OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

同一労働同一賃金に向けた職務評価について

2019-09-29 22:39:19 | 法改正

大企業は来年2020年4月から、また中小企業は一年遅れで、いわゆる同一労働同一賃金関連の法律が施行されます。全国社会保険労務士会連合会では昨年の秋から「働き方改革実務会議」を作り伝達研修やe-ラーニング、年休管理ツールなどを会員に提供してきたのですが、いよいよ来年の春以降のテーマである同一労働同一賃金に取り組むことになり研修を全国7か所で行うことになりました。既に東京と福岡で開催し、私の担当部分は生産性向上に向けての実践編という50分の短いところなので、他の講師の担当部分をじっくりと聞き勉強ができた感じです。

同一労働同一賃金は、簡単にいえばまずは短時間勤務か有期契約なのか否かで社員のタイプを整理し、比較対象労働者なのか取組対象者なのかの整理をしていきます。その上で手当等の賃金や福利厚生などに待遇差があるかどうかを点検し、待遇差がある場合は均等待遇が必要か均衡待遇でよいのかを判断し、必要に応じて待遇を改善した上で、職務内容等が最も近い労働者と比較をした説明書を作成することになります。

手当や福利厚生などの対応について、ここまではまだある程度イメージがつくのですが、基本給については、その内訳を分析して決めているわけでもない場合が多く、どのように手を付けるか悩ましいところです。しかし基本給も同一労働同一賃金の適用はありますので、正社員とパートタイマーの担当している職務を職務評価をすることで正社員の賃金テーブルの時給換算した金額とパートタイマーの時給とを上手く接合させることになるわけです。今回厚生労働省の冊子に沿った職務評価の講義でしたがとても勉強になりました。厚労省で作成したパンフ※で取上げている職務評価は「要素別点数法」であり、そのほか職務評価には単純比較法、分類法、要素比較法があります。

要素別点数法でまず決めるのは、「評価項目」と「ウェイト(重要度)」と「スケール(難易度)」です。これらを評価していき各人の担当している職務のポイントを算出していきます。そこで算出されたポイントを正社員とパートタイマーで比較をし、正社員の等級に並べてパートタイマーも役割等級制度を作り、同じポイントであれば時給(換算)がほぼ同じになるように調整します。

言葉にするとわかりにくいと思いますが、もう少し自分なりに消化させて説明できるようにしようと思います。それができるようになったら顧問先企業様向けに説明会を開くことも検討しようかと考えています。

※「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」

https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/reform/pdf/evaluation.pdf

ラグビーワールドカップはとても盛り上がっており、また日本が強いのでしばらく楽しめそうですね。以前は時々チケットを頂いたり購入して秩父宮や国立競技場なども観戦に行っていたのですが、先日味の素スタジオに行ってとても楽しかったので、早慶戦のチケット購入して久しぶりに秩父宮に行ってみることにしました。修論は少しずつ書き溜めてはいるのですが、そんな余裕が11月にあるかどうかは不明です・・・! 


社員紹介制度について

2019-09-22 20:30:58 | 労働法

人手不足に悩む企業や特殊な専門性を必要とする職種がある企業から、社員紹介制度を設けたいというご質問受けることがあります。また、日経新聞の9月20日(金)の記事に、「社員全員が採用担当」があり、社員が自分の知人らを紹介する「リファラル(紹介)採用」を日立製作所や、荏原、NTTデータなど大手企業に広がり始めたと載っていました。

紹介制度は「職業安定法に違反する」危険性があるということを認識していたのですが、先日スタッフが顧問先に導入するにあたり労働局に確認をとったところ問題ないと言われたということでしたので再度調べてみることにしました。まず職安法の違反ということで条文をみてみたいと思います。

(定義)
第4条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。

(委託募集)
第36条 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

報酬の供与の禁止)
第40条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
 
上記の第4条は、職業紹介が何たるやを定義づけているのですが、第36条で「被用者(社員)以外」の人が募集業務を行う場合を規定しており、その場合は厚生労働大臣の許可が必要ということになるとしています。第40条は「被用者」としているので、社員が紹介する「社員紹介制度」の場合に該当します。その場合には「賃金、給料その他準ずるものを支払う場合又は報酬の額についてあらかじめ厚生労働大臣の認可を受けた場合を除き」報酬を与えてはならないとされています。
 
