OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

2017-01-29 21:55:39 | 法改正

労働時間の把握についてはこれまで長い間「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13.4.6基発339号)」が行政の考え方として示されており、通し番号が「基発339号 平成13年4月6日」で あるため、日付をとって「46通達」とも呼ばれていました。

1月20日に、厚生労働省労働基準局長名で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインについて」通達が発出され(基発0120第3号)、この通達をもって上記46通達は廃止することとされました。ガイドラインは以下の通りです。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

ところでこのガイドラインはこれまでの46通達とどこが違うのか突き合わせをしてみました。同じ言い回しをしている部分も多いのですが、労働時間の考え方は丁寧に具体的に書かれています。

特に詳しく記載されるようになったのが「自己申告制による始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置」です。

3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置

始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法として、「現認」または「タイムカード・ICカードなど客観的な記録を基礎として確認し適正に記録する方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、 使用者は次の措置を講ずることと、あくまで自主申告制は原則とした確認及び記録ができない場合とされています。

特に過少申告にならないよう具体的に示す記述は以下の通りかなり詳しく書かれています。

(3)エ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を 労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認 すること。 その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではな いと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど 使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間と して扱わなければならないこと。

(3)オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。こ のため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、 上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害す る措置を講じてはならないこと。

また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害す る要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合 においては、改善のための措置を講ずること。 さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定 (いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然で あるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわ らず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者 や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

「自己啓発」のための「私事在館」というルールがあったと言われている電通事件の影響は大きいですね。とにかく過少申告には絶対にならないように企業は厳格に注意をする必要があります。

今年もすでに春からのいくつか大きな案件が決まっており、今週も京都方面に出張にも行き忙しく終わりました。しっかりマネジメントをしてスタッフに過重な負担をかけないようにしなければと気持ちが引き締まります。

昨日は、京都に転居する大学時代のテニス部の友人を囲み午後長い時間お茶のはしごをして喋りまくりました。子供の結婚などのこと、親の介護のこと、自分の健康のこととありきたりな話でしたが、今後生活の拠点を今から移す友人のバイタリティーともいえる強さにはちょっと驚きでした。みんなで遊びに行く拠点ができるわけですからそれは楽しみにしています。


働き方について

2017-01-22 23:28:48 | 雑感

これまで社労士として色々な労務管理のご相談を受け、色々な場面で働くことを考えてきた私の個人的な感想を少し書いてみようと思います。

非正規雇用について、平成30年から始まる無期転換をはじめとして非正規雇用の特に処遇の低さが問題視され、とにかく正規雇用にする(なる)ことが肝要であるという考え方については、若干違和感を覚えています。非正規雇用で働いた経験としては、就職氷河期に卒業して就職先がなく1年弱電通でアルバイトをした経験のみではありますが、非正規雇用の不安定さは当時のことを考えてもわかるような気はします。同じコピー取りであってもしっかり自分の仕事として位置づけられている正社員になりたいと考え、プロジェクトが一段落した際に新聞の募集広告を鐘紡の子会社が出しており、それに応募したのがきっかけで人事の仕事に就くことになったわけです。

その後結婚して10年専業主婦・子育てに専念したのち、鐘紡子会社時代の仕事の延長であった社労士の資格を取得して、再度働き始めたのですが、子供が一人であったこともあり、また自身が事業主という立場であったため家事・育児と仕事の両立に悩むということはほとんどなく、はっきり言ってムチャクチャ働いてきました。

しかし社労士になり色々な、特に女性の働き方を見ていると、やはり子育てと仕事の両立は本当に大変だと感じることが多々あります。今正規で働くことが子育て中の女性にも求められているわけですが、例えば残業がない働き方だとしてもそれはかなり負担感があることなのではないかという気がします。むしろ非正規で働くという選択肢は働く側にもメリットがあり、その場合に処遇が多少低くても「気が楽な立場」であればその方が良いという考え方もありという気がします。

私は子供が小学生になってから再度働き始めたわけで、また当初は自宅開業だったのですが、赤ちゃんに近い子供に食事の支度を忘れて慌てている夢をその頃はよく見たりしました。やはり家事や子育てと仕事の両立というのは相当の覚悟が必要だと思います。その覚悟を誰もが持てるかというとなかなかそれは難しいのではないか、という気がします。覚悟という意味では働く場合常に必要だと思うのですが、非正規で働く場合と無期や正規で働く場合はやはりちょっと違うような気がします。もし社労士という仕事に出会っていなければ、私も覚悟を決めて働くという選択ではなく、むしろ親や家族に影響のない範囲での働き方を賢い選択と考えたかもしれません。

