OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

ストレスチェックの実施機関等をどう探すか

2015-05-31 22:49:49 | 労働法

ここの所ずっとマイナンバーのことで常に頭がいっぱいだったのですが、やっと金曜日の夜にプロジェクトのメンバー(といってもたったの3人なのですが)に作成したレジュメのたたき台を宅配ピザをかじりながら見てもらい、疑問点等を討論してだいぶ整理できました。何とか週末に手直しをして大分すっきりとした感じになってきました。ここ2カ月ほどの間、気になっていた顧問先企業への説明も顧問先向け研修会を実施することなり少し一安心という感じになってきました。もう一回ひとり外部からプロジェクトに加わってくれる受講生と日程調整をしてさらに仕上げていく予定です。しかし、そうなってくると次の12月からスタートの改正安衛法のストレスチェックが気になってきます。

もともと社労士には良い産業医の先生を紹介して欲しいというご依頼は結構来ます。しかし今回は12月にストレスチェックがスタートすることが決まっており、産業医の役割はこれまでよりずっと大きくなってきますので安易なご紹介はできないと感じています。

また最近労働基準監督署の調査がたて続き、同席して監督官の確認内容を聴いていると長時間労働を中心とした安衛法関係に重点が置かれています。産業医の先生が月1回は訪問してくれているか、健康診断結果をどこまで見てくれているか、衛生委員会への参加ははどの程度なのか、異常の所見のフォローはあるか、時間外労働100時間超の場合の面接指導の申出をするよう社員への働きかけは行っているかなどです。産業医の先生がしっかりとその点を押さえてくれていれば問題ないのですが、なかなかそこまできちんとした契約になっていない場合が多くあります。

それでは産業医の先生やストレスチェックを実施する外部の実施機関をどのように選ぶかというと、先日全国社会保険労務士会連合会の月刊社労士に載っていましたが、なかなか課題は多くあります。もし外部機関に頼むとすると、ストレスチェックを実施する機関としては以下が挙げられています。

①EAP(メンタルヘルスに係る従業員の支援業者等)

②健診機関

③健康保険組合

④病院・診療所等

しかし、この外部機関を選ぶ際は、衛生委員会、過重労働面接やメンタル不調者が発見された場合の対応ができるかどうか、またストレスチェック後にその結果の集計を事業所ごとに行い、内容を監督署に報告する、さらに産業医の先生との連携がきちんと取れるかという点を尋ね確認する必要があるとされています。

また産業医の先生を探そうとすると、地域の医師会や産業医紹介サイト、または本当に個々の伝手をたどってということになります。医師会のWEBサイトは区によっては産業医の資格がきちんと載っているところもありますが、まったくその点は把握しておらずもちろん明記もしていないという区もあります。また産業医の資格があるとしてもどのような基準で探せばよいのか全くもってわからない状態です。会社と近いからだけでは流石に情報不足が否めません。

https://www.tokyo.med.or.jp/counseling/industrial_physician/

ストレスチェックをすることは、職場環境についてまた個々人についてストレスがあるかどうかの気づきを進めるということにおいては良いことだと思います。しかしせめて産業医の先生を充分な情報の元自由に企業の人事担当者が選べるような体制を準備してからにして欲しいと思います。

ここの所事務所の歓迎会や送別会や法人会議の後とOURSスタッフと飲みに行く機会が多くありましたが、なかなか良いものです。事務所にスタッフが来てくれるようになってからずいぶん経ちますが、人数が増えてそれぞれ個性的です。ここのところ色々な場面でOURSの特徴などを考えることが多くありましたが、かなりこだわりが強いメンバーが多く、また社労士としてのそのこだわりがスペシャリストとしては大切なのではないかという気がします。

新たにメンバーに加わるとその点に驚いているようです。やはり優秀で勉強も十分している人事担当者にアドバイスをする以上、ある程度マニアックさが必要なのかなと思うこの頃です。スタッフの成長が楽しみです。


深夜業含む業務の定義について

2015-05-24 22:43:18 | 労務管理

特定業務従事者の健康診断は安衛則第45条に定められており、一定の有害業務(安衛則第13条第1項第2号)に常時従事する労働者について、配置替えの際又は6月以内ごとに1回、事業者は実施を義務付けられています。一定の有害業務の中には「深夜業を含む業務」が定められており、定義は通達で定められています。

