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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

子ども・子育て支援金制度の費用負担について

2024-04-22 00:02:15 | 社会保障

今話題になっている子ども政策についての財源を医療保険料に上乗せすることについて、法律等はどのようになっているのかが気になって調べてみました。そもそもこの財源を必要とする政策は、こども未来戦略の「加速化プラン~今後3年間の集中的な取組~」に盛り込まれた施策であり、これを着実に実行するための財源をどうするかというためにできたのが「子ども・子育て支援金制度の創設」ということになります。

令和5年12月22日に発表された「こども未来戦略」を見てみると、「加速化プラン」の予算規模は全体として3.6兆円程度としており、財源については国民的な理解が重要であり、徹底した歳出改革等と賃上げによって実質的な社会保険負担を軽減し、その効果の範囲内で支援金制度を構築し、実質的な負担が生じないこととする。また、消費税などこども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わない、と記載されています。確かに岸田首相の答弁も同様であり、国民一人あたりの月平均の負担額は450円(所得水準によっては1000円超え)などとも言われているので、賃上げについて大きな影響はないと思いますが、昨年経団連の会長が賃上げ分の実感が得られないことを懸念し、幅広い層に負担を求める消費税を財源とする議論が必要との見解を示しています。

元々こども未来戦略会議の元となった令和4年7月の「内閣府子ども・子育て本部」が発表した「子ども・子育て支援新制度について」を見ると、財源については「⑤ 社会全体による費用負担・ 消費税率の引き上げによる、国及び地方の恒久財源の確保を前提」とされており、それが筋だろうとは思います。消費税増税の目的を明確にして、国民全体に負担してもらうということが、少子化対策の財源としては適切であり、医療保険という社会保険の仕組みの中で決まる医療保険料に上乗せして徴収するのは筋違いと考えます。しかも法案概要では被保険者から徴収する保険料に「含める」となっており、改正条文では「一般保険料『等』額」として乗じる率は「基本保険料率と特定保険料率とを合算した率と『子ども・子育て支援率とを合算した率』」となっており一般保険料に混ぜ込んだ形については、非常に違和感があります。

以下は、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要です。

①国は、以下※1~3の必要な費用に充てるため、医療保険者から子ども・子育て支援納付金を徴収することとし、額の算定方法、徴収の方法、社会保険診療報酬支払基金による徴収事務等を定める。

※1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化(児童手当の拡充、妊婦のための支援給付)、2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充(こども誰でも通園制度)、3.共働き共育ての推進(育児時短就業給付、国民年金第1号被保険者の育児期間保険料免除)

②医療保険者が被保険者等から徴収する保険料に納付金の納付に要する費用(子ども・子育て支援金)を含めることとし、医療保険制度の取扱いを踏まえた被保険者等への賦課・徴収の方法、国民健康保険等における低所得者軽減措置等を定める。

③歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に導入し、各年度の納付金総額を定める。

●子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e81845c0-3359-433b-b848-edcd539066f5/cbc95edd/20240216_laws_houan_e81845c0_01_01.pdf

そろそろ連休中の過ごし方も気になってきますね。ここのところ毎年事務所メンバーの全員と面接しているのですが昨年から5月の連休中を中心に行っています。連休中は顧問先もお休みしているところが多いせいか比較的予定も入りにくくまとまった時間が取れるという理由からです。

連休前半は事務所がGREENPARTNERSとなっている相模原ダイナボアーズの最終戦に総勢20名で応援に行き、後半は衣替えや色々な整理と旅行に行く予定にしており、なかなか盛沢山の予定を立てています。

https://www.mhi.com/jp/company/sports/dynaboars/