OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

平成25年度年金額

2013-01-28 00:35:15 | 年金

1月25日、総務省から「平成24年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率が0.0%となった旨発表されました。
この結果、平成25年4月から9月までの年金額については、改定は行われないこととなり、平成24年度と同じ額となります。

年金額(月額) は以下の通りです。(厚生労働省HPより)

            【平成24年度】    【平成25年 4月~9月】  

国民年金       65,541円     65,541円   〔老齢基礎年金(満額):1人分〕  

厚生年金      230,940円     230,940円   〔夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額〕

上記の記載が平成25年9月までとなっているのは、10月以降物価スライド特例措置の解消(特例水準の解消)により年金額が減額されることになっているからです。

【特例水準の解消について】
現在支給されている年金は、平成12年度から14年度にかけて、物価下落にもかかわらず、特例法でマイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いたことなどにより、本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)で支払われています。
この特例水準について、現役世代(将来、年金を受け取る人)の年金額の確保につなげ、世代間の公平を図るため、平成25年度から27年度までの3年間で解消する法律が、平成24年11月に成立しました。
この法律は、平成25年10月から施行されるため、平成25年10月以降(12月支払い分以降)の年金額は、4月から9月までの額から1.0%引き下がることになります。
(解消のスケジュールは、H25.10.▲1.0%、H26.4.▲1.0%、H27.4.▲0.5%)

この特例水準によって、すでに累積7兆円もの過払いが生じています。これまで長い間、年金は本来額と物価スライド特例措置の額との2重の管理がなされてきており、非常に分かりにくい部分がありました。ずいぶんTACの講義でもこの話を板書して説明しましたが、私が講師を辞めた翌年に本試験に出題され、受験生泣かせの問題となったりもしています。

やっと平成27年で解消となり何となくほっとした気分です。下記の年金額のグラフを見るとどこが解消される予定なのかよくわかります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002tg08-att/2r9852000002tg1p.pdf

それにしても夫婦で受給する年金額が平均23万円はやはり厳しい気がします。できるだけ長く働かないといけないですね。

先週は、労働契約法と高年法の就業規則・労使協定・労働契約書などの改定モデルを作って、セミナーレジュメとともに完成させました。今週は顧問先企業にも何とかご連絡できそうで少しほっとしています。4月前までに改定する必要があるのは高年法の継続雇用制度の基準を労使協定で定めていたものを経過措置とすること(もし定めていない場合は4月以降は新たに定めることができないので定めるかどうかを検討して必要であれば新たに定めること)、また労働契約書に更新条項を加筆することです。

山手統括支部で先週行った必須研修の、弁護士の渡辺岳先生の改正労働契約法と内木先生の高年法のレジュメを何度もマーカーしたりしながら読み返してみましたが、セミナー準備のためにとてもためになりました。まだまだ未消化な点が多いような気がしますので、もう少し頑張って色々と読んで、またセミナーを受講して自分の中で消化したいと思います。しかし今後は実務でどのようなことが起こるか、それらを蓄積していくことが社労士としてはとても大切(楽しみ)なことです。


改正労働契約法・高年齢者雇用安定法の実務対応

2013-01-20 23:39:00 | 法改正

先週は改正労働契約法のセミナーの準備を大分進めることができました。顧問先にご提案するための資料などもある程度出来上がりました。今週もう一度時間をとって完成させようと思っています。今回の労働契約法と高年法の改正で、見直し等が必要な部分は以下の通りです。

①就業規則

 (A)労働契約法の無期転換のルールにより、無期転換した社員が生まれることになりますので、就業規則の適用対象を見直す必要があります。

 (B)高年法の改正により、継続雇用制度の対象となる基準は廃止します。

 (C)さらに経過措置として継続雇用する際特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢に合わせて基準を残すのであれば、平成25年3月末までに規定しておく必要があります。

 (D)継続雇用しないことができる事由として「退職・解雇事由に該当する場合」を別に就業規則に定めることを検討します。

  (指針では継続雇用しないことができる事由として、就業規則に定めることができるとしているためで、これを機に退職・解雇事由を再検討するのもよいと思います)

