OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

社会保険労務士試験について思う

2010-08-29 23:04:22 | 雑感
 先週日曜日に行われた社会保険労務士試験について、試験センターから8月27日付で「社会保険労務士試験の試験問題誤りについて」というものが発表になりました。本試験当日も訂正があったようですが、まだ1週間もたたないうちに誤りの訂正が4問あり、そのうち2問については全員正解、残り2問については2つの選択肢を正解とするということです。

 誤りの問題について見てみたのですが、ほとんどが社会保険関係の問題に集中しており、1問については何か勘違いしたのでは?というものがあり、それ以外は凡ミスと思いました。IDE塾の解答速報を見ると、センターの発表以外にも細かいミスがあり合計7か所を指摘しています。その中には社会保険に関する一般常識の問題で「これも訂正があっても良いのでは」?と思える凡ミスの記述もあります。作問後のチェックが本当になされているのかと思う荒い作問になっています。選択式では1科目5問中3問をミスした場合はいわゆる足切りということになるわけですから、本試験で4問もミスがあるとはこれはいけません。ミス問を想定の範囲内と考えながら問題を解く受験生にも気の毒です。

 先週のブログにも書きましたが社会保険労務士試験は本当に難しいものになりました。私が合格した当時の平成3年のころは問題文も本当に短くもちろん今とは比べ物にならないのですが、平成5年あたりから少し難度が高くなり平成9年の本試験はそれまで知らなかったことがたくさん出題された非常に難しい年でした。平成12年に試験事務がセンターに移管された年から少し本試験の難易度に落ち着きが出たのですが、やはり過去問を勉強することが試験の基本ですから平成9年に出題された事項も当たり前に知らなければならず、学習量がどんどん増えていったと思います。平成6年に講師になった当初は「これはマニアックな話だから覚えなくてよいと思います」と言っていた内容が、だんだん「当然ここは知っておかなければならないです」という内容に変わっていきました。そういう意味では本試験も試験形式や合格基準など色々な面で見直す時期に来ているのかもしれません。

 社労士試験の受験業界も私の知る20年弱を振り返ると、実力を十分につけたと思います。当然毎年その間過去問を反映しながらテキストを作り、問題を作り、本試験の洗礼を受けそれを分析しと繰り返してきたわけですから、その蓄積は一朝一夕に築いてきたものではありません。本試験を受験するのは、その蓄積の中から作られるテキストや問題を学習してきた受験生ですからそのレベルにふさわしい本試験でなければ、適正な選抜は行われないのではないでしょうか?

 社会保険労務士の仕事は、ここ2、3年で以前に増して業務範囲が拡大されてきています。中小企業の相談相手としてだけでなく大企業の人事部にも労務管理等のコンサルティングできる力が認められつつあり、社会的な信用度が高まっていると実感しています。そうであれば本試験も社会的に信頼度の高いものである必要があると思います。それでこそさらに優秀な人材が社会保険労務士を目指してくれるようになるのだと思います。

平成18年の本試験で、社会保険に関する一般常識の選択式問題について「解なし」とモメにモメた挙句解答速報で出したことがありましたが、その翌年から試験委員の発表がありました。もし今回の誤りの作問についての再発防止を真剣に考えるのであれば、試験問題に関する研究機関のようなものを立ち上げることが必要かと思います。受験業界のように1年中社会保険労務士試験に取り組んでいくという機関を立ち上げ、本試験問題の作問時のチェックをするだけではなく、これからの社会保険労務士会としてはどのような人材が欲しいのか、社会保険労務士が向かう方向性を考えるとどのような試験であるべきなのかということを研究し本試験に反映させられる機関が小規模であっても良いのであればよいのではないかと思います。

第3号被保険者について

2010-08-23 23:55:44 | 年金
先日テレビを見ていたらスウェーデンの税金、年金、育児休業、医療や介護のことをやっていました。スウェーデンは国民の人数が少ないため女性も働かなければならない、そのためには女性も十分働けるように、親にかかる介護や年金、子育て休職期間の収入の確保等を充実させなければならないということでした。ここまでは日本でもよく聞く話なのですが、新鮮だったのは、女性が労働力となるということは、収入を得ることになるため税金を納め、年金や医療に係る保険料も自分が稼ぎ出した賃金から控除して負担することになるということで、それらが国に入り福祉が充実していき、国も資金的に潤うという部分でした。確かに男性だけでなく女性も税金や保険料をみんなが1人前に働いて負担すれば大幅に国の収入は増えることになると思います。

