無意識日記
宇多田光 word:i_
 



その昔、誰とは言わないがファンサイトの掲示板に『Simple And Clean』の対訳を独自に執筆して投稿した人が居たんですよ。もう20年も前の話だから時効だと思うので(何の時効なんだソレは)書いちゃうけど(昔から関係なく事ある毎に書いてるのは内緒)、こんとき掲示板の管理人宛に公式から連絡が来たんですよ。細かい話は私、その管理人当人からも投稿者本人からも直接聞いてる筈なんですが結構忘れちゃってて(ダメやがな)よく覚えてないんですが、要は歌詞の翻訳を掲示板に投稿するのは控えて欲しいという事だったようなのです。

これ、今から考えると隔世の感があるのよね。前回も文化庁のHPから引用した通り、


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著作権法第32条第1項:
 [1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html


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と書いてある。現行法では「翻訳もできる」んですよ。ただ、『Simple And Clean』がリリースされた2003年当時の第32条にはこの部分は無かったはずなので確かにスタッフ側からの要請にも一理あった訳でありました。今はもう御覧の通り翻訳行為も大丈夫なのでご安心を。


…と、時代の遷移がまずひとつ論点ね。前回も書いた通り著作権法周りは日々改正されていったりしているので、昔アウトだったものが今はセーフだったりするのです。


で、もうひとつの論点として。今にして思えば、『Simple And Clean』が、「キングダムハーツ」、いや、"Kingdom Hearts"のテーマソングだったのが、翻訳投稿掲載にストップが掛かった一因だったのではないかなと。

というのも、ゲーム「キングダムハーツ」はスクウェアエニックスとディズニーによる合作なんですが、それが理由でこの曲は(『光』もね)、著作権/出版権を持ってるのが"WALT DISNEY MUSIC COMPANY"/「ウォルトディズニーミュージックカンパニー」なんですわ。


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Hikari/Simple And Clean 著作権出版権

著作者/出版者 WALT DISNEY MUSIC COMPANY
管理情報 所属団体 演奏:ASCAP

著作者/出版者 ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング Synch事業部
管理情報 所属団体 JASRAC


(以上引用、下記リンク先にて検索)
https://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main?trxID=F00100


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ASCAPってのは「米国作曲家作詞家出版者協会」のことね。要するに(歌詞の)著作権/出版権の管理をアメリカでやってるってこと。

こうなってくると、日本の著作権法が通用するかどうかわかんないのよね。更に、ディズニーといえば著作権について世界一といっていいほど力の強い会社で。色々と揶揄もあるのだろうが前に米国で著作権法を改正したとき「ミッキーマウス保護法」とか皮肉られたくらいで、法律動かす程の力があると認識されている。そんな企業が著作権を持っている作品については事なかれ主義にならざるを得なかった、という側面が当時あったのかもしれないねぇ、と私は勝手にそう思ったのでありました。


……だなんて昔話をしているのは他でもない、20年近い時を経て今回私、ヒカルの手によるものとはいえ、そのディズニーが著作権をもつ、"Kingdom Hearts 3"のテーマソング『Face My Fears』の日本語訳歌詞を、この日記に掲載している訳ですよ。私個人は当然、日々の日記での論評用に引用参照しやすいように「適正な慣行」のつもりで掲載してる所存なのですが、何しろ相手はディズニーなので、目下戦々恐々としているところなのでありましたとさ。


いやでも真面目な話なんですよ、えぇ。著作物に対する論評活動に於いて、「適正な引用」がどの範囲までなのかというのは、私としてはかなり厳密に知っておきたい所なのです。読んでる方だって、違法行為に基づいたブログだなんて落ち着いて楽しめないでしょ? そこらへんの線引きは、ホントよく把握しておきたい。

でも、だからってあれやこれやと公式に問い合わせるのも悪手。例えば二次創作の類は「黙認」という手段でお互いの良識を織り込んでそれぞれの表現活動を担保していたりもする訳で。私のしてることは二次創作ではないけれど、「訊かれなかったら何もしないけど、訊かれて明解に答えろと言われたら公式の立場上否と答えざるを得ない」みたいな事例に引っ掛かっているかもしれない。そんなときにわざわざ虎の尾を踏む?藪をつついて蛇を出す?行為・言動をするのはお互いにとってよろしくない。ので、取り敢えず自己判断自己責任でこのまま行くのでありました。くれぐれも、公式の温情を無碍にせぬよう自戒と自制を重ねていくことを誓って明日も明後日も書いていきますよ。

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前回はなんか勇み足だったな。ゆっくりいこ。


まず、そうそう、Netflix版の日本語訳字幕は私の論評用に日記内に書き起こしてあるので、各記事読む際には参照して貰えると有難い。歌詞とはいえ全体の文脈は大事なんだが、逐一常に全文書き下ろす訳にもいかないので。


Find Love : https://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary/e/dfefe5a1c480fc002695ea329d6ac103

Face My Fears : https://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary/e/188f1c78547e8ded05f2b4dd61de260d

About Me : https://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary/e/92fa9fe3d969ea8d6b14dbd5700972ab


URLが長くて見づらいな! ハイパーリンクが効くかどうかそういや試したことなかったな。いっぺん試してみよっと。

Find Love
Face My Fears
About Me


今はどの端末でもURLのテキストなぞったらリンク先に飛んでくれるようになってそうなので、ハイパーリンクって必ずしも入り用ではないのだけどね。


歌詞の引用には気を遣う。皆さんも御存知かと思うが、各歌詞サイトでは容易にテキストがコピペできないようになっている。それでもスクショしてしまえば済むのだけどね。TwitterとかInstagramとかで投稿するときもそのまま画像だろうし。文字で描かれた歌詞もまた創作物として著作権者がある程度自由に使途を制限できるのだ。

とはいえ全く引用を禁止してしまうとそれはそれで各個の表現活動を抑制し過ぎてしまうので、それはそもそもの著作権法の目的に反する。そこで著作権法にはこんな条文がある。


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著作権法第32条第1項:
 [1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html


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一応当ブログではこの項目に準拠して歌詞という著作物を引用しているつもり。つもり、というのは「公正な慣行」というのに任意性、解釈の余地があるからだ。ここはもう著作権者の判断に任せるしかない。例えば歌詞をまるごと複写して閲覧数を稼ぎアフィリエイトに誘導する、なんて行為はグレーになってくるかなと思う。

それに配慮して当ブログは有料版を使い広告が表示されないようにしている。Amazonなどの商用サイトにリンクを貼る場合URLは最も情報量の少ないものにもしてる。なのでハイパーリンクはあんまりやらないほうがいいのかな。

まぁここらへんは、今までの慣例に沿う感じの使い方でいけば余り問題はないかと思うが、今回は少し気になる点がある。Netflixが地球規模の企業で、そこが独占的に今回の日本語訳字幕を配信しているからだ。この場合果たして日本の著作権法の慣例が通用するのかどうかというのは、正直言ってわからない。

肖像権の適用範囲の推移などをみても、こういった慣例というのは常に流動的で、昨日セーフだったものが今日アウトに、昨日アウトだったものが今日セーフになったりするものなので、毎日の活動としては手探りで進んでいくしかない。

とにかく、個々の表現の自由が最大限尊重され、法の局所的な拡大解釈が敷衍され過ぎないよう、いちブロガーとしては祈るしかないのが現状なのでありました。まぁ、読者の皆さんは、執筆者がそこらへんはちゃんと考えてるので、気にせず気楽に読んで下さいまし。

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