OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

1分単位の労働時間

2011-02-27 22:42:49 | 労働時間

最近未払い残業の関係で、労働時間のカウントについて少しヒステリックな状況にあるような気がしてなりません。S63.3.14基発第150号の通達では、次のような端数処理は労働基準法違反ではないとしています。

1箇月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数が生じた場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。

上記のポイントは「1箇月」と言っているところであり、1箇月単位の端数処理は認めるということ=1日単位での端数処理はしてはいけないということになるわけです。確かに1日単位で30分を切り上げるというのは合計した場合だいぶ誤差が出てくるとは思います。しかし最近のように1分の時間外を積み上げて何時間になるかと計算することについては、疑問を禁じえません(顧問先企業には1日単位の四捨五入はしないでくださいと言ってはいるものの・・・という感じです)。時間外の1分を議論するのであれば、労働時間中に1分も無駄はないのか?というところも問われてくるのではないでしょうか?

企業のコンプライアンスは大切だと思います。しかし、ものごとには「ほど」というものがあるのではないかとも思います。このままでは日本は総ヒステリーでなんだか変な方向に向かってしまいそうな気がして不安になります。

なんだか春めいてきましたね。もう寒い2月も終わりです(冬は寒いので苦手です)。今年は今のところ花粉症にもならず、今日などいよいよ春だなあと嬉しくなってきました。だんだん年齢とともにすべてに鈍くなって行くような気がするので、花粉症も感じなくなってきているのかなと思います。今日は満開の梅も見かけましたし、これからの季節が楽しみです。


運用3号のこと

2011-02-20 21:58:35 | 雑感

 ここ3週は毎週セミナーの仕事がありまして、週末ごとにパワーポイントのレジュメを作っている状態です。ちょっと追われていました。今週ある企業のグループ会社向けセミナーが終わったら少しのんびり週末を過ごそうと思っています。

 金曜日に行ったoursセミナーには顧問先企業をはじめとしてたくさんの方が参加頂きました。昨年の1月に顧問先向けに始めたoursセミナーですが1周年を迎えたわけです。最初は一般の申し込みで何人来て頂けるのか全く分からずという状態から少しずつ参加者が増え始めて、今回はさらにtacの講義を受けたことがあるとかそのお友達、また以前別のセミナーを受けて頂いた企業の人事の方など多方面からご参加頂いて嬉しかったです。

 それなのに「実は1号運用3号」はあまりうまく説明できませんでした。すみません。要するに国民年金の第3号被保険者であった人が配偶者が第1号被保険者になった又は自分の収入が130万円を超えたということで1号にならなければならなかったのに、手続きを怠り記録が3号になっていた。それが後日1号が正しいと判明した時の対応として、遡れる2年前より前の期間については3号のままとする(さらに受給権者はすべて3号の記録ままとする)という扱いです。関連して会社で起こりうるケースはどのようなケースかなど、気をつけるところまで触れるのが良いなと考え準備したのですが、かえって話が複雑になってしまいました。いつもあとで収録したものを聞いてみるのですが、無駄な説明や繰り返しが多くてかえって分かりにくくなっており、「ここは失敗だなあ~」という感じ。いつになってもなかなか講義が上手くなりませんね。今後はシンプルな説明をすることができるよう心がけてみるつもりです。

 この「実は1号運用3号」は、総務省の年金業務監視委員会から厚生労働省が指摘を受けて今後どうなるか不透明な状態です。確かに本来1号被保険者として保険料を納めるべき期間については、運用で3号にしてしまうのはあまりにも乱暴と思います。まっとうに1号被保険者として保険料を納めたことが「損した」ということになるのはおかしな話です。正直ものがバカを見ると言うことにならないよう、そこで手間を惜しんではいけないと考えます。

最近電車にベビーカーで乗ってくる人が多いですね。それも大きいタイプのものでかなり場所をとっています。しかもその中でワンワン泣いている赤ちゃんを見ると抱っこしてあげれば安心して泣きやむのではないかなと人ごとながら気になります。他にも小さな子がいるなどの事情がなければ「抱っこ」してあげることが一番なのではないでしょうか?以前は電車に乗ることも泣いたら困るなと、まして大きなベビーカーで乗るのはさらに気が引ける感じでしたけれど、いつの間にそういう遠慮がちな気持ちはなくなってしまったのでしょうかと心配になっているこの頃です。


開業記⑫仕事の依頼

2011-02-13 23:05:29 | 開業記

12 仕事の依頼

 以前にも書きましたが、開業当初友人・知人は専業主婦ばかりでしたので、開業のお知らせを送ったところで仕事に結びつく可能性は非常に低いと考えていました。その後仕事の依頼がどのように来たのか、すでに4月で開業19年ともなれば色々な機会でと言うしかないのですが、一言でいえばとにかく「人とのつながり」であったと思います。

 開業当初から5年くらいまではとにかく税理士の先生からのご紹介が一番多かったと思います。大学時代の友人が高校の同窓会で名刺を渡してくれたという同級生の税理士や、TACに講師としてきておられた税理士の先生から頂いた顧問先は今もまだほとんどが顧問先企業です。

 開業から10年くらいまではHPは一般的ではなく、事務所のHPももちろんなかったので労働保険料の申告書の中に入っていた名簿で、または電話帳でなど事務所からほど近い企業からの新規適用(会社を作り社会保険や労働保険に加入する手続き)のご依頼などがありました。