ひるがえり日本の現在の税や社会保険の制度設計を見ると、女性が働かないことについて保護をしていることがよくわかります。要するに、被扶養配偶者(年収103万円以内)であれば税金の控除が受けられ、被扶養者(年収130万円以内)であれば年金・医療の保険料は免除です。これらは確かに女性と限っているわけではなく男性が被扶養者になり専業主夫になることだってあるわけですが、やはり制度自体の考え方は専業主婦家庭についての保護でしょう。国の作る法律で女性が労働することを抑制し、働かない方が得という制度を作り上げているというわけです。

国民年金の第3号被保険者の制度は昭和61年の改正によりスタートしたのですが、この時からサラリーマンの被扶養配偶者であれば保険料の納付はしなくても一定の年金が確保されるということになりました。当時の制度設計から行けば、定額部分という年金の1階部分の単価を半分程度にしたことにより、その分を専業主婦の年金分として充てたということもあったかと思います。しかしそれから既に四半世紀がたとうとしています。時代もその間に大きく変わり、日本という国は以前ほど資金的に余裕があるわけではなくなりました。

また、昔の主婦と違って介護保険も充実した今は親を自宅で介護するケースは減っているはずですし、家を守るなどの考え方も希薄になっており又高度な電化製品により家事が非常に簡便になっています。もし保護するとしたら子供が小学校低学年までの子育て期が一定のラインという気がします(子どもが小さいうちは十分に手をかけるのは良いと思っています)。それ以後は女性も社会復帰して、一人前に税金や保険料を負担して社会の担い手になるということが、女性が堂々と年金を受給するためにも、また日本という国のためにも必要なことだと。そのためには税金の控除や第3号被保険者の制度は廃止する時期が来たのではと強く考え始めています。

昨日は社会保険労務士の本試験が行われました。選択式問題だけ見ましたがとても難しく感じました。極端に難しい科目があるというのではなく、ちょっと失敗すると2点しか取れない科目がそこここにあり、受験された方はかなり苦しかったのではないかと思います。とにかくお疲れさまでした。しばらくはどちらにしてもゆっくり羽を伸ばしていただきたいと思います。

それにしても今回はこれまでのように資格取得校の講師としてではなく視点を変えて開業社労士として本試験がみえているのだと思いますが、最高裁の判例から確定拠出年金、均等法の告示から年金の物価スライドの数値まで、本当に広い範囲の細かいことをカバーして勉強しなければならないという意味では厳しい試験だと思いました。

これからの本試験は、どのような人材を合格させようとしているのかという試験の本質的な部分がもっと見えるような問題構成、また勉強の方向性が分かるものにしていく必要があるのではないかと感じました。


年金受給の現況届

2010-08-17 23:51:05 | 雑感
100歳以上の高齢者は全国で約4万人というのも驚きましたが、200人以上が行方不明とは、本当に驚きました。

その中でかなり年金をそのまま親族が受給しているケースがあるのではないかということは簡単に想像できるのですが、それにしても年金制度というのはどこまで運用が適当だったのだろうかと、暗澹たる気持ちになります。

年金の受給権者については、平成18年までは原則毎年誕生月の末日までに現況届を提出することになっていました。これは当然年金受給権者の生存確認をはじめとした状況確認をして年金の支給が適正か否かを判断するためのものだったと思います。それであれば現況届で確認できない場合のチェックは当然行ってしかるべきと考えます。

しかしそれがきちんと行われていなかったということになるうえ、平成18年の改正でそれまで現況届に署名して提出することが原則だったものが、住基ネットで確認できる場合は提出不要になったのです。行方不明の期間をニュース等でみると何十年という方もいるようですから、現況届の提出がまったく機能しないままに住基ネットで確認できれば提出不要となったわけです。あまりに運用が形ばかりで、その改正はどのような理由で行われたのか全く理解不能といったところです。