要するに、社員紹介制度を導入する場合には「就業規則・賃金規程等に報奨金などの額を明記し、それは賃金・報酬にあたるため、課税、社会保険料の基礎、時間外手当等の単価にも反映する等法律に沿った通常通りの賃金の支払い等の運用ができることが条件」でありそれができなければ職安法違反ということになります。以前社員紹介制度を導入したいというご相談を受けたときは、もう少し気軽に賃金規程等の改定などをせずにできないかということだったと思います。
 
また支払われる報奨金についてはあまり極端に多額であると、それはそれで問題になる可能性がありますので注意が必要と思います。
やはり条文あたるのは大事ですね。スッキリと理解できました。
 
昨日はラグビーワールドカップの観戦に味の素スタジアムに行ってきました。フランス対アルゼンチン戦で最後逆転でフランスが勝ち場内はプレー中ずっと凄い盛り上がりでした。16時15分キックオフなのに開場が13時15分とずいぶん早くから入れるのだなと思いましたが、当日の入場者数44,004人ということで、15時に最寄り駅についたところ既に道がラッシュで、会場に入るときには飲食物は持ち込み禁止。入場時にボディーチェックと飲食物をもちこんでいないかのチェックがありました。会場内では売店でビールやコーラ、ポテトなど買うことができるのですが、その調達はまず相当並ばなければならないという状況でしたので諦めました。とにかく相当な人数、フランスやアルゼンチンからも応援に来ている感じでしたが、どちらの国を応援するということなく見ていても接戦で、また試合自体流れがあり面白く、楽しく観戦できました。
 
負けてしまったアイルランドの応援親子の背中が寂しそうで印象的でした。今回は全日本もとても強いですからこれからしばらくはラグビー一色になりそうですね。
 ラインアウトで身体を持ち上げているところまで上手く撮れました。
 
 会場は凄い人人人です。 

長時間労働の背景・原因について

2019-09-15 22:30:15 | セミナー

前回、前々回と生産性向上についてあれこれとセミナー準備のをする中でまとめてきたのですが、そもそも日本人はなぜ長時間労働をしてしまうのか、ということについて書かれたものがあり、面白い内容であったのでその中からいくつか取り上げてみたいと思います。

一つ目は、正社員の雇用保証との関係です。長期の雇用保証がされる反面、長時間労働をして雇用保証をしてくれる企業に奉仕する、という面があるということです。長期雇用を保証されている正社員は、ある程度残業を恒常的に行うことで、人数による雇用調整よりも先に労働時間による雇用調整に応じているという面があるということなのです。

二つ目は、割増賃金の問題です。日本の割増率は時間外労働が25%(大企業は月60時間以上は50%)、時間外労働が深夜にかかると深夜の割増が加算され50%ですが、欧州諸国などでは通常の時間外割増が50%、深夜労働は100%というのが通常だそうです。また時間単価を算定する場合の除外賃金などの仕組みはないため算定基礎となる時間単価も日本の方がだいぶ低く算定されるということです。そもそも割増賃金の考え方が、残業させないための欧州に比べて、日本の場合新たな人を雇うより残業でしのぐ、という考えの違いが根本にはあるようです。

三つ目は、高度な仕事の質です。例では日本では必ず喫茶店やファミレスでお水が出てきますが、海外から来た人はそのサービスのクォリティーに驚かれるそうです。確かにお絞りタオルは海外では出てきませんので、ウェットティッシュは必須アイテムです。その高い質が労働にも求められ、まだスキルが不足していても同じ質の仕事が求められることにより長時間労働になりがちということもあるようです。

四つ目は、休暇の癖です。欧州諸国では、連続して初めて「休暇」とされ、最低でも2週間くらい連続しないと休暇扱いにされないということです。また欧州の人々は、一斉に休暇を取るのではなく、交替で夏休みの一定の期間の中で年休にプラスして特別休暇である休みを取り、家族同伴であまりお金をかけずリゾート地のキャンプ場に出かけたりするということです。その他の休暇はさらに秋に1,2週間旅行をするなど年に何回も連続して休むということです。

この話を事務所で話をしたところ、皆びっくりしておりました。欧州との比較などもっと情報を知ると日本人の働き方も変化し、生産性は高まるかもしれません。

(早稲田大学商学学術員教授 小倉一哉「長時間労働を改善するための仕事見直しとは」労働経済 春秋Vol.12、労働調査会、平成30年)より

先週は、TAC時代の恩師や親しくしていた講師仲間で集まり、昔を思い出し心から笑い楽しいひと時を過ごすことができました。約15年近く一緒に仕事をして、その時はその時でいろいろ大変なこともあったと思うのですが、大雪の日の事件や良くカラオケに行ったことや、話しているといきなり思い出すことも沢山あり、やはり付合いの長い仲間というものは良いものだなと思いました。

