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旧作探訪#33 『完全なる飼育 赤い殺意』

2008-09-14 19:23:35 | 映画(レンタルその他)
@レンタル、若松孝二監督(2004年・日本)
竹中直人に誘拐・監禁される小島聖のダイナミック・ボディが話題を呼んだ『完全なる飼育』にはじまる当シリーズの6作目。監督にはラジカルなピンク映画の巨匠・若松孝二が起用され、大病を克服して7年ぶりとなるメガホンを振るった。
ホストの関本文也(大沢樹生)は、ヤミ賭博でこしらえた借金500万円の返済を迫られボコボコにされた。困った彼は、彼を愛人としている中年女性・幸江とのセックスの最中、彼女の夫・耕吉の殺害を持ちかけられ引き受けてしまう。
関本は幸江の指示どおり、雪山の町にある幸江の家を下見し、翌日、縁側で酒を呑む耕吉に後ろから忍び寄って鉄アレイで撲殺。しかし、箪笥から約束の500万円の入った封筒を取り出すとき、回覧板を持ってきた近所の主婦に見られてしまう。必死で雪の中を逃げた関本は足首を捻挫し、一軒の農家に入り込む。するとそこには、無口で異常におびえた様子の明子(伊東美華)がいた。関本を捜しに警察が来ると、関本を連れて天井部屋に隠れる明子。
そして二日目、家主であるトラック運転手、山田真一(佐野史郎)が帰ってきた。天井部屋に隠れた関本は、そこで明子が山田に飼育されている場面を目撃する。

「子どもなんだから、こんなものは要らない!」
「明子が動かしていいのは、布団・洗濯物・食器だけ!」

山田を“シンちゃん”と呼び、何もかも言いなりの明子。陰毛を剃られ、言うとおりにしないとスタンガンで脅されて全裸で手錠につながれる。関本は山田が不在の間に明子と結ばれ、彼女を救い出そうとするが…。



冒頭、元「サーカスに売られた子ども」の一人である大沢樹生が雪原を逃げるうち足をくじいてしまう場面を見て、ああ、連合赤軍の映画と同じ文法で撮られているなあ、と。
社会派の作品と娯楽作品を区別しない。同じ態度で臨む。やっぱりそうでないと、サスペンスとか犯罪のからんでくる作品には説得力が生まれないのではないか。
『完全なる飼育』のシリーズは1作目しか見ていないが、監禁された女が監禁する男に愛情を抱くようになる、みたいな噴飯が多いらしい。いや1作目はけっこう面白かった記憶あるけど、小島聖の功績が大なのかな。
しかし凶悪犯罪ですから。犯罪の、社会的な位置づけってこともある。シリーズが作られてるうち、新潟県で小学4年から19歳にいたるまで誘拐・監禁されていた女性が発見されるといういたましい出来事も。
DVDの付録に特典映像として、映画公開のときの初日舞台挨拶の模様が。そこにおける伊東美華という女優さんは、モデル出身のよくある、青山や有楽町を闊歩してそうな。美人だがあまり表情が豊かでない感じで、女優としての成功はむずかしそう。
ところが映画の中では、ほぼすっぴんで、小学3年からずっと監禁されてきたかわいそうな女性を好演。表情が乏しくうつろなところが、長いあいだ病的な男に支配された心の状態を迫真に映し出す。衝撃的なラスト・シーンも、シリーズの文脈からは外れるかもしれないが、現実の犯罪のことを考えると納得される。
モデル出身でバレーボールもやっていたとのことなので、もちろん体はたいへんきれいで、そういう期待も裏切らないよん。
これ公開されたのって、弊ブログの開始直後のことだったのね。伊東美華さんはこのあと目立った活躍をされてない様子なので、一期一会として舞台挨拶を目撃したかったなあと。チラシを見て、ちょっとでも心に引っかかったらマメに行動しないといけないナ

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