OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

海外派遣の特別加入と海外出張との関係について

2016-04-24 23:23:07 | 労働保険

昭和22年4月に労災保険制度は施行されたのですが、時を経て海外派遣の特別加入は昭和52年にできた制度です。

海外派遣の特別加入と海外出張との違いについては「指揮命令」の所在が判断の基本となります。

「特別加入海外派遣と海外出張の区別」は、昭和52年3月30日基発192号の通達で示されています。

●海外派遣の特別加入制度について

(略)

七 海外出張との関係
海外派遣者の特別加入制度の新設は、海外出張者に対する労災保険制度の適用に関する措置に何らかの影響を及ぼすものではない。
すなわち、海外出張者の業務災害については、従前通り、特段の加入手続きを経ることなく、当然に労災保険の保険給付が行われる。
なお、海外出張者として保護を与えられるのか、海外出張者として特別加入しなければ保護を与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場の所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのか、
という点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきである。

厚生労働省特別加入制度のしおり(海外派遣者用)P4に一般的な例示が載っているのでご参考まで。
http://www.sr-horikawa.com/blog/panf-rousai/%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%8A%A0%E5%85%A5%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8A%E3%82%8A%E3%80%80%E6%B5%B7%E5%A4%96%E6%B4%BE%E9%81%A3%E7%A4%BE%E7%94%A8%EF%BC%88H23.3%EF%BC%89.pdf

なお、海外出張である場合でも、それが長期にわたる場合は「出張」と認められないリスクを考えて海外派遣の特別加入を念のため申請しておくという企業も実際にはあるようです。

また、海外の現地法人の社長として勤務する場合、中小事業主として海外派遣の特別加入をすることも可能ですが、国内と同様に事業主の立場において行われる事業主本来の業務を行っていた際の災害についての保証はされません(上記しおりP6~)。通常労働者も行う業務を行っている場合でなければ認定されない可能性がありますので留意が必要です。

金曜日に山手統括支部の定期会議がつつがなく終了しました。これで統括支部長も2年目となり、渋谷支部の支部長から通算すると6年目になります。社労士会の仕事で昨年はかなり事務所運営をおろそかにしてしまいましたが、ここにきて人員体制も安定してきて若干雰囲気が変わってきましたので事務所の方向性を改めて考えてみたいと思います。

先日20年来ご依頼頂いている顧問先の社長より温かい言葉を頂き、長年のお付き合いのありがたさをしみじみ感じました。人数が増えてもやはりOURSは、社員間においては家庭的な面を忘れずに、ただそれに甘えることなく仕事では高いレベルでのアドバイスと信頼されるきめ細かな手続き業務を提供できるようになりたいという目標は忘れてはいけないなと自分の気持ちを引き締めました。


契約社員の育児休業取得要件

2016-04-17 23:04:25 | 労働法

育児介護休業法の定めによれば、契約社員(契約期間の定めのある社員)が育児休業を取得するには、一定の条件を満たす必要があります。この条件は平成29年1月1日に改正されることになりましたが、現在はどのような条件なのかというとなかなか理解が難しい条文になっています。

 (育児休業の申出)
第5条 労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者については、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
①当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
②その養育する子が1歳に達する日(以下「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
 
上記のうち②はとても解読するのに難しいのですが、要するに以下の通り整理されます。
1.子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されていることが見込まれていること、かつ、
2.子の1歳到達日から1年を経過する日(=子の2歳の誕生日の前々日)までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと
 
このうち1.の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されていることが見込まれているとは、「書面等に労働契約を更新する場合がある旨明示されており、育児休業申出時点で締結している労働契約と同一の長さの期間で契約が更新されたならばその更新後の労働契約の期間の末日が1歳到達日後の日であるもの」などが指針で示されています。
 
さらに、2.の子の1歳到達日から1年を経過する日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないことについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断するものとしています。
 
