OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

年収の壁・支援強化パッケージ

2023-10-02 01:08:05 | 社会保険

9月25日に岸田首相が公表したのは、年収が一定額を超えるとパート労働者らの手取りが減る「年収の壁」問題について対策パッケージでした。日経新聞によると「まずは106万円の壁を乗り越えるための支援策を強力に講じていく」と強調した。労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金制度を創設すると説明したということです。

正直106万円と130万円の年収の壁を意識することなく、保険料を納めることになり多少手取りが目減りをしても、働く方が良いと個人的には思っています。根本的な制度の改正が必要とも考えます。従って今回の年収の壁・支援強化パッケージは納得感のないものなのですが、あっという間に10月1日から適用されるということなのでどのようなものか少し見てみたいと思います。

支援・強化パッケージは3つの項目からなっています。

●106万円の壁対応 
①キャリアアップ助成金コースの新設・社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
・短時間労働者が被保険者の適用となる場合に、労働者の収入を増加させた事業主に最大で3年間費用の助成が行われます。
・助成金の一つのコースなので当然開始前に「計画の提出」が必要その上で『手当』を支給して6か月後から「申請」をしていきます。
・その時支払う『手当』を社会保険適用促進手当として支給する場合は本人負担分の算定において標準報酬月額、賞与額の算定基礎に入れなくて良いということです。
 社会保険適用促進手当とは、10.4万円以下の標準報酬の人が社会保険に加入し発生する保険料の本人負担分相当額です(最大2年間)。
 (標準報酬月額10.4万円の場合➡年額上限18.8万円、9.8万円の場合➡17.7万円、8.8万円の場合➡15.9万円)

キャリアアップ助成金の助成は3年間、社会保険適用促進手当は最大2年間と異なるのは、助成金の3年目は手当の追加支給ではなく賃金を18%以上増加させていることが条件になる仕組みのためで、背景には賃金の増額にいわば会社としても慣れるための追加支給をしておきながら3年目には自然と賃金をアップさせ、数年後には壁を意識せず働く、ということのようです。

このパッケージを使うのであれば、会社はまず①キャリアップ助成金の計画を立て、②社会保険適用促進手当を給与に上乗せして、③6か月後から助成金の申請をする。ということになります。

会社の出費が多いように思いますが、とにかく人手不足でお金を多く出して採用・定着が必要という企業にとってはある意味良いのかもしれません。

●130万円の壁対応
被扶養者の年収が130万円以上になったばあいでも直ちに被扶養者認定を取り消すのではなく、一時的な収入の増加であれば、通常提出する過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書に加えて人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な認定を可能とするということです。

●配偶者手当の対応
配偶者手当の存在が就業調整の要因となっているため、見直しに向けて周知を図る、というものです。

年収の壁・支援強化パッケージ
https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/001150695.pdf

上記パッケージは2年間の暫定措置であり、社会保障審議会年金部会での改革案はだいぶ進んでいるようです。パッケージはこの改革案が実行されるまでのつなぎという意味合いと考えるべきかもしれません。

先週コロナ禍行われていなかった早稲田法学研究科の菊池ゼミ社会人クラスの交流会が行われました。久しぶりであったためか、沢山の方にご参加頂いて、現役生を囲み和やかな時間を過ごすことができました。やはりリアルで久しぶりに先輩や仲間に会うのは話も弾み楽しいです。会場のお店に行く前に大学によって撮った写真が幻想的に撮れていました。

※来週はブログはお休みさせて頂きます。


短時間労働者に対する社会保険の適用拡大

2023-07-30 21:21:45 | 社会保険

社会保険の加入対象者は平成28年9月までは、適用事業所との間に「常用的使用関係にあるかどうか」、1日又は1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上であることという4分の3基準で判断していました。

平成28年10月1日以降社会保険(厚生年金・健康保険)の加入が適用拡大されることにより、「適用事業所に使用される者」を明確化することとなり、簡便な基準とするために「1週の所定労働時間」のみでみることになりました。

また平成28年10月1日以降、4分の3基準を満たさない場合であっても、5要件に該当する短時間労働者については社会保険の資格を取得する必要がある、といういわゆる適用拡大が行われました。5要件とは①1週の所定労働時間が20時間以上、②雇用期間が継続1年以上見込まれる、③月額賃金8.8万円以上、④学生ではない、⑤この時点では常時500人を超える被保険者を使用する企業に勤務している、とされてしている

さらに令和4年10月1日以降、①1週の所定労働時間が20時間以上、②2か月を超える雇用見込がある、③月額賃金8.8万円以上、④学生ではない、⑤常時100人を超える被保険者を使用する企業に勤務している、とされました。

※令和6年10月からは⑤は常時51人を超える被保険者を使用する企業に勤務しているとされます。

最近この適用拡大により適切に資格取得をしているかの年金事務所の調査が多いようです。顧問先では昨年10月前にパートさんの希望を聴いて20時間以上働いて資格取得するか、20時間以内の働き方で被扶養者のままいるか、という決断をしてもらっていました。会社によっては半分以上の方が資格取得をした会社もあります。

それでは雇用契約書では20時間未満であったが、意外に労働時間数が20時間以上になってしまったというケースはどのように扱うかですが、Q&A集に載っています。

問 32 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週 20 時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週 20 時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。

(答)実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。

このQ&Aは実務的なことが比較的詳しく載っているので便利かと思います。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.files/QA0410.pdf

いよいよ来週は8月ですね。なんだかあっという間に今年も半分を超えてしまいました。テレビを見ていると世の中花火を見に行く人が多く、この暑いのに凄い人出だと感心します。コロナ自粛の反動でしょうか。私は先週末かなり忙しかったので今週末はおとなしくネットフリックスを見たり、やり残した仕事をしたりしていました。

先輩と行ってみる約束をしたので宝塚のチケットの入手方法を調べてみたところ、宝塚友の会に入会しないとなかなか先行販売のものが購入できないということらしく、宝塚友の会のカードを作りました。まだチケットの購入はできていないのですが、ちょっと楽しみにしています。


