OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

標準報酬月額、被保険者への通知

2011-09-25 23:12:36 | 社会保険
 今週は顧問先2社から同じご質問がありました。標準報酬月額が変わったときには社員に連絡しなければならないのでしょうかというものです。
 これまで保険料を給与から控除した時には被保険者に通知しなければならない(厚生年金保険法第84条3項)ということについては常に念頭にあったのですが、ご質問いただいた際に「標準報酬月額の改定や標準賞与額」の通知については不覚にも頭に思い浮かびませんでした。
 しかしOURSに送られてくる社会保険料の納入告知書と一緒に同封されてくる「日本年金機構からのお知らせ」にも「従業員への標準報酬月額の通知はお済ですか?」という記載があり、「被保険者に標準報酬月額が確認できるようにお知らせをお願いします」とありました。ということは厚生年金保険法にもその規定があるはずと思い調べたところありました(以下第29条2項です)。この条文は遡って確認してみたところ旧法にもちゃんとありました。
 
第29条 厚生労働大臣は、第8条第1項、第10条第1項若しくは第11条の規定による認可、第18条第1項の規定による確認又は標準報酬の決定若しくは改定(第78条の6第1項及び第2項並びに第78条の14第2項及び第3項の規定による標準報酬の改定又は決定を除く。)を行つたときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。
2 事業主は、前項の通知があつたときは、すみやかに、これを被保険者又は被保険者であつた者に通知しなければならない。
 
 平成18年に消えた年金問題とその後の標準報酬の改ざん問題等に関する年金記録問題が起きて、その後「ねんきん定期便」が被保険者にも送られてくるようになったわけですが、その内容を確認できるよう被保険者への通知を定めた第29条2項が非常に重要になったのだと思います。確かにねんきん定期便をもらっても、手元の資料が控除された保険料額だけではその内容を確認するのは一般的には至難の業ということになります。 
 どのくらいの企業が、この標準報酬月額等についての被保険者への通知を行っているかは不明ですが、できれば給与明細の保険料の欄にいっしょに記載されるようなシステム(給与計算システム)にするとよいのではないかと思います。そういうシステムにしないと、個別に連絡していくことは規模によってはなかなか難しいのではないかと思うからです。日本年金機構から送られてくる標準報酬月額の改定通知書は個人別にはなっていません(被保険者全員の標準報酬月額が列挙されているA4版です)。会社が何か作る必要があるわけです。雇用保険の資格取得時のように、被保険者通知用ということで切り取り配布できるようになっていれば企業でシステムを作る必要もないのですが。ほかの国がどうなのかは不明ですが、日本の企業はいろいろやることが多くて大変だと思います。
 ちょっと興味がわいて調べたのですが、平成19年の社労士試験にもこの条文に絡めた問題が出題されていました。その点からも年金問題が起こった平成19年から注目度が高まったということがわかります。ちなみに「新標準テキスト」を確認してみたところ18年版までは記載がなかった第29条が、年金問題勃発翌年の平成19年版ではちゃんと加筆されていました(そして平成19年の本試験で出題されていたわけですからまさに「ズバリ的中」ということになります)。社労士試験というのはそのようにその時々の旬のテーマを出してきますから、そこを予想していかにテキストに載せていくかというところが非常に大きなポイントだと思います(そういう意味で優れたテキストだと思って慣れ親しんできた「新標準テキスト」が、今年からなくなってしまうのはとても残念だと思っています。)

開業記22 コンサルティング・相談業務

2011-09-18 19:25:13 | 開業記

22 コンサルティング・相談業務

前にも書きましたが、開業10年くらいたった頃から、時には1000人以上の規模の企業から労務管理上起こる問題についての相談相手としての顧問契約の依頼が入るようになりました。これが私の今の中心業務です。その時期から世間ではコンプライアンスの意識が非常に高まってきて、労働・社会保険関係法令の適正な運用を企業はことさら重視してくれるようになりました。さらに個人情報保護法、労働契約法などそれまでになかった法律や、パート労働法や派遣法が複雑に改正されていきましたのでそれらをきちんと把握して運用していくという意味で、法律と実務を結び付ける専門家としての社労士の存在価値が出てきたと思います。

また法律改正のタイミングや行政の重点項目などに合わせて、相談の内容には旬のようなものがあります。不思議と同じ質問が続くのです。2件ほど同じ質問があった場合は、その問題を中心にシミュレーションして問題点を洗い出してまとめたものを作ったり、提案書を作り関係がありそうな企業にはこちらから提示するようにしています。

例えば今であれば「ウツ」に対応した休職及び復職規定の見直しや派遣法の改正を見越した正社員(契約社員)への直雇用化への準備といったものです。顧問先企業からテーマを頂いてまとめたものを作ってみようと思い、時にはスタッフやOURS人研、可能な場合はBBクラブのメンバーの意見や力も借りてまとめ上げます。企業の担当者にご提示した時、「とても助かります」というような言葉を頂けば、この仕事をして本当に良かった、と思います。