それにしても、朝出勤し外出し事務所に戻り仕事をして帰宅して食事を作り食べ終わると、いきなり睡魔に襲われます。以前はその後引き続き授業の予習や仕事をしていたのですが体力が落ちたなと思います。年齢相応と言えばそうなのかもしれません。いまの自分に合ったペースでの仕事や生活を心がけて持続可能性を追求していこうと思います。いよいよ2週間後には大学院の後期の授業が始まります。2年間で修了ができるとなると最後の期となります。なんだかあっという間で寂しい気がしますが、悔いのないよう学びたいと思います。


労働生産性の具体例について

2019-09-09 00:18:07 | セミナー

先週のブログで、生産性の向上について、労働生産性の算定の方法などを取り上げました。秋にあるセミナーではさらに具体的にお話しする必要があり、先週は生産性向上について書籍にあたったり、ヒアリングしたり、レジュメを作りながらだいぶイメージがついてきました。

生産性向上について、現場を見ていて一番必要性を感じるのは「トップの覚悟」であると思います。現在、企業のトップに立たれている方々の層は、日本の高度経済成長期や企業戦士をイメージとして持っていると思われ、国が目指している「働き方改革」をすんなりと受け入れるには、かなりの柔軟性が求められるのではないかと思います。しかし、少子高齢化、人口減少、多様化の現在においては、これまでの価値観や意識の大転換をする必要があり、それをいかに早くトップが気付き覚悟をもって組織の体質を変革していくか、ということが不可欠に思われます。

実際、毎月トップが参加される会議に出席させて頂いている中で感じるのは、トップの覚悟が決まったところから、役員の方を始めとして部長クラスの方々まで勢いをもって同じ方向に向かって進んでいるケースもあり、これは人事担当者が一生懸命旗を振ったとしてもこうはならなかったと感じるところです。

2番目には、いわゆる施策と言って良いと思いますが、もちろん時間外労働削減や年休の取得促進など法律順守もありますが、一歩進んでフレックスタイムや在宅勤務などの導入はやはり効果的に感じます。今後は勤務インターバルなど導入する会社も増えてくるとますます、仕事の成果を長時間かけて出していくのではなく、いかに短時間で成果を出すかということが要求されてくると思います。これまでの日本は、会社は家族、もう一つの家という考えがあり、それはそれで悪いことではないと思いますが、そこにどっぷりとつかりすぎていたのかもしれないと思います。会社以外の世界や人間関係で豊かになることが、発想力を高め、その時間を確保するために仕事の生産性を向上させることにもつながると思います。

3番目には、身の回りの小さな取組みも生産性向上につながると考えます。以前読んで感激した吉越浩一郎氏「デッドライン仕事術」を再度読んでみたのですがとても参考になることが多く書かれていました。例えば会議のやり方については、「会議は話し合う場ではなく、決める場」であることや、会議で取り上げるかどうかを検討する時間が無駄になるので「小さな案件でも取り上げ即断即決すること」、また現状報告をするのではなく「分析、課題の洗い出しを行い、解決のための目標まで提案すること」など、厳しいと思うかもしれませんが頷けるものがあります。

また、OURSのアドバイザーからのヒアリングの中でなるほどと思ったのは、会社内のレイアウトの工夫です。日本の企業の場合海外のそれとは違い、ある程度の役職についても個室があることは少なく、また一人一人のデスクも囲われているのではなくすぐにとなりや向かいの人に声を掛けられる状態であることが多いかと思います。それはコミニュケーションをとることやOJTにおいては誠に都合が良いのですが、仕事に集中しているときでも常に声を掛けられ中断する状況にあるともいえます。そこで、レイアウトを工夫し、集中したい時は窓際にある図書館の個別のブースのような席に移り仕事をし、コミニュケーションをとりながらの仕事はフリースペースに移り行うことができるようなレイアウトにするということなのです。

身近な工夫もあれこれあり、生産性向上の具体策もなかなか面白いテーマだと思いました。実際少しずつ取り入れて実験していきたいと思います。

これから台風が来るということで、今は静かですが、明日の朝関東直撃ということですから、出勤時は気を付けて様子を見ながらということになりそうです。

昨日は、社労士会の野球大会2日目で渋谷支部は決勝までは行ったものの準優勝でした。これで今年の野球応援も終了ました。1日目は曇っていたこともあり油断して首の周りがかなり日焼けしてしまいましたので、昨日はしっかり日焼け止めを塗り対策をしたところ今回は大丈夫でした。いまさらながら日焼け止めの効果を実感しました。

