OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

手続きひとつのこだわり

2011-11-27 14:11:54 | 社会保険
昨日は同じ渋谷支部の二宮先生の勉強会に久しぶりに参加しました。3人の先生が講師としてお話されましたが、それぞれ社労士としての仕事の内容が多様で、また経験に基づくものでしたので、とても勉強になりました。

なかでもこれも同じ支部の住先生のお話には共感を覚えました。手続きをする際におかしいと感じたことに対しては健保組合や行政に根拠を示してきちんと意見をいうという姿勢にです。

1つは扶養の認定について、1つは2以上事業場勤務の扱いについてです。

扶養認定については、あきらかに被扶養に該当するにもかかわらず、法定されていない確認書類の提出ができないために認められないとされたことに対して、健保組合の上層に質問状を送り即認められた話で、質問状やその回答も見せてもらいました。指摘により被保険者に不利にならない適正な事務処理がなされるようになれば良いなと思います。

2以上事業場勤務については詳しくは書けませんが再審査請求をするかどうか検討中とのことです。昨今分割・合併を企業は盛んに行いますから以前より2以上事業所勤務は格段に増えました。そもそも昔は2以上事業場の扱い自体をきちんと行っていくことができていなかったために適正な標準報酬という面で問題が内在していたわけです。

ここを指摘できるのは社労士だけですし社労士の責任でもあります。ひとつの手続きにこだわることの大切さを忘れず仕事をして行きたいものです。

♪今日は東京会の講演旅行のため今ロマンスカーの中から携帯で投稿します。上手くいきますかどうか。




社会保険労務士としてできること 小学校年金授業

2011-11-19 23:38:45 | 雑感

 4月に行われた総会で支部長になってから半年以上が経ちました。社会保険労務士の実務として最大のヤマは7月の年度更新と算定業務、それを終え8月は夏休みということになります。支部事業は9月まではそんなことで会員に負担をかけないためにも秋に向けての準備をしていたためか忙しいとは思わなかったのです。ところが9月以降だんだんと忙しさが加速して、自分でスピードに追いつくのが精一杯となり、支部関連のことについて頭の中が今一つ整理されていないのが気になっています。10数年前に役員になってからいろいろな役を引き受けてきたので、支部事業はあらかた経験や理解をしているつもりだったのですが、それ以外にもあれやこれや色々とあるということと、考えることが多々あることを実感しています。

社会保険労務士の業務として企業それも特に顧問契約をしていただいた企業の手続きや相談業務において、常にこちらも勉強していきながら満足していただけるものを提供していきたいと考えていますが、社会保険労務士として矜持を持つためにもう少し広く社会保険労務士として社会に何ができるのかということを念頭に置いていきたいと、いつごろからか考えるようになりました。そういう面で支部事業を行っていくことは有効だと思いますし、組織である以上会員個人ではできない社会貢献の場を提供していく必要があると考えています。

そんな中で今週は、毎年「年金授業」をさせて頂いている区立の小学校の校長先生にご挨拶に行きました。12月に5年生向けに支部の有志が年金の仕組みなどの授業をするのです。その校長先生のお話がとても印象的でした。例えば、年金はとかく用語も難しいのですが、やさしい言葉に置き換えて話すことについてはあまりこだわる必要はないということでした。子供たちは文脈で理解するため専門用語を入れても大丈夫だということなのです。確かに、5年生くらいになれば、ある程度専門用語を入れて話してあげることにより授業後に見る新聞や書籍の文章もかえって理解しやすくなるのかもしれません。また専門家が自分の仕事を生き生きと語るのを子どもたちが見て、将来自分もあんな風になりたいと思い勉強のモチベーションが上がるとのことです。それはとてもすごいことだなと、この小学校の年金授業の意味に今さらながら気が付きました。まだあと2,3回打ち合わせや模擬授業をしてから本番ですが、子供好きの私としては当日をとても楽しみにしています。

実はとても子供好きで、子育ての中でも学ぶものは多く、また非常に楽しく、子育てにおいては結構ブレず信念のようなものがあった私なのですが、自分の子供への理解は校長先生のそれに比べてはるかに浅かったような気がしました。校長先生の子供たちへの温かい視線や深い理解には感動を覚えました。自分が子供の時代はもちろん、自分が親として子育てしていた時も感じなかったもの(「教育」というものでしょうか)を感じました。