永年勤続褒章金決着

2023-07-10 00:52:02 | 社会保険

2023.1.23のブログで取り上げていますが永年勤続褒章金が賞与にあたるか否かについて、先日「標準報酬月額の提示決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集の一部改正について」という6月27日付事務連絡で、一定の要件を満たしている場合には賞与にはあたらないという結論が出されています。

というのも、平成18年に「賞与に該当しない」と社会保険審査会の裁決(平成18年9月29日)が出ているにもかかわらず、昨年の秋ころから上記裁決は「審査請求に対する個別の判断であり、報酬に該当するか否かを判断するうえで参考にはなるものの、通常の報酬及び範囲の考え方に照らせば、その支給事由、金額等が就業規則等に定められ、就業規則等に基づき支給されることから経常的(定期的)に支払われるものとして報酬(賞与)に該当すると判断される。」という回答が内部で出ていたようで、社会保険の調査の際にそのように指摘され、事務所でも、かなり社労士の間でもそれはおかしくないか、どうしようかという話が出ていました。

永年勤続褒章金を経常的(定期的)に支払われるものと考えるのは明らかに無理があり、業務に関連したお金でもなくあくまで恩恵的なものであるものがほとんどであるため、賞与には該当しないという今回の判断でホッとしたというのが正直なところです。以下示された内容です。

問3(答) 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。
≪永年勤続表彰金における判断要件≫
① 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf

最近無理のない範囲で一駅前で降りて歩く活動をしているせいか、少しスリムになりました。1か月前に今年の夏は着れないかもと考えていた服がすんなり入ったので嬉しくなりました。今日は歩けそうだなという日はスニーカーを履いて出勤し、事務所でヒールに履き替えています。社労士バッチとヒールを履かないと気持ちがシャキッとしないんですね。でも、スニーカーの出勤はやはりとても楽です。それほど苦ではなく、むしろ楽しく、意外にこれは続きそうです。

少し新しいことを始めてみようとインドネシア語のCD付の本を購入してみました。長年連合会の国際化特別委員会のお手伝いをして、インドネシアの政府の方などが毎年事務所見学に来られているのですが、英語が苦手なのでコミュ二ケーションがなかなか取れず残念だったので、また今年8月に来られるとき二言、三言でよいので話してみようと思っています。


取締役の健康保険資格について

2023-04-02 22:44:50 | 社会保険

取締役と会社との関係は、民法第643条に定められている「法律行為を相手方に委託し、相手がこれを承諾することで成立する」という委任契約です。雇用契約ではなく、いわゆる業務委託契約などと同様に労働保険では労働者性を認めず、特別加入を除いて労災保険及び雇用保険の被保険者になることはありません。

それでは健康保険、厚生年金保険についてはどうなのかということですが、こちらについては取締役に就任して委任契約となったからといって資格喪失をすることはありません。その根拠は何だったか先日ご質問があり古い通達を確認しました。一応何かの折には確認できるように取り上げておきたいと思います。通達は以下の通りです。

○法人の代表者又は業務執行者の被保険者資格について(昭和24.7.28保発第74号)各都道府県知事・各健康保険組合理事長あて厚生省保険局長通知

法人の理事、監事、取締役、代表社員及び無限責任社員等法人の代表者又は業務執行者であつて、他面その法人の業務の一部を担任している者は、その限度において使用関係にある者として、健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取扱つて来たのであるが、今後これら法人の代表者又は業務執行者であつても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者の資格を取得させるよう致されたい。なお、法人に非ざる社団又は組合の総裁、会長及び組合及び組合長等その団体の理事者の地位にある者、又は地方公共団体の業務執行者についても同様な取扱と致されたい。

なお、個人事業主については、労働者的性格は認められないので社会保険においても被保険者になることはありません。

4月に入りました。3月は書籍の執筆もありまた体調も今一つだったこともありお花見に行くことができなかったのですが、今日まで桜は咲いてくれていましたので行ってきました。目黒川でも目黒駅から中目黒にかけてはテレビで見ても凄い人出のようでしたが、大崎方面はそれほどのことはなくて、気持ちよく散歩ができました。

昨日は長年の仕事の相棒のお別れの会を教え子さんやBBクラブのメンバーと行いました。社労士になって30年間教材作りを手伝う中で様々なことを教えてもらい、研究したことと実務のすり合わせを沢山話すことが楽しく、その中でお互い成長してきた相棒でしたので、まだまだ時間が欲しかったです。でも昨日思いがけず多くの方に集まって頂いて、一つの区切りをつけることができそうです。本当に有難うございました。新たな年度の始まりです。


106万円のかべ

2023-03-26 22:18:19 | 社会保険

106万円のかべについてのご質問があるということで簡単なレジュメを作りました。130万円のかべは配偶者の被扶養から外れるかどうかというハードルで昔から良く話題に上ってきましたが、106万円のかべは昨年10月の社会保険の適用拡大で被保険者の総数が常時100人超規模の企業に勤務する以下の要件に該当する場合に被保険者の資格取得が義務付けられてから注目を浴びるようになりました。なお100人超の規模要件は令和6年10月からは50人超となります。
【要件】
 ①週の所定労働時間が20時間以上であること
 ②雇用期間が2か月超見込まれること
 ③賃金の月額が88,000円(年106万円)以上であること
 ④学生でないこと 

上記要件の中で週所定労働時間20時間以上については、通達とQ&Aに記載があります。

まず、就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週 20 時間以上であるかどうかを判断します。その上で20時間未満と判断されたが業務の都合等により、実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。要するに週20時間以上の勤務が「恒常的な状況」となれば資格取得が必要ということです。(Q&A問32)

週20時間について毎月確認する必要がありこれは人数的に多い会社ではシステムで対応するしかないかと思います。中小企業では実効性が確保できるかどうか心配なところです。