それにしても、この暑い中の応援で、特に2日目は天気も良く、ベンチの中で座っていると地面からの熱が上がってきて非常に暑く感じたため、ずっと立ちっぱなしで応援し、体脂肪率も下がっていて、それはそれで良かったです。

 OURSのスタッフも2人出場してくれました 


労働生産性の向上について

2019-09-01 21:21:11 | セミナー
秋に待っているセミナーは「働き方改革」の中でも生産性向上についてや、同一労働同一賃金にからむ職務分析などかなり難しいテーマが宿題になっています。そろそろレジュメの準備をしなければならないのですが頭の中の蓄積が足りない状況です。これからいろいろな材料を仕込んでいかなければなりません。
 
あれこれみていたところ、『中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(経済産業省、平成27年)』に以下のように書かれていました。
 
「人口減少社会の下で人手不足が顕在化する中、良い人材を確保し、スキルを身 につけて定着してもらうためには、相応の賃金とやりがいある職場が必要です。つまり、 売上げをしっかり確保し、賃金も利益も確保する経営を目指す必要があります。 このためには、従業員 1 人あたり(もしくは時間あたり)の生産性を上げることが必 要です。すなわち、『労働生産性』の向上です。」目指すべき生産性の向上とは、以下の算式を元にして考えます。
  
労働生産性とは「1 人当たりの付加価値額」のことです。 以下のように計算します。 
1人当たり付加価値額
  =営業利益+人件費+減価償却費※/従業員数(又は労働時間数) 
  ※付加価値額  
 
また、生産性を上げるということは、以下のように考えられます。
生産性向上 = 付加価値の向上、革新ビジネスの創出/効率の向上
 
これらの式で示されるポイントは、「付加価値」と「効率」です。労働生産性を向上するためには大きく分けて、2つの方向性が存在します。
 
付加価値の向上・・・提供するサービスの価値を増大させる(売上げ向上) 
効率の向上・・・・・時間や工程の短縮(コスト削減)
 
例えば売上げ向上を目指す場合、「客単価を上げる」、「客数を増やす(新規顧客を 増やす、リピーターを増やす)」、「商品回転率、客席回転率を上げる」といったこと を考えるでしょう。それらを実現するための手法は、以下のように様々です。
●付加価値の向上
(1)新規顧客層への展開 (2)商圏の拡大 (3)独自性・独創性の発揮 (4)ブランド力の強化 (5)顧客満足度の向上 (6)価値や品質の見える化 (7)機能分化・連携 (8)IT 利活用(付加価値向上に繋がる利活用)
●効率の向上
(9)サービス提供プロセスの改善 (10)IT利活用(効率化に繋げるための利活用)
 
この2つの方向性の具体的な事例をお話しできるようにとも考えていますが、どちらにしても「ITの利活用」が一番重要そうな気がしています。
 
とうとう今日から9月に入りました。8月が決算期のOURSにとっては新年度の始まりですが、事務所の雰囲気が良く楽しいこともあり新たな気持ちでスタートが切れそうです。
まだまだ暑い中、昨日は恒例の東京会の野球大会でした。渋谷支部は強豪とも常勝とも言われており流石渋谷さんと言われることも多く、これまで数えきれないくらい優勝しています。私はここ10年以上欠かさず応援に行っています。本当によく皆さんから言われているように強いのか、昨年のようにいきなり1回戦で負けてしまうとそうでもないのかが良くわからないところはありますが、好き勝手にベンチから声をかけて楽しく応援し、お弁当の後にアイスクリームを差し入れすると選手がおいしそうに食べてくれるのが嬉しく、毎年朝早くから出かけていきます。昨日は2試合とも勝利して、今年も優勝を目指して来週末も野球漬けです。そういう楽しみがあるのも幸せということですね。
 
仕事が大好きなので、趣味を聞かれると若干戸惑う私ですが、今後のことも考えてスポーツ観戦は趣味の一つにしようと考え始めています。高校野球など予選会から見ていたこともありますし、テニスであれば昔読んだ村上龍さんの「テニスボーイ・アラウンド・ザワールド」というメジャー・トーナメントを追いかけた本がとても面白く、海外で行われる試合など見に行きたいなあと思っていたことをいよいよ実現してみたいなどと考えています。