OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

時間外労働等の上限規制は2019年4月施行(大企業)

2018-01-28 22:52:09 | 法改正

 先週木曜日1月25日の日経新聞の朝刊に、残業規制・同一賃金、中小に「1年猶予」厚労省方針という記事が載りました。秋の臨時国会で労基法改正法案の審議ができず、これから始まる国会では5月までは予算審議があるため成立はその後ということで2019年4月の施行は伸びそうと聞いていただけにちょっとショックではありました。これは、春以降大企業はかなりスピーディーに36協定の特別条項の管理方法をシステムを含め決めていく必要があるということです。

以下1月24日 日経電子版の記事より抜粋です。

 厚生労働省は働き方改革関連法案の柱である時間外労働の上限規制と同一労働同一賃金の実施時期について、中小企業は現行の予定からいずれも1年延期する方針を決めた。残業規制は2020年度、同一賃金は21年度とする。大企業も同一賃金の適用時期を1年遅らせて20年度とする。労働者の賃金表を見直すなど企業の準備に時間がかかることに配慮する。

 働き方改革法案は残業時間に年720時間までの罰則付き上限規制を設けることや、正規と非正規で不合理な待遇差をなくす同一労働同一賃金の実施、働いた時間でなく成果で評価する「脱時間給制度」の創設が柱だ。脱時間給制度と大企業の残業規制は予定通り19年4月からとする。

項目

企業規模

施行時期

残業時間上限規制

大企業

2019.4

中小

2020.4

同一労働同一賃金

大企業

2020.4

中小

2021.4

脱時間給制度

大企業

2019.4

中小

 

 

 

 

 

 (略)国会では予算案などの審議が優先される。労務管理の体制が十分でない企業は成立から施行までに十分な周知期間を求めているが、現行の予定のままでは施行まで1年を切る可能性が高い。

 中小企業は大企業と比べて人事や労務管理の担当者が少なく、人手不足が深刻になるなかで新たな人材の確保も難しくなっている。与党内でも中小の経営悪化を懸念する声が出ていた。

 (略)残業時間の上限規制についても、企業によっては人員の再配置や雇用の拡大などで長時間労働を見直す対応が必要になる。企業の対応が間に合わないことが懸念されており、厚労省はこれらを踏まえ施行時期を遅らせる方針を固めた。既に与党側と調整を進めている。

 残業規制、同一労働同一賃金ともに大企業と中小企業で適用時期がずれることになる。人件費の負担増が遅れる中小企業に対し、大企業が部品などの調達価格の引き下げを求める可能性がある。既に働き方改革を自主的に進めている企業もあるため、実施時期が遅れることで企業間の格差が広がる恐れもある。

先週人間ドックの結果が送付されて来ました。もちろん数値的に素晴らしいというわけにはいかないのですが、視力や肺活量は褒められる程度の域にあり、特に再検査もなかったのでホッとしました。一応コレステロール値が少し上がったのでかかりつけ医のところに行きその結果見てもらったところ、外食を減らし食べる量全体を減らすこと、と指導されました。特に家で普通のご飯を食べることが大事、ということでした。

12月は忘年会、1月は新年会続きで特に外食が多い時期なのですが、今年は役を降りた関係で昨年より少なく、それでも1日おきくらいには新年会がありました。そういう意味では一段落したこれからは、できるだけ粗食を家で食べる、ということが目標になりました。

しかし最近自宅の駅周辺には美味しいパン屋さんが2軒もできてすごい誘惑なのです。1駅前で下車して歩こうかなとも思います。スーツがきれいに着れることを夢見て頑張りたいと思います。


2重派遣について

2018-01-21 23:47:14 | 労務管理

この1週間はセミナーでお話しさせて頂く機会が2回あるため、ここ2回の週末はレジュメ作りにだいぶ時間をとられましたが、何とかほぼ完成までたどり着くことができました。特に1つは業界団体の勉強会のようなセミナーでテーマを絞り少し深く突っ込んで解説するものですので、レジュメを投入した後も当日まで少し本をじっくり読む必要があります。

