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OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

4月改正育児介護休業法Q&Aより➀

2025-02-09 23:34:23 | 法改正

育児介護休業法関連のテーマがここのところ続いてしまいますが、4月改正法施行目前ということでお許しください。ということでまだまだ実際の対応にあたり色々とありそうなので今回は①としたいと思います。

今回の育児関係の改正の中では一番の目玉と言える2025年10月1日施行の「3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置」として育児と仕事の両立支援のために企業が2以上の措置を選択し、労働者がそのうち1つを選ぶという改正法23条の3についてです。

その措置の一つ、始業時刻変更等の措置であって厚生労働省令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるのはフレックスタイム制と時差出勤(1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰上げ又は繰下げる制度)ですが、時差出勤について、シフト勤務の場合に自分で入るシフト(時間帯)を選べるのであれば該当するのかというご相談を受けていました。

労働局に質問したところ回答が保留となり、その後4か月ほど経過した今年の1月23日のQ&Aの追加版にシフトについての考え方が載りました。それによると、まずシフト制を含む交替制勤務の形態が多岐にわたるため一概に答えることは困難と前置きしながらも一般論は書かれています。以下概略となります。

1)通常いずれの時間帯にも勤務が求められる場合に早番のみとするのは、措置したとする。
2)交替制勤務により各労働日の始業終業時刻が異なることを以って措置したことにはならない。
3)繰上げ繰下げの時間の範囲に制限はないが保育所等の送迎等を考慮してある必要がある。

その他Q&Aが出た後で再度確認したところによると、時差出勤については「あくまで始業終業の時刻についてのみ該当するかどうかを見る」ため、例えば上記1)の早番のみととするが休日についても同じ早番勤務とするのであれば、休日にシフトを入れてもらうことについては関係がない(休日出勤を求めたとしても措置をしたと認められないわけではない)ということでした。まだまだ色々なケースが出てきそうです。

先週はセミナー週間と言って良く3つのセミナーをこなしたのでかなり週末はホッとしています。特にOURSセミナーは120名を超える参加を頂き、非常に熱心に聴講頂いたことにちょっと感動を覚えてしまいました。今回は移転先の日比谷国際ビルのコンファレンススクエアでの開催でしたので少し高級感があり、終了後も参加された方がコーヒーを片手にロビーで談笑されている姿を拝見して、なんだか嬉しい気持ちになりました。

まだ今週も1つセミナーがあるのですが、久しぶりに少し解放感を感じる週末だったので、以前から買いたかったベランダの花を購入して癒されました。

昨日は年に2回のBBクラブの勉強会の日でした。概ね参加者は変わらないのですがこちらも100名を超える参加者も依然として変わらず、BBクラブの会員の熱心さが私のやる気の源になっていることは間違いないと確信しています。TACの講師を卒業することにしたとき、一番心配だったのが15年間ひたすら追ってきた法改正をこれからどこまで追えるかということでした。確かに講師時代ほど細部にわたり追えているわけではないですが、ある程度の水準でのフォローはできているような気がします。ここまで欠かさず年に2回の法改正の内容を話すことが力になったと思っています。ほかのテーマと異なり法改正は毎年新たな内容になるため、レジュメ作りをはじめとして大変といえば大変なのですが、私の社労士としての核になっているような気がしています。


育児休業給付金 延長手続きが厳格に

2025-02-02 21:13:25 | 法改正

雇用保険の育児休業給付金は法律で定められた育児休業について支給されるものです。子が1歳までの法律で定められた育児休業及び保育所に入所できないため復帰が困難など「雇用の継続のために特に必要と認められる場合」については1歳6か月又は2歳までの休業です。この延長の規定ができてからこれまでもトラブルが起きやすく見直しがあったのですが、今回の改正の要因もトラブルだったといってよいと思います。厚生労働省のHP「育児休業給付金の支給期間延長手続き」というサイトには、新たに提出することになった「延長事由認定申告書」や解説用リーフレットが掲載されていますが、スクロールすると見直しの背景・経緯が載っています。

まずは今回の改正による注意点に触れたいと思います。上記「延長事由認定申告書」は当初予想していたより詳しいものでしたが、保育所の利用(入所)申込みについて、以下➀~⑧について選択又は記載してくださいとあり、育児休業給付金の支給対象期間延長は・・・やむを得ず職場復帰できない方を対象とした制度であり、改定された業務取扱要領によると「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育を希望しているものであると認められること。」としており、かなりこれまでより厳しくなると思われます。以下質問の項目がどのように判断されるか特に気になる項目の内容を見てみます。

1)利用(入所)申込みに当たり、入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしていませんか。[3の④]→市区町村に対して、入所保留扱いとなることや育児休業を延長することを積極的に希望する旨の意思表示を行っていないこと(「入所を保留したい」などと言うとやむを得ず職場復帰できない状況とは認められません)。

2)利用(入所)内定を辞退したことがありますか。[3の⑥]→当該子について、これまでに住所や勤務場所等の変更などやむを得ない理由なく保育の利用を辞退した場合を除き(理由なく内定辞退をしたことがなく)保育が実施されないこと(合理的な理由がなく保育所入所の内定辞退をするとやむを得ず職場復帰できない状況とは認められません)。

3)利用(入所)申込みをした保育所等の中で、自宅から最も近隣の施設名と通所時間(片道)[3の⑦]→利用(入所)希望の保育所等が、被保険者又は配偶者の通勤の途中で利用できる場所にあるなどの合理的な理由なく通所に片道 30 分以上要する保育所等ではないこと(こちらも合理的な理由がない場合2)と同様です)。

なお、合理的な理由は、(理由欄)を利用して説明することができます。今回の改正内容は、これから育児休業を取得する社員だけでなく、育児休業を今取得中の社員にも説明しておく必要があると思います。

