OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

開業記27 新たに会社を立ち上げる事業主にアドバイスしたいこと

2013-06-29 20:34:45 | 開業記

OURSの顧問先企業は大規模な会社から起業したばかりの小さな会社まで様々です。年に数件ずつですが起業してまだ数年の会社からも新適や顧問契約のご依頼があります。OURSはスタッフ担当制になっていますので、まだ立ち上げたばかりの企業の手続を私が担当することはありません。ただ、だいたいは就業規則を作るという作業の中で私も一緒にアドバイスをさせて頂きます。

守られていない法律についてご説明をして、また時には踏み込んで経営方針ともいえる部分についてご相談にのる機会が多くあります。私も個人事務所を立ち上げてからこれまで人を雇い、お給料を払い、高い社会保険料を支払い、資金繰りに気を遣い、働く環境を考えて来たので、事業を立ち上げた社長の気持ちはよくわかる部分もあります。しかし、最近思うのは、起業して社員を雇おうと考えたときに事業主が知っておく必要があることが沢山あるのにあまりにもそれを知らな過ぎる、ということです。法律を知らず法律を守っていないということは結局あとから大きなリスクを抱えることになるということを、もっと社労士として事業主に周知する義務があるのではないか、と最近つくづく思うのです。

やはり大きなネックは残業した場合の割増賃金の支払いです。数年前「未払い残業問題」であれだけ世間が騒いでいても、残業代が支払われていない会社は特に立ち上げて数年の場合多くあります。時間単価に25%を割り増した賃金を払うことは大きな出費になっていきますから、払いたくないという気持ちは理解できないわけではありません。また会社が回っていくことが一番大事なことですからできればすべて固定費として支払うものは見通しがつく状況であって欲しいということもあります。さらに会社が立ち上がったばかりでこれから事業として成り立っていくのかどうかわからないという状況であれば、雇われている人たちもよくそれを理解して「残業代はいりません 」と健気にも言ってくれる場合も多いのです。

しかしある程度の規模になったらそれは大きなリスクへと変化していきます。人が増え事業としても継続性が見えて来てから入社してきた人は、ちゃんとした会社だと思ったのに残業代が出ないのはおかしいと思っているでしょうし、今はインターネットで法律上どこが正しくどこが誤りか勉強しようとすれば簡単に勉強できる環境です。会社を辞めた社員から未払い賃金を請求する手紙が来たという場合に見せてもらうと、社長より辞めた社員の方がずっと法律をよく調べ、よく知っているような気がします。しかも、残業代は払っていないのに賞与を支払っているとか、半日で仕事がない日は手当を出しているとか、社長に悪気があるわけではないケースが多いように思います。理解していただきたいことは以下のようなことです。

賞与は法律上払う義務があるわけではないわけですから、まずはそれより法律上の支払い義務がある残業代を払うこと。賞与は残業代を払ってなお利益が出たらにして下さい。

社会保険は会社に余裕ができたら入るものではなく、法人として人を雇うならその費用も考えていくらお給料を払えるか考えて下さい。それを費用として考えておかないと社会保険に入ろうかと考えた時に保険料のハードルがとても高いものになってしまいますので。

労働時間が8時間で終わらないのであれば8時間超える仕事分は時給制のアルバイトでもよいので人を雇ってこなしてもらうなどのアイディアで工夫して下さい。

例えば変形労働時間制で無駄な時間外労働を抑制する方法や時間外労働分を含めた賃金の決め方(これは何時間分が含まれているかの明示が必要で、さらにそれを超えた場合の残業代の支払いは必要ですが)、時間外労働の削減のために時間外労働などを許可制にすることなどいろいろな方法もないわけではありません。

与えてなかった年休を精算することになったなど、早い段階で法律を守っていればそこまで大変にはならないかったものが、年数が経ち人数が増えてから挽回しようと思うととても大きなエネルギーを要します。

ぜひ起業して人を雇おうと考えた時には、社労士にご相談をしていただいたり、労働者に負けないくらい法律を調べてみるということをお願いしたいと思います。人を雇うということはとても重いことだということを是非認識していただきたいと思います。