しかもニュースを見ると以下の通り現況届をまず確認すべきところ「厚生労働省は6日、医療と介護保険の利用実績データを活用して、所在が分からなくなっている可能性が高い高齢者を絞り込むよう全国の市区町村に通知する方針を固めた。通知は各市区町村が保管している後期高齢者医療制度の医療給付履歴や、介護保険の給付台帳を調べることを促すもので、都道府県を通じて行う。一定期間に医療、介護のいずれもサービス利用実績がない高齢者は所在不明の可能性が高く、戸別訪問などによる本人確認が必要となる。」ということです。
厚生労働省自体が現況届については確認資料にならないと考えているわけです。

しかも連携しているはずの住基ネットについては「住民基本台帳ネットワークを所管する総務省との連携は必須な上、100歳以上の行方不明者の戸籍を整理するには法務省と協力も必要。強制的な立ち入りが必要な場合は、警察とも協議が必要になる。にもかかわらず、他省庁との連携は空回りしている。また、厚生労働省の担当者が自治体に連絡をとると、個人情報保護などを理由に情報提供を拒否される始末という。」とのことで、いったいそれなら住基ネットで確認するので現況届の提出は不要というのは実際のところどう運用されていたのか?と思います。

年金記録の回復について一定の基準を設け、例えば短期間の空白期間は第三者委員会にかけず年金事務所段階で記録回復をできる。そのための基準を追加する案が出ているようですが、スピードを速めることより、そのようなザックリとした対応で解決を図ることが、これまでの運用と同じ轍を踏むことにならないか、体質を変えることができないのではないか、懸念します。

いよいよ社会保険労務士試験の当日が近づいてきました。受験する皆さんはこの数日間を大切にこれまで勉強してきたことの確認を丁寧に行って、頭に入れて、落ち着いた気持ちで当日を迎えてもらいたいと思います。本試験で見たことがない問題がでても焦らず自分の努力を信じてドンと構えて取り組んでください。きっとそれまでの勉強した蓄積で答えは見つかるはずと思います。気になるのは次世代法・派遣法26業務・最低賃金法・労働契約法。頑張れ。

障害者雇用納付金

2010-08-08 23:46:37 | 法改正
6月28日のブログに障害者雇用安定法の改正について書きましたが、改正が行われた今年度は、障害者雇用納付金制度について、納付義務が発生するか否かの人数基準が単純ではないようですので少し触れてみます。

56人以上の企業が障害者の雇用義務がある、これは特に変更がありませんが、障害者雇用率1.8%の未達成企業に納付義務がある障害者雇用納付金については、H22.7.1から常用労働者数200人超の企業(従来は300人超)が対象とされました。200人超300人以下企業の納付金の額は、減額特例が適用され不足数1人当たり月額4万円(300人超は原則の5万円)となっています。

1年度中1カ月でも常用労働者数が200人超になれば障害者雇用納付金制度の対象となるのでなく、原則は5カ月以上200人超の場合とされています。ただ、改正が行われた今年度は平成22年4月から6月までは旧制度を適用するので、3か月のうち300人超の月が2カ月以上で対象とされます。また、7月から平成23年3月までの9カ月間のうち200人超の月が4カ月以上あれば対象となり、納付金の申告を行う必要があるということだそうです(その時に気をつけるのは、改正後の労働者の数については短時間労働者を0.5でカウントしなければならないということです)。
7月1日改正のため旧制度と新制度に分けて考える必要があり、結構複雑ですね。

自民党にこれといっためぼしい人が見当たらないと、時々話の中で出ることがあります。あれだけの組織であったのに、民主党が政権を取った後すっかり勢いを感じる人が自民党の中に思い浮かばなくなったような気がします。本当に不思議なくらいそんな気がするのですが、先日その原因は派閥が昔のように強固なものではなくなってしまったせいではないかという気がしました。そういう意味では小泉政権時代からじわじわと今の状況は始まっていたのかもしれません。一般的には派閥というと印象はあまり良くないと思うのですが、派閥が人材を育成するシステムを担っていたのではないかという気がしたのです。

 人材を育成するには、やはり教育とその時々必要な経験をさせるということが大切だと思います。教育ということでは、派閥の勉強会というものが当たるかと思いますし、経験というと派閥のバランスをとりながら若手を引き上げて大臣をはじめとした色々なポストに就かせ仕事を経験させていくということが当たるのではないかと思うのです。