また4月以降のかなり厳密な確認ですが、「見直しの背景・経緯」にある議事内容をみるとこれまであった地方自治体におけるトラブルが載っており、今回の改正がそれらの解消を目指していることが理解できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html
具体的な支障例としては、「保育所等の入所申込みの相談・受付を行う窓口に、『確実に保留になるためにはどのようにすればよいのか』という相談があった場合、入所意思のない者に対して制度の説明を含めて一から案内することになり、窓口対応に 30 分~1時間程度の時間が割かれる・・・」とか「入所申込を行っていない(忘れていた)者から、育児休業延長のために保留通知の交付を求めらることがある。しかし、入所申込があっていないため、入所保留通知は交付できない旨を伝えると逆ギレされる等の不要なトラブルに巻き込まれ、対応に時間を割かれるケースがある。」等読んでみるとかなり現場感のある生々しい感じがします。

趣味はと聞かれるとちょっと困ってしまうのですが、読書、まあ旅行かなあと思います。母が70代の頃は父が早く亡くなったため老後の夫婦の旅行を味わえなかった分、家族で色々行こうよと企画し10年間礼文島から鹿児島まで毎年旅行したのはとても良い思い出です。その後はコロナの時期を除き海外に行くことにしていますが、プラス研修講師の仕事で時々色々な地方に出張させて頂いて、時間がないときでも楽しみではあります。先週は愛知県社労士会の研修に呼んで頂いてその日は県会の皆さんと楽しい時間を過ごし、翌日はのんびりと昼まで少し贅沢なホテルの部屋で過ごしただけなのですが、食事やお店、街など名古屋らしさを味わえただけでも十分楽しめました。これからも小さなことも楽しみを見つけて味わっていきたいです。


さらに細かくなる育児休業給付関係

2025-01-26 22:06:40 | 法改正

今年の4月と10月に施行される育児介護休業法ですが併せて雇用保険の育児関係の給付が新たに創設されます。育児介護休業法の改正は前回が男性の育児休業取得率向上目指したところですが、かなりここに来て男性の育児休業取得については率もさることながら取得日数も伸びてきており、政策効果が目に見えて上がってきていると感じます。今回の改正は男性だけではなく男女ともに仕事と育児の両立がしやすくなるような両立支援策が中心になっています。特に育児関係の措置については3歳未満が主流だったものが、今回は小学校就学前までに措置が延期になるものも多く、また考え方としてはできる限りフルタイムで働きながら育児をするというものになっています。

その中でちょっと驚くのが、これまで妊娠・出産等の申出があった場合に行うこととされていた個別の意向確認と周知が、3歳になるまでの適切な時期にも行うこととされているのですが、実施する時期は子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間とされており、更にその具体的な考え方として「1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで」とし、誕生日応当日の翌日から誕生日応当日までをQ&Aで図入りで解説しています。そこまできっちりと再度の意向確認の時期を決めるというのはどうなんだろうという気がしますがどうでしょうか。

また今回新設される出生後休業支援給付金については、被保険者の配偶者がする育児休業は、被保険者の配偶者が雇用保険被保険者の場合は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を取得し給付金が支給決定されていることが原則の条件ですが、例えば配偶者が自営業者やフリーランスなど、配偶者の育児休業を要件としない場合も定めています。この配偶者の育児休業を要件としない場合に該当するかどうかの確認書類も非常に細かいものです(以下パンフP20)。これは実務的にはかなり時間を取られそうな気がしますが、書式なども載っています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001374955.pdf

上記パンフP5に載っているのは、
出生時育児休業給付金を受給する場合の申請期間について、子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から申請可能となります。
ただし今年の4月から、以下の場合は本来の支給申請期間を待たず、4月から以下のように前倒し申請が可能になります。

①出生時育児休業の取得日数が28日に達した場合は達した日の翌日から
②2回目の出生時育児休業をした場合は2回目の出生時育児休業を終了した日の翌日
これは実務担当者としては少し楽になる改正です。

同じくパンフP36に載った4月から施行される確認書類のうち育児休業入所の申込みを確認できない場合の事例などが詳細に載っています。これもかなり細かく注意事項が記載されており、どんどん細かくなっていく事務処理等に若干クラクラするのは私だけでしょうか。

なお、もう一つ新設される給付である育児時短就業給付金については、別冊ということでまだこのパンフレットには、載っていません。どこまで細かくなるのか心配になります。

夜型の私は、よく遅い時間にメールをお送りして皆さんにご心配をおかけしています。申し訳ないと思いつつその時間に送信しておかないと翌日の朝はギリギリまで寝ることを優先しているため、バタバタしてお送り損ねてしまいそうなのです。だいたい夜型なのは今に始まったことではなく、おそらく10代のころから夜になってイキイキしてくるタイプで、社労士試験の勉強をしているときも家族が寝てしまってからの11時ころから2、3時間が最大の集中タイムでした。その後仕事を始めてからも夕食の準備があるので残業はできなかったため、後片付けしてからまた残りの仕事をするのが通常だったので、やはり夜型。ただ最近は22時ころにどうしても眠くなってしまうのでそこで仮眠をとってからまた起きだすためますます遅い時間になってしまうのです。

朝型にいつも憧れているのですが、つい最近嬉しい本を見つけてしまいました。「夜型人間のための知的生産術(齋藤孝)」です。これは勇気づけられる本でした。夜型をやめる必要も反省する必要もない気がしてきています。


在職老齢年金の見直しについて

2025-01-19 23:04:00 | 法改正

令和6年は5年に一度の財政検証の年でした。社会保障審議会の年金部会で様々なテーマで議論がされましたが、昨年12月に議論の整理が行われ、厚労省は令和7年の通常国会に法案を提出する予定です。かなり広範なテーマになっていますが、法改正のセミナー用レジュメを作成する中で気になったので、在職老齢年金の見直しについて少し取りあげたいと思います。

社会保障審議会の年金部会では、高齢者の活躍を後押しし、できるだけ就業を抑制しない、働き方に中立的な仕組みとする観点から、現行の在職老齢年金制度を見直すことで概ね意見は一致したということです。60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金は今年の春以降原則としては支給が終了するので、在職老齢年金は65歳以上の人が受給する老齢厚生年金に係る話になってきます。以前早稲田の法学研究科の授業で調べたところによると昭和40年には65歳以上の在職者に対しての在職老齢年金は存在していたようですが、昭和61年の大改正の際にいったん廃止され、平成12年の改正で高在老が導入されました(当時TACの講師をしており、テキストに60歳代前半の在職老齢年金を「低在老」60歳代後半の在職老齢年金を「高在老」と記載することを申し合わせたことはまだ記憶に残っています)。さらに平成16年改正で70歳に到達して被保険者資格を喪失した場合でも「70歳以上被用者」ということで、保険料を支払う義務はなくなった場合でも、在職している限り在職老齢年金の仕組みが適用されることになりました。

