暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

凡てのひとたち

2011-09-06 | -2011
整列の号令が鳴る
まだ出番はない
真新しい靴の底
前から順にときのこえ
気持ちのよい快晴が続く
腐れる心が汁を垂らす
勝者のラッパは高笑い
乱れた世の生き生きとしたまなこ
出番は近づいてくる
仄かに香る火薬のにおい
紅い陽は白痴を土へ屠る
気高き識者に住み着く蛆
サイレンこそが至上の神だ
炎に灼かれ救いを得る
美しくもない手のひら
まなこのなんと美しいこと
号令は今一度
獣は笑いながら救われる
肉を食らえば体は蝕まれる
心はサイレンが癒してくれる
敗者の弦楽にとどろく嘲笑
出番はもはやすぐそばにあり
靴がその時を待っている
雨は弱きをさらけ出す
紙上に躍る撃鉄の合唱
手を合わせたなら弔いの歌
手のひら返せばまたも玉砕
白痴は日に日に数を増す
陽が白ければ夢から目覚める
いまやこここそ最前列
おだやかな識者の腐れた腹は
後ろに並ぶ群衆の息遣いは
ごうと飛び去る爆撃機
泣くのは母かこのわたしか
華麗に軍靴の音が鳴る
獣は笑いながら救われる
獣は踊りながら救われる
狂乱は人を白痴に変えた
動乱は人を椰子に変えた
よくやよくや燃えるだろう
行き着くところはみな同じ
更に更に首を絞めよう
なにもかもが救われる
救われぬのはこのわたし
靴さえ笑っていってしまった

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