湘南徒然草

湘南に生まれ、育ち、この土地を愛し、家庭を持ち、子育てに追われ、重税に耐える一人の男の呟き。

ムンクの「叫び」

2006-09-02 11:28:47 | Weblog
中学生の時
美術の先生が手に持って見せてくれた複製画に
教室全体がどよめきました
ムンクの「叫び」でした

先生は何枚かの複製画を持ってきて
自分で手に持って
一枚一枚、順番に見せてくれました
クールベの「波」を見せられた時は
教室全体が感嘆のため息を漏らしました
クールベの写実に圧倒された、驚きと感動のためです
しかし
ムンクの「叫び」を見た一瞬は
適切に表現する言葉の思い浮かばない、異様な感じがありました
うめき声に似たどよめきが、教室を支配しました

クラスの仲間達は、その時初めて”芸術”を理解したのかもしれません
すくなくとも、ただ美しいだけ、上手なだけの絵とは異質なもの
芸術表現の持つ底知れぬ深さ、可能性、怖ろしさ・・・
・・・その一端に触れたことは間違いありません
それはまた、人間性の奥深さ、可能性、怖ろしさ・・・
を理解する端緒となったかもしれません
思春期の少年少女にとって
大きな知的体験であったことは確かです

2004年8月、オスロのムンク美術館から強奪され行方不明となっていた
エドバルド・ムンクの代表2作品「叫び」「マドンナ」は
ノルウェーの警察当局により発見、回収されました
作品の状態は良好で、早い時期に再展示できる見込みです

ムンクの「叫び」が盗まれたと聞いた時
私は大変、心を痛めました
「叫び」は、たんなる世界の名画の一つではありません
「叫び」は、人類の絵画表現の極致に達する傑作の一つです
人類の遺産です
すくなくとも、私はそう考えております
末永く、後世に遺したい偉大な作品です
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