現行の支給停止基準額(50万円)の支給停止対象者数は約50万人(在職受給権者の約16%)で支給停止額が4500億円となっていますが、今回の改正では3つの試算が提示されており、完全に廃止する案も案1としてその中の一つになっています。案2で支給停止基準額を71万円に引き上げると停止対象者数は半分の23万人(同約7%)支給停止額が1600億円、案3で支給停止基準額を62万円に引き上げると停止対象者数は約30万人(同約10%)支給停止額が2900億円とされています。

議事録をみると「撤廃」が議論の出発点だと思われますが、在職老齢年金制度を撤廃した場合は将来世代の給付水準が低下するため、現行制度を維持すべきといった意見もある。このため、在職老齢年金制度を撤廃する案に加え、基準額を引上げる案を検討することとしてはどうかということで、案2と案3も提示されているようです。

元々定義としては「『在職老齢年金』は、本来『退職』を前提とした『老齢』を支給事由とする老齢年金の例外的措置」。今や70歳代でも働ける時代となれば前提の「退職」は外して、「老齢」のみの支給事由により支給されることが保険料を長く収めてきたことを考えても適切ではないかと思います。低在老が消滅する今、高在老も廃止のタイミングでもあり、今後65歳以上でも働いてもらいたいという企業からのご相談が多いことを考えると、就労抑制にもなり得る在職老齢年金は廃止が妥当ではないかと考えます。

母の怪我もだいぶ良くなって一安心しています。今回転んでも骨折しなかったことは本当に感謝です。ご心配おかけしました。それにしても4月と10月の育介法の改正条文は勉強すればするほど難解です。今週からセミナーが開始しますのでしっかり簡潔に説明できるように頑張りたいと思います。

早く暖かくなると良いですね。


労働条件の明示事項改正

2023-07-03 00:11:11 | 法改正

7月22日に開催するBBクラブの勉強会に使う法改正のレジュメを作り始めたところですが、それほど難しくないと考えていた、1つ目の改正である労基法の改正でかなり時間がかかってしまいました(このペースで行くとピンチです!)。

今回の改正は、労基法15条の労働条件の明示に基づく則5条改正です。改正内容は、労働契約の締結・更新時の労働条件の明示事項の追加で、①従事すべき業務の変更の範囲、②就業場所の変更の範囲、③有期労働契約を更新する場合の基準、が追加されることになります。

当初この改正の説明をすると、業務の変更の範囲や就業場所の変更の範囲をどのように契約書に記載するのかというご質問がほぼ必ずといってよいほどあったのですが、そのうちモデルが出るであろうと思ってそれを待ちましょうとお話ししていたところ、先ごろ記載モデルのリーフが出たところです。その記載モデルによると予想通り、「(雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く 当社業務全般」、「(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内 23区内の営業所」など変更の範囲はある程度ザクっとしたものでした。

さらに、有期契約の場合の労働条件の明示事項には、無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約更新時に、①無期転換申込機会、②無期転換後の労働条件、が加わります。これは労基則5条だけでなく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の改正にもつながっていました。

この「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」は平成15年厚生労働省告示として定められたのですが、労働基準法施行規則の改正に伴い、平成25年4月1日から、「契約締結時の明示事項等(第1条)」が削除され、その部分は労基法施行規則第5条に規定(法定化)されることになり、私の中ではちょっとわかりにくくなっていました。この平成25年の改正の際に「雇止めの予告」、「雇止めの理由の明示」、「契約期間についての配慮」に変更はなく3条からなる基準になっていますが、今回の改正で令和6年4月1日からは1条(有期労働契約の変更等に際して更新上限を定める場合等の理由の説明)と5条(無期転換後の労働条件に関する説明)に新たな条文が加わることになりました。

そもそも今回の労働条件の明示の改正の背景としては、「労働契約法に基づく無期転換ルールについて、労使間の紛争を防止し、またその適切な運用を図る」ため令和4年3月にとりまとめられた「多様化する労働契約のルールに関する検討会」の報告書を踏まえ、労働政策審議会労働条件分科会において議論を行い、令和4年 12 月に「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」が取りまとめられ、その報告に基づくものであるためそれを考えれば雇止め基準だけでなく無期転換に関するルールが労基則に追加されるのはうなずけるところではあります。

改正リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf

最近第9波が来るということで、まわりでも感染する人が出てきたのでワクチン接種をしました。副反応としては前回より腕の腫れは少なかったですが、やはり接種翌日の午後若干熱っぽく(といってもいつもだいたい37度行くか行かないかですが)ちゃんと布団を引いて数時間寝たらだいたい戻っていたという感じです。今年は4月後半から6月末まで、各会合で立食が多くヒヤヒヤでしたが何とか感染せずここまで来ました。来週は楽天を応援にドームに行く予定なので、これで安心かなと思っています。


国家公務員の定年引上げ

2021-06-06 22:18:05 | 法改正

国家公務員の定年を65歳に延長する改正国家公務員法は4日の参院本会議で可決、成立しました。そもそも昨年、会期末を迎えた衆院本会議で継続審議の手続きが取られず、審議未了で廃案となった法案です。廃案の要因となった野党の批判の対象部分である「内閣等の判断で検察幹部定年を延長できる特例」を削除して、今国会に再提出されていたものです。内容としては民間の70歳就業確保措置に向けて参考になるものだと感じます。

①定年については、段階的に引き上げられるため、61歳定年は令和5年度からということになります。2年ごとに1歳ずつ定年年齢が引き上げられ、完成するのは令和13年度65歳ということになります。

②役職定年制が導入され、管理監督職の職員も60歳に到達すると年度末までの間に管理監督職から外れることになります(特例あり)。
③60歳以降の俸給月額は70%の水準になります。
④退職手当の算定は、60歳の時に行うことになります。
⑤本人の希望により、短時間勤務を選ぶことができます。