非正規の処遇の低さが問題であるということはあるかと思います。もちろん程度の問題があるとは思うのですが、もしその処遇が不満であれば「気楽な立場」を捨てて「覚悟」を持てるかということを考える必要はあると思います。

また長時間労働については、今年の新年賀詞交歓会では特に労働関係の行政の方とお話しする機会があるたびに私も過重労働ですと言う(皆さん取り合ってくれませんでした)程働いているのですが、自分で面白くて時間を忘れて働いている場合も時間で規制すべきか、という点は検討する必要があると思います。自己責任で時間管理ができるなら思い切り働きたいということはあるかと思います。私も子育て中は残業できる男性が羨ましくもう少しやりたいときに食事を作るため仕事を切り上げる無念さはストレスでした。

「働き方改革」については、その人の人生の中でその時々一番自分に合った働き方を選べることと捉えています。そういう選択肢を社会も企業も提示する必要があると思います。その時に「非正規」や「夢中になって働くこと」も選択肢として必要だと思っています。

この1週間は本当に忙しかったです。新年賀詞交歓会がこの2週間毎日のようにあり、帰宅してから規程を見るという厳しい状況でした。それも何とか終わりましたので、明日からは新たなことに取り組めそうで嬉しいです。少し時間的にゆとりを持たないと、新たな発想やアイディアが浮かばないことは確かです。事務所の体制もかなり整ってきたので、少しそういう時間を作れるようにしたいと思っています。

2週間前から「生姜ココア」を飲むようにしています。血管を強くするらしいです。味噌汁と生姜が今のところ私の中ではブームになっています。そのお蔭か多忙な中体調は極めて良い感じです。 


介護サービス費用の助成措置

2017-01-15 22:46:12 | 労働法

1月1日に施行された改正育児介護休業法の中で、「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」の改正があります。

これは選択的措置ということで、①短時間勤務②フレックスタイム③始業終業時刻の繰上げ繰下げ④介護サービス費用の助成の中から事業主がどの制度を導入するか選択することができるようになっています。①~③については、連続する3年以上の期間に原則として2回以上利用することが可能であることになっていますが、介護サービス費用の助成の措置については「2回以上の利用ができることを要しない」とされています(育児介護休業施行規則第74条3項)。

介護サービス費用の助成の正確な言い回しは以下の通りです。

要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその就業中に、当該労働者に代わって当該対象家族を介護するサービスを利用する場合、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度を設けること。

そこでこの「介護サービス費用の助成」とはどのようなものをいうのか、また効果的な使い方があるのかという点を調べてみました。通達(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行に ついて」平成28年8月2日職 発0802第1号、雇児発0802第3号)には以下のように書かれています。

7 介護のための所定労働時間の短縮等の措置(法第23条第3項)

●「介護するサービス」とは、介護サービス事業者、公的介護保険外のサービスを提供する事業者、障害福祉サービス事業者等が提供するサービスであって、要介護状態にある家族の介護に資するサービスをいいます。

●介護情報の提供等そのサービスを利用することによっても当然には当該労働者がその対象家族を介護する必要性がなくならないものは含まれないものとされています。

●なお、費用助成の内容としては、労働者の所定労働日1日当たり2時間について、介護保険の利用限度額を超えるサービスとして、例えば訪問介護サービス等を利用する場合や、公的介護保険の給付の対象とならないサービスとして、例えば家政婦による生活援助のサービス等を利用する場合に、少なくともその料金の5割に相当する額程度以上の助成額となることが望ましいものとされています。

●助成方法としては、週一括、月一括とするなど適宜の方法によれば足りるものであるが、見舞金など現実の介護サービスの利用の有無に関わりなく少額の一時金を支給する制度は、則74条3項3号に定める介護サービス費用の助成の制度に該当しないものであること。

また、平成28年改正法に関するQ&Aには、「業務の性質上短時間勤務等の措置が困難な場合 のために、介護サービス費用の助成という選択肢が用意されている(2-7答)。」と示されています。