私のクラスに在籍していた受講生3人から今年の社労士試験合格のご連絡をいただきました。それぞれ苦労したと思いますが、今年の合格は合格者も少なく価値あるものだと思います。また無念のお知らせも数名頂きました。しかし皆さんあきらめないという宣言がありましたので安心しました。合格するまで頑張ればたった一度の人生の中でひとつ成功体験が増えるのですから、今年は合格しなかった受験生も合格するまで辛い時もあるとは思いますが絶対にあきらめないで欲しいと思っています。


経歴詐称があった場合の懲戒処分

2011-11-13 00:49:31 | 労務管理

 今週はかなり忙しかったです。顧問先企業の担当者が事務所にご相談来られたり、またこちらからご訪問したりとかなり精力的に動いた上に、支部の街頭相談で渋谷の駅でティッシュを配り、山手統括支部が自民党に要望事項を上げるのと併せて国会議事堂の見学と衆議院第二議員会館での懇談会がありそちらにも出席し、さらに週末締め切りの原稿があるという状況でした。原稿や説明資料を作成する時間は夜懇親会後事務所に戻ったり、出先で時間調整の喫茶店だったりしてこま切れだったのですが、何とか乗り切りました。さらに顧問先企業にご提案して、いくつかすっきり問題が解消した案件もあり有意義な1週間となりました。

 原稿は、介護事業者向けの書籍の一部分なのですが「服務規律と懲戒解雇」について、4年前から書かせていただいています。書くのは得意ではないのですが、勉強しないと書けないので書くことにより蓄積となり、それはありがたいことです。お陰様で懲戒処分についてはかなり詳しくなりました。

例えば、経歴詐称があった場合の懲戒処分についての留意点は以下のようになります。

労働契約を締結するにあたって使用者が経歴の申告を求めた場合、労働者は原則としてそれに応ずべき義務を負うことになります。従って採用の際に経歴を求められれば履歴書等に記載しなければなりません。

②経歴詐称事件で最も問題になるのが、学歴・職歴・犯罪歴です。

 

経歴詐称についてはすべてが懲戒処分の対象となるわけではなく、真実を告知したならば採用しなかったであろう「重大な」経歴詐称に当たる場合に懲戒解雇が有効とされることが多いといえます。

 

④学歴や職歴の詐称は、労働力の適正な配置を誤らせるような場合には、懲戒解雇が有効となります。

 

犯罪歴については、起訴された裁判の最中であることは「罰」には含まれないとされ、また履歴書の賞罰欄に起訴猶予事案等いわゆる前歴まで記載すべき義務はないという裁判例があります。これはそうなんだ~という感じでした。

 

国会は何年か前に事務所の皆で見学に行ったのですが、今回は見学の途中で議員食堂でお茶を飲む(ちょっと古風なケーキセット)という企画もあり、なかなか面白かったです。その食堂を出るときに見たら灰皿が山積みになっており、禁煙(分煙)じゃないのかな?と思いました。まさかそれで小宮山大臣は「職場の全面禁煙」を主張したのでもないでしょうけれど。一般の企業よりその点は進んでいないような気がしました。


社労士の業務拡大と社会保険労務士試験

2011-11-06 22:55:46 | 雑感

平成23年度の社会保険労務士試験の発表が近づいてきました。私が講師をしていたクラスの数人の受講生から今年の選択式は何とかうまくいきましたという連絡をいただいているので、吉報があるかなと楽しみにしています。

金曜日に渋谷支部の新入会員オリエンテーションが行われた挨拶の際に社労士試験と労務管理の関係をお話ししました。記憶が不確かな部分などがあったので事前に調べて思うところがありましたので、今日はそのことを記録しておこうと思います。

社労士試験は昭和44年から毎年1回行われているのですが、私の記憶があるのは自分が受験をした平成3年からです。平成3年の試験に向けて勉強しているときに一番自信がなかったのが「労働に関する一般常識」でした。当時は「労働の一般常識は」労務管理からの出題がほとんどで、一つのテーマが与えられそれについて200字で答えよという論述式の問題でした。