【法案の概要】
https://www.cas.go.jp/jp/houan/210413/siryou1

65歳定年制をひいたとしても65歳までそれまでの労働条件が維持されるのではなく、どちらかというとこれまでも民間企業で行ってきた60歳定年再雇用とあまり違いがないと感じます。この改正は民間の70歳までの就業確保措置の前哨戦であることは間違いなく、60歳以上の社員に対する労働条件の設定方法の参考にはなると思います。ただ今後70歳まで働くという社会になるとすると、60歳以降も評価制度を導入し、個々人の能力や成績により賃金設定をする方向になるのではないかと考えていただけに、若干足踏みのような戸惑う面もあります。

今日の山縣選手の9秒95はとても嬉しかったです。以前から応援していたのですが大きなけががあったり、年齢的にも厳しくなったのではないかと残念に感じていた時期もありました。先日渋谷のよく行く中華に夜打合せで立ち寄った際、コロナでお客様が少なかったこともあり、もう一組が山縣選手だとすぐ気が付きました。「応援しています。頑張ってください!」と言えばよかったなあと悔やんでいます。苦しい時期を長く沢山経験しているだけに、オリンピックに出場して活躍して欲しいと思います。


創業支援等措置に対する労災特別加入

2021-02-14 23:35:40 | 法改正

労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会は2月10日に労災保険法施行規則等の厚労省の改正案を妥当ととした答申を出しました。この改正の趣旨については、概要が出ていますが、高年齢者雇用安定法改正により4月から努力義務となる創業支援等措置により就業する者の中で、常態として労働者を使用しないで作業を行う者を、1人親方等の特別加入の対象とすることになりました。施行日は令和3年4月1日です。

創業支援等措置というのは、令和3年4月1日から施行される、65歳以上70歳までの就業確保措置のうちの雇用以外の措置をいいます。具体的には、労働者の過半数を代表する者等の同意を得た上で行う以下の制度をいいます。

①希望する高年齢者について、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
②希望する高年齢者について、以下a又はbであって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものに係る業務に70歳まで継続的に従事できる制度の導入

a.事業主が自ら実施する事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う事業

1月15日に行われた労災保険部会の資料3「検討事項の整理」はなかなか面白いです。

000720198.pdf (mhlw.go.jp)

また資料4「論点について」では、既存の特別加入枠組みと創業支援等措置のために設けられる特別加入枠組みの両方の枠組みの対象範囲となるケースが想定されるとし、その場合既存の特別加入枠組に加入することとする。 既存の特別加入枠組がない場合は創業支援等措置のために設けられる特別加入枠組に加入するという提案されています。

今回の創業支援等措置を認める場合、高齢者自身が新たに開始する事業か、事業主等が行う社会貢献事業における業務であり、その業種に特段の制約はなく、業務内容が多岐に渡る可能性があるということです。対応案として、講師、事務作業が多いと想定されている事を踏まえれば、講師については、学校等の教育に関する事業に適用される「9425 教育業」、事務作業については、各種会社の本社、支社等の事務所、法律事務所、会計事務所に適用される「9416 前各項に該当しない事業」が類似の既存業種と考えられるとあり、65歳以上70歳の範囲とはいえ事務作業も一人親方の特別加入に認められることになりました。

現状の1人親方の特別加入が認められる業種の範囲に「事務作業」は入っておらず、65歳以上だけ今回の改正でなぜ認められることになるのか、ますます一人親方の特別加入制度の受け皿的役割が強く感じられ、制度の再設計の必要性を感じます。

昨日12日はBBクラブの勉強会を無事zoomのウェビナーで実施することができました。67名程度の方が入って聞いて頂いたようですがやはり顔を見れず、共有画面に上げたレジュメと片隅の自分の顔を見ながら話すのはつまらないですね。早くコロナが収まってくれると良いと思います。


36協定届の押印廃止について

2020-12-27 23:20:25 | 法改正

令和3年4月1日から36協定の押印が廃止されることになりました。以下「労基法施行規則等の一部を改正する省令について」のサイトにリーフレット、Q&A、通達、条文等が掲載されています。

労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

令和2年8月27日に開催された第163回労働政策審議会労働条件分科会の議論での了承を受けた改正ですが、委員から以下のような意見がありました。

(仁平委員発言)今回の改正に当たりまして、協定書自体の押印が廃止されるかのような誤解が広まって、使用者の一存で記入された協定届が提出される懸念があるのではないかと指摘させていただいたところです。実際、そういった誤報もございまして、現場では実際に混乱が生じたという報告も受けているところでございます。・・・特に重要と思われる点として36協定等の協定に関しては協定届を届けるという手続と、協定を締結するということは別の問題であってしっかり区別されるべきで、協定の締結部分についてはこれまでどおり代表者をしっかり適切に選んで、適切に書面による合意を結ぶということが重要であり、そこの点についての周知の重要性を含め徹底することが改めて必要ということが強調されているという点など踏まえて、適切なものだろうと思います。

そもそも労使協定については、協定書と協定届の2種類があるべきところ、36協定については協定届のみの届出が以下の通達で認められています。

「労働基準法施行規則様式第9号による届け出は、時間外・休日労働協定(36協定)と同視してよいか(昭和53.11.20基発642号、昭和63.3.14基発150号、婦発47号、平成11.3.31基発168号)

 施行規則第17条第1項の規定により、法第36条第1項の届出は様式第9号によって行えば足り、必ずしも三六協定の協定書そのものを提出する必要はないが、当該協定書は当該事業場に保存しておく必要があること。また、三六協定を書面で結ばずに様式第9号のみを届け出たとしても、時間外労働等を行わせることができないことはいうまでもないこと。
 なお、様式第9号に労働者代表の押印等を加えることにより、これを三六協定の協定書とすることは差し支えなく、これを届け出ることも差し支えないが、この場合には、当該協定書の写しを当該事業場に保存しておく必要があること。

