OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

2011年この1年

2011-12-25 21:20:44 | 雑感

2011年のブログは今日が最後です。毎週原則日曜日に夏休みの1回を除き頑張って書き続けました。

最近よく「ブログ読んでいます」という励ましのお言葉をいただくこともあり、毎週書いていくことについての力になりました。ご愛読ありがとうございました。「継続は力なり」ということで来年も頑張っていこうと思います。

2011年の1年間はひとことで言えば「悩み多き節目の年」という感じでしょうか。「おや?珍しく弱気な言葉?」と思われるかもしれませんが、今年はやはり本当に悩みに悩んだというのが正直な感想です。悩んだときはどうするか、この歳になればそれなりに対処方法も持っているつもりなのですが、正直なかなかスッキリとはいかなかったです。東日本大震災の影響もあるかもしれませんね。ご依頼いただく仕事が大きくなったこと、事務所の規模が大きくなったこと、また講師兼業から完全に事務所の代表としての立場の変化があったことなど表面上のことではなく、むしろあまり目に見えないことに節目を感じました。しかし実りがなかったわけではなく、むしろ悩んだ分だけ実りも多かったような気もします。

スッキリという感じではなかったですが浅田真央ちゃんも今日優勝したことですし、実りが多かったことで「了」として(この頃政治家はこの「了」という言葉をよく使いますね。)来年のための1年としたいと思います。

今年は5月に渋谷支部の支部長のお役目を頂き、色々と考えていたことを実行に移すことができました。最後に来て私はかなりバテていました(ちょっと頑張りすぎましたかね)が、副支部長・役員・お手伝いいただいた会員の方の活躍により非常に良い事業や種まきができたものです。これからも活気ある、先進的でかつ効率的でありながら和気あいあいとした支部を作れるような工夫をして行こうと思っています。

また6月には、OB会であるBBクラブの10周年記念事業がありました。最初20人弱で始めた勉強会が今や300人の登録、出席者150人の勉強会となり10年続いたということは本当に素晴らしいことだと思います。次は20年に向けて佐々先生に頂いたベスト&ブライテストを大切に、頑張って良い勉強会を幹事さんを中心とした会員全員で続けていきたいです。これからはこの10年ほど人数が増えていくことはないと思いますが、ここまでつながってきたことを大事にして、何かあった時は戻れるところになっていけば良いなと思っています。

7月には小淵沢の小さな家を手に入れました。どれくらい行けるかしらと危惧していましたが、行くたびに季節の変化の素晴らしさ、野菜や果物の美味しさなど思いがけず感じるものが多く、思い切ってよかったと思いました。星のちりばめられた夜も素晴らしかったですし、秋の家の裏の小川も素敵でした。今年は秋以降忙しくあまり行けなくなってしまいましたが、小さな家ですが来年はたくさんの方をご招待したいし、多くの人に利用してもらいたいと思っています。

8月は、今年は車山の頂上に80歳の母や家族とともに上りました。もちろんロープウェイを使い少しだけ歩いただけですが。母は山が好きで特に私が高校生くらいになってからいろいろな山に連れて行ってくれました。その頃立山や乗鞍も母と妹と登りました。父は私が20代半ばの時に亡くなったので、それからというもの母を色々なところに連れて行ってあげたいと思っていましたが、ここまで元気で私の自己満足の親孝行に付き合ってくれていることに本当に感謝です。まだまだこれからも色々なところへ一緒に行きたいと思っています。

秋はなんといっても初めての登山靴を買って山に登ったことが嬉しかったです。まだまだ低い山ですし、別にすごく高い山に挑戦したいということはないのですが、来年も何回か登ってみたいです。今一番やりたいのは山の上でお湯を沸かしてカップヌードルを食べること。あとコーヒーも飲んでみたいものです。楽しみです。

最後に私の来年の目標は「マネジメント能力の向上」です。年末にもかかわらずいろいろな仕事のお話を頂いており、ひとつひとつやってみたい内容ばかりです。事務所のスタッフ、パートナーの力をうまく引き出して、OURSで良い仕事をご依頼者に提供すること、これが事務所の来年の一番の目標です。

少し早いですが、よいお年をお迎えください!また来年元気で頑張っていきましょう。

 

 小淵沢の秋(落ち葉のじゅうたん)

 


平成24年度労災保険率について

2011-12-18 14:35:41 | 労働保険

平成24年度から適用する労災保険率改定案が、以下のように厚生労働省から示されています。

[労災保険率の改正案]
○ 労災保険率を、平成24 年4月1日から平均で5.4/1,000 から4.8/1,000 へ0.6/1,000 引下げ
○ 引下げ:35 業種 据置き:12 業種 引上げ:8業種
○ 最低(金融業・保険業など)2.5/1,000~最高