なお、 管理職について、介護のための所定労働時間短縮等の措置を講じる必要についてですが、労基法第41 条第2号に定める管理監督者は、労働 時間・休憩・休日に関する規定が適用除外されており、自ら労働時間管理を行うことが 可能な立場にあることから、法第23条第3項の措置を講じる必要性はないということになっています。その代替として、「介護サービス費用の助成の措置」を定めておくのも一つの方法だと思います。

先週は毎日のように新年の賀詞交歓会がありなかなかハードな上、土曜日は年に2回のBBクラブの勉強会でした。勉強会には140人ものOBが集まってくれて、千代田支部の岩崎先生の「同一労働同一賃金」の講義もあり充実した内容でした。私の担当の法改正の部分は、隙間を見て予習は一応したのですが時間配分を間違えたのと、かっちりした予習にならず、思わず最初にかなり雑談的な話もしてしまい内容としては緩い話しぶりになったような気がしました。

終わってから恒例の懇親会後2次会で、今日の講義は自分たちが勉強していたころの講義を思い出したと盛り上がってくれました。雑談や年末に決まったのでレジュメに入れ込めなかった雇用保険率の板書もあったのでそんな風に感じられたのだと思いますが、そんなことを言いながらいままで長い間なんだか楽しく盛り上がれる仲間でいられることに幸せを感じました。


定期健康診断等の項目についての検討

2017-01-09 17:20:14 | 労働法

あらためまして本年もよろしくお願いします。

お正月休みが終わって出社したと思ったらまた3連休ということでかなり休みが続いた感じではありますが、明日からいよいよ2017年の本格的なスタートになると思います。今年も「働き方改革」や「長時間労働削減」が大きなテーマになるのかと思いますが、大きなテーマだけではなく細かい法改正や目立たない改正なども取り上げていきたいと思います。

人研ニュースにも取り上げられていますが、昨年の2月8日に第1回の「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」が開催されました。 

要綱に書かれているのは、高齢化、ストレスチェック制度創設、脳・心臓疾患の労災支給決定件数の増加などの健康診断を取り巻く状況の変化や、医療技術の進展、科学的知見の蓄積も進み、診断手法や検査項目も見直す必要があるということで昨年中計8回の検討会が開かれています。平成28年12月第8回検討会最終とりまとめで以下の報告が出ています。http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000147336.pdf

内容はかなり専門的なので難解に思いますが、資料はとても興味深いものだと思います。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000147338.pdf

「労働安全衛生法に基づく定期健康診断項目の変遷」を見ると平成に入ってからは10年ごとに法改正を行って検査項目の見直しをしています。

 また後ろの方に「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うにあたっての留意事項(平成27.11.30回生労働基準局通達)」を見てみると、

4-(2)のアンダーラインの箇所に「事業者が外部機関にこれらの健康診断(定期健康診断等)又は面接指導を委託するために必要は労働者の個人情報を外部機関に提供し、また外部機関が委託元である事業者に対して労働者の健康診断又は面接指導の結果を報告(提供)することは、それぞれ安衛法にもとづく事業者の義務を遂行する行為であり、個人情報保護法第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当し、本人の同意を得なくても第三者提供の制限は受けない。

 とあり、この通達などは実務的に企業からよく問い合わせを受ける部分であるため役に立つと思います。

年末の宴会続きでとにかく少しスリムにならなければと今年のお正月はお餅を極力控えてきたのですが、やはりお汁粉は美味しいので何回か食べてしまいました。明日はすぐに山手統括支部の新年賀詞交歓会で人前に立つためあれこれ言われそうで心配です。年末年始は例年通りかなり家の大掃除に力を入れ色々なものを新しくおろし新たな気分になりました。仕事も年末からこの3連休でセミナーの準備や規程の確認などほぼ予定通り進んだので明日からまた張り切っていきたいと思います。

それでもかなりのんびりとしている中、小池都知事の予算配分で、「がん患者就労支援に助成金」というニュースが飛び込んできました。仕事と治療両立などに配慮した雇用計画を策定し、がんや難病の患者を6カ月以上継続雇用した企業を助成するということです。今まさに東京会の社会貢献委員会で受け皿を準備して、会員を後押ししようとしているテーマであり上手くこの波に乗れると良いのですが。


2017年のはじまり

2017-01-01 00:09:41 | 雑感

 

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今週はお正月のためブログはお休みさせてください。

皆様穏やかな年始をお過ごしください。