OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

責任者・推進者・担当者

2015-03-30 00:29:42 | 労務管理

4月から施行される特措法(前々回のブログに記載)で「高年齢者雇用推進者」が登場しましたが、顧問先企業にそのことをお話したところそういうものがあるのですね~と言われたため、「責任者、推進者、担当者」をピックアップしてみようと思いました。以下条文に多少加筆してあります。

●職業紹介責任者  (職安法 第32条の14)   有料職業紹介事業者は、職業紹介に関し次に掲げる事項を統括管理させるため、厚生労働省令で定めるところにより、第32条第1号から第3号までに該当しない者(未成年者を除く。)のうちから職業紹介責任者を選任しなければならない。・・義務

●派遣元責任者  (派遣法 第36条)   派遣元事業主は、派遣就業に関し次に掲げる事項を行わせるため、厚生労働省令で定めるところにより、第6条第1号から第8号までに該当しない者(未成年者を除く。)のうちから派遣元責任者を選任しなければならない。・・義務

●派遣先責任者  (派遣法 第41条)   派遣先は、派遣就業に関し次に掲げる事項を行わせるため、厚生労働省令で定めるところにより、派遣先責任者を選任しなければならない。・・義務

●高年齢者雇用推進者 (高年法 第11条)  事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければならない。 ・・努力 

●再就職援助担当者 (高年法 第17条2項) 求職活動支援書を作成した事業主は、その雇用する者のうちから再就職援助担当者を選任し、その者に、当該計画に基づいて、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所と協力して、当該求職活動支援書に係る高年齢者等の再就職の援助に関する業務を行わせるものとする。・・義務

●障害者雇用推進者  (障害者雇用促進法 第78条)   事業主は、その雇用する労働者の数が常時50人以上であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる業務を担当する者を選任するように努めなければならない。・・努力

●職業能力開発推進者  (職業能力開発促進法 第12条) 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる業務を担当する者(以下「職業能力開発推進者」という。)を選任するように努めなければならない。・・努力

●短時間雇用管理者 パート労働法 第15条   事業主は、常時10人以上数以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする。・・努力

●職業家庭両立推進者 (育介法 第29条) 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、第21条から第27条までに定める措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければならない。・・努力

●機会均等推進責任者  (局長通達・平成12.5.31付女発第175号)厚生労働省では、男女雇用機会均等法に定める女性労働者の能力発揮促進のための事業主の積極的取組(ポジティブ・アクション)の推進を図るため、人事労務管理の方針の決定に携わる方を「機会均等推進責任者」として選任いいただくようお願いしています。

●外国人労働者の雇用労務責任者  (外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針 第6)  事業主は、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、この指針の第四に定める事項等を管理させるため、人事課長等を雇用労務責任者(外国人労働者の雇用管理に関する責任者をいう。)として選任すること。・・義務


●安全衛生推進者・衛生推進者  (安衛法第12条の2)   事業者は、安全管理者及び衛生管理者の選任を要する事業場以外の事業場で、使用する労働者の数が常時10人以上50人未満の事業場ごとに、安全衛生推進者(安全管理者の選任を要する業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第10条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除くものとし、第11条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。・・義務

 桜があっという間に満開になりました。今年は冬もあまり寒さが身体にこたえるということもなく春が来たような気がします。先日TAC講師時代の受講生が九州に転勤になり壮行会ということで久しぶりにその学年が12人程で集まりました。

転勤することになった彼は、OB会の幹事として勉強会のときも、事務所の移転のときも、BBQの幹事としてもなくてはならない存在ではありますが、数年はなかなか会えなくなってしまいます。転勤の話があったときすぐに電話をしてくれたのですが東京会の視察旅行でベトナムにいてその連絡をメールで受けることになりました。心配は色々とあると思いますが、サラリーマンとしては必要な経験だと思いますし、前向きに充実した時間を過ごしてくれるとよいなあと思いました。幸い数年前に結婚もして可愛い娘さんも授かり、安心して背中を押してあげたいと思います。

桜の季節はどうしても卒業と入学の思い出が多いですが、私も渋谷支部の支部長を卒業ということで最後の役員会が先週ありました。役員みんなに2年間の感想を頂いて、最後に少し思い出すことなど話をしましたが、この4年間思い出すことはきりがなく、あっという間ではありましたが沢山の出来事があったと気が付きます。また次のステージでは新たな気持ちで取り組んでいきたいと思います。

