OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労働時間等見直しガイドラインの改正

2017-10-28 22:21:37 | 労働法

キッズウィークや、平成29年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で示された、転職しても転職が不利にならない仕組みをつくるため、労働時間等見直しガイドラインが改正され、平成29年10月1日から適用されています。

労働時間等見直しガイドラインの改正点のポイントは3つです。

①転職により不利にならないようにする観点から、雇い入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間(6か月)を短縮することや、最大付与日数に達するまでの継続勤務期間(6.5年)を短縮すること等について、検討すること。

②地域の実情に応じ、労働者が子供の学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること。

③公民権行使等のための休暇制度等を設けることについて検討すること。

なお、「キッズウィーク」は、地域ごとに学校の夏休みなどの長期休業日を分散化する(一部他の日に移す)ことで、大人と子供が一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出しやすくするための取組で、平成30年度からスタートします。

これらはまだ義務にはなっていませんが、年次有給休暇の付与開始時期や付与日数については今後改正される可能性がありそうです。

「労働時間等見直しガイドライン」(改定反映済み分)
(労働時間等設定改善指針)
平成20年厚生労働省告示第108号
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000181004.pdf

今週は珍しく風邪をひいてしまいました。お医者様にもいかずぐずぐず何とか乗り切れないかと考えていたのですが週末支部の管外研修までには治しておかないとまずいと思いやっと昨日行ってお薬をもらったので今日はだいぶ良くなりました。

OURSは小磯事務所時代から数えて今年で25周年です。年明けにはお世話になった顧問先をご招待して感謝を込めたお祝い会を行う予定です。11月に入ったらそろそろ準備を始めようと思っています。また長年お世話になったHPもリニューアルする予定で、新たなOURSへのイメージを盛り込みたいと思っています。さらに来年は初めて事務所の旅行を東南アジアではありますが海外に行く予定にしています。11月から4,5カ月はそういうことで事務所イベントが続きます。

事務所では健康企業宣言の「銀の認定」を受けるため、毎日ラジオ体操や定期的な血圧測定、ミーティングの時に健康のテーマを話し合うなど色々なメニューを取り組んでいます。先日は血管を強くする話でした。できるだけ歩くことが大切で毎日女性は8500歩が目標だそうです。先日もスタッフと移動の際タクシーを使おうとしたら「血管を強くするために歩かなくちゃだめですよ」と怒られてしまいました。私も少し無茶な生活を見直す時期が来ているような気がしています。お日様にあたってどんどん歩こうと思っています(それにしては雨が多いです~)。


業務上疾病(労働基準法施行規則別表第1の2)

2017-10-22 21:44:43 | 労働保険

労災認定されるには、「業務起因性」と「業務遂行性」の二要件が必要とされており、「業務起因性」は業務と負傷・疾病との間に相当因果関係が認められることをいいます。

二要件のうち特に必要とされるのが「業務起因性」ですが、この業務起因性を立証するのは困難な場合があるため、医学的に因果関係が明確になっている特定の疾病については、労災保険の補償の根拠となっている労働基準法の施行規則別表第1の2に以下●の通り列挙されています。

これらについては、一定要件を満たし、かつ、特段の反証のない限り因果関係を立証しなくても業務起因性を推定することで、業務上認定をすることになっています。

この中で、第8号「脳血管疾患及び虚血性心疾患」と第9号「心理的負荷による精神障害」については、平成22年の改正前は「その他業務に起因することの明らかな疾病(現在11号)=業務との間に相当因果関係があると認められるその他の疾病」とされており別表には列挙されていませんでしたが、平成22年の改正において別表1の2に追加されています。通達で示されている判断基準に該当することで「因果関係が明確」とされ「業務起因性」のみで労災の業務上認定が可能となるわけです。

●労基法施行規則 別表第1の2

1業務上の負傷に起因する疾病

2物理的因子による次に掲げる疾病

3身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

4化学物質等による次に掲げる疾病

5 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則第一条各号に掲げる疾病

6 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

7 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

8 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤りゆう 又はこれらの疾病に付随する疾病

※脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準  【基発第1063号 平成13年12月12日】
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11a.pdf