ということで派遣関係の本を見ていたのですが、その中で2重派遣はなぜ違法となるのかという点が書かれていました。以下「労働者派遣法の法律実務(労働調査会))からの抜粋です。

2重派遣とは、ある労働者派遣事業主が労働者派遣について顧客先から依頼を受けて労働者派遣契約を締結したが、自社では派遣すべき適当な技術、能力等を有する労働者を雇用していないため、それを第三者に再依頼して、第三者との間で労働者派遣契約を結び、第三者から労働者の派遣を受け、それを自社が自己の労働者派遣契約の履行として注文者である顧客先に派遣するものをいう。(略)

この場合には、いわば元請け業者である派遣先は注文者(派遣先)へ派遣する派遣労働者を自ら雇用していないわけであり、派遣労働者は派遣先の元請けの従業員ではなく、あくまで元請けは派遣先として下請けからの派遣労働者を指揮命令するのみで、自社の雇用する従業員に対するような全面的な人事労務支配権を有していないのである。(略)このため、事実上の支配下の労働者を第三者に労働要員として供給する形態に該当するわけであるから、その行為はまさに職安法第4条第6項の労働者供給に該当するのであり、それを反復継続し、または反復する意思をもって行うことは「業」として労働者供給を行うことに該当し、同法第44条で禁止されている違法な行為となるのである。

上記に記述されている通り、労働者派遣であれば自ら雇用する労働者を派遣先に派遣するところが、自ら雇用する労働者ではない者を派遣先派遣するという点で、禁止されている労働者供給事業にあたることになります。2重派遣は労働者派遣法に違法と規定されているわけではないのですが、職業安定法の労働者供給事業に該当するため法違反になるという点が留意点となります。

参考まで。労働者供給事業は以下の通り禁止されています。 

(労働者供給事業の禁止)
第四十四条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
(労働者供給事業の許可)
第四十五条 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
 
毎日寒い中で少し春めいた雰囲気を感じる日があります。夕方の日の落ち方もかなりゆっくりとなり、少しホッとします。しかし、お正月の残りのお餅でお汁粉を作ったりして冬っぽい生活をしています。
インフルエンザがいよいよ流行りだしたということですので、手洗いとうがいは欠かさないようにしています。まだ春の暖かさには時間がかかりそうですが、私もセミナーがかなり立て込んでいますので、体調管理には注意をしたいところと思っています。

就業規則の電子申請について

2018-01-14 23:11:59 | 法改正

今年まずチャレンジしてみようと思っているのが、就業規則等の電子申請です。就業規則は年間でもかなり手掛けているのですが、監督署への届出については意見書を集めた上で顧問先の担当者に行っていただくことが多く、届け出られたのかどうかが曖昧になってしまうケースがありました。今回電子申請で届出できることになったので今年一番に出来上がった就業規則について試してみようと思っています。

この就業規則の電子申請は、社会保険労務士が申請者に代わり電子申請を行う場合には、委任状などをもって、申請者の電子署名及び電子証明書を省略できることとされたものです。

イーガブの画面は以下の通りです。

http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAMSTDETAIL&id=4950000009642&fromGTAMSTLIST=true&dspcnt=10&keyword=%8F%41%8B%C6%8B%4B%91%A5&keywordOr=0&keywordNameIn=0&SYORIMODE=&displayHusho=0&frompos=1


「この手続を電子申請を利用して申請する場合は、以下から行ってください。」とありますが、新旧対照表の添付が必ず必要ということはないようです。
①就業規則(変更)届
②意見書
③添付書類
④申請者が作成した任意の添付書類
⑤電子申請

紙で届け出た場合のように監督署の受領印が押された就業規則はまだ入手できないようですので、助成金申請用は神の方が無難なのかもしれません。今後検討はされているようです。まずは実際に電子申請してみたらご報告します。

今回の改正の根拠(労働基準法施行規則)は以下の通りです。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H171127K0010.pdf

