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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

構造改革の必要性

2024-04-07 14:05:54 | 雑感

色々な企業の様々な課題のご相談を受けていると「これは構造的な問題、解決するにはそこから見直さないと難しい」と感じることが多いです。コロナの期間を経て価値観が180度変わったと常日頃から感じていますが、価値観や目指すものが変わっても、「働く場」や「働くこと」についての意識が昔からの構造を引き継いでいるため軋みが生じていると思い至ります。

今メンタル疾患がとても増えており、協会けんぽの傷病手当金や労災認定のメンタル疾患の件数はどちらもいわゆる疾病を抜いて非常に増加しており、社会で早急に解決しなければならない問題になっていますが、これも働く場の構造改革=働き方の意識の改革が必要ということではないでしょうか。

例えば長時間労働は単に一企業で頑張るのでは難しいというケースが多くあります。いろいろな企業が集まり現場を形成している場合、全体が本来働く時間内に仕事を仕上げるという意識がなければ、一企業のルールを作っても意味がありません。働き方として勤務時間内に仕事を終えることがあたりまえ、残業は特別の場合ということになるような仕事量と仕事の内容の効率化と人員体制といった構造を変えていく必要があります。

また店舗をはじめとして、様々サービスを提供する仕事の場合でも、サービスが行き届きすぎ、時にはサービス過剰といっても良いものもあります。日本人の良いところでもあることはよくわかっているのですが、長年の積み上がりで行き過ぎていると感じることもあります。例えばコンビニは本当に生活に欠かせないものになりましたがSEVENイレブンができたときは確か開店時間が23時までで、それでも驚いた記憶があります。私の子供の頃はお店は夜になると閉まってしまうものでしたから。お正月も元旦からオープンすると聞いてそれまで年末年始用の食材を買い込んでいたことを辞めましたが、そこまで必要なのでしょうか。企業間の競争もあると思いますので、業界挙げての構造改革でかなりサービスのスリム化ができると思います。

女性活躍にしても、業界団体や企業の会議やパーティーに集まるのはほとんど男性で、女性はちらほらということも多いです。最近女性のトップもだいぶ出てきていますが、やはり一般的には経営層は男性という構造が組織の姿なのだなと改めて感じます。社長が女性になっても取り巻くのは圧倒的に男性なのではないでしょうか。こちらについてはランチの時間帯にちょっとしゃれたお店に入ると全員女性ということも良くあります。男性と女性では外に出ている時間帯が違うのだなと感じます。これは高度経済成長期の男女の役割分担から全く脱却していないことなのだろうと思います。そうだとするとまず106万円や130万円の壁の撤廃という社会保障制度の構造的見直しが必要だと思います。日本国民である以上成人したら男女の区別なく全員が税金と保険料を負担するという考え方が逆に一人一人の意識を変えると思いますので、まずはとにかく取り組むべきは構造改革なのだと思います。

同一労働同一賃金や60歳以上の賃金も同じように感じます。アルバイトだから、高齢だからという賃金の決め方ではなく、その人の担当する業務やスキルについて、少なくとも決定要素に入れておく必要があります。組織を区分分けして区分ごと一律の労務管理をするという手法も構造改革することにより人口減少による人手不足対策とすることができると思います。

昭和の時代の成功体験が平成になっても変わらず続いてきましたが、令和になっていよいよ構造を見直すことが必要になったと感じています。一つ一つ構造を見直していくことがこれからの日本の働き方や日本人が大事にするものに繋がっていくものと思います。

桜が咲きましたね。今日は本当に満開です。今年は入学式にタイミングがあったようでよかったです。それにしても4月1日は新卒の社会人が沢山渋谷の駅や電車にいました。みな学生っぽさを残して初々しく、明るく楽しそうでした。社会に新しい価値観を”元気に”吹き込んでもらいたいものだと思います。

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