「深夜業を含む業務」とは業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う業務をいう。(昭和23.10.1基発1456号)

「深夜業を含む業務」と言えばもう1つ思い出す健康診断があります。安衛法第66条の2に定められた自発的健康診断です。

深夜業に従事する労働者であって、自己の健康に不安を有する者が、自らの判断で受診した健康診断の結果を事業者に提出した場合に、事業者に事後措置等を講ずることを義務付けるものです。
自発的健康診断のことを定めた条文は以下の通りです。

(自発的健康診断の結果の提出)

第六十六条の二   午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。

ここでいう「深夜業の回数その他の事項」の考え方は安衛則に定められています。

(自発的健康診断) 

第五十条の二   法第六十六条の二 の厚生労働省令で定める要件は、常時使用され、同条 の自ら受けた健康診断を受けた日前六月間を平均して一月当たり四回以上同条 の深夜業に従事したこととする。

特定業務従事者の場合は「業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う業務」とされているのに対して、自発的健康診断については「6カ月間を平均して1カ月4回以上深夜業に従事」したこととされ、異なっているわけです。

従って、深夜にかかる残業が6か月平均1カ月4回以上に至った場合には自発的健康診断を受診することができますが、特定業務従事者の深夜業を含む業務はあくまで「常態として深夜業を行うこと」とされているのと「平均」の考え方がありませんから、臨時的である残業が深夜にかかって1カ月平均4回以上になった場合であっても特定業務従事者の健康診断を受診させる義務は事業者にはないということになります。

なお、自発的健康診断を受診した場合は、特定業務従事者の健康診断(年2回)の1回分を受けたものとみなされます。

今週末は前から自分の中で懸案事項になっていた「事務所内でみんなが作ったマニュアルの検索できるツール作り」が終わりました。いつも何かあるときはマニュアルを作ってねと言っているのでみんな折々色々なツールを作ってくれるのですが、長年にわたり整理していなかったのでそれがどこにあるのかなかなか探し出せないという悲しい状況になっていました。

ここにきて事務所に新人が2人入ってきたので、折角なのでそれらを使って業務ができるようにさせてあげたいと思い、一覧を作りひとつひとつリンクを貼りすぐに検索できるようにしました。約80のクライアントとのやり取りに使う連絡票や作業フロー、ちょっとしたマニュアル、書き方見本、相談業務のときに使う図表、契約書や規程のモデル、チェックリストなどがどこにあるかワンクリックで飛ぶようになりました。

永年の間整理していなかったので重複やちょっと古いかもというものもありましたが力尽き、あとはみんなで業務をしながら更新してもらうことにして、それでも整理好きの私としては気分爽快になりました。


講師として人前に立つということ

2015-05-17 23:15:35 | 雑感

今週末は、マイナンバーの顧問先提案資料を作成していたので頭がいっぱいいっぱいのためブログは雑感にさせて頂きます。


マイナンバー情報は、企業の担当者も社労士もある程度研修を受けているケースが多く、概要はだいぶわかってきたという状態ではないでしょうか?私も2月頃からかなり気になりセミナーを受講したりして何となくは分かってきたという感じは持ったのですが、頭の中で人に説明できるほどすっきりと整理された感じではありませんでした。


1つは厚生労働省の告示等詳細が出ておらず、今考える資料となるのが「ガイドライン」とその「Q&A」及び「国税庁の告示」であり、社労士業務に直結していないということがあるかと思います。


しかしそれはある意味言い訳で、やはり自分の頭で考え自分で手を動かして細部を納得できなければスッキリとしてこないであろうと最近感じていたので、いよいよ自分で顧問先提案資料を作成してみることにしました。今回は、OURSでプロジェクトチームを作り、スタッフと分担したので5月末を目途にかなり厚みを持った内容で「マイナンバーに対して企業がすべきこと」をご提案できると思います。私自身も週末だいぶ時間をかけたので何とかなりそうだという実感は持てました。さらに今週実務で何をすべきかを具体的に考えていく予定です。顧問先企業からの講師依頼も先延ばししている状態でしたので、ここは頑張るしかありません。


講師として人前に立って話をさせて頂くということは、私にとっては非常に重い責任を何時もながら感じることです。これはTACの講師時代から全く変わっていません。なんといっても受講者の方の大事な時間を頂くわけですから、聞いてよかったと思う部分ができるだけたくさんなければいけないと思うわけです。