昨日は1年に2回開催しているBBクラブの勉強会でした。1月から設立時からの幹事メンバーが一人転勤となり寂しくなりましたが、今福岡に転勤している幹事メンバーがたまたま東京に来るタイミングが合い参加してくれたのが嬉しかったです。昨日は久しぶりに島中先生の講義もあり、午後の「がん患者就労支援」の原麻子先生のお話も予想通りとても良かったですし、中野祐子さんの開業体験談も本当に成長してしっかり社労士として踏み出した姿を見せてもらい、全体として充実した内容となりました。

昨日は教室がいつもより狭い教室であったため100人を超える参加者がいつもより多く見えてとても盛会であったような気がします。BBクラブもあと4年でスタートしてから20年到達ですので本当に毎回参加いただいている受講生OBにはありがたく、またここまで継続してきてよかったと心から思います。

いまだに受講生OBからお仕事の依頼を新たに頂くことも多く、15年の講師生活で得た人間関係がいかに貴重なものか、いつも感じています。また100人を超える受講生OBが自分の背中を押してくれているとも思います。受講生OBを前にするとやはりみんなが元気が出るようにとこちらもいつもより元気を出していくので、それが励みになっていると感じます。

子どもを一人しか授からなかった代わりにそれでよかったと思えることをしたいと考え社労士になりここまで来ましたが、BBクラブの会員である受講生OBや事務所のスタッフはある意味子供と同じと感じることがあります。社労士になって講師をやって本当に良かったと思える時です。


募集時の労働条件明示事項の追加など

2018-01-08 22:58:57 | 法改正

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年明け早々ですが改正情報です。平成 29 年3月 31 日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、職業安定法の改正については、平成 29 年4月1日、平成 30 年1月1日、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日の三段階で施行されます。

平成30年1月1日施行分として、労働者の募集や求人申込みの制度の変更があります。
労働条件等の明示について、募集時の内容と労働契約を実際に締結しようとする際の内容が異なるのは違法であるかどうかというご質問が時々あります。現実的には募集内容と採用する際の労働条件は異なるケースは発生する可能性はあると考えています。つまり募集時はある程度経験のある人を採用したいと考えていたが面接してみたところ経験はほとんどないが将来性を買って採用したいというケースなどは募集時の内容の労働条件での契約は難しいと考えるからです。

今回の改正ではそのようなケースで募集時の労働条件を労働契約締結時に変更する場合のルールと募集時に記載する内容を職安法・職安則と指針で示しています。詳しくは以下のリーフレットに書かれています。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf

また、職業安定法第5条の3で「募集に応じる労働者と労働契約を締結しようとする場合であって、これらの者に対して明示された従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間など従事すべき業務の内容等を変更する場合その他は、契約の相手方となろうとする者に対し、変更する従事すべき業務の内容等その他厚生労働省令で定める事項を明示しなければならない。」と改正されました。

追加される募集時の明示事項は、次のとおりです。
①試みの使用期間に関する事項
②労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
③労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨(派遣労働者雇用しようとする者に限る)

さらに指針の改正で以下の事項も明示することとされています。
④専門業務型裁量労働制及び企画業務型裁量労働制を適用する場合の「みなし労働時間」

⑤時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を定額で支払う固定残業代の仕組みを採用する場合は、固定残業代として支払われる算定の基礎として設定する「労働時間数及び金額」、「固定残業代を除外した基本給の額」、「固定残業時間を超える時間外労働等分についての割増賃金を追加で支払うこと」

年末年始はゆっくり過ごされましたでしょうか?年末は年内に片付けたい案件のご依頼が沢山あり切羽詰まりながらなんとか仕事納めを迎え、そのまま大掃除に突入してこれまた頑張ってしまうものですからフラフラでお正月を迎えた感じでしたが、お正月はのんびりといつも通り駅伝など見ながら過ごし、またこの3連休もありましたので完全復活を遂げました。

今年はまた気持ちも新たに仕事に勉強に励み、旅行もしてと気分も新たにどのような1年になるか楽しみです。やはり1年の区切りというのは有難いですね。皆様のこの1年が良き年になりますように。