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LGBT - 人権と広告価値

2016-12-04 21:07:02 | Weblog
明大ジェンダーセンター2016年度第2回定例研究会「メインストリーム文化とLGBT」@明大グローバルホール(11月23日)
メインストリーム文化とサブカルチャー、グローバル文化とローカル文化がせめぎ合う中、LGBTはどのように表象されるのか。インターネットやデジダルメディアがもたらす影響とは何か。話題の近刊『現地レポート 世界LGBT事情』の著者である、気鋭のフランス人社会学者による来日講演。

講師:フレデリック・マルテル(Frederic Martel)氏/作家、批評家、ジャーナリスト。社会学博士。パリ政治学院で教鞭をとった後、現在CERI(パリ政治学院付属研究所)研究主幹。複数の書評、文化サイトの運営に関わり、ラジオ番組「ソフトパワー」のプロデューサー兼司会者でもある。著書に『超大国アメリカの文化力』(邦訳:岩波書店, 2009)、『メインストリーム:文化とメディアの世界戦争』(邦訳:岩波書店, 2012)、『現地レポート 世界LGBT事情』(邦訳:岩波書店, 2016)

コメンテーター:砂川秀樹氏/文化人類学者。『新宿二丁目の文化人類学:ゲイコミュニティから都市をまなざす』著者。ピンクドット沖縄共同代表




1969年6月28日 ストーンウォール事件
ニューヨークのゲイバー、ストーンウォール・インでの警察の手入れにゲイが立ち向かった反乱とそれに続く一連の抵抗運動。現代のLGBT権利運動の原点とされる

1990年5月17日 世界保健機関(WHO)が同性愛を治療が必要な精神疾患のリストから外す

1996年12月18日 性的指向による差別を一切禁止する南アフリカ共和国憲法が公布される

2001年5月11日 クイーンボート事件(エジプト)
クイーンボートという船で行われていたゲイ・パーティーに警察が踏み込み、52人が逮捕された事件。23名が「わいせつ行為」と「イスラムに対する侮辱罪」で有罪となり、3~5年の懲役刑を科された

2005年5月17日 第1回「国際反同性愛嫌悪の日」。以後毎年開催されている

2005年7月19日 イランで同性愛の青年2人に死刑が執行される。2007年には別の青年が13歳の時の同性愛行為により死刑になる

2008年12月18日 国連総会で「人権と性的指向・性同一性に関する共同声明が提出される
起草国:ブラジル、クロアチア、フランス、ガボン、日本、ノルウェー、オランダ、アルゼンチン。最終的に68ヵ国が賛同。(国連の別会場では反対声明が読み上げられ、59ヵ国が賛同する)

2012年1月1日 ハンガリー基本法(ハンガリー憲法)施行。結婚は「男女間の最も自然で基本となる結び付き」と規定する条文がある

2013年6月 ロシア連邦で同性愛プロパガンダ禁止法案が連邦法として可決
18歳未満の者に対する同性愛の「助長」に携わった個人、政府職員、団体に罰金が科されることになった

2015年4月1日 東京都渋谷区で同性パートナーシップ条例の施行開始
続いて、東京都世田谷区、兵庫県宝塚市、三重県伊賀市、沖縄県那覇市などでも同様の制度が導入された

2015年6月26日 アメリカ連邦最高裁で同性婚合法化の判断が出される

2016年6月12日 アメリカ、フロリダ州のゲイディスコで銃乱射事件。49名が殺害される

2016年6月 国連人権理事会で、LGBTに対する暴力と差別を監視する役職を国連の特別職として新設することが決まる

※以上マルテル氏の『現地レポート 世界LGBT事情』より




はっちさんの同人誌『実録本』より。会社勤めのかたわらBL同人を描き、イベント参加する女性。「アニメグッズも同人誌も出しっぱなしにできて楽。一人暮らしはいいぞ」。本人が同性愛者というわけでなくても、親には見せられない。私も実家に寄生していた若い頃、自室に『少年愛の美学』や『古代ギリシャの同性愛』といった本を置くのを母親がひどく嫌がったものだ。かわいそうだったなあ、一人息子が結婚できず、あげく長く入院することになって

各国では偏見や差別はもちろん、逮捕され投獄されたり、最悪死刑ということも。フィデル・カストロが亡くなったキューバも、以前は迫害がひどく、通電によって同性愛を「治療」することも行われたという。50ヵ国700人にも及ぶ当事者を取材したマルテル氏は語る。「米国の学会ではLGBTと呼ぶべきかLGBTQ、あるいはLGBTQAと呼ぶべきか2日も3日も議論。そんなことしてるうちにトランプが当選してしまった。私は当事者に寄り添って考えたい。新聞記者であり学者であり社会活動家でありたい。LGBTの人権のため、共に語り、歩もう」

彼によれば、同じように法律による同性愛者への罰則があっても、例えばエジプトでは官憲より人びとの因習による差別・迫害がひどく、逆にシンガポールではわりと自由に行動できるのだとか。そうした実情を見てきた彼であっても、参加者から寄せられた「トランスジェンダー(性同一性障害)の人の中にはLGBTというくくりで同性愛者と同じに扱われたくないという考えもある」という意見を「それは間違っている。権利のためには小異を捨て寛容になるべき」とあっさりハネつけてしまった。

ここで覚えた違和感のようなことに後日、トランスジェンダーのジャーナリスト田原牧氏が「集英社新書WEBコラム - "雑民"たちの浄化」という記事で既に言及・痛言しておられたのを発見。田原氏によれば、渋谷区や世田谷区のパートナーシップ条例は、結婚のように法的に保護されるものでは全くなく、「儀式」に毛が生えたものに過ぎないという。渋谷のケースでは第一号がおしゃれなレズのカップルだった。近年、経済誌などで、高給サラリーマンや芸術家など、実力や経済力のある層に限って同性愛を認め、カミングアウトを促す風潮が生じているが、逆に元博報堂の社員である渋谷区長・長谷部健が区議の時に宮下公園をナイキの協賛で改装するにあたってホームレスを追放する施策を推進したように、広告になる人ならゲイでも受け入れ、ならない人は迫害するという、マイノリティ全体から見れば前進どころか大きな後退になりかねない。

明治大学は「就職に強い」のだという。意識の高そうな学生が来ていた。私はもはや親もきょうだいもなく、誰に気兼ねすることなく、少年愛はじめさまざまな変態性欲を扱う同人誌を作り、一方で「意識高い」社会的・政治的な集会にも参加するが、そのこと自体、当事者というより何でもヒトゴトで差別だろうが儲かればよい広告代理店の価値観に近づいてしまっていることを痛感せざるをえない。当事者は遊びでは済まされない。「理解」するのでなく、分からないことを認め、違いを対等に認め合うことが「共生」。田原氏のこの言葉を肝に銘じて発信してゆきたい—






↑ILGA(インターナショナル・レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランス・インターセックス連盟)の制作による同性愛・バイセクシュアルに関する世界の法律MAP。サムネイルをクリックすると拡大してご覧いただけます

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