一般的には、上記アンダーラインにある通り36協定届(様式第9号)に労使の押印をして届け出ているケースがほとんどであり、協定書を別途作成しているケースはこれまでとても少なかったと思われます。今回の改正により、協定届の押印廃止を受けて押印をせずチェックボックスのチェックをするということにしたとしても、協定書を別途作成してこれまで通り署名・押印が必要となればかえって手間になってしまうのでは、と疑問がありました。今回、新たな36協定届の記載例を見ると、協定書を兼ねる場合には労働者代表及び使用者の「署名又は記名・押印などが必要です」とあり、兼ねる場合であっても労使ともに署名のみで可能であることがわかりました。

要するにこれまで通り、協定届により協定書を兼ねることが可能であり、また、これまで使用者については記名のみならず署名の場合であっても必ず押印が必要とされていたので、その部分の押印が廃止されたということです。

なお今回の改正により、労働者の過半数代表者の適正な選出及び電子申請の利便性の向上に向けた恒久的な制度的対応の一環として、労使協定・決議の届出様式に協定当事者の適格性を確認するチェックボックスを設けられたほか、電子申請時に、電子署名及び電子証明書の添付等のほか、利用者の氏名を電磁的記録に記録することをもって代えることができることとされました。また、所要の改正を行う協定当事者が労働者の過半数で組織する労働組合である場合は、労働者の過半数を代表する者が管理監督者ではなく、かつ適正に選出されたかを確認するチェックボックスにチェックがなされていなくても、形式上の要件に適合するものであるとされています。

〈参考〉第163回労働政策審議会労働条件分科会(資料)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

さて、今年は本当にほとんど1年間コロナウイルスに振り回されたといってよいと思います。在宅勤務やオンライン会議など今や当然となった感がありますが、昨年までは全く予想をしていなかった働き方でした。今年は同一労働同一賃金と働き方改革がメインテーマと考えていましたが、意外なことに劇的な働き方改革が起こった感じです。ここにきて感染者数が東京は1,000人に近づきこれは本当に心配な状況ですので、年末年始で自粛して、年明けは少し収束してくれると良いと願っています。

OURS小磯社労士法人は明日仕事納めです。例年行ってきた事務所での忘年会も今回は諦めて、くじ引きと私からのいつものプレゼントをして締めくくる予定です。ブログも今年は今日が最終となり、お正月はお休みとさせて頂いて、11日からスタートさせていただく予定です。なお事務所は1月5日からスタートします。
今年は私にとって皆様に心から感謝しなければならない出来事があった年となりました。本当に有難うございました。よいお年をお迎えください。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について

2020-11-15 18:35:45 | 法改正

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、なかなか申請が難しいと感じます。これまでも顧問先企業から「支給要件確認書」の休業したか否かの証明について、何件もご質問がありました。ご質問の内容としては、かなり自由度高くシフト勤務で働いていたアルバイトさんに対して、仕事自体がなくなってしまったケースなどであり、雇用関係が日々成立していたとも考えられ、そもそもそれが休業であるかどうかの判断が難しいと感じます。10月1日にQ&Aが出たのでご紹介しておこうと思います。まずは概要は以下の通りです。

制度の概要としては、 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中小事業主に雇用される労働者が事業主の指示により休業し休業中に休業手当を受けることができない場合に休業前賃金の8割(日額上限 11,000 円)を支給するもので、労働者個人に支給されるものです。申請も事業主が行う場合と、労働者が行う場合のどちらのケースも認められます。

【Q&A ②対象労働者、対象事業主】に、日雇労働者は、 雇用関係が継続していない場合、対象とはならず、ただし契約上はいわゆる日々雇用であったとしても、実態として更新が常態化しているようなケースにおいて、更新により労働契約が継続されることを前提に、事業主が労働者を休業させる場合には、支援金・給付金の対象となります。また、フリーランスでの仕事が休業状態であっても、休業の前提となる雇用関係がないフリーランスの方は対象とはなりません、とあります。

この「雇用関係」の判断が難しと感じます。雇用契約の成立が日々行われていると考えられる場合は、指示した休業にはあたらないと思いますが、実態を見るということになると少し判断は変わってきます。

申請をするにあたり、支給要件確認書を提出することになるのですが、⑦-1に事業主(会社)が休業させたか否かを「はい」か「いいえ」で記入する欄があり、「はい」であればなぜ休業手当を払わないのか、「いいえ」にする判断は正しいのか、ということで悩ましい問題となります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646894.pdf

【Q&A ③対象となる休業】として示されている中で確認しておく方が良いものを拾ってみました。

2-2 事業主から、新型コロナウイルス感染症がなければシフトを入れる予定であったが、シフトが決まる前に休業に入ったので、申請できないのではないか。また、申請すると不正受給になるのではないか心配だと言われました。申請できますか。という質問に対しては以下の回答となっています。
→ シフトが入らない状態が休業に当たるか否かは、前提となる労働契約の内容によりますが、この休業の前提となる労働契約は、労働者と事業主との合意によりその内容が決定されます。

2-3 労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。
→ 休業支援金は、中小事業主に雇用される労働者であって、当該事業主の指示により休業しており、休業手当を受け取ることができない方を対象とした制度です。・・・使用者の責に帰すべき事由による休業に当たるか否かは、個別の事案ごとに、休業の原因や、使用者の休業回避努力の状況などを総合的に勘案し判断されます。

3-1 事業主の支給要件確認書への記載は絶対に必要でしょうか。協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能でしょうか。
→ 労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業させていることの事実については、労働者からの申出のみで判断することは適当ではなく、この点について最低限事業主からの確認が必要です。仮に労働者が事業主に申し出たにもかかわらず、事業主が支給要件確認書への記載を拒むようなケースが生じた場合は、支給要件確認書の「事業主記入欄」の「事業主名」の部分に、事業主の協力が得られない旨を、事業主の主張その他関連する事情とともに記載の上、申請してください。その場合、労働局から事業主に対して報告を求めます。

結論としては、例えば週〇日勤務などの契約を結んでいる、または一定期間実態があったということであればシフトが決まる前の分であっても、契約した日数分の休業手当の支払いは本来必要であるということだと思います。判断が難しいという場合については、「はい」とする方が良いのではないかと考えます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646900.pdf

Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000678085.pdf

対象期間・申請期限を延長
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000676013.pdf

コロナの影響で閉店しているお店が増えて寂しく感じる中で、新しくできたお店もあり、とにかく運動不足にならないため週末散歩をすると気になるお店が見つかることがあります。以前何度か購入していたオリーブオイルのお店がまた別の場所にできたりして、散歩もまた悪くないと感じます。だいたい頑張って10,000歩くらい歩くと7キロくらい歩いたことになるようです。今週末は、少し時間ができたので、最高裁の判決の解説動画を見たり充実した週末を過ごすことができました。感染者数が300人を超えて少し心配な状況なので、油断せず行かねばと気を引き締めようと思います。


半日単位の子の看護休暇・介護休暇について

2020-11-08 22:12:34 | 法改正

7月26日のブログでも「子の看護休暇・介護休暇の改正」については取り上げたのですが、先日の渋谷労働基準協会のセミナーのご質問で「半日単位の子の看護休暇・介護休暇」の扱いについて複数ありましたので再度触れておきたいと思います。

今回の改正(2021年1月1日)で、時間単位の子の看護休暇・介護休暇の付与が義務付けられました。改正前は、日単位又は半日単位の付与が義務付けられていましたが、「時間単位」の付与が義務付けられることにより「半日単位」の記述は条文からなくなっています。そのお話をしたところ、「半日単位」の子の看護休暇等を残してよいのかというご質問がありました。実際に運用を考えてみるとなかなか難しいと思いました。

今回の改正についてはQ&Aが出ています〈子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A〉。

https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000618818.pdf

問2-2「半日単位での看護・介護休暇の取得を可能とする場合には、日単位で看護・介護休暇を取得する場合と比べて労働者にとって不利益とならないよう、看護・介護休暇1日の合計時間数が1日の所定労働時間数を下回らないものとする必要がある。」とありますので、半日単位を残しても良いということになります。

例えば、9時~18時の8時間の所定労働時間の会社であれば「9時~12時の午前3時間取得又は13時~18時の午後5時間取得=半日単位を取得」、という扱いでもよいということになります。

また、所定労働時間が7.5時間(9時半~18時)場合の半日単位が午前2.5時間、午後5時間というように定められているのであれば半日単位を残す意味もあります。

ただし上記問2-2にある通り半日単位が時間単位に比べて不利益になってはいけないので、午前休2.5時間を2回取得(計5時間)で1日分取得と扱うことはできないということは留意する必要があります。

金曜日は社労士試験の合格発表でした。合格率6.4%と例年並みで、合格者数2,237人。男女比男性64.0%対女性36%、最年少20歳・最高齢78歳、ということでした。お疲れさまでした。今回涙をのんだ方もまたあきらめずチャレンジしてもらいたいと思います。とにかくあきらめず地道に続ければ必ず合格できる時が来ますから。

この2日間はとにかく日ごろの運動不足解消のためかなり遠くまで散歩を兼ねて歩いていくことにして、1日10,000歩歩きました。しかし、到達点にして行ったパンケーキ屋さんでパンケーキを注文したところ凄いボリュームで、結果帰りも歩いたのですがおなかはパンパンのまま、という予想外の結果となりました。


雇用保険法 時間数による被保険者期間の算定 

2020-11-02 00:46:55 | 法改正

法改正セミナーで取り上げた雇用保険法等の一部を改正する法律の中で、「勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算入に当たり、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する(令和2年8月施行)。」という内容があります。

失業等給付の基本手当を受給する要件である「被保険者期間」は、原則として、離職日以前2年間の算定対象期間に通算して12か月以上あること(特定受給資格者に該当する場合については1年間に6か月以上あること)とされています。「被保険者期間」とは、資格喪失日の前日からさかのぼり1か月ことに区切った1か月の期間内に賃金支払基礎日数が11日以上である場合に「被保険者期間1か月」と算定されます。要するにある程度働いた月が12ヶ月以上あれば基本手当の受給資格を満たしたことにするというわけです。今回の改正でこの11日以上という要件について、「賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上であるとき」が加わり、来年8月から施行されることになりました。

被保険者期間を、日単位で拾うのではなく時間単位で拾う理由は、1週間の勤務が毎週同じではない場合に暦の区切りによっては11日被保険者期間を拾うことができない場合があり、運不運が発生していることについての対応です。今後、働き方が多様になるにしたがって被保険者期間が賃金支払い基礎日数日以上ではなく80時間以上も頻繁に利用されるようになるかもしれません。

ところでこの被保険者期間の時間単位で要件を満たす考え方は、育児休業給付や介護休業給付においても同じなのかというご質問がありました。これは調べたところ、同じ考え方をとるということがわかりました。改正条文は、雇用保険法第14条3項で定められたのですが、「14条の規定による被保険者期間」は、高年齢受給資格者、特例受給資格の他、高年齢雇用継続給付や育児休業給付及び介護休業給付の「みなし被保険者期間」についても同じ扱いになります。以下業務取扱要領よりご参考まで。

原則として、その休業を開始した日前の2年間に賃金支払基礎日数が 11 日以上ある完全月又は育児休業開始日が令和2年8月1日以降であって、育児休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の 11 日以上の完全月が 12 か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が 80 時間以上である完全月が通算して 12 か月以上あるときに育児休業給付金の受給資格者となる。(育児休業給付は業務取扱要領59501、介護休業給付は同59801)

先週は出張で福岡まで行ってきました。行きの飛行機は空席もあり比較的ゆったりしていましたが、帰りの飛行機は満席で空港にも人がいっぱいでした。ただ、みんな黒っぽいスーツ姿ばかりで、女性は少なく、トイレも男性の方が並んでおり女性はガラガラという現象もありました。やはり観光はまだまだであり、仕事でのやむを得ない出張が主力ということなのだと思いました。

いよいよ11月に入り東京も寒くなってきました。本当はオリンピックで盛り上がる年がコロナで縮こまるような年になってしまいましたが、デジタル化、働き方などについて新たな将来に向かう転換の年になるかもしれません。あと2ヶ月来年に向けて準備は怠りなくしておきたいと思っています。