②労働契約書 労働基準法の労働契約締結時の労働条件の明示が改正され「有期労働契約の更新の有無・更新しない場合の判断基準」の追加が必要になります。

③労使協定  高年法の改正により、上記①の(B)(C)を必要に応じて加筆・修正する必要があります。

上記①の(A)と無期転換社員用の就業規則を作る(または有期契約社員用の就業規則を無期転換社員に適用することに問題がないかを検討する)のは、無期転換社員が生まれるのは5年後であるため、まだ時間があると言えます。今後、無期転換社員についての考え方を社内でじっくりと検討していくことになるかと思います。

昨日はBBクラブの勉強会が行われ、150人を超える会員の参加でとても盛大でした。変わらぬクラスのOBの勉強しようという意欲に感謝するとともに頭が下がりました。また、みんなが年々大人っぽくなったりお母さんらしくなったりするのを見ることができるのはとても嬉しいことです。今回は労働契約法、高年法、派遣法の改正があったため嬉しそうな島中先生の講義も充実しており、またメンタルヘルスに取り組んでいる会員の橋本さんの開業体験談も、特に定年後テーマを持って開業していくモデルとして有意義なお話であったのではないでしょうか。今後BBクラブをどのように運営していくか、特に第1期生の幹事を中心に幹事さんたちが一生懸命考えてくれているので、20周年に向けてさらに何かアイディアを形にして良い勉強会にして行きたいです。勉強会の後は2次会の立食で懇親して、その後3次会はおでん屋さんの後に新たにできたお店でいつものようにたわいもない話をして盛り上がり、ダーツを皆でやりました(意外に難しかったですけれど皆すぐ上達してやはり若さとはすごいものだなあと思いました)。

 


労使協定の効力について

2013-01-13 23:43:00 | 法改正

「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表するものと(使用者と)の書面による協定」このフレーズは15年間の講師生活でどれだけ口にしただろうといつも思い出します。実務においては単に「労使協定」と言ってしまうのでほとんどこのフレーズを口にすることはないのですが。

社労士試験に合格した時は恥ずかしながら「労使協定」=36協定だと思っていました。講師になって初めて労使協定とは36協定を含む上記の書面協定であり、賃金からなにがしかを控除する場合、1年単位の変形労働時間制や専門業務型裁量労働制を採用する場合に必要な条件と勉強したという感じです。

この労使協定というのはその成立要件や協定の当事者など深いテーマが色々あるので私は大好きなのですが、なんといっても一番好き(この感覚は自分は変わり者なのだろうなと自覚しています)なのは「労使協定の効力」についてです。

労働基準法上の労使協定の効力は、一般的には、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという「免罰効果」をもつものであり、労働者の民事上の義務は当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要である(昭和63.1.1基発1号)。

要するに労使が合意したという証である労使協定を締結することにより、労働基準法の原則規定の例外の条件を満たすことになり、例外的な運用をしても労働基準法に違反することはなく「罰を免れる効果がある」ということです。また、労使協定の効力はそれ以上ではないため、例えば労働者に時間外労働をさせるためには、労使協定に加えて、労働協約や就業規則等にその根拠が規定されている(例えば時間外労働であれば就業規則に「時間外労働をさせる場合がある」という規定があること)ことが必要であるということになります。

1月末から3月にかけて、労働契約法・高年齢雇用安定法・派遣法の改正を顧問先や業界団体などのセミナー等でお話しさせていただくことになっており明日から本格的に準備する予定です。それに先立って先日三上弁護士のセミナーを受けてきたのですがなるほどと思う点がありました。高年法の今回の改正では、高年齢雇用確保措置の継続雇用制度の基準は原則廃止になりますが、年金の支給開始年齢に合わせて経過措置が設けられています。要するにまだ経過措置により継続雇用制度の基準は労使協定に残ることになるケースが多いと思うのですが、この基準を設けるなら労使協定だけではなく就業規則等にも規定しておかなければならない。なぜならば労使協定だけでは免罰効果を発生させるだけで、根拠にはなりえないからということでした。大好きな労使協定の効力のところだ!とうれしくなってしまったのでした。