なお、資格取得する場合は、被保険者としての判断の際の8.8万円には含まなかった割増賃金等や通勤手当・家族手当等については、通常の資格取得と同様、含んで報酬月額を算定することも注意が必要です。

なお8.8万円については、原則として、資格取得後に雇用契約等が見直され、月額賃金が 8.8 万円を下回ることが明らかになった場合等を除き、被保険者資格を喪失することはありません。そのため、毎月確認する必要はありませんが、雇用契約等に変更はなく、常態的に 8.8 万円を下回る状況が続くことが確認できる場合は、実態を踏まえた上で資格喪失することとなるということです。(Q&A問45)

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(その2) (令和4年 10 月施行分) 
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf

今週はやはりWBCで盛り上がりました。特に準決勝は祝日だったためじっくりを観戦することができて久しぶりに野球観戦で気分が盛り上がりました。社労士になる前は高校野球を予選会からみたり、プロ野球も近鉄が好きで、その後渋谷区に住むようになってからは小学生の息子と親子で神宮に招待されたりした関係でヤクルトを応援したりしていたのですが、最近はほとんど野球を見ておらず、今回アラ!こんなに面白かったかと改めて実感した次第です。今後、応援するとしたらやはり時々ご招待いただく楽天かな~。  


永年褒章の社会保険の取扱いについて

2023-01-23 00:41:22 | 社会保険

年明けから何社かからご質問があったのが社会保険料の算定基礎となる「報酬」と「賞与」についてです。厚生年金保険法では「報酬」と「賞与」は以下のように定義されています(健康保険法でもほぼ同様です)。

厚生年金保険法第3条
③報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
④賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう
 
基本的に社会保険では慶弔見舞金などの恩恵的なものか出張旅費などの実費弁償的なものを除いて、報酬、賞与に該当するケースがほとんどのように感じます。その中で年明けにかなり指摘を受けたのが「年末年始手当」です。
 
疑義照会には報酬・賞与としない例として「大入り袋」を取り上げていますが、その理由として大入袋のもつ本来の性質①発生が不定期であること、②中身が高額でなく、縁起物なので極めて恩恵的要素が強いことからすると生計にあてられる実質的収入とは言い難く、報酬及び賞与としないとしています。
 
また同じ疑義照会の回答で「労働の対償」とは、昭和 32.2.21保文発第 1515号からすると被保険者が事業所で労務に服し、その対価として事業主より受ける報酬や利益などをいい、①過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価 、②事業所に在籍することにより事業主(事業所)より受ける実質的収入と考えられます、としており、年末年始手当はやはり①の労働の対価に該当するため、賞与として保険料の算定基礎とすることが適切だと考えます。
 
それでは、「永年勤続表彰」はどうかということなのですが、時々年金事務所の調査の際に賞与だと指摘を受けることがあるようです。その場合は、明確に「賞与に該当しない」と以下の社会保険審査会の裁決(平成18年9月29日)が出ていることを伝えると良いようです。
 
その要旨としては、「本件表彰金は、①一定の勤続年数に達した場合に労務の内容等に関わりなく一律支払われ、②一定の勤続年数に達しない場合には、労働の実態があったとしても一律に支払われず、③心身のリフレッシュを目的とした休暇付与に伴う資金援助であり、④支払われる金額も社会通念上のいわゆるお祝い金の範囲を超えるものとはいえず、⑥誠実に勤務した労働者に対して創立記念日に恩恵的に支払われるものであり、⑥文言上も賃金や賞与ではなく表彰金と規定されている。 そうすると、本件表彰金は、労働者の労働の提供の対償として支給されるものでもなければ、労働者の通常の生計に充てられるものでもない。したがって、本件表彰金は、賞与に該当しない。」とあります。
 
昨日は久しぶりにリアルでBBクラブを開催することができました。zoomとリアル半分ずつということで会場は60名ほどが集まってくれて、法改正講義と開業体験談(とても分かりやすく、戦略も考えられた良い体験談でした)を半日ではありますが受講してもらって、その後乾きもののおつまみをつまみながらの乾杯と、今まで通りのBBクラブでした。参加頂いた会員も皆さんそれぞれにとても楽しそうでした。コロナ禍3年ぶりだったにもかかわらず、会員が忘れずにいてくれたこと、楽しみに参加頂いたことにとても嬉しかったです。zoom参加の方も次は是非リアルでお会いしましょう。

電子処方箋について

2022-12-11 20:57:39 | 社会保険

協会けんぽの運営委員会でよく資料に出てくる電子処方箋ですが、よく考えてみるとイメージはあっても詳しい仕組みはぼんやりしているのに気づいたので調べてみました。規定されている法律は「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」です。

まず、電子処方箋とは、オンライン資格確認等システムを拡張し、現在紙で行われている処方箋の運用を、電子で実施する仕組み。オンライン資格確認等システムで閲覧できる情報を拡充し、患者が直近処方や調剤をされた内容の閲覧や、当該データを活用した重複投薬等チェックの結果確認が可能となる。(令和5年(2023年)1月~運用開始予定)、と説明されています。

具体的に流れを説明すると、
まず患者さん・医師・薬剤師の間を連携するのは、社会保険診療報酬支払基金等に置かれた電子処方箋管理サービスです。このサービスはクラウドを活用した構成とするとされており、このサービスを介して処方箋情報のやり取りがなされます。

①まず患者さんがマイナンバーカード又は健康保険証を病院等に持参して提示します。
②病院等の医師は、サービスを利用して過去に処方された薬の情報や重複投薬のチェックをし、処方箋の 内容の登録をします。
③患者さんが薬局に行き、マイナンバーカード又は健康保険証を提示し、薬剤師がそれを確認・患者さんの同意を得た上で、処方箋内容の取得その他過去の処方などをサービスにて閲覧し、調剤内容の登録をし、患者さんが薬を受け取る、という流れだそうです。施行は令和5年1月です。