例えば、育児休業申出のあった時点で、 書面等に労働契約の更新回数の上限が明示があり、当該上限まで労働契約が更新された場合の期間の末日が1歳到達日から1年を経過する日以前の日である場合は、原則として、労働契約の更新がないことが確実であると判断されることになります。
※ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等から、これに該当しないものと判断される場合もあり得るともされています。
 
この条文は、改正により2.は以下の通りシンプルになります(平成29年1月1日施行)
・その養育する子が1歳6カ月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
 
(参考指針)
子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)
 
熊本を中心とした地震が早く収まることを祈っています。阿蘇は一度旅行で行きましたが美しくとても感激しました。元通りの姿にできるだけ早く戻れるようにと願います。
 
原稿の仕事が入り5月連休は集中して取り組むことになりそうです。今回はチームで作り上げることになり、それはそれで楽しみです。まだまだ資料が少ないので、労働政策審議会の資料をよく読んで研究してみようと思います。

70歳以上の在職老齢年金について

2016-04-10 22:16:51 | 年金

70歳以上で働いている場合の在職老齢年金の支給停止については、意外に知られていないかもしれません。

厚生年金保険の当然被保険者は70歳未満とされ、70歳に到達すると被保険者資格を喪失することになります。それでは70歳以上の場合は厚生年金保険の適用事業所に使用されていても何も影響がないかというとそういうわけではありません。

70歳以上になっても当然被保険者に該当する要件(所定労働時間等がその事業所の同様の業務に従事している一般労働者の概ね3/4以上であること等)を満たす場合「70歳以上被用者」とされ「70歳以上被用者該当届」を届け出ることになります。なぜこの届出を行うかというと、65歳以上の在職老齢年金が引き続き適用されるためです。従って、報酬額によっては70歳以上であっても在職老齢年金として年金が支給停止される場合があるということになります。なお保険料は70歳以上の場合徴収されることはありません。

※70歳以上で在職老齢年金の支給停止になる場合は、あくまでも働いている事業所が厚生年金保険の適用事業所であり、本人も70歳未満であれば当然被保険者に該当する時間数等で働いている場合であり、たとえば個人経営の事業主として働いている場合については在職老齢年金の支給停止になることはありません。

70歳以上で当然被保険者と同様の勤務時間で働いている場合というのは一般のサラリーマンであると少ないかもしれませんが、自分で会社をやっている社長などは70歳以上の方も多く、また報酬も高いため70歳以上であっても老齢基礎年金しか受給していないというケースは結構あるものです。

そもそも平成12年の改正までは、65歳以上は年金を全額支給することになっていました。しかし平成12年の改正により60歳代後半(65歳以上69歳)は、在職老齢年金の支給停止の仕組みを導入することになりました。この60歳代後半の在職老齢年金の支給停止の仕組み(高在老)は、60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金の支給停止の仕組み(低在老)より緩やかなものです。また支給停止は2階部分の老齢厚生年金に対してのみ行われ、1階部分の老齢基礎年金は全額支給されることになっています。

この平成12年の改正による60歳代後半の在職老齢年金の支給停止は平成14年に施行されるのですが、平成16年にはさらに上記に書いた70歳以上に対しても同様に在職老齢年金の支給停止の仕組みを導入する改正がありました。

しかし平成16年の改正が決まったとき、施行日である平成19年4月1日において70歳以上である昭和12年4月1日以前に生まれた人については在職老齢年金の支給停止は行わないとされました。すでに年金を満額受給している70歳以上の年金に対しての既得権を守った形になりました。

ただ平成27年10月1日からは、この昭和12年4月1日以前の老齢厚生年金についても在職老齢年金の支給停止が適用されることになりました。これは被用者年金一元化法によるもので、共済年金には昭和12年4月1日以前生まれの特例はなかったことが原因です。