 休職規定や復職規定はこれまでのいわゆる症状がはっきりした病気に対応したつくりでしたが、近年非常に増えているうつ病についてはそれでは対応しきれないという状況です。例えば休職規定は原職復帰を原則としている作りが多いと思います。それは復帰する社員への思いやりだと思います(「しっかり病気を治して戻れば元と同じように働いてくれ」ということです)。しかしうつ病になって休職した場合は原職に戻すことはできれば避けた方が良いというケースの方が多いと思います。そういった意味で昔は良かったものが今はまったく異なる対応が必要になるということが良くあるのです。また通算規定の通算される期間の範囲(「たとえば1年以内の同一または類似の傷病による休業ついては休職期間として通算する」というところの1年についてです)。ここが1年であろうと1カ月であろうとあまり違いがないように思いますが企業のリスクヘッジから考えるとだいぶ異なってくる部分です。

またこれまで派遣で働いていた労働者を一斉に契約社員に直雇用化しようとする場合、企業の負担は労働社・会保険料の会社負担の増加だけでなく、安全配慮義務、パート労働法の遵守、さらに障害者雇用率の達成まで影響があります。これは縦割りの行政に問い合わせても全体をアドバイスしてくれるものではありません。社労士ならではの法律から手続実務まで縦横網羅したアドバイスがきっと企業の役に立つはず。そんな風に考えて取り組んでいます。

将来はというと、相談カフェが夢かな。できるだけ自分の得たものを広く広くシェアーして行きたいと思っているのでそういう場を作りたいというイメージです(なんか方向が違いましたかね)。講師時代も受講生の質問が調べる機会を与えてもらえる意味でも嬉しかったですし、また受講生の話を聞くのも大好きでしたから、今もそれがずっと続いておりその延長線上で歩いているような感じです。


厚生年金保険料の返還請求

2011-09-11 22:07:23 | 社会保険

 先日顧問先企業から受けたご質問の中で厚生年金の保険料についてなるほどと思ったケースがありました。同月得喪があったときの場合ですからそれほど頻繁に起こるケースではないとは思いますが知っていれば損はしないことと思います。

 入社して数日で辞めてしまったという人がいる場合でも同月得喪ということで健康保険と厚生年金の被保険者期間は1箇月ということになります。社会保険は月単位の考え方をしますのでその場合1箇月の保険料を会社は被保険者から徴収し会社負担分と併せて翌月末の納期限前に会社が納付します。例えば9月1日に入社して10日に辞めてしまった場合でも1箇月の被保険者期間になるわけです。

 その被保険者であった人がその月内に再就職をして厚生年金の被保険者になった場合、その月に再度再就職先の厚生年金の被保険者になります。例えば9月21日に資格取得すれば再就職先の被保険者に9月になることになります。

 その場合9月1日から10日まで被保険者として在籍した同月得喪の期間の9月分の保険料と再就職先の被保険者としての9月分の保険料、9月分の保険料を2重に被保険者は負担することになります。また会社も保険料の納付について情報交換をするわけではないですから、会社負担分の保険料も2重に納付されることになるわけです。

 厚生年金保険法の第19条には次の規定があります。「被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までこれを算入する。また被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1箇月として被保険者期間に算入するが、その月にさらに被保険者の資格を取得した時は後の資格取得についての期間のみをとって1箇月の被保険者期間として算入する。

 この規定からすれば、上記のケースにおける9月の被保険者期間は再就職先の被保険者期間1箇月ということになります。 その場合は9月1日から10日までの同月得喪分については還付されなければなりません。これは被保険者負担分も会社負担分もということになりますが、厚生年金保険料の返還の請求は会社が行うことになります。請求書は日本年金機構のHPにはないようなので、年金事務所に行って確認していただきたいと思います。なおこれは厚生年金保険の扱いであり健康保険ではこの扱いはしていません。

 この請求の件についてはもっと広く周知をした方がよいように思いました。今のところ被保険者本人の連絡に頼るしかない状況のようですので。同月得喪で辞めた被保険者がその月に再就職したかどうかを会社が知ることは少ないように思います。しかし被保険者が本人の保険料の返還について退職した会社に連絡しづらいともあるかと思います。従って請求するケースは少ないように思います。オンラインで管理しているのですから、本来であれば保険者である日本年金機構から返還の連絡があってもよさそうに思うのですが。

昨日は社会保険労務士会の野球大会の2日目でした。我が渋谷支部は初日2試合で勝利を収めたので2日目もこの調子で昨年に引き続き優勝を狙ったのですが残念ながら3位になりました。しかし4試合すべて観戦してとても楽しかったです。心を一つにして楽しみながら頑張ったということはとても爽快なことでした。また今日は千葉のアンデルセン公園でBBクラブの有志でのBBQをしました。いつまで付き合ってくれるかわかりませんが、毎年会員の子供たちの成長が楽しみです。かなり日焼けしてしまいましたが健康的な週末でした。

 


育児休業からの復帰について

2011-09-04 14:15:38 | 雑感

 

