先日いつもお世話になっている社労士の集まりで色々と食事をしながら楽しく話をした中で「傷病手当金」のことが出ました。傷病手当金は、健康保険では法定給付ですが、国民健康保険では任意給付であり、コロナウィルスの際の特例を除いてはほぼ実施している保険者(市町村)はない状態です。
傷病手当金は、被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給されるもので、支給期間は支給開始日から起算して1年6か月を限度とします。療養期間中の休業補償として、調べたところによると健康保険法施行当初からある給付の一つでした。ちなみに当初傷病手当金の支給期間は180日間でした。
なぜ気になったかというと、医療保険に生活保障ともいうべき傷病手当金が給付としてあるのか、その理由を知りたかったのですが、手持ちの書籍からは今のところ理由を拾えないでいます。ただ、傷病手当金については、令和2年3月26日の社会保障審議会医療保険部会の資料には、検討課題が載っていました。働き方改革実行計画工程表の中にある「治療と仕事の両立等の観点から、傷病手当金の支給要件等について検討し、必要な措置を講ずる。」と方向性が示されており、その結果令和4年1月1日から施行されている支給期間の通算化となったのだろうと思います。やはりそういう意味で生活保障としての役割がさらに近年大きくなっているようです。
協会けんぽの運営委員会では2年くらい前から、傷病手当金の支給事由のトップが精神障害であるという点についてよく議論されます。ちょうど同じ資料に、協会けんぽの傷病手当金の年齢別・疾病別構成割合が載っているのですが、「精神及び行動の障害」の割合は、55歳未満の階級では最も割合が高く、年齢階級が高くなるほど減少。「新生物」の割合は、年齢階級が高くなるほど増加し、55歳以上では最も割合が高い。」というグラフとなっており、傷病手当金の平均支給期間は約164日(男性172.96日、女性151.42日)だそうです。若い年代に「精神及び行動の障害」が多いという点については、課題があります。
また、協会けんぽにおける傷病手当金の支給件数のうち、資格喪失者に対する継続給付は全体の約20%とかなり大きな割合を占めており、資格喪失者の傷病別構成割合は、「精神及び行動の障害(51%)」、「新生物(13%)」、「循環器系の疾患(11%)」の順で多くなっている、ということで圧倒的に「精神及び行動の障害」が多いということです。部会でも「職場復帰支援ではなく、むしろ退職後の所得保障として機能しているのではないか」という意見が出ており、確かに資格喪失後の継続給付については雇用保険法等に再編しても良いのかもしれないと感じました。
今日は本試験でしたが受験された方はお疲れさまでした。よい結果となることを祈っています。
いよいよ今週から9月ということで、少し秋風のような空気も感じられるますが、夏風邪から完全に復活して体調も良く、秋からの色々なご依頼や仕事にワクワクしているところです。夏休みの自分に課した課題である「会社が選ぶ施策のトータルなご提案」のレジュメはほぼ完成し、今は秋に目白押しのセミナーや執筆をできるだけ前倒しで取り組んでいるところです。休みの日に仕事をする生活からは脱したいと思うのですが、ご依頼を頂けるのは有難いとも思い、相変わらずの生活を送っています。