まだ暑くなく湿気がない日は本当に気持ちいい風が吹いてくれますね。1日1日を大切に過ごしていきましょう。


開業記26 社労士法人としての成長

2013-06-23 23:15:17 | 開業記

今、日経新聞の「私の履歴書」にテンプスタッフ創業者の篠原欣子さんが書いておられます。これがとても面白いのです。というのも40歳目前で自宅兼事務所で企業をしてからテンプスタッフが「企業」になっていく様が、売り上げ、規模等もちろん違うのですがOURSの状況と重なり合う部分がとてもあるように思えるからです。


創業期に一緒に無茶苦茶頑張ったスタッフとは、社長と社員ではなく固く結ばれたチーム。それが派遣法施行を経て業界の価格競争に巻き込まれ、生き残るために会社を根本的に変える決意をして、チームから企業へと組織を変革して行く様子は勇気づけられます。


OURSも個人事務所である小磯社会保険労務士事務所からOURS小磯社会保険労務士法人に法人化して4年半。この間本当に地殻変動が激しく、私自身もマネジメントについて、組織について、OURSをいかに安定した法人にしていくかについて毎日毎日考えてきたような気がします。最近トップとして全体の見渡し方、仕事の振り方、進捗状況の押さえ方、マネジメントが自分の仕事と覚悟することなどだいぶ掴めたような気がします。


法人化のメリットは?とよく聞かれますが、やはり法人として安定した強い組織になれることが一番だと今は思っています。仕事を依頼しようとするときに、やはり安定的な財政基盤を持ち、それにより良い人材を確保している組織であれば、相手も安心して頼むことができると思います。また、そう考えて頂ける企業はその企業自身が、しっかりした企業であるということもあります。小磯優子個人にご依頼いただける仕事がないわけではありませんが、法人化して4年半たった今は、担当者がしっかりと信頼を得ており、OURSとして私が出て行かなくてもは全く問題ないという顧問先企業もたくさんあります。もちろん最終的には代表である私が責任を取るべきですから、何かトラブルがあるとか、重要な案件の時は担当者と一緒にその業務を担当していくことにしています。


篠原さんの私の履歴書には、チームから企業へ変革していくときには、それまで女性だけで固めていた社員が守りに入ってしまったために、その中に、「攻めの営業を得意とする体温の高い会社で仕事をしてきた男性を入れた」という話が出てきますが、その男性は「1ページと頼んだ広告が勝手に2ページになり請求してくることが何度もあったが、どこか憎めない、バイタリティーにあふれていた」とあるのは、成る程と思います。やはり組織が小さくまとまりそうなら、それを打ち破るようなまじめな優等生とは少し違う攻撃的な社員を入れることが成長のカギだということです。ちなみにその男性社員は先ごろ社長の座を篠原さんから譲られた方だそうです。


また、今日の私の履歴書に出てくる新卒採用の話も興味深いものでした。「大手の内定をもらっている学生にとってなんて未熟な会社だろうと思われないか心配だったところが、テンプスタッフは小さくてもこれからの会社だから、逆にやりがいがあるのでは」と考えて入社を決めてくれた。というくだりは、「これだよな~」という感じです。昨年から20代から30代を増やしてきたOURSの将来性を買って飛び込んでくれる人、それが今求める人材であります。


まだまだ、まだまだ、まだまだ変革していきそうなOURSですので、私自身もいつも緊張感があります。折角伸びているときに私が足を引っ張ってはいけないという気持ちです。法人化前からいるスタッフも変わりゆく事務所の状況に戸惑うところ大だと思いますが、私の履歴書にも「バックオフィスに回った元支店長たちが入れ替わった会社の空気になじみ、新しい舞台で持ち前の力を発揮するようになった」とあり、それが理想だと思います。


今度客人をお招きすることになり、準備をする必要があり、久しぶりに小淵沢に行ってきました。森から聞こえてくる鳥の声や、田んぼや畑から聞こえてくる虫の声が昼間でも静かな中で聞こえてきて、何とも言えず、癒されてきました。 それでは今週もまた元気に頑張りましょう。


2日にまたがる労働

2013-06-16 13:43:32 | 労働時間

ここ10日ほどは合併会社の新しい就業規則マニュアルをチェックしていました。直勤務(夜間を含む交代制勤務)もあり労働時間の部分でかなり勉強になりました。その中で労働時間が2日にまたがる場合の考え方について発見がありました。

