OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

改正育児介護休業法等の書籍完成

2016-07-25 02:25:54 | 雑感

週末は妹と母を連れて夏休みの旅行に行ってきますのでブログも夏休みとさせて頂きます。

ところで改正早わかりシリーズ 「育児介護休業法・均等法・雇用保険法」がやっと完成しました。

労務行政さんのサイトで受付を開始しました。
http://www.rosei.jp/products/detail.php?item_no=5900

(Amazonもページが開設されています)
店頭に並ぶのはそろそろだと思います。手に取っていただければ有り難いです。

※OURSセミナーご参加の場合、ご紹介割引のリーフレットをお渡しできますのでその後ご購入頂ければと思います。


無期転換の際知っておきたい助成金(キャリアアップ助成金)

2016-07-24 22:09:29 | 労務管理

昨日は私の講師時代の合格者の集まりであるBBクラブの年に2回の勉強会でした。法改正講義と、テーマ別の講義及び開業体験談が10時から17時まで行われるのですが、昨日の内容はそれぞれとても講師の個性が出ておりまた非常にそれぞれ深い内容だったと思います。

テーマ別の講義は今回は「思い出そうシリーズ」と銘打ち「あれからどう変わった?老齢年金」。特に時系列に繰り下げができたりできなかったりと複雑に変化していったという説明は、そういえばその説明でずいぶん苦労したもんだったなあと懐かしく思い出しました(まさに思い出そうシリーズ)。講師の個性とマニアックさが上手くコラボして聞いていて楽しかったです。きれいに作られてあったパワーポイントより講師が使い慣れたホワイトボードの説明の方が抜群に分かりやすかったことも面白いなあと思いました。

また合格者OBの「成年後見人について」のお話は、実際に成年後見人として経験した事例を詳しく聞くことができて、あとで二次会で皆が言っていたのは話を聞きながら映像が目に浮かぶようであったと。成年後見人制度は、東京会の社会貢献委員会などでも話を聞くことがこれまでもあったのですが今回の講義を聞いてかなりイメージができました。非常にたいへんな仕事ではあると思いますが、今後はますます必要とされる仕事でもあるのだろうと思いました。みんなの中に強い印象が残ったと思います。

いずれにしても二次会ではいつも通り今日の勉強会の講義内容の中で学んだことや、印象、関連した自分の仕事についての話などで盛り上がりました。

私が担当した法改正講義の内容の中では一番インパクトが強かったのは、「キャリアアップ助成金」とのこと。昨今の労働環境の内容や、来年1月の育児介護休業法の改正内容などをポイントと考えて講義を組み立てていたので若干予想と異なりました。

計画を作り提出し、就業規則に契約社員から正社員転換や無期転換できる制度を規定した上で実際に転換した場合に支給される助成金なのですが、東京都からの上乗せもあるため、中小企業であれば60万円と50万円で一人計110万円支給されます。また助成金の対象にはならないことが多い大企業であっても国から45万円と都から40万円と一人85万円が支給されるのです。15人まで対象とすることができるため、一挙に正社員化や無期転換かを図る場合の受給額はかなりの額になります。特に労働契約法の無期転換の申込権が発生する前に無期転換等の仕組みを導入する企業は今のうちにこの助成金を念頭に置いて制度設計していく必要があります。

以下詳しいパンフレットになります。

●厚生労働省「キャリアアップ助成金」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000129424.pdf


●東京都正規雇用転換促進助成金
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/04/DATA/20p4e100.pdf

年に2回のBBクラブの勉強会は、一番長い付き合いである会員とは20年以上のお付き合いになりました。参加してくれる会員はだいたい同じ顔触れですので、毎年会っているためか20年たってもあまり変わっていないように思います。でもそれぞれ会社での地位が高くなったり、合格後子供が生まれ下の子が小学校に入って少しゆとりができたりと取り巻く環境はそれぞれ変わってきました。また合格できるかなあと心配だった受講生が合格し、社労士の資格を携え就職してちゃんと仕事を続けているということを聞けばホッとうれしく思ったりします。

15年の講師生活でしたが、これほど大きな財産を得ることができたことは本当に感謝です。今回も勉強会の前に連合会の委員会でインドネシア社会保障関係行政の方を迎えたり、事務所関係でもあれこれ忙しかったことがありヘトヘトな中で迎えた勉強会だったので、無事みんなが講義の中でそれぞれに気づきを得たという感想を聞けてホッとしました。昨日はぐっすり寝て今日はすっきりしていました。


36協定特別条項を適用する場合の手続きについて

2016-07-18 23:28:17 | 労働時間

最近の労働基準監督署の調査は以前より厳しくなったと感じています。2015年4月に、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設され、過重労働対策に力を入れているあらわれだと思います。