高年齢雇用継続給付の今後について

2020-09-27 20:52:40 | 法改正

高年齢雇用継続給付については、昨年12月9日のブログでも取り上げましたが、春に成立した雇用保険法等の一部を改正する法律の中で今後の改正について示されています。65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて、2025(令和7)年度から現在の給付率15%から10%へ縮小され、支給基準もみなし賃金月額の61%以下から64%以下に引き上げられることになりました。

高年齢雇用継続給付は、平成6年に創設された雇用保険の給付ですが、それまで失業に対する給付であったものが、雇用継続給付が導入されたことで、失業「等」給付という名称になって、当時若干異質な給付である感じがありました。職業安定分科会雇用保険部会の議論は、高年齢雇用継続給付の果たす役割の大きさから平成19年からこれまでかなりの時間をかけて来ています。そういう意味では大きな政策効果のある給付であったと思います。

平成  6年 高年齢雇用継続給付創設(創設当時はみなし賃金月額の85%未満が条件・給付率25%)平成7年施行

(平成15年改正 みなし賃金月額の75%未満が条件・給付率15%へ改正)

平成19年 平成24年度までの措置としその後段階的に廃止とする

平成21年 60 歳代前半層の雇用の状況を踏まえ、平成25年度以降の在り方を改めて検討すべき

平成24年 高年齢雇用継続給付は当分の間存置・再検証すべき

平成25 年、27 年及び28 年 今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的な
観点から議論していくべき

令和元年 令和7(2025)年度には継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し希望者全員が継続雇用制度の対象になる。今後高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を踏まえると、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当である

「平成30年高年齢者の雇用状況」を見ると65歳までの雇用確保措置の実施企業は99.8%と完成に限りなく近づいており、今後2021年4月から努力義務ながら施行される70歳までの「高年齢者就業確保措置」に施策はシフトしていくことになります。雇用保険部会の議論でも雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付は、段階的に縮小することが適当、同給付金の給付率の縮小後の激変緩和措置についても併せて講じていくべきであり、これらの状況も見つつ廃止も含め、更に検討を行うべきである、とあります。 65歳以上70歳までのの就業についての法の支援は、雇用保険法の雇用安定事業に位置付けるということです。

ここのところ週末は連休を除きひたすらセミナーのレジュメづくりにいそしむ日々でしたが何とか3つ作り上げることができました。今年の秋から冬までのセミナーで話せるメニューとしては「2021年1月以降の法改正」、「在宅勤務について」、「65歳超雇用を展望した働き方の動向(法律関係)」と3つに絞りたいと思います。それにしても、リアルのセミナーであるとその日ですべて終わるのであまり気にならなかったのですが、オンラインセミナーで収録となると「残るのだよな~」というのが気になり、髪をカットしに行ってしまいました。今日は若干衣替えをして、ウエストが入らなくなった洋服など思い切って処分をすることとし、新たな気分で10月が迎えられるよう準備を整えました。さわやかな季節がんばりましょう。


2ヶ月以内の雇用契約と健康保険法等の適用について

2020-09-23 00:33:52 | 法改正

健康保険法第3条(定義)1項に適用除外が定められており、2号に「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」が定められています。ただし、この2ヶ月以内の期間を定めて使用される者には「所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。」とも定められており、これはどのような意味であるかというと、2ヶ月以内の所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は、至ったところから適用除外ではなくなるため資格取得する必要がある、ということになるわけです。

この扱いが2022年10月1日から改正されることになります。雇用契約の期間が2か月以内であっても、実態としてその雇用契約の期間を超えて使用される見込みがあると判断できる場合は、最初の雇用期間を含めて、当初から被用者保険の適用対象とする、ということになります。

この点先日のOURSセミナーでも簡単に取り上げたのですが、残り時間が少なく事務取扱のイメージまで触れることができなかったので、ブログに上げておきます。令和元年12月25日 第123回社会保障審議会医療保険部会 資料2では、改正の趣旨を「雇用の実態に即した被用者保険の適切な適用を図る観点からの見直しを行う。」としており、具体的な事務の取扱いのイメージとして、以下のとおり取り扱うとしています。
・ 雇用期間が2か月以内の場合であっても、
(ア)就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合
は、当初から適用する。
・ ただし、(ア)(イ)のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、最初の雇用契約の期間を超えて雇用しないことにつき合意しているときは、雇用契約の期間を超えることが見込まれないこととして取り扱う。
・ 事業所調査で、労働者名簿等に基づき適用されていない従業員等の雇用契約書等を確認し、上記(ア)(イ)のいずれかに該当することが事後的に判明した場合は、契約当初(保険料徴収の時効を踏まえて2年)に遡及して適用するよう指導する。

4連休は1日だけ仕事をした後、小淵沢の家に行って、軽いトレッキング(といっても今ふくらはぎが筋肉痛ですが)で体を鍛えてきました。ニュースでもやっていましたが、高速のサービスエリアは凄い人で、お店も予想外だったか食べ物が売り切れたりしており、本当に大丈夫かと心配になるくらいの混雑でした。前回8月に行ったときは自粛期間中約半年行けなかった影響で、虫とカビとの戦いでやはり家は時々空気を入れ替えたりしなければだめなのだと実感しました。今回は空気もさわやかで、夜はすでに寒くパネルヒーターを軽くつけるくらい、8月は青々とした家の前の田んぼも黄金色となっており、1か月の変化の大きさにびっくりしました。それにしてもコロナの影響で在宅勤務が可能になり、小淵沢に移住を検討する人が増えたということで不動産屋さんは大繁盛だそうです。確かに、今後は地方に住む選択肢はありだと思いますし、渋谷の事務所の家賃相場もかなり下がるようです。今後の在宅勤務やオンライン会議の割合、セミナーのリアルとオンラインの配分、事務所スペースのことなどいろいろと思いをはせるのですが今のところ予測不能という感じで様子見です。

 


2つ以上の会社で働く場合の労災保険の補償について

2020-09-06 21:48:50 | 法改正

3月15日のブログで取り上げましたがその時点では詳しい内容は書けませんでしたので、9月から改正施行されている労災保険の「複数事業労働者に対する新たな保険給付の創設」についてポイントを取り上げてみたいと思います。

