OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

平成22年6月改正 育児介護休業法 

2010-02-28 22:24:09 | 産前産後・育児・介護休業

1月末のOURSセミナーを皮切りに、2月は5つのセミナーで講師の仕事をしました。そのうち育児介護休業法の改正については受講して頂いた方たちも特に熱心で、終わってからの質問は10人以上の方が列になるほどでした。企業の法改正に的確に対応しようとする姿勢がとても感じられうれしく思いました。これからブログでもポイントごとに取り上げていこうと思っています。

平成22年・改正育児介護休業法については、上記の写真にある本を株式会社労務行政さんより出させていただくことになりました。

法改正のポイント解説と就業規則(育介規程)や労使協定、必要な書式を載せてあります。アドバイスに沿って自社で就業規則をメンテナンスすることが可能になっています。

また後半は出産から子育て中までの、労基法・均等法・健康保険法や雇用保険法の必要な措置や手続きが非常に煩雑であることと考え、改正を踏まえてそれらを横断的に整理してワンポイント解説してあります。これにより長い間実務の参考として使える本にすることができたと思います。

興味のある方は以下のページよりご購入いただければ幸いです。https://www.rosei.jp/contents/detail/24077

今回の改正のポイントは、3歳未満の子がいる場合の短時間勤務制度の導入義務化など、実際の育児をしていく中で必要な措置が的確にとりいれられています。また父親の育休の取得も多くなってくるかなと期待されるものです。以下ポイントを挙げておきます。(施行日原則H22.6.30、④(2)は調停制度H22.4.1、それ以外の④の(2)はH21.9.30)

①育児休業期間 (1)専業主婦家庭除外規定の撤廃 (2)育児休業2度目の取得拡大 (3)育休期間1歳2カ月までのパパママ育休プラス創設

②3歳未満の子の養育期間 (1)所定外労働免除の義務化 (2)所定労働時間短縮措置の義務化

③小学校就学前の子の養育期間 (1)子の看護休暇拡大

④その他 (1)介護休暇制度の創設 (2)紛争解決への援助

労務行政さんの大阪のセミナーでは本当に熱心に受講していただきました。ありがとうございました。セミナーはこれで一段落でしたので、終了後京都によって命の洗濯をしてきました。最近唯一の趣味といってもよい小旅行ですが、これからもたくさん良い仕事をして、少しだけ自分で楽しめる時間が持てるのが幸せだな~と思いました。

 

 

 


改正労働基準法 法定休日と所定休日について②

2010-02-21 22:29:22 | 法改正

労働基準法の改正についてはだいぶ隅々まで分かってきていた気がしたのですが、今週3つある育児・介護休業法のセミナーの一つに労基法改正がセットになっていて、再度レジュメに手を入れていたところ気になる部分が出てきました。 

昨年秋に改正対応のQアンドAが出たのですが、「法定休日が特定されていない場合で暦週の日曜日と土曜日両方に労働した場合は、暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日となる」とされています。

 それでは、法定休日が特定されていない場合で、土曜日のみ労働した場合はどうなるのか?ということが疑問になってきました。

これは厚生労働省に問い合わせたところ頂いた回答は、「法定休日が特定されておらず土曜日のみ出勤の場合は日曜が法定休日となる。ただできるだけ法定休日は特定してくださいね。」ということとでした。

法定休日は、特定されていることが好ましいと通達で言われているだけで、労働基準法で特定しなければならないと定められているわけではありません(1年単位の変形労働時間制の場合は労働日を特定すること=休日を特定することになりますが、通常は特定を義務としてはいないのです)。

今回の改正により、時間外労働のカウントをこれまでに比べ正確に行わないと未払い残業となってしまう危険性もありますので、やはり法定休日を特定して、法定休日以外の所定休日を時間外労働のカウントにきちんと含めるようにすることが大事だと思います。

やはり説明するとなると単に読んで理解したと考えるのとは異なり、いろいろな気づきがあります。

 先週、厚生労働省の委託事業で社会保険労務士会主催のセミナーの講師をしました。テーマが「伸びる企業の人材確保術=有期契約労働者の雇用ルールと活用事例=」というものでした。最初テーマを聞いた時難しく感じたのですが顧問先企業から受ける質問等を思い浮かべているうちに、各社がそれぞれ考えながら人材活用をしているんだなと思いあたることも多く、それらを織り込みながら話をさせて頂きました。これからの世の中を考えると多様な就業形態を受け入れる必要があること、有期契約労働者に係る法律関係の中で注意すべきとこと、派遣法の改正をにらんだ今後の雇用管理など、自分にとっても勉強になったセミナーとなりました。

