雇用対策法は実務的にはあまり目立たない法律ですが、国の基本方針を決める重要な法律だと思っています。「働き方改革の推進」という方針に沿って、この雇用対策法の大幅な改正について国会で審議される予定です。改正の内容についての一部ですが以下簡単に取り上げてみます。
【法律名の改正】
法律名を、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」とする。
【目的規定等の改正】
国が、労働に関し、必要な施策を総合的に講ずることにより、経済社会情勢の変化の中で、労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにすることを通じてその有する能力を有効に発揮することができるようにするとともに、労働生産性の向上を図り、もって労働者の職業の安定及び職業生活の充実並びに経済的社会的地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを法の目的とする。(第1条の目的規定を改正)
この法律名と目的条文の改正は大きな意味を持つと思います。これまで雇用対策法は「雇用」についての国の政策に対して必要な施策を総合的に講ずる、という目的を持っていたのですが、「労働」に代わっています。今後の展開をしっかり見ていく必要はあるかと思いますが、働き方改革一色になってしまうという点で若干違和感がないわけではないのですが、それくらい国が「働き方改革」に本気で取り組むということのように思えます。
第3条の基本理念に追加されるのは、労働者に対して、職務の内容及び必要な能力等の内容が明らかにされ、それらについて公正な評価と処遇等が効果的に実施されることにより、その職業の安定及び職業生活の充実が図られるように配慮される、とされています。
その他国の講ずべき施策には、ワークライフバランス、多様な就業形態の普及、異なる雇用形態等の労働者間の均衡待遇の確保、育児・介護の両立支援、母子家庭の母等の就業促進、治療を受ける労働者の就労支援等まさに働き方改革実行計画の内容と言っても良い内容が追加されることになっています。
国会の審議ではあまり目立たない可能性がありますが、注意してみていく必要があると思っています。
今日は顧問先のご担当者からいただいた第九のコンサートに行きクリスマスイブらしい一日でしたが、先週から昨日にかけて年明けのBBクラブとOURSセミナーの勉強会の法改正のレジュメの作成をしていたのですが、思いがけず改正内容が多くかなり時間がかかりました。今後国会で審議される労基法の内容だけではなく、かなり働き方改革関係で労働法関係の改正が予定されていることに気が付いた感じです。来春の無期転換のための就業規則の改定に最後の追い込みをかけている状態ですが、いよいよ年明けからは同一労働同一賃金だけではなく働き方改革ついての実務対応を考えていく必要がありそうです。
今年もあと残すところ1週間となりました。今年は万事順調とは言えませんでしたが来年以降に向けてコツコツと下ごしらえして根っこに栄養が行くように考えていたような気がします。来年は花が咲き実りある年になるよう、最後の1週間を締めくくっていきたいと思っています。
来週は日曜日が大晦日ですのでブログをお休みさせて頂きます。ブログをお読みいただいている皆様もすがすがしい年末年始をお過ごしください。