明日から次の期がはじまるまで少し時間がとれそうですので、書類の整理とデータ化をしようと思います。今日は美容院にも行き、壊れかけていたスマートフォンも買い替えいよいよ新年度モードに突入できそうです。


パートタイム労働法改正(通勤手当について)

2015-03-22 20:47:37 | 法改正

先週、東京都労働相談情報センター主催の改正パート労働法のセミナーの講師をさせて頂きました。今回は会社側の担当者が主で、改正ということで皆さん非常に熱心に受講頂きました。その中で通勤手当に係る改正についてのご質問があり、なかなか面白い部分でしたのでブログでご紹介します。

今回、平成27年4月1日施行のパート労働法の改正は、以下の通りです。

I 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、これまで、以下の(1)(2)(3)の条件に該当していることとされていました。

(1) 職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者

改正後は、「(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者」は削除され、(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。

・・・要するにこれまで契約期間が定められていて契約を更新するパートタイム労働者については差別的取り扱いの禁止対象から除外されていたところが、4月以降は対象に含めることになったということです。

Ⅰの改正に関連して、改正パート労働法第10条に、「事業主は通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。次条第2項及び第12条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。」という規定があります。

この第10条に定める均衡考慮の努力義務から除外する厚生労働省令で定めるものは以下の通りです。

パート労働法施行規則第3条   法第10条 の厚生労働省令で定める賃金は、次に掲げるものとする。
1)通勤手当 2)退職手当 3)家族手当 4)住宅手当 5)別居手当 6)子女教育手当

7) 前各号に掲げるもののほか、名称の如何を問わず支払われる賃金のうち職務の内容(法第八条第一項 に規定する職務の内容をいう。次条において同じ。)に密接に関連して支払われるもの以外のもの

この努力義務の対象から「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるもの」が除外されているが、そのうち、通勤手当について、「職務の内容に密接に関連して支払われるもの」については、均衡待遇の努力規定の対象とすることとし、今回の改正で除外するものから除くこととされました。

労働政策審議会の答申の論議の過程で、「距離や実際かかっている経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っているような場合については職務関連として整理されるのではないか」とされたためです。

これは通勤手当という名称であっても距離や実際の経費と関係なく一律に支払われる通勤手当については、通勤手当というよりは月例賃金の一部と考えられるのでパートタイマーと言えども通常の労働者と均衡がとれるように努力することとされたというわけです。

通勤手当については、割増賃金についても「一定額が最低額として距離にかかわらず支給される場合は、その一定額も算入しなければならない」とされています(昭和22.11.5基発231号、昭和23.2.20基発297号)。

考え方は同じことだと思いました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/siryou2-3.pdf#search='%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%B3%95%E3%80%81%E9%80%9A%E5%8B%A4%E6%89%8B%E5%BD%93%E3%80%81%E6%8C%87%E9%87%9D%E3%80%81%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81'

※Ⅰ以外の改正は以下で確認してください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_02.pdf

明日はOURS総勢14人で事務所日帰り研修旅行に行きます。年に1度は行っている行事ですが、今回も法務省の見学や農林水産省の食堂での昼食など盛りだくさんで楽しみです。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。

いよいよ3月も終盤にかかってきました。4月は新たな気持ちでさらなるパワーアップをしていきたいと思っています。頑張っていきましょう。


有期雇用特別措置法(特措法)施行規則案要(続き)

2015-03-15 17:35:49 | 法改正

先週のブログで取り上げた「有期雇用特別措置法」ですが、先週事務所のスタッフYさんが研修会に参加して資料と情報を仕入れてくれました。やはりHPで要綱案等を見ただけでは分からなかった内容が、資料には書かれていて、やっとだいたいのことが分かってきたという感じです。

「高度専門職」への特措法の適用の場合、その高度の専門的知識等を必要とし、5年を超える一定の期間内に完了する業務(特定有期業務=プロジェクト)に従事することを要件としており、プロジェクトに従事する際のパターンが詳しく書かれています。概ねプロジェクトが2つ目に引き続き突入したり、重複したりしても雇入れ時からプロジェクトの年数までが特例措置の対象となるというところがポイントになるようです。

また高度専門職は年収1075万円以上を要件とするわけですが、この金額というのは労基法第14条に定める契約期間が5年まで認められる高度の専門的知識等を有する者の年収要件と同じになります。これは今後国会で審議される労基法の改正における「高度プロフェッショナル労働制度(以前はホワイトカラーエグゼンプションの考え方)も同じ年収要件になります。