 


直接雇用の流れ

2010-02-14 20:55:30 | 労務管理

派遣法の改正が検討されていますが、その中でも一番大きな影響を企業に与えると考えられるのが「登録型派遣が26業務等を除き原則禁止」だと思います。

企業には今多くの派遣労働者が働いていると思いますが、そもそも派遣という働き方は臨時的なものという考え方が根本にあります。また、雇用関係は派遣元、働く場所は派遣先というように、労使関係が明確な直接雇用に比べ労働者保護に欠けるおそれがあるため、派遣法で様々な規制をすることで派遣労働者を守ろうとしているわけです。

ここにきて、顧問先企業でも対応が早いところはすでに手を打ち始めています。要するに派遣法の本来の「臨時的な働き方」という考え方に基づき、今後の派遣労働者の契約期間は1年以内とすることを社内的に徹底する。またすでに派遣期間が長くなっている場合は直接雇用に切り替えていく方向。

派遣労働者を使わないということになれば、直接雇用(パートや契約社員)とするかまたは外部委託ということで請負にするかということになります。先週は、製造業である企業から請負契約の契約書についてご質問が来ました。

連合の今期の春季交渉の取り組みでは、非正規社員から正社員への転換制度の創設についてが挙げられています。今年はそのあたりが多く議論されていきそうです。

今日はTACで昨年まで担当していた上級FASTの開校日でした。やはりどうしても気になって講義の15分前に行ってみました。みんなちゃんと頑張って来ていました。私も新たな気持ちになって今日から頑張りますから、8月の本試験まで気持ちをしっかり持って行きましょう。

 


改正労働基準法 フレックスタイム

2010-02-07 23:07:41 | 法改正

毎日寒いです。風邪をひかないように味噌汁にショウガを入れて作っています。

ところで労基法はブログでもセミナーでもずいぶん取り上げてきましたが、先週顧問先からのご質問でまた新たなことを調べてみました。

フレックスタイムの場合の60時間の考え方なのですが、以前から60時間を超える時間外労働をした場合割増賃金率を5割以上とする「60時間」の残業のカウントは、通常の時間外労働のカウントと同じということで、フレックスもそれは変わらないということでした。

フレックスの時間外の計算方法は、清算期間のうち総枠時間を超えた分を時間外労働とするということで、1日単位で8時間を超えたかどうかを見ていく必要はないわけです。

改正労働基準法の施行日は4月1日ですから、通常60時間を超える時間外労働は4月1日からカウントしていけばよく3月の時間外労働は含めない扱いとされています。要するに3月21日から4月20日までが賃金計算期間であれば、3月21日から31日までの期間の時間外労働はカウントせず、4月1日から20日までの時間外労働が60時間を超えた分について5割増しにするということです。

しかしフレックスの場合は先ほども書いたように1日単位で時間外労働をカウントすることはしないので、通常の場合と異なり、上記例と同じケースでは3月21日から4月20日までの総労働時から清算期間の総枠時間を控除し、超えた時間分が60時間を超えれば、超えた時間については5割増しにしなければならず、事実上3月分の時間外労働も含んでしまうことになるそうです。

実際運用してみるとまたいろいろと疑問が出てくるのでしょうけれどやはり労働基準法は難しくまた面白いですね。

そういえば2月17日(水)に東京都社会保険労務士会で行うセミナーの講師をします。http://www.tokyosr.jp/profile/topics/2010/10632/

伸びる企業の人材確保術 -有期契約労働者の雇用ルールと活用事例-という題名です。申し込みが少ないようですのでもしお時間あればご参加いただければ幸いです。

最近本当にいろいろなお仕事の依頼があり、有難いことですがさすがに目が回りそうな感じです。いくつものことをあれこれ考えながら段取りをつけて同時進行させて行くのが得意かもしれないと思っていたのですが、それにしても状況の変化も速くそれに合わせてダッシュしている感じです。変化が一段落しましたらご報告しますが、おおむね良い方向なのでご安心ください。そろそろ上級fast開校日が近づいてきましたね。ちょっとのぞきに行きたい気がしますがまずいかナ。