昭和12年4月1日以前生まれの人についての支給停止については60歳代後半の在職老齢年金の仕組みが適用されますが、平成27年9月30日以前より引き続き勤務している場合は激変緩和措置が適用され、報酬と年金の合計の10%が支給停止の上限になっています。

https://www.nenkin.go.jp/jigyonushi/index.files/1120.pdf#search='78%E6%AD%B3%E3%80%81%E6%98%AD%E5%92%8C12%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E5%89%8D%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C

北島康介選手が引退することになりましたね。今回も何とかリオに行って欲しいと思っていましたので残念な気持ちでいっぱいですが、やはりいつかはそういう時が来るということで仕方がないのだろうとも思います。

またオリンピックに挑戦すると聞いた時に、みじめなことにはなって欲しくないという思いと、北島ならやってくれるんではないかという思いがありました。柔道の野村忠弘選手が引退することになった全日本を観戦して負けたところを見ていた北島選手が、自分のことと重ね合わせているのだろうなというのはその表情からよくわかりました。そのあとの挑戦についてはここのところよく報道されていた通りです。

これまでの軌跡の中では特に北京の100メートルが一番会心の泳ぎだったようですが、私の中でも同様でした。ミスチルの「GIFT」とともにどれだけ励まされたかわかりません。何度も感動させてもらいましたが、今回も最後の最後まで挑戦し続けることで「やり切った」といえるところまで私も頑張ってみようと励まされました。


衛生委員会のメンバーについて

2016-04-03 21:42:13 | 労働法

常時50人以上の労働者を使用する事業場については、衛生委員会を設置しなければなりません。

衛生委員会のメンバーは事業者が指名することになりますが、安衛法(第18条2、3項)に要件が定められています。A.以外のメンバーの半数については、当該事業場の過半数労働組合又は労働者の過半数代表の推薦に基づいて指名しなければなりません。

A.総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で、事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者 1名(議長) 

B.衛生管理者 1名以上 

C.産業医 1名以上

D.当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上

また、事業場の労働者で作業環境測定を実施している作業環境測定士をメンバーとして指名することもできます。。

このメンバーに社会保険労務士が加わることが必要なのではないかと最近考えるようになりました。

衛生委員会の調査審議事項は、 以下の通りです(安衛法第18条1項)。

1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること

2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること

3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること

4.前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

上記「労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項」は特に社会保険労務士の業務と密接な関係があります。例えば重要事項には以下の項目が含まれています(安衛則第22条)。

①定期的に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断および法に基づく他の省令に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。

②労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。

③長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること(平成18年改正で追加)。

④労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること(平成18年改正で追加)。

⑤厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

上記に挙げた事項については社労士業務で企業にアドバイスしていることばかりです。健康診断についての法律の定めについてもよくご質問がありますし、長時間労働については時間管理のことから36協定まで、ストレスチェックについてもご相談が多くあります。また監督署から是正指導等を受けた際の適正化の支援など、日常的に行っている業務ばかりです。

開業社労士が外から衛生委員会に参加することで法的にも適正で効果的なアドバイスをすることが可能になりますし、また企業に所属をする勤務社労士も人事に所属していない場合でも衛生委員会に参加することで国家資格である社労士の資格を取得する際に体系的に学んだ知識をそこで有効活用することが可能です。また最近社労士の取り組みが増えている「がん患者就労支援」も関係してくる可能性があります。今後色々な場面で社労士が衛生委員会のメンバーになることの必要性を説明していこうと思います。

ここに来てちょうど年度の狭間のためか少し時間的な余裕が出てきました。先週はそれを利用して、事務所内の気になっていた場所の整理整頓やずっと手が付けられなかったモデル就業規則やチェックシートのメンテナンスを行い新年度のスタートがうまく切れたような気がします。モデル就業規則は10年以上前に自分でモデル条文とポイントと関連法律や通達を載せているもので、すでにVol8まで来ました。

企業からのご質問やいろいろな案件を折々手元のモデル就業規則にメモしておきそれを反映してきており、就業規則を作成するときやチェックをする際のご提案条文も持ってくることができて長年便利に利用しています。

今週は懸案の法改正一覧に取り組む予定です。