 これは組織においては共通の人材育成の条件なのではないかと思います。大きすぎる規模ではなかなか勉強会をするといってもスピードや浸透性において難しい面があるのではないかと思うのです。必要と思えばぱっと集まって勉強するという環境をシステムとして持つというのは大切なことだと思います。そこで先輩の経験や考え方を学びとるということはとても重要な勉強になるのだと思います。また、どんなに潜在的な能力のある人材がいたとしても先輩が引き上げてくれて、いろいろな仕事や経験の場を与えてもらうということが成長していくには重要なことだと思います。

 ひとりの力で何とかしようとしても組織の中では限界があると思います。そこには面倒を見ていくという組織の慣習というようなものかもしれません。自分も面倒を見てもらったからある一定の経験を積んだらそれを今度はお返ししていくということになります。そういう意味では色々な場面で機会を与えてくれる上司や先輩には謙虚に感謝しなければいけないと思いますし、また自分もその立場になればお返しをしていく義務があるのだと思います。。

 人材を育成するには、それなりのシステムを持たなければなかなか難しいのだなとなんとなくわかってきました。今の自民党が派閥に頼ることなくいかに人材を育てていくシステムを作ることができるのか、それが自民党がまた元気になる大事な要素ではないかと思いますし、それは民主党についても同じことなのだと思います。また、これは日本の国の今後にとってとても重要なことなのかもしれません。
 

懐かしのもの 雇用保険のしおり

2010-08-01 23:42:59 | 雑感
今日は昨年まで担当していたTAC上級FASTクラスの最終講義でした。私の講師卒業から1年が過ぎたかと思うと本当にあっという間であったなと思う反面、OURSが大きな仕事を今年になってからいくつもご依頼いただいたことやそれに伴いスタッフも増えたこと、OURSセミナーを開催してみたりと変化が多く密度が濃かった1年だったため、ずいぶん前のようにも感じます。

みんなあと3週間頑張って、きっと合格して欲しいと心から願っています(実力の出し切れる良い問題が出題されますように)。

先週末、舅が他界しました。その関係で以前に作ったノートを引っ張り出してみましたらその中に懐かしくも結婚して会社を退職した当時受けた雇用保険の「失業給付受給資格者のしおり」が挟まっていました。昭和50年代のものなのですが、大きさはB6判と非常に小ぶりなものです(当然雇用継続給付がある時代ではないので失業「等」給付ではありません)。しかし中を見てみたところ、なかなか詳しい内容で、受給資格者証の見本やQ&Aには受給期間中に就職して受給期間内に再び離職した時は?などの記載もあり、自己都合等での離職の場合1カ月以上2カ月以内の範囲で給付制限がありますと書いてあります(今は3カ月の給付制限は、当時は2か月以内だったのか?)。

一番驚いたのは給付日数で、区分は1年未満と1年以上の2区分のみであり、1年未満はいかなる場合(就職困難者等)や年齢であっても給付日数90日。1年以上は、55歳以上300日で、45歳以上55歳未満240日、30歳以上45歳未満180日、30歳未満90日といたってシンプルな表になっています。もちろん特定受給資格者等の考え方はなく、覚えるのも簡単です。今の受講生は所定給付日数の一覧表を覚えるのが大変なのにと、あまりの違いに驚きました。

きっとすべてが昔はもっと単純でシンプルだったのでしょう。通常学校を出たら55歳定年まで勤務するのが当たり前の時代だったのですしね。

しかし、この雇用保険でいただいた失業給付を貯金して、その後社労士試験の受験講座の申し込みをしました。それがスタートで今の私があります。当時の基本手当日額の最高額は6,670円、最低額は2,140円になっており(意外にも今と大差ない?)、自分の字のメモ書きで3,300円×90日=297,000円となっています。それが私の元手です。感謝しております。


仕事の忙しさにかまけ、とてもではないですが良い嫁と自慢できるところは一つもなかったのですが、ここのところ10年間くらい2週間に1度は晩御飯を作りに家に行き、入院してからもそのペースで見舞いに行っていましたので、舅がイザいなくなってみるともう行くところがなくなっちゃたんだなと思いぽっかりと心に穴が開いたようで寂しい気持ちです。ただ87歳ということで天寿を全うしてくれたんだと思っています。