この保険給付の新たなキーワードは、「複数事業労働者」と「複数業務要因災害」です。

「複数事業労働者」とは、①被災した時点で、複数の会社(事業主は同一でない)と労働契約関係にある労働者、②1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について特別加入している者③複数の就業について特別加入をしている者、をいいます。

要するに2以上の会社と労働契約を締結しているか、1つの会社との労働契約の他に特別加入しているか、特別加入を複数しているか、ということになります。なお、被災時点では複数の労働契約がなくても、その原因・要因事由が発生した時点で複数の労働契約があれば改正制度の対象となります。

「複数業務要因災害」とは、労災保険給付の対象となる複数の事業の業務を要因とする傷病等(負傷、疾病、障害又は死亡)をいい、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害等です。

給付基礎日額の計算は、複数事業労働者の場合も、これまでと原則は変わりません。傷病等の発生日が算定事由発生日となり、その前3ヶ月間に支払われた各事業場の賃金額を基礎に給付基礎日額が算定され、労災保険給付額が決定されます。複数の会社の賃金締切日が異なれば、異なった賃金締切日を起点として算定した賃金額を合算して給付基礎日額を算定します。

制度改正については、事故率等が高ければ上がる等の業種の保険料率の算定及びメリット制については、業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみが業種の保険料率の算定及びメリット制に影響することになります。また、特別支給金についても、非災害発生事業場の賃金額や特別給与額を合算して給付額を算定します。

複数業務要因災害が新設されたことに伴い、「業務災害用」の様式が、「業務災害用・
複数業務要因災害用」の様式に改正される等様式が変更され、新たに複数事業労働者のための欄が新設されています。(以下厚生労働省のHPからダウンロードできます)

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

なお、2020年9月1日(改正法の施行日)以後に発生した傷病等についてのみ、改正制度の対象となります。

以下、「複数事業労働者への労災保険給付わかりやすい解説」に詳しい事例が載っています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf

9月に入り、コロナでかなり止まっていた仕事を皆さん開始したらしく、セミナーや人事制度の見直し等怒涛のようにといってもよいくらいご依頼が来て、打合せの日程調整に追われダブルブッキングをしてしまうわ、準備に追われるわで、週末も休日というより在宅勤務という状況になっています。ただ、お仕事を頂けるということはやはり有難いことであり、また幸い仕事が大好きなので、全く苦ではなく、充実して過ごしています。

自宅の日経新聞に「花いっぱいプロジェクト」の折り込みチラシが入っており、以前から興味があったので申し込んでみたところ、とても綺麗な花が届きました。茎がしっかりシャンとしており産地直送とはこんなに新鮮なのかと驚くほどでした。とにかく少しでも経済を回すことを意識していこうと思っているので、これからも機会があれば購入しようと思います。

 


女性活躍推進法改正

2020-08-23 23:51:11 | 法改正

例年8月の初旬に行っているOURSセミナーですが今年はコロナの影響で延期とさせて頂いていました。しかし次の時期であると来年の2月ということになり、来春の法改正の準備には間に合わない可能性がありやはり9月には実施したいということで、今回は半分収録を配信し、半分はソーシャルディスタンスを守りながら会場で実施ということにしました。

テキストもある程度でき上ってきたので、今週末はレジュメ作成に着手したのですが、来春だけではなくあれこれ細かく改正があります。コロナ禍の中ですでに施行されているものもあり、それもおさらいで取り上げる予定です。女性活躍推進法も既に6月に施行された分がありますのでここで取り上げておきます。ポインとは4つです。施行日がそれぞれ異なりますので注意が必要です。

①一般事業主行動計画の改正 【2020.4.1施行】

常時雇用する労働者数301人以上の事業主は、2020年4月1日以降が始期となる一般事業主行動計画を作成する際は、原則として、新たに定められた2つの区分ごとに1つ以上の項目を選択し、それぞれ関連する数値目標を定めた行動計画の策定届を、管轄の都道府県労働局まで届け出る必要があります。(電子申請、郵送、持参)

②情報公表の改正      【2020.6.1施行】

常時雇用する労働者数301人以上の事業主は、女性の活躍に関する情報公表についても、新たに定められた2つの区分から、それぞれ1項目以上選択して2項目以上情報公表する必要があります。

③プラチナえるぼし認定の創設【2020.6.1施行】

  • えるぼし認定:一般事業主行動計画の策定・届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に3段階の認定します。
  • プラチナえるぼし認定:えるぼし認定を受けた事業主のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定します。

④情報公表の義務対象拡大  【2022.4.1施行】

一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主から101人以上の事業主に拡大されます。

かなり細かいですが概要は以下の通りです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594316.pdf

また、OURSの高橋が労政時報で特集記事を書いています(会員の方はご覧ください)。

https://www.rosei.jp/readers/article.php?entry_no=78540

夏休み明けの1週間でちょっと辛いかもしれないなあと思っていたのですが、かなり忙しくあっという間に終わってしまいました。週末は自粛の2日間でしたが、早稲田の同期とオンライン飲み会をしてみました。オンライン飲み会は初めてでしたのでどうなることやらと思ったのですが、あっという間に2時間、大学院を修了するまでの2年間は毎日とは言わないまでもしょっちゅう顔を合わせていたメンバーであり、試験や発表、修士論文を一緒に乗り越えた同志なので、久しぶりに顔を見ながら話ができて楽しかったです。年齢もかなり幅があり、また仕事の内容も様々なのですが、オンライン授業の話や、今年の1年生が優秀だという話だけでなく、コロナウイルスに対する医療体制の話や、在宅勤務の話など流石に社会保障について専門性を持つメンバーばかりというだけに情報交換ができた感じでした。

さて、今年の本試験が今日終わりました。受験生はお疲れさまでした。運営側もなかなか会場の確保が難しく、ということは受験生も大変な年になったことと思います。でも、ともかく年に1回の試験に受験生は人生をかけてくるので本当に中止にならなくてよかったと思います。しばらくは試験のことは忘れてのんびりできる時間を味わってもらいたいと思います。お疲れさまでした。