その他メリット制適用対象の拡大案が労働政策審議会で「妥当」と答申されたのを受けてのものです。

OURSの顧問先企業等に影響のある保険料率の改定は概ね以下のとおり変更になります。

交通運輸事業                 5/1,000→4.5/1,000

倉庫業・警備業等              7 /1,000→6.5/1,000

ビルメンテナンス業             6/1,000→5.5/1,000

通信業、放送業、新聞業又は出版業  3/1,000→2.5/1,000

卸売業・小売業、飲食店または宿泊業 4/1,000→3.5/1,000

金融業、保険業又は不動産業        3/1,000→2.5/1,000

その他の各種事業は、3/1,000のまま変更なしです。

特に最低の2.5/1,000はちょっと驚きです。会社経営にとって人数が多ければ労災保険率の改定は結構大きな影響があります。 東日本大震災の影響で増えると考えていた場合意外な感があるかと思いますが、今回の労災保険率には大震災の影響は反映されていません。労災保険率は過去3年間の業務災害・通勤災害に係る災害率等を考慮して厚生労働大臣が定めることになっていますが、東日本大震災の影響については次回の改定である27年度の改定率に反映させるそうです。       

個人的には、警備業・ビルメンテナンス業の業界のセミナーで、「事故を減らさないと労災保険率は上がってしまうのだ」というお話を今年1月にさせて頂いたのですが、来年度は少し下がるようですのでよかったと思っています。

次の平成27年度の改定時には、東日本大震災の負担分をしっかり受け止められるようにそれぞれの企業は頑張っていかなければなりませんね。以下参考のHPからの抜粋です。

 労災保険料を算出するための労災保険率は、厚生労働大臣が55の業種ごとに定め、過去3年間の災害発生率などを基に、原則3年ごとに改定しています。厚生労働大臣は今月5日、労災保険率を現行より平均で0.6/1,000引き下げることなどを内容とする「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問していました。  「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」(PDF:321KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001y630-att/2r9852000001y676.pdf

昨日支部で行う小学校の年金授業が終わり事業日程も今年分は終了しました。小学校5年生に年金の話は難しいかなと心配していましたが、小さな背中がしっかりと授業を聞き入っている姿を見てやってよかったと思いました。事前に担当の支部会員と模擬授業をして「こんな質問が出るかな」と想定したのですが、それよりはるかに高度な質問も出たりして、小さな頃から年金というものに少しでも触れることはやはり大切だなと実感しました。

 また今日は講師時代の八重洲と、FAST1年目のクラスの忘年会でした。久しぶりに会ったのにあの頃と皆全然変わっていなかったですし、最近山に少し登り始めたという話を私がしましたら、山登りはまかしとけ、というメンバーもいました。まずはみんなで高尾山にでも登れれば楽しいですね。私もついていけるよう鍛えておかねば。


新標準テキストについて

2011-12-11 11:43:06 | 雑感

TAC社労士講座上級本科生の教材は今年から新標準テキストは使用しないことになりました。新標準テキストは賛否両論いろいろな意見とともに平成9年~平成23年合格目標までの15年間出版されたことになります。特にここのところ高い評価の声を頂いていたこともあり、とても残念です。この新標準テキストは、私の今の社会保険労務士の業務のベースであり、また15年間の講師生活の大きな部分を占めた貴重なテキストです。

私がTACで学んだ平成3年合格目標の時代はテキストは基本テキストのみでした。その後平成5年あたりから社会保険労務士試験の難易度が上がり、基本テキストでは記載されていない箇所が出題されるという悩ましい状態になっていきました。新標準テキストは会社の方から企画がありそれに対して担当のメンバーを決めて作るという方法ではなく、この本試験の問題が難化していくことに対応するテキストを作るべきであるという考えに基づいて著者の島中先生が書いたもので、それを会社が上級テキストとして採用したものです。

ネットで調べてみたところ「それまでのテキストに比べ条文・通達等を豊富に盛り込み、法令集は別途購入の必要がないという作りにしており、各条文について必修・重要・発展とランク付けをして、重要語句には色がついており記述・選択式対策にも十分対応ができるようになっています。改正も盛り込まれており非常に勉強になるテキスト」と当時評価を頂いていたようです。

テキストを著者が書き始めた当時は、周りの講師陣・執筆スタッフは冷ややかな感じでした。チェックしなければ無理であろうということで、当時著者も私もその一員であった採点チームのメンバーが分担をしてチェックをするということになりました。最初に完成した平成9年合格目標テキストを使って、そのメンバーで全科目勉強会をしました。「新標準テキスト」という名前もその採点の仕事をしながら話していて出てきたもので、これからの社労士テキストのスタンダードにしたいという著者の思いから由来したものです。その当時から本試験の出題内容はほとんどカバーしているもので、本試験の後確認してみるとだいたい記載されていることに何度も驚かされました。

平成11年度合格目標から、市販されることになりました。市販されることになったときの著者の嬉しそうな顔は今も忘れることのできないものです。毎年毎年本試験で出題されたが記載のなかった箇所、法改正に付随する通達、実務において注目されているテーマや判例を加筆していき、その加筆の量たるや半端なものではありませんでした。時にこんなにチェックするのかと泣きたいくらいに思ったこともありました。チェックはまずどこに根拠があるか探さなければならず、それを探しているうちに数時間たってしまうようなこともありましたので、私の遠視?が比較的早い時期から始まっているのはそのせいだと今も固く信じているくらいです。しかし内容の充実は他社の教材を寄せ付けないものになっていったと思います。書かれている量だけではなく、内容としても実務において注目されている部分を加筆すること等により、本試験対応においてかなり高い確率で合否を分ける問題に対応できることを感じていました。

