成26年以降も2%を若干超える年があった程度(賃金・人的資本に関するデータ集R3.11内閣府新しい資本主義実現本部事務局資料1)となっています。厚生労働省の「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和4年の1人平均賃金の改定額が最も高い建設業が8,101円(2.3%)となっています。バブル期は改定率も6%前後、金額も14,000円超と今からは考えられないような額ですが、バブル崩壊後の平成5年が3.7%(9,711円)、平成11年以降ほとんど1%台(平成29年から令和元年まで2%)で推移しています。2.0%というのはこれまでの推移からみるとここのところの一つの目安になっているように見えます。

東京商工リサーチの調査を読むと、2023年度 「賃上げ実施予定」は81.6% 「5%以上」の引き上げは4.2%にとどまる。ただし「業績見通しアンケート」調査では、2022年度の業績を「減益」「前年度並み」とする企業は63.6%に達した。6割以上の企業が今年度の業績が悪化、もしくは現状維持を見込んでおり、「賃上げは実施するが、賃上げ率は伸び悩む」可能性も出てきた。とあります。

11月18日に発表された第一生命経済研究所の2023年・春闘賃上げ率の見通しでは、「春闘賃上げ率は+2.70%を予想。伸びは高まるもベア+1%には届かず(定昇分1.8%、ベア0.9%)」とされています。連合の5%程度はかなり厳しい数字のように見えます。

・令和4年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12604000/000976440.pdf

・2023 年・春闘賃上げ率の見通し(第一生命経済研究所)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/212312.html

・2023年度「賃上げに関するアンケート」調査(株式会社東京商工リサーチ)
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221021_01.html

相変わらず仕事を沢山頂いて、どのような段取りで取り組むか、手帳とにらめっこが続く中、40年来の心置きなく何でも話せる友人と集まり、半日ひたすらあれこれとお喋りをしました。仕事のことを考えずに過ごす時間はとてもリフレッシュになりました。気分転換は大事ですね。

今日はサッカーワールドカップのコスタリカ戦です。流れと勢いが大事というのはサッカーを見ていると良く分かります。ここで勝てばこれは凄いことですね!


転勤に関する最近の傾向

2022-10-23 21:21:24 | 労務管理

ここのところ転勤に関する顧問先からのご相談がとても多いです。それも内容としては本人が転勤を受け入れないなどの案件ではなく、転勤するにあたって配偶者に対する対応についてのご相談がほとんどです。このブログでも2022年4月4日のブログで「配偶者転勤等同行休職について」として取り上げているのですが、さらにその応用編といったご相談が多いです。例えば、配偶者転勤同行制度を創設したいだけでなく、配偶者の転勤に同行することを認めて配偶者の転勤先でのテレワークを認めたいとか、配偶者の転勤に同行するため退職することにした人を優先的に再雇用する制度を入れたい、などかなり色々なケースが出てきています。また転勤することになった際の配偶者への対応について、過剰ともいえる要望も出てきているように思います。

転勤についての法律の定めは、労働契約法第3条3項の「仕事と生活の調和への配慮」と育児介護休業法第26条の「労働者の配置に関する配慮」が主なものかと考えます。特に指針(平成21年厚労省告示509号)においては、「子の養育又は家族介護の状況把握」と「労働者本人の意向のしんしゃく」、「就業の場所の変更を伴うものとした場合の子の養育又は家族介護の代替手段の有無の確認」を配慮するものとしています。今のところ育児や介護を抱える場合への配慮にとどまっていますが、現実は法律より先に進んでいる感じです。

コロナ感染拡大によりテレワークが当たり前の世の中になったことが「働き方」について大きな影響を及ぼしたことは間違いないと思いますが、いくつかの大きな意識の変化の中で「転勤」に対する捉え方が一つあげられると思います。その意識の変化が企業にも社員にも感じられるところです。

平成29年3月30日に厚生労働省雇用均等・児童家庭局でまとめた「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」では「配置の変更(異動)を通じて、企業内の人材の需給調整や人材育成が行われてきた」とあり、まさにその通りなのですが、配偶者である女性も仕事をしている場合の転勤となるとやはり昔のようにはいかない現実があると感じます。そこで転勤に関する意識が現状どのようなものなのかという点に興味がわきました。検索してみたところ「エン・ジャパン」が行った『エン転職』1万人アンケート(2022年6月)転勤に関する意識調査がヒットしたのですが、内容としてはかなり驚きました。主な内容を取り上げてみると以下の通りです。

・64%が転勤は退職のきっかけになると回答…この数字は正直驚きです。転勤を理由に退職したという数字は今のところ小さいですがエピソードを見ると家族のことで転勤を理由に退職したケースが多いようです。

・コロナ禍で転勤への意識が変化したは2割で、良いと思わなくなったは年代で若干差があり、20代48%、30代60%、40代以上59%となっており、20代が他の年代より否定の割合が小さいのは身軽ということもあるのかと思います。よいと思うようになったというコメントには、コロナでずっとどこにも行けなかった分、転勤で違う地域に行けるのは良い、転勤を機に都会に住みたいと思うようなった又は地元に帰るなどの転勤は良いなど、コロナ禍を経た内容が興味深いです。テレワークの影響も感じます。

・2019年のアンケートにもありますが、転勤についての承諾ポイントは「家賃補助」「昇進・昇給」「転勤期間が決まっている」「単身赴任手当」「やりたい仕事ができる」「転勤先を選択できる」という順であり、これは企業へのアドバイスの際に役立ちそうな情報だと感じます。

転勤に対する社会の対応と働く人の意識の変化や配偶者転勤同行制度についてのテーマは、この先も注目していってアドバイスの引き出しを増やしていきたいと思います。

・『エン転職』1万人アンケート(2022年6月)転勤に関する意識調査
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29780.html

・「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」厚生労働省雇用均等・児童家庭局
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000160191.pdf

父親が銀行員だったので高校2年の最後の転勤まで、引っ越し、転校、転勤が私の人生の大きなイベントでした。確かに転校により受験は不利になるし、修学旅行がいつも転校直後で楽しくなかったり、転校当初よそ者扱いでいじめられたりということもありましたが、今考えると、それらがあっての今の自分だと有難くさえ感じています。15歳で親元を離れて学校の寮に入り自分の考えを持つようになりましたし、父親のことを考えても、地方支店時代は支店の人たちがお正月に家に来られたり、何かと接点も多く、子供の私にとって一番父を身近な存在として感じた時代だったように思います。そういう経験から転勤が一概によくないものとは考えていないというところが本音です。

先月、いつも通っていた「おまかせ亭」が閉店してしまいました。渋谷2丁目に事務所を移した20年前から特にランチでよく通ったお店の突然の閉店にショックでした。ここのところランチに行っても入れなかったりでしばらく行けていなかったのが心残りです。最後にオムライスとデザートのケーキ食べて、フロアのおじさんに挨拶したかったな。

・おまかせ亭入口 ・シェフとフロア3人の人形(お店を作った当時作ったのかな)・藤井さんが転んだ席