9 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

※心理的負荷による精神障害の認定基準について【平成23年12月26日 基発1226第1号】
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z3zj-att/2r9852000001z43h.pdf

10 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

11 その他業務に起因することの明らかな疾病

毎日雨がよく降りさわやかな秋が恋しいですね。今日も大雨でしたが選挙に行ってきました。今回の選挙は選挙が決まってからの1週間くらいはめまぐるしい動きで、事務所でも社労士仲間の間でも結構話題になりましたが、後半はだんだん収束していってしまいました。安倍さんが総理大臣になる前は、しょっちゅう総理大臣が変わって、外国に対して恥ずかしいと思っていましたので、安定政権を持つことができるのは大切なことだと思っています。また消費税の使い道について、これまで高齢者に手厚かったものを、若い世代に回すという考え方は、社会保障の世代間の公平性のためには必要な施策と考えています。


無期転換対応規程改定の3つのポイント

2017-10-15 23:59:03 | 法改正

いよいよ来年4月から労働契約の無期転換の申込権が発生します。この秋はその対応のために契約社員の就業規則の改定のご相談をいくつも受けており、あれこれ試行錯誤した結果必ず検討して頂きたい実務対応のポイントはだいたい押さえることができました。

有期契約が無期契約に転換したとしても、従前と同一の労働条件とするとした場合は、有期契約就業規則に無期転換ができる旨を定めるのはもちろん必要ですが、それだけでは足りません。契約社員就業規則を無期転換社員にも適用させる場合の契約社員就業規則改定の際に重要と考える3つのポイントを上げてみたいと思います。

※無期転換社員用の就業規則を作成する場合は①は当てはまりません。

①無期転換後も契約社員就業規則が適用されることを明確に

契約社員就業規則の適用の条文に、「第〇条無期労働契約の転換の定めるところにより無期労働契約に転換した無期転換社員を含む」などの文言を加筆する必要があります。(無期転換社員という名称は各企業でいかようにも定めることができます)

「契約社員就業規則」という名称でよいかどうかという点については、契約社員の定義に無期転換社員が含まれていると明確に規定されていれば無理に変更しなくても対応可能と考えます。

②配置転換等異動についてはよく検討して定める

正社員については「異動は拒否することはできない」とされており、有期契約の場合は「異動は本人の同意を得て行う」等とされているケースをよく見受けますが、この相違は有期契約のメリットに繋がり、また賃金等処遇差の合理性にも繋がります。契約が無期ということで長期にわたる場合もあるだけに、この点だけは有期契約と同じ対応で大丈夫かどうか、よく検討して定める必要があります。店舗や事業場の移転や閉鎖などもあり得る場合は特に重要な事項になります。無期転換した場合異動を拒否できないということであれば有期契約のまま方が良いという判断もあり得、聞いてなかったということにならないよう無期転換の申込に対する説明の際には必ずその点を決めておき、説明する必要があります。

③無期転換社員に対しては定年を設けること

有期契約の場合は「定年」の概念はなく、あるのは「雇用上限年齢」ということになります。従って有期と無期に同じ規程を適用させる場合、これまで雇用上限年齢の規定しかなかったとすれば、無期転換社員に対する定年を60歳以上等定める必要があります。無期転換社員の定年を例えば60歳とした場合には、65歳までの高年齢雇用確保措置としての継続雇用制度も必要となります。

またここで注意しなければならないのが、60歳以上で無期転換した場合です。無期転換社員の定年が60歳となっている場合、無期転換後の定年を設定しておかなければ一生雇用する義務が発生しますので、「60歳以上で無期転換した場合の定年年齢は、第〇条に定める定年年齢によらず65歳とする。」等の規定を入れておく必要があります。

定年後は無期転換の特例措置の認定を受けておけば、有期雇用契約で何歳までも無期転換させることなく、体調などと相談しながら働き続けることができますから、定年をうまく活用することで労使ともにメリットがあると考えます。