 その後初めてスタッフとして入社した金近さんがHPを独学で作ってくれて、HPからのご依頼も増えて行きました。HPのご依頼は東京都社労士会の会員検索との相乗効果もあり、1000人以上の規模の会社や、大手企業からの入札のご依頼もあり、大きな仕事を頂くきっかけになりました。女性の社労士をということでご連絡いただいたり、やはり地理的に近いからということは名簿時代と同じように大きな要素になるようです。HPはその後平成19年の1月から、カネボウ時代の先輩である友人が担当してくれるようになり、今のものにリニューアルされました。今も法人の顔としてHPはとても大切だと思っています。

 ご紹介は第1号の先輩から始まり、開業歴が長くなるにつれて顧問先企業の社長や人事担当者からグループ企業をご紹介いただいたり、また人事担当者が転職した先や、企業の分割により分割した企業もお願い!など色々なところからご依頼を頂きました。

 また開業して7年目くらいに、支部役員会から派遣され渋谷労働基準協会でセミナーをさせて頂いたご縁で、当時パートで勤務を始めたばかりの三上現事務局長と女性同志ということで親しくお付き合いさせていただくことになりました。渋谷労働基準協会のセミナーの講師を担当させていただいたり、労働時間設定改善アドバイザーを3年間一緒に務めさせていただき、その対象企業からもお仕事を頂くようにもなりました。この労働基準協会の新年会等は本当に男性ばかりで、150人以上の参加者の中で今でも女性は監督官と三上事務局長と私の3人ということが多く、最初は話をする人もなく立食の料理ばかりパクパク食べるしか間が持たないということもありましたが、メゲずに顔を出し、今ではとても多くの方から「小磯さん」とお声をかけて頂くようになりました(結構頑張ったと言えば頑張ったわけです)。

 しかし一番お仕事の依頼の割合が高いのは受講生・合格者からです。合格し企業で勤務登録してからも他社の動向も知りたいということ顧問契約いただいたり、色々相談に乗って欲しい(これは受講生時代の延長のような感じです)と依頼して頂くこともあります。ずいぶん昔にクラスにいた受講生が、HPを見て「先生事務所大きくなりましたね」と突然ご連絡頂くこともありますし、なんでこんなに有名な企業からうちにご連絡が?と思いながら訪問してみるとそこには受講生や合格者が・・・ということも珍しくはありません。

 合格後も何かあれば相談して欲しいと、受講生が開業すればできるだけフォローしてと思っていますが、こちらから企業の対応等を聞かせてもらうことや相談させてもらうもあり、この頃は私がフォローされているのではないのか?と正直思います。開業当初人脈といえるものがほとんどなかった私にとってのこの約20年間の人とのつながりは、本当に思いがけず広がり、人生の中で大切な財産になったと感じています。


身元保証人の規定

2011-02-06 21:46:08 | 労務管理

 先週は就業規則に規定されている身元保証書について偶然顧問先企業から2件のお問い合わせを頂きましたのでこのブログでも取り上げてみたいと思います。

 色々な企業の就業規則をチェックや診断をしてきましたが、採用時の提出書類に身元保証書がある場合があります。あくまで私見ですが、40%を切る程度という感覚を持っています。

 身元保証書について、最初の提出を義務付けているだけの就業規則もあれば、身元保証人に変更がある場合は変更内容の届け出を義務付けていたり、身元保証書の有効期限と更新について決めているものもあります。

 根拠となる法律は、「身元保証ニ関スル法律」です。

 この法律の第1条に、身元保証契約は、成立の日から原則として3年間効力を有する規定されています。

 第2条には、身元保証契約期間は5年を超えることはできず、5年より長い期間を定めた身元保証の期間は5年に短縮する。また、身元保証契約は更新することができるが更新後の有効期間は5年を超えることはできないと規定されています。

 簡単に言うと、身元保証書は期間を定めなければ3年間有効、期間を定めるときは5年以内の期間内で定める。また、更新は可能、ということです。

 実務的には、身元保証書を採用時に提出してもらっている企業でも、変更の届け出や更新の管理をしていないケースが多いようです。

 身元保証書が必要なのか検討してみるのはもちろんですが、必要とする場合でも入社当初3年間でも良いのではないかと思います。更新規定を持ちながらきちんと更新していないという場合は、更新の必要性を検討するとよいと思います。変更の届け出は、提出を義務付けるのであれば3年間はきちんととるべきと考えます。

 また身元保証人について2人必要という企業もありますが、これは労働者にとっては負担なことなので1人では足りないのかという点をよく検討してみるとよいと思います。

昨日はクラスの合格者OBの結婚式に出席させてもらいました。最近少ないようですがホテルの披露宴は心のこもったもので、とても楽しい時間でした。終了後も出席した仲間で色々な話をして過ごし、静かな幸せを感じた1日になりました。

(参考) 身元保証ニ関スル法律

第1条 引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ3年間其ノ効力ヲ有ス 但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ5年トス
第2条 身元保証契約ノ期間ハ5年ヲ超ユルコトヲ得ズ 若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ5年ニ短縮ス
 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得 但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ5年ヲ超ユルコトヲ得ズ