私が新標準テキストを使うクラスを担当したのは平成14年から講師を卒業する平成21年までです。著者は新標準テキストのほかに到達度テスト・トレーニングという上級の教材と、横断セミナーや一般常識セミナー、市販で共著の最強の一般常識や入門テキストを全て立ち上げから執筆し多忙を極めたため、平成14年から講義をせず執筆に専念することになりました。確かに内容の濃い、関連事項のほとんどが記載されているテキストであるため講師も受講生も大変ではありましたが、このテキストをものにすれば合格に近づくということで受講生は頑張ってくれました。特に平成18年頃からは選択式対策で高い評価を受けていたと思います。選択式で涙をのんだ上級クラスの受講生が翌年新標準テキストに丁寧に取り組んで合格を勝ち取っていくのを何度も経験しました。また私の実務は新標準テキストを講義することにより力がつくことを感じましたし、何よりも新標準テキストが一番の参考書になりました。

内容が多すぎる、ここまでやらなくてもよいのではないかという意見が耳に入ることもありましたが、新標準テキストは本屋さんに行くと所狭しと並んでいるいわゆる本試験のノウハウテキストとは全く異なる本物のテキストだと思います。差別化という意味で他には類を見ず、非常に価値があるものと思っていました。なくなってしまうのはもったいないと思いますが著作権の問題もありますから仕方ありません。今後新標準テキストを完成させた蓄積をもとに新標準テキストを超える教材が出来上がるのを今待っているところです。社労士受験から実務まで長い間使えるテキストの完成を期待して、楽しみに。

月食見ましたか?とてもはっきりと欠けていく月が見えて、また妙に空が高く広く感じました。小学校の理科の授業を思い出しました。

 


社会保障と税の一体改革

2011-12-04 23:20:04 | 年金

10月・11月と仕事と支部の事業で忙しくしており、毎日時間単位で動いたため落ち着いて何かをするということができない状況でしたが、今週末でやっと一息つけるかなという感じになりました。これから年末にかけて少し丁寧にこれまでの整理をして、新年の準備をしていきたいと思います。社会保障と税の一体改革のことが最近よくメディアで取り上げられており、内容が気になるところですね。自分の勉強もかねてまとめてみたいと思います。

厚生労働省の社会保障審議会年金部会が、社会保障と税の一体改革についてに関する論点整理案を提示しています。今後優先事項の詳細を詰め、来年の通常国会に関連法案を提出し、一体改革での実現を目指すとのことです。

●優先的に検討すべき事項として

①過去の特例措置で本来より2・5%高くなっている年金額の減額。具体的な解消方法を検討。…これについては先日の提案型政策仕分けで財務省が「特例水準で膨らんだ給付額の累計約7兆円は、意図せざるもらいすぎ」と説明していました。ちょっとその額の大きさに驚きました。結局本来の額は特例額に全く手が届かないまま8年が過ぎたことになります。特例水準を確保すれば老齢基礎年金の満額は788,900円、本来額に戻せば769,200円、基礎年金だけで行けばその差は年間19,700円です。1人1人にすれば月2,000円にもいかずそれほど大きな額ではないように感じるので即刻本来額にしてもよいような気がするのですが。

②共済年金の「職域部分」と呼ばれる給付の上乗せ部分を廃止。公務員が加入する共済年金は、厚生年金保険の制度に原則として一元化。・・・これは、平成19年に政府が提出し、その後廃案になった一元化の法案の内容をもとに検討が進められるようです。

③受給資格を得るための年金の加入期間については、短縮する場合、現在の25年から10年とする。…10年にしたらそれはそれで10年に満たない人が大勢出てくるのではないでしょうか?

④パートタイマーなどの短時間労働者に厚生年金保険の適用を拡大。・・・これは企業の負担が大きいためそう簡単には決まらないと思いますが。

⑤産休中の保険料免除。

⑥基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持。

⑦高所得者の基礎年金を最大2分の1減額。

⑧低所得者への加算は年収65万円未満の人の基礎年金に一律月額1万6000円を上乗等。…これについては委員から「加算は保険料免除者に限定すべきだ」との意見が相次いだため、対象者を再検討することになりました。

●継続的に検討すべき事項として

④年金の支給開始年齢。・・・「当面、引き上げは適当でないという意見の一方、諸外国の引き上げの動きや平均寿命の伸びなどから、中長期的には検討が必要という意見もあった」ということです。

⑤支給額の伸びを抑制するマクロ経済スライドの強化。・・・マクロ経済スライドは実行されたとしても効果が緩すぎると思いますので一度も使わないままですが廃止にしても良いような気がします。

詳しくは以下をご確認ください。↓

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wcv7-att/2r9852000001wcyx.pdf