ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん…三島・柿田川水源 『泉の館』の、湧水ところてんと湧水アイスコーヒー

2013年06月28日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

湧水・名水は、人の精神を穏やかになだめる効果があるように思える。耳に優しいせせらぎの音、目に麗しい深藍色に湧き出す様、そしてあたりが柔らかな口あたりと喉越し。思えば水は命のみなもと、水源や流れの環境に身を置き味わえば、その根本を癒すことに繋がるのかも知れない。

富士山から溶岩下を流れ湧き出す水に恵まれた三島は、市街各所に水路や湧水池がある水の街である。やや郊外の柿田川水源は、幹線国道のすぐ脇とは思えない別天地。川床の砂を巻き上げながら湧き上がる様、川魚が悠々泳ぐ蒼い水をたたえた井戸など、朝の散歩から穏やかに再生されていくような気分である。

名水は飲んでよし、かつそばに豆腐に酒などの味覚も欠かせない。隣接の「泉の館」では伊豆名物のところてんをセレクトした。酸味が穏やかでクキクキ締まっており、軽快な歯ごたえがいい。食後のアイスコーヒーももちろん湧水仕立てで、苦味が穏やかに立ち上がる。

柿田川の湧水はまろやかな軟水で、適度なミネラル含有量のため人の体への相性がいいという。一説では溶岩流の地層から湧出するまで、数十年から百年近くかかっているとも。長寿の水は健康の水、心身ともにリフレッシュした三島で、元気に今年の折り返しのリスタートといこうか。(130628)


一献一品出合い酒@東海道線

2013年06月27日 | ◆一献一品出合い酒

グリーン車の展望良好な二階席にて、「それから」水割り×炭火焼タン塩。ちょっと近場の取材に泊まりがけで行くなら、旅気分を盛り上がるプチ贅沢な車内での、このコンビが似合う。

早めに乗り込み窓枠に品々を並べ、気ははやるが発車のベルが鳴ってからプシュッといくのが、汽車旅酒の基本流儀。西日に照る都心のビル群を眺め、芋水缶をチビチビやれば、心浮き立つ臭みに自身も夕陽に照らされたような赤ら顔に。ホロリとソフトな牛タンは、ペッパーにバジルが効いたスパイシーな肴で、プンプンの芋香への挑発的な好敵手。通勤路線を旅路に変えて、クラリ揺られる一期一会。

車窓に海が見える頃には、黄昏後の薄い闇が降り始める。終点まではあとわずか。近場ゆえに夜を見知らぬ街にて、続き酒をいずこにするか、そろそろ探し始めねば。一献一品の小さな酒宴、始まりも天下泰平なり。(130627)


一献一品出合い酒@有楽町

2013年06月27日 | ◆一献一品出合い酒

ガード下近くの個室居酒屋「さくらさくら」にて、プレミアムモルツジョッキ×変わりシューマイ。旅情報を真摯に発信してきた仲間の、新たな門出を祝うなら、同業の同志で気のおけなく飲みまくれる、このコンビが似合う。

時間通りに集まった面々だけで、まずは口開けの乾杯。じとじと雨の中で切れ味の立つプレモルが、湿度の高い中の渇きをスパッと潤してくれる。杯を重ねるにつれ集まる同志の盛り上がりとともに、掲げるジョッキの気勢も上がること。トッピング鮮やかなシューマイをつまみ、グッといけば酔うほどに、旅の感動をいかに伝えるかの熱弁が、贈る言葉へと転化する。飲み放題の送別の宴に、杯と惜別の念が重なりゆく一期一会。

宴たけなわ、との幹事の号令に、時間が経つのがあっという間なのに気付く。送り足りない気持ちの高鳴りは、当然のごとくガード下の名店へと昇華されていく夜。一献一品の送別の宴、しみじみ天下泰平なり。(130627)


一献一品出合い酒@家飲み

2013年06月25日 | ◆一献一品出合い酒

駅前での原稿書きを終えた夕方に、金麦×業務用大袋の冷凍唐揚げ。買い物買い置きの少ない日曜夕方の思いつき酒なら、冷蔵庫冷凍庫を捜索の結果行きついた、このコンビが似合う。

ボウルに好きなだけ盛ってチンした唐揚げは、衣がサクサクの竜田揚げ風。油がのっているからか急いで解凍したからか、ジットリジュワッと湿っぽい歯ごたえに、らしい感じがする。冷蔵庫の奥地で発掘された缶ビールは、手に取ると痛いほどの冷たさ。第三ならではのキンと鋭い飲み口に、休日の緩みがキリッと正されるよう。西日が沈み切る前のひととき、ありあわせな一期一会。

いつの間にか家内に息子もやってきて、唐揚げつまみにテレビをオン。木久扇師匠のとぼけに歌丸師匠の座布団回収、何十年も変わらぬ日曜日五時台の営みか。一献一品の小さな酒宴、今夕も天下泰平なり。(130625)


旅で出会ったローカルごはんbyFb…芦ノ牧温泉 『牛乳屋食堂』の、醤油ラーメン

2013年06月25日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 瀬戸内の島に住む自分の祖父母はかつて、「朝日堂」という屋号で菓子店を営んでいた。観光みやげにもなる饅頭やせんべいも製造。小さい頃に見た、作業場でじいちゃんが焼いたり蒸したりする様子を、今もよく覚えている、母や叔父が継がなかったため、今は店を閉めてしまったが、もし自分が将来起業することがあれば、せめて屋号は継承していけないかな、などと「朝日堂三代目」として考えたりする。

 先日南会津を訪れた際、芦ノ牧温泉に「牛乳屋」というラーメン屋があると聞いた。屋号の通り、もとは昭和初期からの牛乳屋で、会津線のお客で町が賑わうようになったので、ラーメン屋に業種替えしたという。それまで牛乳屋として知られているので、創業時の業種をそのまま屋号にしたとか。

 牛乳屋のラーメンと聞くと、青森で最近話題の味噌カレー牛乳ラーメンが浮かぶが、ここの看板は醤油味の会津ラーメン。近隣の中国人から教わっただけある、本格的中華そばだ。プルプルの中太麺をズッ、といけば、スープの煮干しの香りがパッと立つ。具はナルトにメンマにチャーシューと、シンプルでホッとする懐かしいラーメンである。

 このラーメン、もちろん牛乳は入っていないが、店の品書には件の青森名物のようなミルク味噌ラーメンのほか、ちゃんと瓶の牛乳も。単に屋号を継承するだけでなく、創業時の業種の名残を、今の商売にもとどめているようだ。自分も朝日堂三代目を名乗るには、菓子を作れる食情報発信者を目指さなければ?