電子処方箋のメリットは、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照が可能になること、アレルギー情報の管理も可能とするほか、重複投薬等の防止が可能になります。また、紙の処方箋の印刷コスト削減や調剤に関する入力等の労務の軽減、誤入力の防止、災害時や救急医療の際に、処方・調剤情報を参照できるなど調べてみるとこの導入は今必要なものだと実感できます。

・「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000940722.pdf
・電子処方箋管理サービスの運用について 
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001006252.pdf

紙の処方箋が電子化されることは言葉から理解していたのですが実際の運用をイメージしてみると医師や病院から薬局にどのように連携されるものなのかがわかっておらず、かかりつけ医とかかりつけ薬局との間で連携してくれるのかなどと考えていましたが、もっと優れモノでした。やはり世の中は「クラウド」がとにかくポイントで、自分の発想の限界を感じました。


2か月超雇用見込の健康保険等適用へ

2022-06-26 21:53:46 | 社会保険

10月から健康保険等の雇用期間2か月以内の場合における取り扱いが変更になります。
現在、500人超の「特定適用事業所」における健康保険・厚生年金保険の短時間労働者の被保険者としての適用要件は以下の通りです。
 ・1週の所定労働時間が20時間以上であること
 ・雇用期間が「1年以上」見込まれること
 ・賃金の月額が88,000円以上であること
 ・学生でないこと

10月からは、特定適用事業所が500人超から100人超に変更になるため、かなりの企業でパート・アルバイト社員が社会保険の適用条件に該当することになると推察されます。さらに、上記雇用期間「1年以上見込み」が廃止となり、「2か月超の雇用見込み」になることも注意が必要です。

この2か月超の雇用見込は、適用拡大だけでなく雇用期間が2か月以内の場合における取り扱いの変更につながります。現在は、契約更新する場合がある旨の条項がある場合でも当初の雇用期間が2か月以内の有期契約の場合の2か月間は社会保険の適用除外とされており、2か月後更新時から資格を取得すればよいこととされています。

令和4年10月以降は、契約更新する場合がある旨の条項がある場合で、以下に該当すれば当初から社会保険の資格取得をすることになります。
①就業規則・雇用契約書等で「更新される」「更新される場合がある」が記載されている場合
②同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

※ただし、①②のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、2か月を超えて雇用しないことについて合意しているときは、定めた期間を超えて使用されることが見込まれないこととして取り扱います。 

令和元年10月30日に行われた、第13回社会保障審議会年金部会の中でも、厚生労働省から上記提案がされており、雇用保険法においても雇用の実態からみて一定の期間を超えると見込まれる場合には最初から適用するという扱いにしており、法律を変えたらどうかという提案がされています。さらにその際の資料には具体的な事務の取扱いイメージとして以下の記載があります。
●事業所調査において、労働者名簿等に基づき適用されていない従業員等の雇用契約書等を確認し、上記要件①②のいずれかに該当することが事後的に判明した場合は、契約当初(保険料徴収の時効を踏まえて2年以内とする。)に遡及して適用するよう指導する取扱いにする。

また、適用拡大のQ&A問37には、雇用時に2か月を超える見込みであったため資格取得したところが、結果2か月未満(2か月以内のことか?)であった場合でも被保険者資格取得を取り消すことはできないとされています。

・適用拡大Q&A
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf

・厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の勤務期間要件の取扱いが変更になります
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0613.files/kinmukikan_ri-huretto.pdf

調べたところ雇用保険法の被保険者資格取得要件は現在「31日以上の雇用見込みがあること」ですが、平成22年4月1日改正施行前は「6か月以上」の雇用見込み、さらに平成21年3月30日以前は「1年以上」雇用見込みです。考え方としては更新状況や事業所の同様の雇用契約の過去の実績により「雇用見込」を判断することとされており、今回の社会保険の改正と同様の考え方をしています。

急に暑くなりましたね。昨日所要で外出した際あまりに暑かったので、今日は家で冷房の中kindleで本を読んだりお昼寝をしたりして久しぶりにのんびり過ごしました。お水をたくさん飲んで熱中症にならないように注意したいと思います。


士業への健康保険法適用拡大

2022-06-19 21:30:15 | 社会保険

10月1日から士業が健康保険及び厚生年金保険の適用業種になります。そもそも健康保険等がどのような適用関係にあるかというと以下の通り整理されます。
【強制適用】
 ・法人事業
 ・個人事業「16の適用業種」のうち常時5人以上を使用する事業所
【任意包括適用】
 ・個人事業「16の適用業種」のうち常時5人未満を使用する事業所
 ・個人事業「非適用業種」・・・・・人数にかかわりなく非適用業種とされる全ての事業所が任意(包括)適用となります。

今回の改正により、弁護士、司法書士、社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業(以下⑤の士業)が適用業種に追加されることになります。これは2018年4月以降の社会保障審議会年金部会において社会保険の適用拡大の検討の中で議論されており、「非適用業種は、昭和28年に設定されたものであり、これを引き続き⾮適⽤と考えるのかどうか、徹底的に議論し直す必要がある。」とあり関係団体へのヒアリングなども実施されています。団体の見解として全国社会保険労務士会連合会は、「(社労士事務所は)基本的には個人事務所・・・・現状、5人以上の職員を雇っている社労士事務所は任意包括適用されていると思われる。」「社会保険労務士会としては、個人事業所で5人以上であれば強制加入になったほうが、そこで働く人にとってもよろしいのではないかと思っている。」「社労士事務所として5人以上の職員が働いているところは、社会保険の負担について収入的にも安定しているので、問題はないと思う。」という回答をしています。
2019年9月20日厚生労働省保険局・年金局の参考資料P122非適用業種における個人事業所の規模を見ると、専門料理店や酒場・ビアホール、バー・キャバレー・ナイトクラブと同程度ではあるのですが、専門サービス業の中で5人以上の規模の割合は「士業」が高く、その社会的役割からみても適用業種とするのは妥当であると考えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000549771.pdf