しかし平成5年の社労士法改正により、平成6年の本試験から労働一般常識は「労務管理その他労働に関する一般常識」という科目に変わりました。その時同時に論述式が記述式という文言を穴埋めする方式に変更になりました。平成6年の暮れからTAC社労士講座の講師になったのですが、その時はこれまでも労務管理の出題が主だったため、その科目名の変更について特にこれといった思いはありませんでした。むしろ論述式から記述式になったということで勉強方法はどうすればよいのだろうということを受講生にも問われあたふたとしている新米講師でした。「労務管理」と頭につけたのは、社労士業務のうちいわゆる3号業務といわれる労働に関する相談・指導の業務について今後力を入れていくのだという社労士会の決意の現れだというのは、その時にも聞いていました。

当時は開業3年目でもあり、労務管理の相談業務を自分が主な仕事とするというイメージはなかったのですが、その後7,8年後くらいから「労務管理上起こる問題についての相談相手に」というご依頼が顧問契約の半分以上といってもよいほどになっていきました。労働・社会保険諸法令とそれに関する労務管理の問題が複雑化していったためニーズがそこにありました。今になると平成5年の社労士試験の科目名の変更は自分の仕事に大きく影響していると、その判断をその時された社労士会の諸先輩に感謝するばかりです。

その後の本試験の「労務管理その他労働に関する一般常識」は平成11年まで記述式でした。誤字をしないように。略字は書かないようにということを講義でよく話していました。全科目記述式であったため、模試や答練の際の採点はかなり大変でした。

平成12年の本試験から、試験事務が厚生労働省から全国社会保険労務士会連合会の試験センターに移管されました。その時に全科目記述式から選択式という語群から文言を選択するという現在の方式に変わりました。その年はまだ8月に試験が行われていたと思いますが、8月に入ってから選択式に出題が変更になるということが受験生に知らされ、また合格基準が初めて発表されたものの、2点でも合格基準をクリアするといういわゆる「救済」が全く行われなかったということでかなり動揺がありました。

その後印象的だったのはやはり平成18年の本試験です。「労務管理及び労働一般常識」は相変わらず難しい科目でしたがむしろ年によっては「社会保険に関する一般常識」が難しくなりました。しかもその年の問題は、参考文献を少しずつ切り取って持ってきたためどう考えてもつじつまが合わないという内容でした。TACの解答速報で「解なし」を初めて出した年でした。「解なし」を出すにあたっては圧倒的に反対が多く、今は皆TACを辞めていますがST先生とSM先生と私の3人のみが「解なし」とするべきと主張して押し切ったという状態でした。優秀な人材に社労士を目指してもらうには、本試験の精度を高めていかなければならないと切に思いました。そのためにもつじつまが合わない状態でも正解らしきものを資格取得校として提示することは許されないと思いました。その後「年金記録問題」が起こり社会保険労務士の知名度は飛躍的に高まったと思います。

平成19年には、裁判外紛争解決手続の代理業務が可能になる特定社会保険労務士制度がスタートしました。特定社労士の資格を得るための特別研修では民法・憲法・判例などを学び紛争解決代理業務試験で合格する必要があるのですが、その影響からか社労士試験の本試験で、判例などが多く出題されるようになりました。この紛争解決代理業務試験の勉強をしたおかげで、その後の相談業務に民法や判例を踏まえてという部分が加わり厚みが出たと思います。

さらに、今後社労士法を改正して、社労士試験の科目に裁判外紛争解決手続をはじめとする司法分野の業務を行うのに必要な憲法・民法・民事訴訟法を加えることを予定しています。このように社労士の業務範囲の拡大と社労士試験は当然のごとく影響し合っています。社労士が業務を拡大していくためには、ますます本試験の範囲も広げていく必要があり、開業・勤務社労士とも、また受験生も頑張っていかねばならないのですが、その分社会保険労務士という資格はまだまだ伸びしろがたくさんある魅力ある資格だと思っています。

これから紅葉がきれいな季節になりますね。かなり毎日忙しく紅葉を楽しむ時間が取れるかどうか不明ですが、何とか体調を整えながら行きたいと思っています。