育児介護休業法は平成29年1月1日に改正されることになっています。その改正の中でも一番大きなテーマは、「介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備」といえると思います。改正の内容は7月に労務行政さんより発売となる「改正雇用保険・育児介護休業・均等法早わかり」を読んで頂くとして、その背景を書いてみたいと思います。
まず平成22年7月の育児介護休業法の附則7条には以下の通り定められていました。
第7条 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
育児関係の改正内容が主だった平成22年の改正後5年経過するということは、団塊の世代も70台にさしかかり本格的に介護を考えなければならないということだったのかと思います。5年後の昨年夏に「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書(平成27年8月7日)」が出ています。当初の介護休業などについての考え方が分かって興味深いです。以下簡単に抜粋してみました。
1 介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備
(1)仕事と介護の両立支援制度の整理及び介護休業について
○ 介護休業制度は、介護保険制度が開始される以前に創設され、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間の緊急的対応措置として休業できる権利を労働者に付与したものである。しかし、約9.5万人程度の介護・看護離職者が発生している一方、介護休業の取得率は3.2%であり、より柔軟に利用でき、かつ、労働者のニーズにあった介護休業制度を含む仕事と介護の両立支援制度が求められている。
(現行制度の現状等)
○ 現行の育児・介護休業法では、同一の対象家族について同一要介護状態ごとに一回、通算で93日間の介護休業が認められている。 これについては、平成7年の介護休業制度制定当時に脳血管系疾患のモデルをもとに、家族が介護に関する長期的方針を決定するまでの期間として3か月程度が必要とされたことや、当時、既に法を上回る独自の取組として介護休業制度が導入されていた民間の事業所において、実際に休業を取得した労働者の大部分が3か月以内に復帰していることなどから、同一の対象家族について3か月間の休業を1回に限り認めていた。
(仕事と介護の両立支援制度の整理)
○ 介護の状況は、介護の原因疾患や要介護者の状態、家族形態によって様々であり、育児とは異なり先の見通しが立ちにくいことから、介護休業を自ら介護するための期間と位置づけた場合、休業期間を大幅に延長する必要があり、事業主にとって負担となるだけでなく、労働者にとっても介護へ専念する期間が長期化し、継続就業を難しくする可能性が高い。
○ このため、介護休業については、急性期や在宅介護から施設介護へ移行する場合や末期の看取りが必要な場合など、介護の体制を構築するためにある一定期間、休業する場合に対応するものとして整理すべきである。
○ 介護の体制を構築した後は、介護保険サービスや地域におけるボランティア、NPO、民間企業等が提供するインフォーマルサービスも利用しつつ仕事と介護の両立を図ることとなるが、そうした介護保険サービスの利用に係る手続きやスポット的な介護、通院等のために、一定の休暇が必要になることが考えられる。すなわち、介護の体制に変動はないものの、介護保険の申請・更新手続きやケアマネジャーとの定期的な打ち合わせ、主たる介護者は別にいるが、その主たる介護者が病気になった場合の一時的な介護、対象家族が通院等をする際の付き添い等、日常的に介護する期間においてスポット的に休まざるを得ない場合に対応するものとして、引き続き介護休暇を位置づけるべきである。
○ また、介護の体制に変動はない場合であって、介護のための買い物や見守り、通院の付き添い等、介護に伴う日常的なニーズに対応し、介護離職を防止するとともに、いつまで介護が続くか分からない不安に対応するものとして、勤務時間や勤務時間帯を調整する等の介護のための柔軟な働き方を位置づけた上で、その内容を検討すべき
昨年12月から偶数月に山手統括支部で「山の手メンター塾」を開催しています。直近3年間に登録した開業会員と勤務会員を10年以内に登録した比較的まだ身近な会員を中心とした先輩とミニセミナーを聞いたあとにディスカッションをして、その後「仕事の話をする飲み会」に参加してもらうという企画です。
当初どのくらいの人数が集まってくれるか、メンター役をやってくれる会員がいるか心配ではありましたが若手を中心とした協力を得ることができて、だいたい40名程度の会員が集まり、かなり盛り上がっています。社労士会にとっては人材が沢山育つことがなんといっても大事と考えていますので、できるだけ今後も充実させたいと考えています。
8月の企画は、「小さな会社の賃金制度の仕組みづくり」。私が開業当時は手が届かないと考えていた賃金制度や評価制度を、手探りで作ってきた経緯も含め小さな会社でもシンプルで良いので賃金制度を作るべきという話を恥ずかしながらする予定です。