現行の非適用業種は昭和25年9月22日保文発2414号に以下の通り定められています。
①農林業、水産業、畜産業等の第一次産業の事業
②理髪店、美容店、エステティックサロン等の理容・美容の事業
③映画の製作又は映写、演劇、その他興行の事業 
④旅館、料理店、飲食店等の接客娯楽の事業
⑤弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、公証人、海事代理士
⑥神社、寺院、教会等の宗教の事業

適用事業所については健康保険法第3条3項に物の製造の他16の業種が定められています。

なお、適用業種となった場合であっても、個人事業主は健康保険等被保険者にはなることはできないので注意が必要です。

連合会がヒアリングで答えている通り、小磯事務所も個人事務所時代は早い段階から任意包括適用をしていました。労働保険の場合、暫定任意適用事業の事業主であっても、労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、任意加入の申請を行わなければならないのですが、社会保険の場合は希望があっても任意適用する必要はありません。ただスタッフも社労士業務に精通していますから加入のメリットはよくわかっているので任意適用はせざるを得ないわけです。その場合も個人事業主である私は加入できないのは不満でした。そういう意味では今回適用業種に加わることで、個人事業の社労士事務所は法人化を考えるところは増えるかもしれません(その場合法人ですから事業主含め強制適用となります)。

今日は3年ぶりに大学の体育会テニス部の友人たちとランチしました。コロナ感染が始まったころ集まる予定だったのですがそれが流れてからこの間、それぞれに色々と変化はありましたが特に大きな病気もせず皆元気に過ごしてこられたことに感謝したいと思います。

グルメの友人の希望で代々木上原の知る人ぞ知るお店に行ったのですが、代々木上原と言えば以前隣駅に住んでいたこともあり、ある程度土地勘はあると思っていたところが、結構改札を出たところからだいぶ変わっており、以前あったコーヒー屋さんは閉まっており、お店のある道もところどころの記憶しかなく、あれからずいぶん時間が経ったのだなと実感ました。とにかく店をはしごして4時間、3年分しゃべり倒して満足しました。


介護保険の特定被保険者制度について

2022-01-16 22:20:04 | 社会保険

健康保険法に定める健康保険組合の規定にはいくつか規約で定めることのできる特例的な取り扱いがあります。健康保険法の法附則に定められる介護保険の特定被保険者制度もその一つです。

(特定被保険者)
法附則第七条 健康保険組合は、・・・規約で定めるところにより、介護保険第二号被保険者である被保険者以外の被保険者(介護保険第二号被保険者である被扶養者があるものに限る。以下この条及び次条において「特定被保険者」という。)に関する保険料額を一般保険料額と介護保険料額との合算額とすることができる。
 
少し読みにくい条文かもしれませんが要するに健康保険組合の規約に定めれば、40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者以外(40歳未満又は65歳以上の被保険者)の被扶養者が40歳以上65歳未満である(介護保険第2号被保険者に該当する)合、被保険者の保険料と合わせて特定被保険者である被扶養者分の介護保険料も負担することになるというものです。
 
健康保険の被保険者が被扶養者の分まで保険料を負担することは原則としてないのですが、特定被保険者制度がある場合は被扶養者分の介護保険料を負担するケースがあるという仕組みになります。もう少し整理すると以下のようになります(それぞれの組合で規約に定めているため原則的なもののみ上げます)。
①本人が40歳未満の場合の介護保険料の負担
・被扶養者が40歳未満・・・本人、被扶養者の負担共になし
・被扶養者が40歳以上65歳未満・・・本人の負担なし、被扶養者分を負担し健保組合に納付
・被扶養者が65歳以上・・・本人の負担なし、被扶養者分は市区町村に納付
 
②本人が40歳以上64歳未満の場合の介護保険料の負担
・被扶養者が40歳未満・・・本人のみ負担し健保組合に納付
・本人が海外転勤等で介護保険の適用除外で被扶養者が40歳以上65歳未満
 ・・・本人は適用除外のため負担なし、被扶養者分のみ負担し健康保険組合に納付
・被扶養者が65歳以上・・・本人の負担は健康保険組合に納付し、被扶養者分は市区町村に納付
 
特定被保険者制度は健康保険組合のみに認められた制度です。それも採用している組合は少ない印象ですが拠出金の増加に伴い採用する健康保険組合は増える可能性はありそうです。
 
先週珍しくお世話になっている協会で新年会が開催されたので出席したところ、1つのテーブルに4人ずつ(通常は6人テーブルか?)、一人ひとりアクリル板で仕切られており、感染対策が完璧になされていました。少し話しにくいなあと思いましたが何とかほぼ初対面の4名で話も弾み、料理も美味しく頂きました。いつもは終了後親しい方が残り1時間程度過ごすのですが、今回はさっと解散、終了も早かったので事務所に戻りまた仕事をしてしまいました。今年の新年会はほとんどないという方ばかりで、2年間こういうイベントがなくなってしまうとなると、生活習慣もだいぶ変化して以前のように元に戻ることはないのかもしれないと思っている方は多いのかなという話になりました。仕事のやり方も、コミュニケーションの取り方も、プライベートの生活も大きな変化に合わせて新たな方法を模索することが大事だと思っています。
 
日経新聞の折り込みチラシに、メトロポリタン美術館展が入っており、先行予約をすると若干割引になるので購入したのですが、密を避けるためか予約するには日と時間帯を決める必要がありました。それよりもっと驚きだったのが、先行予約で1900円のチケットなのですが、「スペシャルプログラム」なるものもあり、こちらは何と17,000円で、40分の解説アーカイブ配信、ライブトーク、展覧会図録とオードブルセットとシャンパンが自宅に届けられるということで、シャンパンなどを楽しみながらアーカイブ配信やライブトークを自宅で見るという企画だそうです。色々工夫された企画は見るだけでも楽しいですね。
 
