暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

仮想現実

2011-11-12 | -2011
ホログラムの向こう側なんて
ありはしないのだけれど
笑っているように見えるあなた
私もまた こちら側で
笑っている
知覚することのできないラグを持って
あなたと私は共有している
(ように見える)
お互いの時間を
共有している、ように
見える
現実というものは残酷だと
陳腐なことを言うつもりはない
なんたってホログラムに透かした私は
(そしてあなたも)
甘美なほどに嘘つきだから
言わなくともわかっているはず
きれいなあなたもきっと
向こう側では犬のように
他人の喉笛に噛み付いて
貴重な血肉をすすっている
臭いまでは運ばないだろうと
あなたは安堵して笑っている
(そしてわたしも)
当たり前の罪業でも
やはり当たり前ではいられない
うろたえるふりをしながらも
私は向こう側で
同じように他人を捨てる
そして大丈夫だよ大丈夫だよと
にっこり笑って抱きしめよう
温度のないホログラムを抱きしめて
あなたを許して
(わたしさえも許して)
愉悦にまじった笑みをよこそう
それでもホログラムで透かした先
現実のわたしたちは
きっと現実を選ばないまま
きれいな手足で見つめ合う
それでいい
会わなければそれでいい
嘘でもいい
(妄想でも)
構いやしない

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