長時間労働の抑制に最も重要な役割を果たすのが36協定であり、届出は時間外・休日労働を行う会社であれば当然のことなのですが、協定の内容も適正に締結されているかどうか注意が必要です。今年2月に行った渋谷労働基準協会主催の「36協定集中講座」は約120名のご参加があり、講義終了後のご質問も20人くらいの方が並ぶなど会社もかなり真剣に対応を考えていると感じました。この講座では36協定だけをテーマに3時間お話ししたのですが、今年に入って監督署の調査に立ち会うとさらにいろいろなことをお話ししておく必要があることを実感して、来年はさらにお話しするポイントが増えそうです。

時間外労働については1箇月45時間等の限度時間が定められており、この限度時間を超える場合は特別条項を締結しておく必要があります。特別条項についての上限時間の制限はないのですが、通常は1箇月80時間程度の時間外労働を定めている場合が多いかと思います。ちなみに特別条項が80時間を超えて定められている場合は監督署の調査の対象になることが多いようです。

この特別条項は臨時的に適用することができ、その適用は年半分までと定められています。また適用する場合については手続きが必要ですが、「労使の協議を経て」と定めている場合なかなか実行できないケースが多いため「労働者の過半数代表者に通知をすることにより」ということで「通知書」を作成して通知することをお勧めしてきました。

しかし今年になって「通知書」が存在した場合でも、特別条項の適用の後に通知されたものでは認められず、事前通知をすることと是正勧告されるようになりました。確かに通達では「労使当事者間において定める手続きを経て」となっていますから、事前通知をしてから特別条項を適用する必要があるということになるのですが、社員一人ひとりが45時間などの限度時間を超え特別条項が適用される際に通知等の手続きをとるのは人事担当者としては非常に大変なことです。

とにかく一人分の担当の仕事を減らす、人数を増やしてシフトを分割するなど工夫をして、時間外労働は45時間以内に収めるのが一番だと最近つくづく感じております。

特別条項付き協定を結ぶ場合の要件は以下のリーフレットに記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf#search='36%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%80%81%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%9D%A1%E9%A0%85%E3%80%81%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%80%81%E9%80%9A%E9%81%94'

いよいよ夏休みが始まりますね。受験生はここが勝負どころということになると思います。来年から夏休みを思いきり楽しむためにもとにかく今年力を出し切り頑張ってもらいたいと思います。

私は今年の夏は、以前から登ってみたかった北横岳に挑戦してみようと思っています。


第3号被保険者の行方

2016-07-11 00:14:21 | 労働法

第3号被保険者についての意見は本当に様々あり、社労士の間で話をする場合もそれぞれの主張があるわけですが、パートで働く友人からの真剣な質問もこれまで多くあり、今後の行方も考えていかなければならないところだと思います。昭和61年に第3号被保険者制度ができたときの雇用環境、女性の社会進出等を考えると見直しは必須だと考えますが、今のところその予定は聞きません。

それまで第3号被保険者だったところが、社労士を開業して第3号被保険者のままでいるのは恥ずかしいなと思い、開業2年後だったか第1号被保険者になれたときはちょっと誇らしい気がしたものでした。従って友人のパートの収入が130万円を超えそうだという質問に対しては「130万円の壁など気にせず思い切り働いた方が良いのでは」といつもアドバイスしたものです。※130万円の壁とは収入130万円を境に被扶養から外れ、国民年金第1号被保険者と国民健康保険の保険料負担が生じ可処分所得が減少する事象により収入を130万円以内に調整するというという壁のことです。

先日年金のシンポジウムで厚生労働省の行った「パートタイム労働者総合実態調査(平成23年)」を特別集計して作成した結果を聞いたのですが、「短時間労働者(週20~30時間)の収入分布をみると、第3号被保険者だけでなく、第1号被保険者においても100万円前後に山が存在する」ということです。第1号被保険者の収入80万~90万円8.9%、90万~100万円19.9%、100~110万円17.3%、110~120万円5.2%、120~130万円7.9%、130万円以上20.3%。第3号被保険者の収入80万~90万円15.0%、90万~100万円30.4%、110~120万円6.0%、120~130万円7.1%、100~110万円24.3%、130万円以上1.4%)。

結果としては「自ら国民年金保険料を支払う第1号被保険者においても保険料負担のない第3号被保険者と同様に100万円前後に山がみられるということは、いわゆる130万円の壁とは別の要因が作用していることがうかがわれる」としています。また、決して第3号被保険者の収入も130万円ぎりぎりというわけではないことが分かります。短時間で働く場合は、年収調整をするしないにかかわらず年収が100万円前後に分布する傾向があるということになるのかと思うのですが、そうだとすると今年10月の501人以上の企業における短時間労働者についての被保険者適用拡大についての拡大範囲が第3号被保険者に及ぼす影響は比較的小さく、むしろ第1号被保険者として週20~30時間以内で働く年収が比較的高い人たちが第2号被保険者の適用拡大対象になる部分が大きいということになるというわけです。

特に第3号被保険者の是非を検討する予定はないようでしたが、今後500人以下の企業等にも適用拡大されることで第3号被保険者の範囲が縮小されることを予想しているようです。考え方としては、働いて収入があるのであれば保険料を納めその分について年金をもらうというのが理想的な姿ということで、確かにその通りと思いました。