さて、1月22日(土)はBBクラブの勉強会です。今回もzoomになりますが準備は万端です。勉強会終了後もオンライン懇親会を行いますので、久しぶりにみんなのお顔を見たいので、ちょこっとでも参加していただけると嬉しいです。懇親会は一度ウェビナーを退出後懇親会用のURLをクリックして入りなおして頂くことになりますのでよろしくお願いします。以下ご案内です。

不妊治療の保険適用について

2022-01-10 22:50:09 | 社会保険

あけましておめでとうございます今年も毎週末のブログ更新頑張ってまいりますのでよろしくお願いします。

OURSでは平成21年の法人化した際に継続していこうと決めたのが、このブログとOURSセミナーです。今年も1月にOURSセミナ―を開催予定なので、お正月明けの3連休は法改正セミナーのレジュメ作りをしていました。色々調べていく中で、全世代型社会保障の中でこれまであまり具体的なことが出ていなかった不妊治療の保険適用について、中医協の総会の資料が出ていました。まだ最終的な結論には至っていないようですが一部新聞で報道された通り、保険適用が拡大される治療法は「体外受精、顕微授精、人工受精」とされ、対象は43歳未満の女性、回数は40歳未満が最大6回、40~43歳未満は最大3回になる可能性があります。

ただ気になるのが健康保険法の療養の給付の考え方です。健康保険の療養の給付は「疾病又は負傷」に対して行うと法63条に規定されており、それ故に正常分娩については療養の給付の範囲外とされてきました。不妊が疾病と位置付けられることになるのかという疑問があったのですが、第131回社会保障審議会医療保険部会(2020年10月14日)の議事録に以下の説明がありました。

厚生労働省からの現状の説明として「これまでの経緯を振り返りますと、健康保険法におきましては、医学的な定義に該当する疾病のうち、ある程度、また、ある範囲のものを保険事故として、疾病としてきておりまして、その範囲につきましては、時代とともに変化をしてきているという状況でございます。例えば制度施行当初、大正10年の段階では、労働能力に全く関係のない疾病は除外するというような形でございましたけれども、その後、昭和16年には労働能力との関連性を払拭して、幅広く、労働能力と関係なくても、被保険者の健康の保持増進上必要と認められれば疾病の範囲とするといった形になり、現在に続いているところでございます。・・・施行当初は疾病の範囲外とされていたものでも、現在では範囲内とされているものも相当数でございますので、その範囲は極めて広いというような記述をしているところでございます。・・・これを踏まえまして、不妊治療の保険適用という方向性について御議論を賜れれば幸いでございます。」

これに対して委員から、少子化対策の観点から、不妊治療の経済的負担の軽減を図ることは大変重要である・・・疾病に対する治療という観点からも、医療保険を適用するという考え方も理解できる・・・ただし、そのためには、しっかりと実態を調査し、医学的データ等のエビデンスも踏まえた上で、保険給付の範囲や有効性、安全性を明らかにしていただく必要がある、という意見が出て他の委員からも賛同があったようです。

不妊治療の保険適用は、少子化に苦しむ日本においては良い判断になると考えますが、健康保険の原理原則からきちんと説明できるようにして欲しいと考えます。不妊治療の保険適用についての具体的な内容が決まりましたらまたブログで紹介したいと思います。

年末からお正月にかけてはとてもゆっくりできました。いつも通り年末は家じゅうの大掃除、お正月は駅伝と初詣を無事済ませ、時間があったのでOURSセミナーのレジュメだけでなく人事制度の手順書なども作ることができましたし、本も数冊読むことができてやはり時間がたっぷりあることは良いなあとしみじみ感じました。初詣は目黒に引っ越してからは通常毎年目黒不動尊に行くのですが、そこに「銅造役の行者倚像」があり足腰健全のご利益があるということなのです。昨年はコロナの関係もあり目黒不動尊に行かなかったためこの「銅造役の行者倚像」を拝まなかったことが、5月に転んで足にひびがいった原因なのかもしれないと思っていたので、今年はしっかり拝み、内緒でけがした足をなぜてきました。これで今年は安心です!

それでは今年1年またよろしくお願いいたします。


任意継続被保険者の標準報酬改正

2021-09-20 12:08:41 | 社会保険
現行、任意継続被保険者の保険料の下になる標準報酬月額の決定方式は、現在以下①と②いずれか少ない額を選択できることになっています。
①任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
②原則、前年の9月30日に保険者が管掌する全被保険者の同月の平均した標準報酬月額
 
令和4年1月1日から改正健康保険法が施行されると第47条2項に以下が追加されることになります。かいつまんで記載しますと以下の通りです。
保険者が健康保険組合である場合においては、上記①の額が②の額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、①の額をその者の標準報酬月額とすることができる。(当該健康保険組合が②の額を超え①の額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、規約で定めた額)
 
要するに、任意継続被保険者になる場合、任意継続被保険者は事業主負担分も自身で負担することになるため被保険者負担分の保険料の倍を支払うことになりますが、当然、これまで高額な給与が支払われていた被保険者(平均の標準報酬月額を上回る場合)については、平均の標準報酬月額を選択する方が保険料が抑えられることになります。更に任意継続被保険者の申出をせず、国民健康保険の被保険者になった場合直近1年間の収入が基礎となり保険料が決まりますので、喪失時高額な給与を支払われていた被保険者にとっては、国民健康保険料もかなり高額になるため、平均の標準報酬を選択することが、事業主負担分を負担したとしてもより低額の保険料を負担することで済むという仕組みとなります。
 
今回改正により、健康保険組合については、上記喪失時の標準報酬月額と平均の標準報酬月額の選択ではなく、規約で定めることにより任意継続被保険者の喪失時の標準報酬月額とすることができるということになります。要するに高額の賃金を受けていた被保険者が任意継続被保険者になる場合は従前の高額の保険料の事業主負担分を含めた2倍の保険料を納付するということに変更可能となるということです。聞くところによるとかなりの健保組合が規約で従前の標準報酬月額と定める予定のようです。