2日にまたがる場合の労働日については以下の通達があります。

「1日」とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいうものであるが、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。(昭和63.1.1基発1号)

要するに午前0時を超えて働いた場合、暦日の2日分にわけて労働時間として管理をするのではなく、始業時刻の属する日から引き続く1日分の労働とするということです。例えば前日の時間外労働が翌日にかかるということでも引き続く前日分の労働時間ということになります。0時を超えて5時間しか働かせずその日はその後休めるのだからというような理由で、0時から仕切りなおして8時間以内とカウントし、時間外割増を0時以降つけないというような考え方にはなりません。もし2日目の始業時刻以後まで労働した場合は始業時刻までが前日の時間外労働となり、そこまでは時間外割増の対象となります。

これについては、比較的よく理解されており、運用もほぼどの企業でも問題がないところです。

それでは2日目が休日にあたる場合はどのようになるかということですが、その場合は0時以降は休日労働になるため割増は休日割増の率になります。割増率については0時で区切られるわけです。休日には始業時刻の考え方はないため、前日からの時間外労働が翌日の休日にわたった場合は、何時まで働こうとさらに次の日の0時になるまでは休日割増の対象となります。労働日であれば始業時刻まで割増すればよいのですが、その考え方は使われません。

それでは、休日にまたがった労働については「いつの労働日の労働時間と考えるか」ということについてなのですが、これはやはりその労働を開始した始業時刻の属する前日の労働として考えます。0時で区切るというのはあくまで割増率が変わるということに過ぎず、労働日の考え方は翌日が労働日の場合と同じということになります。

確かに上記通達にも「翌日が休日の場合は除く」などの記載がありませんので、納得でした。まだまだ事例にあたらないと理解しているつもりでもあいまいなところがあります。社労士の仕事の面白いところです。

火曜日に社員日帰り研修に横須賀に行きました。今年は独立行政法人海洋開発研究機構に行き深海5000メートルへの科学探査を行う有人潜水調査船「しんかい6500や自律型の深海探査ロボット「深海巡航探査機うらしま」を見学し、その後よこすかバーガーのランチ、さらに軍港めぐりをしました。軍港めぐりはなかなか機会がないと思うのですが、海上自衛隊の潜水艦や護衛艦、原子力空母「ジョージワシントン」も停泊しており、その大きさもさることながら横須賀にたくさんの艦船が停泊していることに驚きました。その後記念艦「三笠」を見学して、あとは横須賀海軍カレーを食べて終わりというところ、残念ながら道に迷いカレーは食べられずじまいとなりましたが、とても充実した1日となりました。なかなか忙しい中でそういう日を作るのは勇気がいりますが、思い切ってよかったと思います。(写真は深海探索ロボットうらしまの説明を聞いているところです)

 


妊産婦の時間外労働の制限について

2013-06-08 22:39:40 | 産前産後・育児・介護休業

育児休業中や子が小学校に就学する前までの時間外・休日労働については、育児・介護休業法に定められています。

①育児介護休業法第16条の8 に、「3歳に満たない子を養育する労働者が、子を養育するために請求した場合においては、原則として所定労働時間を超えて労働させてはならない。」と規定されています。…まず3歳未満の子を育てているときに請求すれば、時間外労働は免除されるということになっています。

さらに、

②育児介護休業法第17条に、「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。)を超えて労働時間を延長してはならない。」と規定されています。…小学校入学前の子を育てているときに請求すれば、①のように全面的に免除ではなく一定の範囲内で時間外労働が免除されるということになっています。

     *①と②が重なる「子が3歳未満の期間」については、①と②どちらかを選択することになっています。

以上のように育児休業期間中の時間外労働は育児・介護休業法で規定されていますが、妊娠中はどうなのかということになります。子供を産み育てるというイメージで行けば妊娠中も育児・介護休業法で規定がありそうなものなのですが、育児・介護休業法はドライなほど育児休業中のことのみを定めており、妊娠中の保護は定められていません。妊娠中については、男女雇用機会均等法に定められているものや関連通達があるのですが、時間外労働については労働基準法に定められています。

③労働基準法第66条2項に、「 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。 
3項に、使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない」と規定されています。・・・妊産婦が請求した場合には、やはり時間外労働は全面的に免除になります。