この年収1075万円というのは何を根拠に出しているかというと基準年間平均給与額(毎月勤労統計における労働者一人当たりの給与の平均額)の3倍の額を相当程度上回る水準ということになるそうです。

先週は特措法の対象になる人たちの要件などをブログに書きましたが、その時点ではどうも認定について正直良くわかりませんでした。今回研修資料を見てその流れがやっとわかりましたので以下に書いておきます。しかしまた無期転換には時間的余裕がかなりあるため、労働局では急ぎ認定を受けてもらわなくてもよいということを強調していたようです。

基本的な仕組(無期転換ルールの特例の適用を希望する事業主が行うこと)

①特例の対象労働者に関して、能力が有効に発揮されるような雇用管理に関する措置についての計画を作成

②作成した計画を、本社・本店を管轄する都道府県労働局に提出

③都道府県労働局から認定を受ける

④認定を受けた事業主に雇用される特例の対象労働者(高度専門職と定年継続雇用者)について、無期転換ルールに関する特例が適用

⑤特例対象者と雇用契約を締結・更新する場合は、無期転換ルールに関する特例が適用されていることを対象者に明示する必要あり

⑤により雇用契約書のモデルを修正する必要が出てきました。まだHPには出ていないようですがひな形が用意されているようですので、それを利用するか自社の契約書モデルに加える必要があります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073626.html

今週末はかなり休養に力を入れました。それでも確定申告を電子申請で済ませたり、統括支部の新年度の予算・計画のことを考えたり、週明けのOURSセミナーの予習もありそれほど休めませんでしたが、土日とも昼寝もしてだいぶ人心地がつきました。

先週の労務行政のセミナーは本当に受講された方が熱心で驚きました。昼食後の間の時間帯も一人もウトウトする方もなく受講して頂いたいので本当に感激しました。予習にあまり時間がかけられていなかったので心配でしたが、何とかこの1年間に起こった実際の事例なども盛り込むこともでき、また質問が実際に起こったレベルの高い内容であり、このセミナーをさせて頂いているお蔭でこちらも日々勉強になります。

社会保険・労働保険の手続は本当に複雑で、色々なケースに対応できなければなりません。マイナンバーで添付書類が必要なくなるからと言って社労士の存在はますます必要になるなあと実感しました。

明日のOURSセミナーは秋のテーマ別をお休みしたこともあり久しぶりです。会場もコストの関係で新しく田町を開拓しましたが100人以上でもOKということで楽しみにしております。


有期雇用特別措置法施行規則案要綱

2015-03-08 23:21:31 | 法改正

4月1日から施行される「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」の施行に向けて施行規則案要綱が厚生労働省案として示され、労働政策審議会から妥当と答申がありました。

厚生労働省では、この答申を踏まえ、速やかに省令・告示の制定を進めるとともに、施行に向けた事業主等への周知に取り組んで行くとのことです。 今後労働基準監督署を始めとして周知を強化することになっており、先日の渋谷労働基準協会の基準部会の打合せでも話が出ていました。認定の申請もあるため説明会には一度出てみた方が良さそうです。

有期雇用特別措置法の内容は、「高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者(高度専門職)」と、「定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)」が、その能力を有効に発揮できるよう、事業主が雇用管理に関する特別の措置を行う場合に、労働契約法第18条に定められた「有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる無期転換ルール」に特例を設けるものです。

特例の内容としては、高度専門職については一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)、継続雇用の高齢者については 定年後に引き続き雇用されている期間、それぞれ無期転換申込権が発生しないこととするものです。  

施行規則案要綱は、「 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特例の対象となる高度専門職の年収要件(1075万円以上)や、特例の対象となる事業主についての認定事務などに関する規定の整備を行うものです。

また、 有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例の対象となる高度専門職については、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の 規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案要綱」に定める以下のいずれかに該当する者とするものです。

1 博士の学位を有する者

2 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士

3 ITストラテジスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者

4 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者

5 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニア又はデザイナー

6 システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント

7 国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記1から6までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

その他「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に 関する基本的な指針案要綱」では、事業主が、有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例対象者に関する認定を受けるに際しては、特例の対象労働者に対して、以下の雇用管理に関する措置を行うべきこととするとされています。

 <高度専門職関係> 以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこと。

 ・教育訓練に係る休暇の付与
 ・教育訓練に係る時間の確保のための措置
 ・教育訓練に係る費用の助成
 ・業務の遂行の過程外における教育訓練の実施

 ・職業能力検定を受ける機会の確保
 ・情報の提供、相談の機会の確保等の援助

 <継続雇用の高齢者関係> 高年齢者雇用確保措置を講じた上で、以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこと。