昨日はセミナーレジュメを作っていたのですが何とかめどがついたので今日はいつも行くお店がセールをしているので久しぶりに行ってみました。先日支部の後輩に「先生、いつもブルーとかが多くて地味ですね」と言われたのが頭をよぎり、少し華やかなものを購入してみました。最近出ていく場が比較的公式な場面が多くここ1年は特に地味にオーソドックスになりすぎていたかと反省しましたが、さて抵抗なく着れるかどうか、ブルー系が落ち着くのですけれど。


無期転換ルールに見る時代の変化

2016-07-03 23:15:14 | 法改正

今週火曜日のセミナー「無期転換と限定正社員」のテーマで1週間準備をしていましたが、実はこのテーマは平成25年の労働契約法の改正で無期転換ルールが施行されてから何度か取り上げたテーマです。レジュメも都度メンテナンスしてきており、厚生労働省もモデル就業規則や事例をhpにアップしてくれたので、さらに今回は資料にそれらを加えて当初のレジュメよりは大分充実したものになってきた感じがします。

しかしこのレジュメのメンテナンスをする中で、平成25年の改正労働契約法の施行時点と平成28年の今ではずいぶんと状況が変わってきたと感じます。この取り巻く状況の変化により、企業のニーズもだいぶ異なっている可能性があり、その点をしっかりとらえて話を進める必要があると思いました。

とにかく労契法改正準備をしていた平成24年の秋時点から平成28年の現時点までの4年弱の間変化したのは有効求人倍率に見て取れる有効求人倍率の改善=人手不足の深刻化です。調べてみたのですが推移としては以下の通りでした。

厚生労働省が(平成28年)発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント上昇の1.34倍だった。上昇は2カ月連続。1991年11月(1.34倍)以来、24年5カ月ぶりの高水準となった。企業の求人数が増える一方、求職者数が減ったことが求人倍率の上昇につながった。…今どこの企業も頭を抱えている人手不足がくっきり数字に表れています。

それではこれまでの推移はどうであったか遡ってみると以下の通りの発表となっています。
平成25年度平均の有効求人倍率は0.97倍となり、前年度の0.82倍を0.15ポイント上回りました。 
平成24年平均の有効求人倍率は0.80倍となり、前年の0.65倍を0.15ポイント上回りました。

一番底を打った平成21年は驚くほどの数字です。ちなみにリーマンショックが平成20年の秋におこっています。
平成21年平均の有効求人倍率は0.47倍となり、前年の0.88倍を0.41ポイント下回った。平成21年平均の有効求人は前年に比べ28.5%減となり、有効求職者は32.1%増となった。

平成25年はちょうど上向きに推移している途中というところであり、その後も堅調に有効求人倍率は伸びてきたということで人手不足はここ2年半くらいからかなり厳しい状況になりました。

上記の状況から平成25年改正準備段階の平成24年の時は、「無期転換ルール」への対応は「無期転換はある程度選抜した中で行う」というところに企業の考えがあったと思うのですが、現在は、「何らかの形で無期契約にして いくと回答した企業を対象に、有期契約労働者を無期契約に転換す るメリットをどう考えるか尋ねると(複数回答)、もっとも多かったのは「長期勤続・定着 が期待できる」(72.0%)で、これに「有期契約労働者の雇用に対する不安感を払拭し、 働く意欲を増大できる」(57.8%)、「要員を安定的に確保できるようになる」(48. 1%)などが続いた。前回調査と比較すると、「長期勤続・定着が期待できる」 や「要員を安定的に確保できるようになる」が10㌽以上、上昇している(H27.12.18jil「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」結果より)。」ということなのです。

前回調査と比較すると、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」企業も半減。その分、何らかの形で無期契約にしていく企業が、フルタイム契約労働者で23.9㌽増の計66. 1%、パートタイム契約労働者では27.6㌽増の計63.1%と大幅に増大している。」ということでセミナーの内容も無期転換社員の処遇を中心に組み立てる必要があると感じました。

しかしここまで数年のうちに状況が変化していくのを目の当たりにすると、とりあえず平成30年の無期転換の申込権が発生する時点では、無期転換後の労働条件の変更は慎重にしていく方が良いように感じます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(jil)調査結果

http://www.jil.go.jp/press/documents/20151218.pdf#search='JIL%E5%8A%B4%E5%A5%91%E6%B3%95%E5%AF%BE%E5%BF%9C'

先週末のダウンから復活してきました。今週末は7月23日のBBクラブのレジュメ作りに着手できました。これが終われば夏に突入ということで頑張ります。BBクラブの勉強会の参加者がいつもより少ない100人を少し超えたくらいのようなので少し気がかりですがテーマによるのでしょうか。合格者OBの顔を年2回見ることができるのは楽しみであり、合格して15年ほどたっても100人を超えて集まってもらえるのは本当に有り難いことと心から思っております。法改正だけではなく今の労働環境や社労士制度を取り巻く状況も併せてお話しできるように準備していきます。

 2年前の事務所移転時に頂いた蘭の花が無事きれいに咲いてくれました。