ちなみに、この基準は平成25年3月31日までに規定しておかないと、4月1日以降は新たに設けることはできないことになることも注意が必要です。

明日からまずは顧問先にご連絡するための、改正法の実務対応の取りまとめを始めます。だいたい頭の中にこれまでざくざくと入れてきた状態を整理して行くので、ちょっと楽しみです。お正月休みも長かったですしその後の3連休で、ちょっとなまってしまったような気がする頭をそろそろ本格的に回転させていきたいと思っています。


管理職セミナー

2013-01-06 22:12:15 | 雑感

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年は年末年始のお休みが暦の関係上とても長く、家じゅう大掃除をしてさっぱりした後、のんびりとお正月を過ごしました。明日から事務所がスタートするのですが、実は私は4日の日に渋谷区役所の新年会に出席しましたので、すでに新年は始まって、明日からの仕事についてもある程度準備を済ませました。2013年は快調にロケットスタートを切りたいと思います。

管理職セミナーを時々させて頂いています。これまで知っておきたい法律などを中心にお話していたのですが、昨年末行った管理職セミナーは「管理職の役割とは」という人研S先生の前半部分を入れた内容にしました。これは資料の作成を行った段階からなかなか示唆に富む事柄が多く、自分自身勉強になったと思います。

よく思い出すのですが、TACの講師として教壇に立ったとき何が一番困ったかというと、「労働に関する一般常識」の科目でした。とにかく社会での経験は2年間のOL時代しかなく、特に労務管理については何十年とサラリーマンとして社会で生きてきた受講生にどんな話をすればよいのか皆目見当がつかなかったというのが正直なところです。それでも受講生は私のつたない講義を真剣に聞いてくれました。本当にありがたいと今でも思います。その後何とか「労働の一般常識」をものにしてやろうと考えて科目担当になったり、問題集を作らせてもらったりと小さなことではありますが当時の私にとっては大きな挑戦をして、いわゆる労務管理のオーソドックスな手法や近年注目されている手法を学んできました。勉強すればするほど面白く、それを顧問先企業の労務管理の実務に結び付けられることもやりがいがありました。

ただ最近事務所の規模が大きくなり、組織というものについて、管理職の役割について、さらに考えるようになったと思います。ある意味実感できるようになりますます奥深さを知ったように思います。

管理職は、上の考えを理解し下に的確に指示する役割、横との連携に気を配り、また自らプレーヤーとして仕事をして行くなど、かなり色々な頭の使い方をしなければなりません。これをパワーポイントで整理してセミナーで聞いてみるととても分かりやすく、管理職ではない部下にも話して欲しいというご要望があったのもよく頷けます。私も事務所のスタッフに一度ミニ勉強会で聞いてもらった方が良いかなと考えたくらいですので。そういう意味では組織の中での管理職の役割を知ることは、その部下の役割も明確になる面があるのかもしれません。

もう一つ最近気が付いたのは「組織のイガイガについて」です。小さな集団の場合はできるだけみんなで仲良く仕事をしていくということだけでよかったと思いますし、小さいだけにそうでなくては上手くいかないということもあると思います。しかし少し人数が増えてきたときにあるイガイガした違和感についてどう対応すべきなのかというと、それは受容ということが大切なことかと思います。これは上としてはなかなか難しいことなのですが、受容の受け皿が大きければ大きいほど組織としては可能性を内在させているということだと思うのです。そういう意味で組織にとっては「イガイガ」もある程度はでありますが必要なものと最近考えるようにしています。器ということで行けば、管理職はどのくらいの器となれるのか、いつも試されているといってもよいかと思います。

箱根駅伝、今年もいろいろなことを考えさせられましたね。日体大の3年生キャプテンは本当に頼りになる人というのが雰囲気に出ていました。体育会で4年生を差し置いて3年生がキャプテンになるというのはあり得ないことだと思いますが、結果は予選会から勝ち上がった優勝でした。うまくいかない時期を乗り越えることで大事なものを手にすることができる、私にとっての「労働の一般常識」もそうですが弱みがあるからそれにくらいついていくことで強みに変えることができる、ということがあるのでしょうね。TACの講師時代と同じように、今のところ自分の中に「挑戦していく気持ち」というのはまだまだ強くあるように感じています。その気持ちがあるうちは社労士として元気に仕事をして行けるのかなと思っています。今年も張り切っていきましょう。