育児・介護休業法に目が行きがちですが、それらの法律ができる前に労働基準法の女性則により女性の保護規定が定められていたため、このように色々な法律での保護になっているのだと思います。見落としがちですので気を付けたいと思います。

ご心配おかけしておりますが、体調の方はだいぶ良くなってきました。今朝は朝食を作りながら久しぶりに「よしッ」という気持ちになりましたのでもう大丈夫だと思います。1年ぶりに「カネボウディオールの同窓会」に行って参りました。元上司や先輩にお会いして元気をもらってきました。その会ではたぶん…私が最年少だと思いますが、カネボウの先輩方は人生を楽しんでいらっしゃるという感じでとても良い雰囲気なのです。やはり健康が一番ですね。

 


健康管理について

2013-06-02 17:57:21 | 雑感

5月の連休の後半に風邪をひいてしまい、9日のOURSセミナーではすんでのところで声が出なくなりそうなところを何とか持ちこたえ終了しましたが、その後もなかなか元に戻らずいつまでも喉が赤いなあと気になっておりました。それなのに1日も休まず仕事もキャンセルせず予定通りこなしていたところ、思えば22日の山手統括支部の議員懇談会の際は声が普通に出ていたのですが、束の間で、27日と28日に八王子の労政会館でセミナーを2時間ずつ行ったところ2日目に風邪をぶり返してしまいまた喉に来てしまいました。従って5月のこの気持ちの良い季節の大半をだるさやのどの痛さを感じながら過ごす羽目となり本当に残念でした。また、顧問先の担当者の方たちにまでご心配おかけして申し訳なく、情けない状態でした。今回の風邪は、ハナ、・ノド・気管とフルコースでしたので流石にこの週末2日間は医者に再度行って薬を頂き、家で静かにしておりました。

 

元来からだが丈夫な方かというとそういうことはなく、子供の頃は風邪などもひきやすく弱い子でした。大人になってもそれほど頑健ということもなかったのですが、社労士になった頃からは大きな病気もせず、とても丈夫になった気がします。きっと社労士が自分にはとても合っていたのでしょう。また大人になってくると自分の体調というものもある程度冷静に判断することができるようになり、ちょっとおかしいなと思ったらすぐに「ルル」を飲むこと、また腸の状態が大事というのは本当にそうかもしれないと感じるので毎朝「ヤクルト」を飲むことなど自分なりの健康管理はしています。

 

若い頃は、できるだけお薬は飲みたくないと思ってタイミングを失し、結果かえってたくさんのお薬を飲むことになったりもしたので、それよりはできるだけ早く短期間で治すということが大切と考えています。しかし風邪のひき方もだんだん変化していくようで、以前成功していたこの方法が、最近は「あっ」と思うと既にひどくなっていたという感じでなかなかうまくいかなくなりつつあります。対処方法の見直しを迫られている感じです。

 

ヤクルトは、腸を元気にする「シロタ株」が自分に合っていると感じることと、俳優の渡辺健さんが大病から復活したときヤクルトのもつ免疫力を宣伝で話していたのを見て毎日飲むことにしました。なんといっても免疫力をつけることが病気にならない、病気になっても回復する一番の方法だと信じています。

 

それからあとはストレスをできるだけためないということですね。ストレスは病気の元、これは大病に結びつく気がしますのでここは心のコントロールを大切に考えています。

 

昨年1年ほとんど風邪もひかず寝込むこともなかったので、この春はちょっとホッとした分「来たかな~」という感じがします。しばらくは早寝しようと思います。

 

講師時代の思い出に、5月連休の「横断セミナー代講事件」があります。その年は八重洲校を担当しており、クラスの人数だけでも100人は超えていたのですが、横断セミナーは他クラスからの受講の申し込みもあり、満員御礼締め切りを1番最初に出していました。それだけに自分としても張り切っていたのですが、連休前半に熱が出て全く声が出ない状態になりどうにもならず、当時の若手講師2人に代講をお願いしました。本当に受講生に申し訳なく、自分としても無念でした。誰のせいでもなく自分のせいなのですが。これから忙しくなりそうなので、やはりもう少し体調管理を真剣に考えなくてはいけないですね。