 審議会資料によると改正の理由については「退職前に高額の給与が支払われていた者について、退職前と同等の応能負担を課すことが適当な場合もあると考えられることから、健康保険組合の実状に応じて柔軟な制度設計が可能となるよう⾒直しを⾏う(第140回社会保障審議会医療保険部会・資料3)とあります。

ちなみに第136回医療保険部会の議事録を見ると、任意継続被保険者の存在意義についての検討がされています(事務局説明一部略)。

「任継制度では制度本来の意義が失われているということで、国保への移行に伴う保険料負担の激変緩和が主な意義という実態になっているという御意見でございます。廃止の方向で議論すべきということで、直ちに廃止することが難しいとしても、将来的な廃止を前提としつつ見直していくことが必要だという御意見をいただいてございます。一方で、職域、地域の2本立ての現行の医療保険制度の前提であればある程度維持するべきであるという御意見ですとか、また、国保への財政負担の増大、60歳以上だけではなくて、実際には現役世代もかなり入っているという状況もあり、丁寧な実態把握が必要ではないかと・・・」

確かに健保と国保の一部負担金の割合が同じ3割になった時点で、任意継続被保険者の存在意義は問い直す必要があったようにも思え、今後の制度についての検討は注目すべきと考えます。

金曜日は久しぶりのOURSセミナ―をリアルで開催し、35名ほどの方がご参加いただきました。終了後のアンケートではリアルの方が頭に入る等リアルを希望される方がほとんどで、人数制限はありますがリアル開催をして良かったと思いました。それでもコロナ後は、オンラインとリアルのベストバランスや選択の基準を検討する必要もあると思いますが、オンラインセミナーの爆発的な拡大による視聴範囲の広がりや、リアルセミナーがコンパクトになりつつある傾向があると感じており、その点は評価されると思います。

終了後、久しぶりに全員集合したので全体写真を撮り、その後今度iDeCoプラスを事務所で導入することになり第一生命さんにお越しいただいて説明会を実施し、終了後長い付き合いのスタッフ数名とお茶だけの打ち上げをして充実した1日になりました。

それにしても自民党の総裁選の討論は面白いですね。国防に対する考え方も興味がありますが、何より雇用、医療、年金と社労士にとっては身近な話題が多く、テレビやYouTubeで熱心に見ています。ただ本当に自民党の中であつい討論が交わされており、これが素晴らしいこと、組織の活性化や物事の議論を深めていくのはこういうことかなと感じます。揚げ足取りばかりの国会に比べると本当に勉強になります。


リハビリ出勤と傷病手当金

2021-09-12 21:32:15 | 社会保険

先週のブログで「リハビリ勤務として会社で軽作業をするような場合」は原則として賃金を支払う必要があると書いたのですが、賃金を支払うと傷病手当金が止まってしまうので、軽作業をするのは休職期間を終え復職してからにすると顧問先からご連絡がありました。考えてみると復職が可能であるかどうかの判断をするためのリハビリ勤務で賃金が支払われたからといって、傷病手当金の要件である「労務に服することができない」という判断にはならないのではという疑問がわきました。調べてみたところ以下の通達がありました。

・「労務に服することができない」とは、その被保険者が従事している労務に就労できないような状態になっていることをいい、労務不能の判定は、医学的基準、労務の提供による報酬の有無等から一律に行われるのではなく、その被保険者の従事している業務、業務内容との関連における報酬額等の諸条件を考慮して保険者が判断することとされている(昭和31.1.19保文発340号)。

その他、「傷病手当金は支給するとした」以下の通達もありました。
・休業中に家事の副業に従事しても、その傷病の状態が勤務する事業所における労務不能の程度でもある場合(昭和3.12.27保規3176号)。
・現在労務に服しても差し支えない者であっても、療養上その症状が休業を要する場合(保険医が将来の病状悪化を恐れ、現在労務に服しても差し支えない者を、療養上その症状が休業を要するとして休業させた場合)(昭和8.2.18保規35号)。

しかし、「傷病手当金は支給されないとした」以下の通達もあります。
・医師の指示又は許可のもとに半日出勤し、従前の業務に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。
・就業時間を短縮せず、配置転換により同一事業所内で従前に比しやや軽い労働に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。

今や協会けんぽの傷病手当金の支給要因の3割を超えるというメンタル疾患においては、特にスムーズな復職は重要です。復職に向けて段階的にどのような仕事ができるかを試してみることでかなり復帰の可能性が高まるのではないかと考えるので、「リハビリ勤務において賃金が支払われるという理由で傷病手当金が打ち切られることはない」という保険者の判断を頂けると有難いと考えます。

ちなみに2、3問い合わせたところ、賃金が支払われるリハビリ勤務中の傷病手当金の支給は行わないというのがすべての保険者(健康保険組合)の回答でした。

なお、リハビリ勤務を復職後行うことはもちろん問題ないのですが、休職期間中の復職目前という時期も復職が可能かどうかの判断をするためのリハビリ勤務を行いたいという場合もあるかと思います。私はリハビリ勤務は休職期間中に行うほうが良いという考えです。休職期間中の業務指示は問題があるという筋論もあるかと思いますが、現実の運用としては休職期間という一定期間を明確に区切っている中で行えば、判断のタイミングも自ずから決まってきますが、休職期間後のリハビリ勤務は往々に終わりが見えず会社が悩むことが多いからです。

先月、お風呂とトイレの改装工事をしたのですが、やはり今どきのお風呂は優れモノだと感心します。ところで工事中の3日間自宅マンションの前にある銭湯に通ったのですが、これもとても楽しかったです。11時に終わってしまうので夕食をとったらすぐに出かけるのですが、これがいわゆるスーパー銭湯などではなく本当に昭和の中頃の銭湯なのです。いつも番台にはおばちゃんが座っており、お風呂に入った後コーヒー牛乳を買って飲むととてもうれしそうにしてくれるので毎日飲みました。ちなみに湯舟は一部ジャクジーになっているのですが、とてもじゃないけどお湯が熱くて数秒しか浸かれないのは玉に瑕でした。