これからの研究テーマとして育児休業をテーマにして行こうと思うと以前OURSブログに書いたのですが、その直後に偶然にも育児休業関係のメール相談を受けることになり、また合格者OBで育児休業経験者からの参考意見などもらうことができ、かなり具体的な情報が集められそうな気配になってきました。そんな中で、労働者・会社ともに悩みが多いのは、「妊娠・出産による契約更新等について」と並んで「育児休業復帰後」のことだと感じます。

育児休業は原則1年なわけですが、育休復帰がちょうど子供が1歳になったときということが結構ポイントなのかもしれないと思い始めています。というのもゼロ歳児の赤ちゃんというのは1日のほとんどにおいて寝ているわけで、しかも母親の免疫をもらっているということで病気もあまりしないと思います。そこでこのままおとなしい子であれば1歳になって職場復帰してもなんとか行けるかもしれないなと考えるのは母親として当然と言えます。しかし子どもは1歳過ぎると歩き出しますし、意思表示を始めるのですが「言葉」で表現できない分ストレスをためて「ウ~!」っと大騒ぎになったりします。しかも1歳過ぎると母からもらった免疫がなくなり急に熱を出したりもします。そこで1歳から2歳まではそれまでの赤ちゃん時代より母親は大変です。そこに職場復帰という状況の変化が来るわけです。

自分の経験から言っても、子どもが0歳児の時は社労士の勉強をしようかなというくらい余裕だったのですが(当時の労働法全書も持っています)、1歳になり息子が歩き出したら家中のやや高いところにあるものを引きずりおろし、私の口紅全部に指を突っ込んだ挙句ベットの隙間に落ちていたなど日常で、大忙しだったことを思い出します。

また会社側から考えた場合、まだまだ育児休業から復帰したときの処遇に慣れておらず、短時間勤務をさせてはみたものの、仕事があまりにハードでは無理だろうしまたいざという時子供が熱を出されても困るということでおっかなびっくりです。さらに育休明けの女性は、不慣れな子育てがある上に短時間勤務の早帰りをしていたりすると負い目もありナーバスになりがちです。どうしてもその1年というのは周りも巻き込みピリピリしたりギクシャクしたりするものだと思います。

法人化の数年前でしたが、小磯事務所時代に1人スタッフが育休を取り、代替要員も1歳の子を保育所に預けて勤務という状態だったことがあります。このときはやはり雇い入れ側である私もよい勉強になりました。そんなつもりではなく書いたメールが微妙だ(自分が迷惑なんじゃないかという気がしたようです)ということで泣かれたときは正直困りました。雇い入れ側が子育ての経験のある女性でもこうなのですから、男性の場合はもっと困り切ったということになるのでしょう。

しかし最近気が付いたのですが、そういう時期も次第に子供の成長とともに変化してくるということです。2歳、さらに3歳になれば子供も丈夫になります。また自分の経験で申し訳ないのですがうちの息子も幼稚園に入るまでは喘息がありました。息子が寝ているときに胸のあたりからヒューヒュー小さな音がするとまた喘息の発作が出やしないかとても心配したものです。こんな感じだと幼稚園に行っても休みがちになりはしないかと心配しましたが、3歳になり入園と同時にすっかり喘息は収まりました。子供の成長のスピードは速いです。どんどん強くなり、またおしゃべりができるようになると意思が通じるため落ち着いても来ます。そのころになれば育休から復帰した母親も落ち着いてくるはず。

雇い入れ側も育休から復帰した女性も子が2歳になるくらいまではあまり突き詰めて考えず、気長に考えてみたらと思うこのごろです。長い職業人生の中ではほんの数年、多少評価が悪くても、短時間勤務でお給料が減っても、挽回は可能だと思います。また会社側から考えれば、そう年数がかからずさらに大きな器を持った人材に成長する可能性があると考え無理せず気長に見てあげるのも知恵かもしれません。いずれにしても1歳から2歳の子供がいる育休復帰の場合、本人も会社側も50点くらいで良しというような感覚で行くのかよいのではないかなと思うのです。

今日は目黒のさんま祭りの日でした。品川区側の目黒のさんま祭りは岩手県の宮古から「さんま」をいただいて開催されます(目黒区側のさんま祭りは気仙沼からです)。新聞で500円のストラップを地元で作り宮古への寄付に充てるため売るということが書いてありましたので買いに行きました。ちなみにさんまは長い時間並ばなければならず、それも半端な列でないので並んだこともありません。こちらに住むようになってからいつも美味しそうだなあと思いながら一度も食べれたことはありません。今日は例年よりさらに人出が多いような感じがして、すごい盛況ぶりでした。地元で作った木札のストラップは人込みでどこで売っているのかわからなかったのですが、宮古の仮設住宅でみんなで磨いて作ったというアワビのストラップが売っていたので3つ購入しました。とてもきれいでさっそく携帯につけました。まだまだ復興には遠いのかと思いますがストラップを作った会が宮古市のいわて生協関係者らでつくる市民団体「復興プロジェクト かけあしの会」ということで、本当に早く駆け足で元の生活が来るとよいなと祈っています。明日の出勤時は駅前はさんまのにおいがいっぱいだろうな!というのも年に1回の目黒の風物詩です。