なお、有期契約に雇用上限年齢の設定があったとしても、それは定年ではないため無期転換の特例措置の対象にはならないという点は、先日労働局にも確認済ですので注意が必要です。

マンション住まいで、前に建物があるため都内に住んでいる割にはいつも静かな環境です。かなりの雨でも気が付かないこともあり、ある意味で楽ではあります。小淵沢の家に行くと、屋根にあたる雨の音やクルミの実が落ちてぶつかる音、家の前の田んぼが夏は青々としておりカエルの大合唱だったと思うと、秋にはみごとに黄金色になり朝から耕運機がうなっているなど、自然の音でびっくりすることがあります。自然の中で生活するというのはこういうことなのだと実感します。 


健康情報の収集(先週の追加)

2017-10-09 22:21:47 | 社会保障

先週「健康情報の収集」の件を書いたのですが、「労働者の個人情報保護に関する行動指針」が古いものでした。指針には以下の文章が冒頭に載っており、ここにお詫びしてその後個人情報保護法の改正も踏まえた情報をご案内したいと思います。

「労働者の個人情報保護に関する行動指針(平成12年2月)」には以下の文章が冒頭にありました。

「労働者の個人情報保護に関する行動指針(平成12年2月)」は、個人情報保護法が制定・施行(平成17年4月施行)される前に研究会の考え方をとりまとめたものですので、現在は、こちら(以下雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項(平成29年5月29日))に掲載されている指針をご参照いただくようお願いします。

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項(平成29年5月29日)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000167762.pdf

1 事業者が健康情報を取り扱うに当たっての基本的な考え方
(1)健康情報については労働者個人の心身の健康に関する情報であり、本人に対する不利益な取扱い又は差別等につながるおそれのある要配慮個人情報であるため、事業者においては健康情報の取扱いに特に配慮を要する
(2) 健康情報は、労働者の確保に必要な範囲で利用されるべきもあり事業者は、労働者の健康確保に必要な範囲を超えてこれらの健康情報を取り扱ってはならない。
2 法第 17 条に規定する適正な取得及び法第 18 条に規定する取得に際しての利用目的の通知等に関する事項
(1) 事業者は、法令に基づく場合等を除き、労働者の健康情報取得する場合はあらかじめ本人の同意を得なければい。
(2)また 、事業者は、自傷他害のおそれがあるなど、労働者生命、身体又は財産 の 保護のために必要がある場合 等を除き、本人に利用目的を明示しなければならない。
(3)略

なお、健康診断又は面接指導(以下「健康診断等」)の結果についての情報提供については大きな変更はなく以下概略の通り記載されています。

安衛法基づく健康診断等については、事業者は実施を義務付けられており、外部機関に健康診断等の実施を委託する場合には、必要な労働者の個人情報を外部機関に提供する必要がある。さらに安衛法において、事業者は健康診断等の結果記録及び当該に係る医師又は歯科医師から意見聴取が義務付けられており、また健康診断結果の労働者対する通知が義務付けられている。

事業者がこれらの義務を遂行するためには、健康診断等の結果が外部機関から事業者への報告(提供)されなければならず、事業主が委託するために必要な労働者の個人情報を外部機関に提供し、また、外部機関が委託元である事業者に対して労働者の健康診断又は面接指導結果を報告(提供)することは、 それぞれ安衛法に基づく事業者の義務を遂行する行為であり、法第 23 条第 1項第号の「法令 に基づく場合」該当し 、本人の同意を得なくても第三者提供の制限は受けない

また、健康保険組合等に対して労働者の健康情報の提供を求める場合、健康保険組合等は当該事業者に当該労働者の健康情報を提供することを目的として取得していないため、法第23条の第三者提供の制限に該当し、健康保険組合等は被保険者である労働者の同意を得る必要がある。この場合においても、事業者は、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。