先日美容院に行った際に、「お風呂屋さんの番台のおばちゃんがいつもテレビを見ているのは、あれはさぼっているのではなく、着替えたりする姿を直視しないためだろう」と話したところ、今時そんな番台は珍しい、普通着替える場所とは区切られているのでは、という答えでした。昔はやはりおおらかだったんですね。


夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定について

2021-07-12 00:04:34 | 社会保険

4月30日に厚生労働省保険局保険課長名で「夫婦共同扶養の場合の被扶養者の認定」についての通達が出ています。内容の抜粋としては以下の通りです。

1.夫婦とも被用者保険の被保険者の場合
① 被扶養者の人数に関わらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入見込み。)が多い方の被扶養者とする。  
② 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
③ 夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る扶養手当等の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。

2.夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合 
  被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。

3.主として生計を維持する者が健康保険法に定める育児休業等を取得した場合
 育児休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。ただし、新たに誕生した子については、改めて認定手続きを行うこととする。

夫婦ともに働くケースが当たり前となり、女性の収入が増加して夫の収入を上回るケースもあるからということで問い合わせが増えてきたための通達なのかなと理解しています。通達原文は以下の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210512S0010.pdf

今週末17日(土)はBBクラブの勉強会です。今回は来年の法改正の話が中心となりますのでレジュメ作りも結構大変でしたが何とか出来上がりそうです。BBクラブの皆さんとzoomですが久しぶりにお会いできるのが楽しみです。ウェビナー形式の講義とミーティング形式での懇親会に分かれるので講義終了後懇親会用のzoomのURLに入りなおしていただくようです。詳しくはOURSのHPのBBクラブのページを確認してください。

ところでオリンピックはとうとう無観客が決定しました。国立競技場での観戦チケットが当選した身としては残念ではありますが、国立競技場はまたコロナが収まれば行くことも可能でしょうし、切り替えを早く前向き考えると、いかに無観客のオリンピックを楽しめるように考えていくかということが大切だと思います。コロナ下、無観客のオリンピックをどのように楽しむか、そのコンセプトを政府が明確に示せると良いのではないかと考えるのです。例えば、オリンピックはお祭りのような雰囲気で特にロサンジェルスオリンピック以降商業化したとも言われてきたわけですが、今回の東京オリンピックは「純粋に競技を楽しむことに集中する大会」というテーマなどはどうでしょうか。

これまで前回の東京オリンピックを子供ながら経験したといっても甲州街道を走るマラソン選手をチラと見た記憶しかなく、海外開催の際に海外に出向き競技場などで観戦したことはもちろんなく、ひたすらテレビで楽しんできたわけですので、東京オリンピックをテレビでしか見れないことは特にこれまでと同じということでしょうし、むしろ生で見るよりテレビの方がよく見えるということもありますしね。私の楽しみ方としては、ゆっくりコーヒーなど飲みながらテレビ観戦を楽しむためという理由をつけて以前から欲しかったコーヒーカップ&ソーサ―を2種類購入しました。そんな風にささやかに楽しめる工夫をしたいと思います。


9月からの厚生年金最高等級区分改定

2020-08-30 22:37:57 | 社会保険

9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が改定されます。

8月までの最高等級は、第31級の620,000円(報酬月額は、605,000円以上)ですが、9月改定後の第31級は620,000円(報酬月額は、605,000円から635,000円未満)、最高等級は、第32級650,000円(報酬月額は635,000円以上)に変更になります。

保険料は第31級が113,460円(被保険者負担分56,730円)、第32級が118,950円(被保険者負担分59,475円)となります。

この最高等級の上限改定というのは、厚生年金保険法第20条2項で毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるとき、その年の9月1日から、最高等級の上に更に等級を加える改定を行うことができる、と定められています。

上記を見て頂くとわかる通り、第22級以上の標準報酬月額(報酬月額)の等級差は30,000円です。見えない等級としてさらにその上に仮の第33級665,000円(報酬月額は、665,000円以上)を設定することで、第31等級から仮の第33級に該当する場合は、実際は第31等級から第32等級への1等級の上昇であっても随時改定(月変)を行うことになる点に注意が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200819T0030.pdf

また、5月等に固定的賃金の変動があっても、2等級以上のが差が生じないということで月変の対象にならない場合、申し出により9月に特例的な月変の対象とすることができるという通達も出ています。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200819T0040.pdf

なお、今回健康保険法の標準報酬月額の上限の改定は行われず、また標準賞与額の最高限度額についても変更はありません。

安倍総理が辞任されました。8年弱の在任期間、本当にお疲れさまでした。安倍総理が総理大臣になられる前の日本は、民主党政権だけでなく自民党政権時代からしょっちゅう総理大臣が交替してばかりで、これで世界に信頼される国といえるのだろうかと恥ずかしいような気持ちでいました。どうなのだろうと疑問に思う総理大臣も中にはおられたと思いますが、日本人は国のトップに対して尊敬や愛情というものを持たず、批判ばかりでなぜ大切にしないのだろうと感じていました。その点安倍総理は5回の国政選挙の勝利により長きにわたり国のトップとして国民に支えられてきたと感じます。海外での総理の活躍や存在感も誇らしく感じていました。それまではサミットでもいつも日本の総理は隅っこに立っていることが多かったですから。ただコロナ後は特にマスコミはひたすら批判の嵐で残念に思います。

社労士としては「一億総活躍」「働き方改革」はやはり正しい政策だったと思っています。コロナで劇的に進んだ在宅勤務やフレックスは、今後特に女性が働くこと、また男性の育児参加や個人の生活の充実について大きな効果があると思いますが、これはコロナ前に働き方改革を進めようとしていなければできなかったと感じます。今後世の中が大きく変化していくことは確実だと思いますが、このことは将来大きく評価されると思います。働き方改革の到達点が見えてきたところで、その中でどのように最高の仕事ができるか、これからも考えていかなければならない宿題だと思っています。