OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

65歳からの介護保険料の徴収方法について

2019-08-25 20:32:00 | 社会保険

介護保険料は、40歳以上64歳までの第2号被保険者は、例えば健康保険等加入している医療保険の医療分と併せて徴収されます。65歳以降第1号被保険者になると、受給している年金の額などによって、年金から差し引かれる方法(特別徴収)と納付書または口座振替で納める方法(普通徴収)の2種類となります。年金から控除される形での徴収は、該当する年の4月1日現在において、年金の支払額が年額18万円以上であることが条件となります。

調べてみると、65歳の年度は特別徴収が出来ないとなっている市区町村がほとんどのようです。第1号被保険者として介護保険料を納めるのは、介護保険の資格取得日(65歳になった誕生日の前日)のある月からの分ですが、年度途中で65歳になった場合や引っ越し等により市区町村に転入してきた場合は、年金からの天引きの方法である特別徴収ではなく 普通徴収となる場合がほとんどであり、その場合は原則として、その翌月に納入通知書を送付されるようです。

年度の途中で65歳になる場合、退職の時期なども影響して年金を受給するタイミングが個人個人異なるので、その年は年金からの天引きではなく、振込による普通徴収にしておき、66歳になる年度の4月から年金天引きによる徴収ができるとする方が合理的だからかもしれません。
介護保険法施行規則で、特別徴収か普通徴収かを市区町村独自て決められるのか調べたのですが、第135条に「特別徴収の方法によって保険料を徴収することが著しく困難であると認めるもの・・・を除き」特別徴収の方法により徴収する、 となっており特別徴収が原則であるが事情によっては普通徴収を市町村が決められるようです。
 
今日は年1回の社会保険労務士試験の日でした。受験生の方はお疲れさまでした。事務所も毎年6,7人の受験生がいますが、皆力を出し切ってくれたと思います。あとは結果を待つのみ。受験生が悔いない受験をできたことを願います。
講師時代によく受験生に言っていたのは、合格することで必ず成功を手に入れられるのだからとにかくあきらめないこと、ということでした。合格して社労士になったときに、受験回数など全く関係のないこと、むしろ実務をこなしていくためには受験回数がある程度あった方が、受験生時代に得た法律や仕組みに対する理解が深く、即戦力になる可能性が高いと思います。
 
今日から、修士論文を書き始めました。これまでいろいろな準備をしてきてそれらをどのように料理していくかというイメージでいたのですが、書き始めてみると調べる必要や確認する事柄が出てきたりで思った以上に進みませんでした。今日はジムに行き既にシャワーも浴びているので、もう少しこのあとねばってみようと思いますが、少し気合を入れる必要がありそうな気がしました。

同一労働同一賃金 比較対象労働者

2019-08-18 16:46:59 | 法改正

同一労働同一賃金について難しいことの一つが誰と誰を比較するのかということではないかと思います。特に無期転換した社員と有期契約の社員の比較はどうなるのかということについては意外に盲点があることを、厚労省が出しているマニュアルで気が付きましたので取り上げてみたいと思います。「比較対象労働者」「取組対象労働者」を確認する流れを示しています。

通常の労働者とは、いわゆる「正規型」の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者をいいます。こちらが「比較対象労働者」として区分されます。

「比較対象労働者」と比較するのが「取組対象労働者」という区分になりますが、短時間の無期雇用労働者・短時間の有期雇用労働者・フルタイムの有期雇用労働者といういわゆる「非正規型」と言って良いと思いますがそれらがその区分に入ることになります。とすると無期転換した社員が短時間勤務の場合は短時間勤務がゆえに「取組対象労働者」になるわけです。なお、短時間勤務とは、1週間の労働時間フルタイム フルタイムよりも短い場合をいいます。

無期転換労働者がフルタイム勤務の場合は「比較対象労働者」になりますが、短時間勤務の場合は「取組対象労働者」になるということです。

例えば短時間勤務の有期のパートさんが、労働条件はそのままで無期転換した場合は、「比較対象労働者」になることはなく有期のパートさんと比較することはないですが、「取組対象労働者」として「通常の労働者=いわゆる正社員など期間の定めのないフルタイム労働者」とは比較することになります。

また、フルタイムの有期のパートさんが、労働条件はそのまま無期転換した場合は、期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者ということで「比較対象労働者」となり、無期化前の有期パートさんと比較することがあり得るということです。その際、労働条件が従前と変わらない場合は、同一労働同一賃金の問題にはならないということになります。

詳しくは以下をご参照ください。

不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル  業界共通編 厚生労働省
~パートタイム・有期雇用労働法への対応~ 

P27 図表3- 3 取組対象労働者と比較対象労働者の確認の流れ

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000494536.pdf

お盆休みはゆっくりできましたでしょうか?私は家族旅行と懸案の研修の打合せと9月からの法人新年度に向けての事業計画を作成したり、ゆっくり休息もできて有意義でした。できなかったのは勉強ということで、明日からは受験生と同じ気持ちになり勉強を頑張るつもりです。 


同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)

2019-08-04 23:13:19 | 労働基準法

火曜日のoursセミナーの準備をする中で、平成28(2016)年12月20日付けで発表された「同一労働同一賃金ガイドライン案」と平成30(2018)年12月28日付で発表された「同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)」の横断を作り、比較してみました。先日のBBクラブの勉強会の準備段階では調べが足りず気がつかなかったのですが、新たに指針では加わった前文において参議院厚生労働委員会の附帯決議の以下の内容が盛り込まれています。

平成30年6月28日 参議院厚生労働委員会

32条 パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の三法改正による同一労働同一賃金は、非正規雇用労働者の待遇改善によって実現すべきであり、各社の労使による合意なき通常の労働者の待遇 引下げは、基本的に三法改正の趣旨に反するとともに、労働条件の不利益変更法理にも抵触する可能 性がある旨を指針等において明らかにし、その内容を労使に対して丁寧に周知・説明を行うことについて、 労働政策審議会において検討を行うこと。

33条 低処遇の通常の労働者に関する雇用管理区分を新設したり職務分離等を行ったりした場合でも、 非正規雇用労働者と通常の労働者との不合理な待遇の禁止規定や差別的取扱いの禁止規定を回避することはできないものである旨を、指針等において明らかにすることについて、労働政策審議会において検討を行うこと。

同一労働同一賃金はパートや有期労働者の待遇改善により実現すること、比較対象とする通常の労働者に定処遇の区分を新たに作り比較することや、職務を分離させて比較させることは認められないこと、が決議されており、この決議の内容が指針の前文に盛り込まれたことがわかります。

ガイドラインと指針を比較すると派遣労働者について追加されているほかは大きく変更されたわけではないのですが、比較対象の範囲が同一事業主に明確化されているなど細かな点で違いがある箇所があります。今後もう少し細かく研究していく必要がありそうです。

とにかく何か始めるには自分の周りを片付けてからでないと始まらない人間で、今週末はこれまで特に整理をしていなかったクローゼット内のものを整理してバックや最近愛用しているリュックなども上手く収納できるようになりスッキリしました。

先日顧問先の長いお付き合いの担当者の方から、「旧いものを捨て去ると新しいものが入ってくる」というお話を聴いて自分の片付けもそんな意味があるのかもしれないという気がしました。

来週は10日から15日まで事務所もお盆休みを頂きます。私も旅行に行ってきますので来週のブログはお休みさせて頂きます。皆様も、良い夏休みをお過ごしください。