日本の大豆消費量は約500万トン、そのうち約80%が搾油用(油・飼料)、約20%が食品用(高品質の大豆)として使用されています。現在そのうちの97%は輸入に頼っているのが現状で、その約80%を米国から輸入しています。世界最大の大豆生産国である米国は、約60%を国内で消費し、40%弱を輸出しています。 「大豆」は主に圧砕され、「大豆油」「大豆ミール」として消費されます。大豆油は植物油の中で最も多く生産され、サラダ油・マーガリン用など主に食用油として使用され、「大豆」の油を絞った後の大豆ミールは、ほとんどが配合飼料として使用され、その多くは養鶏用になっています。生産量で世界第二位のブラジルは 今年2,700万トン生産するであろうと予測されており、鶏肉の輸出では既に世界第一位になっています。日本の国産大豆の用途は 1)豆腐(58%)、2)煮豆・総菜(13%)、3)納豆(8%)、4)味噌・醤油(7%)となっており、国産大豆と外国産大豆の成分を比較すると、国産大豆はタンパク質含量が多く、外国産大豆は脂質含量が多いという特徴があり、具体的にはタンパク質含量は国産が35%、米国産が33%、脂質含量は国産が19%、米国産が22%と違いがみられます。日本では豆腐用としては主にアメリカのnon-GMO大豆(遺伝子組み換えではない大豆)が使われてはいますが、最近、ブラジルでもGMO大豆(遺伝子組み替え大豆)の生産が可能になり、大規模農家は生産効率の追求(コストを15%下げることが可能)からGMO大豆への切り替えが進んでいるようです。一方、昨年一日の売買高で500万トン(日本の年間消費量相当分)を記録した13億人の胃袋を抱える中国の大豆輸入量は、2,300万トンに達するいわれており(2004年)世界の貿易量が約6,000万トンですから、その3分の1を中国が輸入していることになります。それだけではなく、150万トンの大豆油が輸入されています。これは800万トンの大豆に相当しますから、合計で3,000万トン近い大豆を国際市場から購入しているのです。大きな消費国の出現と大きな生産国の出現(アマゾンの森林地帯は、毎年日本の国土の2倍以上を大豆生産農地に転換しているという。)は世界規模で進行する環境破壊と食糧危機をより深刻なものとしています。そういう世界の動向の中で日本はいつまでも輸入に頼ってばかりいられるのか、そろそろ限界なのではないか、もう少し様々な視点で日本の農業の在り方について検討してみる必要がありそうです。1973年に米国が大豆の輸出を全面禁止した際に、ブラジルに生産拠点を模索したのはその当時の首相・田中角栄氏だったといいますが、『あちらが駄目なら、こちらがある』というという考え方はもうそろそろやめた方がよさそう・・・に思います。
※0516ミニトマトのハウスの様子
※0516ミニトマトのハウスの様子