湧水・名水は、人の精神を穏やかになだめる効果があるように思える。耳に優しいせせらぎの音、目に麗しい深藍色に湧き出す様、そしてあたりが柔らかな口あたりと喉越し。思えば水は命のみなもと、水源や流れの環境に身を置き味わえば、その根本を癒すことに繋がるのかも知れない。
富士山から溶岩下を流れ湧き出す水に恵まれた三島は、市街各所に水路や湧水池がある水の街である。やや郊外の柿田川水源は、幹線国道のすぐ脇とは思えない別天地。川床の砂を巻き上げながら湧き上がる様、川魚が悠々泳ぐ蒼い水をたたえた井戸など、朝の散歩から穏やかに再生されていくような気分である。
名水は飲んでよし、かつそばに豆腐に酒などの味覚も欠かせない。隣接の「泉の館」では伊豆名物のところてんをセレクトした。酸味が穏やかでクキクキ締まっており、軽快な歯ごたえがいい。食後のアイスコーヒーももちろん湧水仕立てで、苦味が穏やかに立ち上がる。
柿田川の湧水はまろやかな軟水で、適度なミネラル含有量のため人の体への相性がいいという。一説では溶岩流の地層から湧出するまで、数十年から百年近くかかっているとも。長寿の水は健康の水、心身ともにリフレッシュした三島で、元気に今年の折り返しのリスタートといこうか。(130628)