企業を訪問等してお話することも同じなのですが双方向の場合は相手の理解の度合いや質問のポイントを見極めながら話をできるので、そこを間違わないように気をつけて話ができる分負担感は少ないです。講義となるとそれはできませんから事前の準備が非常に大事になってきます。


TACの講師時代は板書と言って黒板にチョークで説明の図を書きながら話すというスタイルでしたが、講師を卒業して一般のセミナーを行うようになった頃からちょうどパワーポイントやプロジェクターが当たり前になってきました。講師時代は授業の前日にひたすらテキストに話をする部分をマーカーしメモをながら説明の内容を考え頭に入れ、板書内容を板書ノートに作るという予習でした。今はパワーポイントを作成する段階で、自分の頭も整理して内容もほとんどその時点で考えてしまいます。従ってパワーポイントの資料を作る段階が一番大変で、研修前日のさっと予習と当日は板書がない分以前より楽になりました。それに慣れてしまったので板書をしながら話をする体力が今の自分にあるかどうかはちょっとわからない感じがします。


パワーポイントの資料を作る段階は何日間か話す内容の大枠と項目などをイメージしておき、いざPCに向かったら項目建てをしてそれに色々な資料を見ながら細部の話の内容を作っていくという手順になります。大げさかもしれませんが、身を削るような感じがすることもあります。しかしパワーポイントの資料を作りながら自分の知識が確実に頭に入っていくことも感じますので、この作業は人に任せることがどうしてもできません。


色々な仕事を自分で抱え込むのではなくそれぞれスタッフの得意分野を考えながら振ってしまうのは得意なのですが、どうしても講義資料を作ることは自分で行わないと講義内容が薄くなってしまうように思うので人に振ることはできません。やはり準備をしながらパワーポイントに記載する内容だけでなく様々な関係資料や本を見ているのでそのある意味余分な部分に目を通すことが大事なのではないかという気がします。その余分なものを持っていることで、講師として人前でお話ししても良いのかなという気がします。


グループ討議を間に入れたり、手を動かしてもらったりの研修は私は基本的にはできません。最近はそういうものを織り込んだ研修をご要望頂くこともありますができれば講義形式でやらせて頂けるようお願いしています。確かにそれを入れることにより受講者に参加した感を持ってもらうこともできますし、自分で受けても楽しく印象に残ることもあります。しかし長年講義形式で行ってきた私は自分のスタイルを無理に変えてしまうと講義自体のテンポがおかしくなりそうな気がします。また内容もやはり講義スタイルの方がどうしても充実しているものになるような気がします。


ともあれ今は「マイナンバーの企業実務のご提案」が5月の末あたりに完成して各顧問先企業を皮切りに講義形式でご提案できることを目指して頑張ります。


みなし労働時間の設定について

2015-05-10 23:30:38 | 労働時間

労働時間の算定が困難な事業場外労働や労働者の裁量による労働(裁量労働)については、実際の労働時間にかかわらず、定められた一定の労働時間労働したものとみなして算定する「みなし労働時間制」が認められています。

みなし労働時間制には以下の3つの種類があります。

①事業場外労働のみなし労働時間制 ②専門業務型裁量労働制 ③企画業務型裁量労働制

それぞれ採用するには条件がありますが、いずれにしても労働時間の算定が困難であるため、そのくらいの労働時間であろう時間を「みなし労働時間」として決めることになります。

これまで色々な企業の「みなし労働時間」を見てきましたが、おおむね所定労働時間と同じ7時間や8時間という場合が多かったのではないかと思います。時折「9時間」と定めている場合もあり、その場合は法定労働時間の8時間を1時間超えるため、必ず毎日1時間の時間外労働が発生することになり、月単位で行けば労働日が22日の場合22時間の時間外労働が発生し、その時間数の割増賃金を支払う必要があります。

この「みなし労働時間」は当然実態に合わせて決める必要があり、実態とかい離がある場合は労働基準監督署の調査で指摘されることになります。

しかし考えてみれば、36協定の時間外労働の限度は45時間と定められているわけですから、みなし労働時間数は法定労働時間を超える2時間までの10時間が限界ということになります。要するに毎日2時間時間外労働が発生すると2時間×22日=44時間ということで何とか限度時間の45時間内に収まることができるということになります。

