湘南徒然草

湘南に生まれ、育ち、この土地を愛し、家庭を持ち、子育てに追われ、重税に耐える一人の男の呟き。

EUとイギリス

2013-04-10 16:36:49 | Weblog
サッチャーさんはEUには懐疑的でした
英国がEUに参加しても、通貨統合には反対でした
このことでサッチャーさんを批判する向きもあるようです

ギリシャの財政破綻をみれば
通貨統合に参加することの危険が分ります
なぜ、サッチャーさんを批判するのでしょう?
イギリスだって財政状況は厳しいはずですが、破綻しません
自国で通貨を発行できるからです

通貨統合に参加するということは、通貨政策の主体性を奪われることです
これは国家の主権を放棄することに等しいでしょう
通貨統合に反対したサッチャーさんは愛国者でした

EUを、日本人は誤解しています
あれは国家の連合体を作る運動ではありません
ヨーロッパを一つの国にする運動なのです

ヨーロッパ統合に関しては
イギリスは、常に、裏で邪魔をしてきたのです
表面的に賛成するふりをしても、本音は反対なのです
ヨーロッパ大陸内部の対立は、イギリスに漁夫の利をもたらし
対ヨーロッパ外交は、イギリスに有利に展開できたからです

大陸ヨーロッパを統一させないこと
常に、大陸ヨーロッパに対立の芽を残すこと
これが、長らく、イギリス外交の基本でした

ナチスドイツがチェコスロバキアのズデーデン地方を侵略した時
イギリスの首相チェンバレンは、ヒトラーとのミュンヘン会議で、これを容認し
ナチスドイツとの戦争を避けました

チェンバレンの宥和背策は、彼の平和主義によるものとされていますが
本当は、イギリスの伝統的な対ヨーロッパ大陸政策によるものです
チェンバレンは大陸ヨーロッパに紛争の種を残したのです

チェンバレンが残した”種”は、やがて芽を出し
イギリスを巻き込む第二次世界大戦へと大きく成長しました

第二次大戦による強烈な破壊と殺傷の記憶が
ヨーロッパ統一運動を推し進める強い動機付けとなっています
多くの困難を乗り切り、統一ヨーロッパ実現を目指しているのは
人々の、戦争を嫌い、平和を希求する強い願いなのです

イギリス人とて、平和を希求する気持ちに変わりはありません
しかしながら、戦略的利益、経済的利益という観点に立つ時
イギリスは、大陸ヨーロッパとは、必ずしも利害が一致しないのです
コメント
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