子どもを保育園に預ける必要があると証明する「就労証明書」の提出手続きに関し、デジタル化の取り組みの一部が一転、見送られることになった。政府は2023年秋に導入する予定だったが、デジタル庁が10月までに導入撤回の方針を全自治体に通知した。(日経新聞2023.10.16より)
上記は少し古い記事ですが、この記事が出る前の9月1日付で以下の通達が出ています。通達の内容としては、令和6年4月入所分に係る就労証明書の様式について5月にこども家庭庁成育局保育政策課事務連絡「就労証明書の標準的な様式について(周知)」により、標準的な様式が示されており、これに伴いマイナポータル(ぴったりサービス)では、企業等事業者から直接市区町村に対し就労証明書を提出する方式を検討していたが見送るというものです。
確かにこれまでの就労証明書は各市区町村で様式がバラバラで、企業が記入がするのに時間がかかりかなり非効率的であったといえます。また社員が就労証明書を入手し、企業に記入を依頼し、、企業が記入した就労証明書を社員に渡し、社員が市区町村に提出するという手順が多い状況でした。国はデジタル化の一環として様式をそろえた上で電子化をして、企業から自治体にデータを直接送る仕組みを考えていました。実際2022年12月には河野デジタル大臣から発表もありましたが、撤回ということになりました。
なぜ撤回となったかですが、記事では一部企業から実務の手間が増えるといった反対が出たと書かれていますが、これまで保護者である社員が市区町村に提出していたものが、企業が提出に変更になると企業に新たな責任が生じることも問題になったということです。また自治体も企業と保護者それぞれが送ったデータのひも付けの負担が生じるという理由もあったようです。確かに就労証明書は保育所に入れるか否かの大切な書類であり、企業から市区町村へ直接提出であれば、企業の責任は重く、また確かにそこまで保育園への入所という個人的な部分まで企業が負担を負うのは酷というものです。
結局各市区町村で様式は揃え9月15日より利用可能となっており、マイナポータルのぴったりサービスには新様式のダウンロードができるようになっています。書式が揃っただけでもありがたいと先日顧問先の人事労政部の担当者がコメントされていましたが、デジタル化の道遠しと感じてしまいます。
先日「ブラックベリー」の映画を見ました。アイフォンが出る前、携帯電話にキーボードを組み合わせた形で一時期とても人気があった携帯だったと思います、アイフォンが出てきて結局消えていく運命なのですが、その展開を見てとても切ない気持ちになりました。当時かっこいいと思った記憶があり、探してみたところ私も一時期使用しており、まだ機器だけは残っていました。あまり長い期間使わなかったのはなかなかブラックベリーが高価で入手できなかったうえにスマホが出てきたことによるものと思います。とにかく何事もスピードが速い世の中にはブラックベリーのように消えていったものはたくさんあるのだろうと思います。常に先を見据えて手を打たなければと思っています。