先週の内容は、8月に発行された資料を基に書いたのですがやはり第1次資料にあたらないといけないことを痛感しました。

3連休の中日に、受講生OBからチケットを頂いていた「ボストン美術館の至宝展」を鑑賞しに行きました。お天気も良く、混みそうでしたので朝早めに行ったのでゆっくり鑑賞できました。最近絵を見るのがとても好きになりました。

 


健康情報の収集

2017-10-01 23:48:39 | 労務管理

社員の健康情報の収集についてお問い合わせを受けることがあります。厚生労働省は「労働者の個人情報保護に関する行動指針(平成12年12月20日労働省)」を出しており、一定の範囲内で医療上の個人情報の収集を認めています。
 (略)
(5)使用者は、法令に定めがある場合及び就業規則等において、使用者を含め医療上の個人情報の処理に従事する者についてこの指針の第2の1の(3)の原則を明らかにした上で、次に掲げる目的の達成に必要な範囲内で収集する場合を除き、医療上の個人情報を収集してはならない。

(イ) 特別な職業上の必要性 

(ロ) 労働安全衛生及び母性保護に関する措置

(ハ)(イ)及び(ロ)に掲げるほか労働者の利益になることが明らかであって、医療上の個人情報を収集することに相当の理由があると認められるもの

 さらにこの指針については解説(「労働者の個人情報の保護に関する行動指針の解説」)も出ています。
(5)は、「医療上の個人情報」に関する収集制限の規定である。「医療上の個人情報」としては、健康状態、病歴、心身の障害、健診記録等に関する個人情報が考えられるが、これらの情報については特に機微に触れる性格を有する情報であり、かつ、その収集に当たっては少なからぬ場合において身体等への負担を伴うものであることから、収集段階での厳正な制限が必要と考えられる。

しかしながら、その一方において、我が国においては、事業者は、労働安全衛生法等の関係法令によれば、労働安全衛生上必要な措置を講ずることが求められる等労働安全衛生に関し重い責任を有するとともに、判例等によれば民事上の安全配慮義務を果たすことを強く期待されているため、労働者の健康状態、病歴に関する情報、すなわち医療上の個人情報について幅広く収集しておくことが求められるという点において欧米諸国とは異なる状況にあることを考慮する必要がある。
このため、この指針においては、「医療上の個人情報」については、上記(イ)~(ハ)に掲げる目的の達成に必要な範囲内で行われる場合に限り、収集を認めることとした。「法令に定めがある場合」とは、労働安全衛生法第66条に基づく健康診断の実施、第66条の4に基づく健康診断結果に係る医師等からの意見聴取等が考えられる。

次に掲げる目的の達成に必要な範囲内で収集する場合の解説は以下の通り。

(イ)の「特別な職業上の必要性」については、社会通念等により客観的に判断して必要性及び合理性がある場合で、例えば、医師、看護婦等について結核等の感染症に感染していないことを確認する場合、パイロットやバス、トラック等輸送機関の運転手について視力が一定水準以上であること等を確認する場合などが考えられる。

(ロ)の「労働安全衛生及び母性保護に関する措置」については、事業者が、労働安全衛生法に基づき、労働者の健康を確保するため必要な措置を講ずる場合や、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(いわゆる男女雇用機会均等法)に基づき、女性労働者の妊娠中及び出産後の健康管理に関して必要な措置を講ずる場合等をいう。

 (ハ)については、労働者が病気休暇を申し出た際や、労働者が健康上の理由で配置転換等を申し出た際に、使用者が診断書の提出を求める場合等が考えられる。なお、「相当の理由がある場合」とは、社会通念等により客観的に判断して必要性及び合理性がある場合をいう。

久しぶりに小淵沢に行ってきました。夏に植えたダリアの球根がすっかり育ち1メートルくらいの高さになっていました。夜は空一面の星で明るいくらいでしたし、昼間は鳥の声が近くの森から盛んに聞こえてのんびりできました。こういう時間は必要なのだと思うのですが、週末行くくらいが私にはちょうど良い感じです。さてまた1週間頑張っていきましょう。