例えば実態に合わせて11時間とすると3時間×22日=66時間ということになってしまいます。36協定の特別条項で70時間と定めておけば収まることは収まるのですが、特別条項は臨時の場合に限るとされており、その臨時の場合の考え方は年の半分までとされています。従ってみなし労働時間を11時間と定めることは年間を通じて特別条項を使うということになってしまうため認められないということになります。

「みなし労働時間制」を採用することにより事実上特別条項が使えないということは、通常では認められている業務が繁忙な時期の時間外労働も45時間以内に収めなければならないことになるのは、かえってみなし労働時間と実際の労働時間のかい離を招くことになると考えられます。要するに10時間のみなし労働時間を定めておいて実際はそれを超える時間外労働が年間を通じて行われることになると思われるのです。

労働基準監督署でもこの件については課題だととらえているということです。今回の労働基準法改正に裁量労働の改正も含まれていますので、何とか良い方法を検討してもらいたいものだと思います。

連休は今年はかなりゆっくり過ごすことができて充電できました。連休中はとても気持ちが良い日が続いて気分が明るくなりました。また明日からがんばれそうな気がします。

最近花が以前より好きになりました。前はすぐに枯らしてしまったりしていたのですが、手をかけている分自宅のベランダの花も最近元気です。小さな花を摘んできてちょこっと飾るのも楽しいです。以前受講生OBから頂いたシクラメンも3度目の花を見事に咲かせてくれました。また昨年8月の事務所移転のときに頂いた蘭の花も自宅に持ち帰って地道に水やりをしていたところ、ここにきてたくさんの花をつけてくれて感激しています。

              


監督署調査 衛生委員会調査審議事項

2015-05-03 23:59:59 | 労務管理

労働基準監督署の調査に立ち合うことがありますが、労働基準監督官の確認ポイントを1つも洩らすまいと何時もメモを取りながら聞いています。近年、長時間労働が原因になってメンタル不全等を発症するケースが多くあるためか、監督署の調査は安全衛生に重点を置いていると感じます。

今回衛生委員会管理規程は定めていたのにもかかわらず、その調査審議事項までチェックが入りました。平成18年の改正で調査審議事項が追加になりましたがその部分が改定されていないという指摘でした。規程があるのみならず、調査審議事項までとは厳しいと思いました。やはり法改正には注意が必要です。その時点で、改定をしておかないと気が付きにくい部分だと思います。

事業者は常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるため、衛生委員会を設置することを義務付けられています。衛生委員会の調査審議事項は、以下の通りです。人事担当者は、きちんと法改正が反映されているかどうかこれを機会に確認されておくとよいと思います。

①労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること

②労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること

③労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること

 前①~③に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項として

④衛生に関する規定の作成に関すること

⑤厚生労働大臣が公表する技術上の指針(安衛法第28条第1項)の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に関すること

⑥安全衛生に関する計画(衛生)の作成、実施、評価及び改善に関すること

⑦衛生教育の実施計画の作成に関すること

⑧法定の化学物質の有害性調査(安衛法第57条の3第1項、第57条の4第1項)並びにその結果に対する対策の樹立に関すること

⑨法定の作業環境測定(安衛法第65条第1項、第5項)の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること

⑩定期的に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断および法に基づく他の省令に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること

⑪労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること

⑫長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること

⑬労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること

⑭厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること

なお、衛生委員会のメンバーは事業者が指名することになりますが、産業医が1名以上そのメンバーであることを要します。その産業医が月1回開催される衛生委員会に出席しているかどうかのチェックも入りましたので注意が必要です。

いよいよ連休も中盤に入りました。お天気も良くこの2日は気持ちの良い日でした。受験生は横断セミナーなどを受けてギアを一段上げる時期です。講師時代はいつも横断セミナーが連休中にあり、なんとなく気が休まらない状況だったのを思い出します。この連休をどのように過ごすかがこれからの勉強を左右すると言ってもよい大事な時間ですね。

WOWOWで黒木瞳さんが主役の「スケープゴート」の最終回が今晩でした。幸田真音さんの書かれた本のドラマ化だったのですが、面白かったです。大学教授から初の女性総理誕生までという全4回の短いドラマなのですが、官房長官の場面でも、総理大臣として赤じゅうたんの階段を下りてくる場面でも、「サマ」になっていました。こういうドラマが出てくれば、実際女性総理も違和感がなくなりそうな気がしてきました。