初夏までに育児介護休業法の原稿を仕上げる必要があり、事務所のスタッフでプロジェクトチームを作り頑張っています。私も連休中に少し取り掛からねばと思い、育児介護休業法の歴史を調べてみたところ、すっかり忘れていたこともあり、覚書もかねて時間外労働の制限規定の成り立ちを記載しておこうと思います。
第17条 事業主は、労働基準法第36条第1項本文の規定により同項に規定する労働時間(以下この条において単に「労働時間」という。)を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって一定の条件に該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。)を超えて労働時間を延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。(一部省略)
この規定が施行されたのは平成14年4月1日です。実は育児介護休業法第19条には深夜業の制限も定められており、時間外労働の制限、深夜業の制限ともに子が小学校就学前までの期間を対象としています。この両規定の施行日は同じと思いきや、実は深夜業の制限規定は平成11年4月1日、時間外労働の制限規定は平成14年4月1日と深夜業の制限規定の方が先に施行されていました。深夜業はそもそも満18歳以上女性は禁止と労基法に規定されていたもので、しかし平成9年に均等法における募集・採用・配置・昇進についての差別禁止の努力規定が義務規定に改正され、それに伴いバランスをとるために労基法の女性の深夜業の制限規定は撤廃となり、対象者を育児介護休業者に絞り込み、異動してきたという事情があります。
時間外労働の制限についても、平成11年4月1日労基法改正施行日前は、満18歳以上の女子に関する規制として時間外労働の制限が定められていたものが、改正により撤廃されたため育児介護休業法に異動してきたという経緯があります。平成11年の労基法改正前の満18歳以上の女子に関する規制をまとめると以下の通りになります。
平成11年改正前の労基法で定めていた女子の時間外労働の上限規制
業種 |
具体例 |
時間外労働の上限 |
工業的業種 |
鉱工業 |
1週間に6時間 |
保健衛生業・接客娯楽業 |
病院 |
2週間に12時間 |
上記以外の非工業的業種 |
商業 |
4週間に36時間 |
1年150時間の時間外労働の上限規制が、育児・介護期間中の労働者を対象に絞り込んだ上で育児介護休業法に異動してきたのだということがわかります。なお18歳未満の女子は、年少者としての保護規定の対象となりますので上記規制の対象からは外れていました。
また時間外・休日労働の制限の例外として、①指揮命令者及び専門業務従事者、②臨時の必要がある場合、③法41条該当者の3つがあるとされていました。この①指揮命令者及び専門業務従事者は、改正ですっかり姿を消してしまいましたが、どのような立場であったかというと、1.業務を遂行するための最小単位の組織の長である者、2.職務上の地位が上記の者より上位にある者で、労働者の業務の遂行を指揮命令する者(管理監督者を含む)と定められていました。完全に私見ではあるのですが、労基法のこの定義が残っていれば、リーダー的な女性がもっとたくさん育って来て、今女性活躍ももう少し進んでいたのではないかという気がします。
上記女子の保護規定撤廃により、当時TACの講師をしていた私は講義を終えて控室に戻る時間帯には受付の女性がいなくなっていたのが、戻った際に残っているようになったということで、法改正の効果を実感したのを覚えています。労基法はこの平成11年改正後21年改正を経て、今回また大きな改正が30年に成立するとすれば、おおむね10年ごとに改正ということになるわけですね。
連休中は、ゆっくり休んだ、勉強に集中した、旅行に行ったなどそれぞれまとまったお休みの中で充実して過ごされたのではないでしょうか。しかしそれにしてもあいにく毎日風が強いと感じたのは私だけでしょうか。最近駅前にできた大きなビルの前に強いビル風が吹くようになり、建物が前にあり比較的静かだったうちのベランダにもその影響があるのではないかと心配になります。
連休は、勉強の貯金も少しできましたが、お天気が良かったので毎年恒例の衣替えをしっかり行いました。服をクリーニングに出すだけではなく、寝具を夏用にしたり、ソファーのカバーも綿のものに変えたり、ブーツをしまい込んだりとずいぶんとすっきりしました。また夏に向けて準備万端になったような気分でいます。