 ・高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
 ・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等

 ・作業施設・方法の改善
 ・健康管理、安全衛生の配慮
 ・職域の拡大
 ・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進

 ・賃金体系の見直し
 ・勤務時間制度の弾力化

参考  http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073626.html     

今週末はOURSセミナーのレジュメを作りましたが、大事な法改正が多いなあと感じました。マイナンバーも気になりますが、パート労働法や安衛法のストレスチェック、障害者雇用もあり、派遣法も注目しておく必要があり、さらに労基法改正の動向も知っておかねばならず、人事担当者も社労士もかなり今年は勉強が必要な気がします。OURSセミナーはすでにかなりお申し込みを頂いており、できるだけ有益な情報を提供することを目指して頑張ります。

なかなか毎日忙しく、外出することが多いためインプットの時間が取れないのが悩みではありますが、セミナーの準備をする中でなんとか勉強できているのが救いです。それとブログを毎週書くのもインプットの貴重な時間になっています。社労士でいる間は、これだけは続けていかないといけないですね。


安衛法における事業場の単位

2015-03-04 01:23:46 | 労働保険
今日は支部の今年度最後の研修で安衛法の講義を受けました。内容はもう少し具体的な事例を聞いてみたかったのですが社労士試験向けの安全衛生管理体制の各要件などのお話で、講師時代に講義で話していたことが間違っていなかったという確認はできました。研修をご依頼する際に講師と打合せをしてかなりニーズを伝えたつもりでしたし、こちらからご質問を10個弱お送りしていたのですが、やはりなかなかニーズをお伝えすることは難しいものですね。
 
事務所に戻るとちょうど安衛法のご質問が来ていました。監督署の臨検で「安全衛生推進者」を選任する必要があると指摘があったとのことでしたが、その事業場は事務部門であり本業の現業部門とは別の場所にあるためその他の業種として「衛生推進者」の選任で問題ないように思いました。「安全衛生推進者」は安全管理者選任業種の規模10人以上50人未満の際に選任します。安全管理者選任業種に該当しない場合の規模10人以上50人未満の事業場の場合は「衛生推進者」の選任で足りるとされています。
 
事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3「事業場の範囲」で示されています。
 
その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場の適用範囲は、労動基準法における考え方と同一です。
 
つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。
 
例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。
 
また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。
 
この例としては、工場の診療所などがあげられます。なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされており、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。
 
就業規則も36協定も1つの事業場として届出しているということで別の場所にある現業部門と同じ業種になるという考え方は納得できず、是正内容を修正できないか今後監督署に働きかけることにしました。
 
この労基法・安衛法の事業の考え方と、徴収法の労働保険料の一括(継続事業の一括)とは異なる考え方です。労働保険料の一括をしていたからと言っても労基法上や安衛法上の一括がされているわけではありません。労働保険料の一括納付の申請をしているからと言ってもそれはあくまでお金(労働保険料)の払い方の問題のみであり、就業規則や36協定は上記通達の事業の考え方により届出をそれぞれの事業所において行わなければならないことになります。
 
先週末金曜日から日曜日までの3日間ベトナムのハノイに東京会の研修旅行で行ってきました。ベトナムはかなり昔に「サイゴンから来た妻と娘」を読んでからずっと憧れていたのでとても嬉しく、楽しんで参りました。ところが日曜日の日本に着く際に羽田上空で春の嵐に見舞われ2度着陸を試みるもどうしても降りることができず成田に降りる羽目に。その2度の着陸の試みの際の機内の揺れは尋常ではなく私の周りでも気分が悪くなる人も続出し、生きた心地がしないとはこういうことを言うのねという感じでした。ちなみに生まれてこの方「乗り物酔い」を経験したことが1回しかない私は気分の方は全く大丈夫でした。
 
結局成田では給油のみをして再度飛び立ち羽田に今度は特に大きな揺れもなく着陸したのが11時半過ぎで、荷物を取り出し税関を通って外に出たら既に電車もモノレールは終わっておりタクシーを30分待って家に帰りました。タクシーはその後さらに並んだ人が多かったらしく3時まで羽田で飲んでタクシー乗り場に行った人はまだ200人待ちだったとか。
 
そこでこれまで法人化してから盆暮れなど予定通りの休み以外ほとんど休んだことがなかったこのブログを日曜日に更新できず今日の更新になりましたことお詫びいたします。まあ生きて帰れましたので良かったです。