凪のような状態がここ数日続いています。
忙中閑ありと言いますが、そんな感じです。
こんなお仕事生活が続けばずいぶん楽になるだろうなと思います。
32年前就職した時、私を取り巻く環境は何も変わらないと思っていました。
しかし時の流れというのは残酷なもので、確実にわが国の在り様は変化しています。
就職して数年で、自社さ政権というものが生まれました。
犬猿の仲であったはずの自民党と社会党が手を取り合って政権の座に就いたのですから驚きました。
戦後初めて自衛隊がカンボジアに派遣されたのは私が新人の頃で、その時はわが国が再び軍国主義に戻ってしまうと馬鹿げたことを言っている識者がたくさんいました。
32年間、自衛隊は何度も外国に派遣され、それはもはや当たり前の光景になり、反対する人もごくわずかになりました。
もちろん、軍国主義に戻る気配はありません。
この世にあり得ないことは無いのだと思いました。
私が働く学術行政の世界では、小泉改革により、国立大学や国立研究所、国立博物館等が法人化され、私は国家公務員から団体職員へと身分が替わりました。
国は単式簿記を採用していますが、法人化に伴い複式簿記が導入され、護送船団と呼ばれた文部科学省が所管する機関を守ることは無くなり、国立の機関同士で、優秀な教職員、優秀な学生を奪い合い、補助金を取り合う醜い争いが生まれました。
私にとっては天地がひっくり返ったような大事件で、ほとんど全ての規則の改正や新しいシステムの導入などで、連日大残業が続きました。
この時、メンタルをやられる者が続出しました。
かく言う私もその一人です。
私がメンタルをやられることなんてあり得ないと思っていましたが、やっぱりあり得ないことなんて無いのです。
また、東京商船大学と東京水産大学が合併して東京海洋大学が生まれたり、東京医科歯科大学と東京工業大学が近いうちに合併することが発表されたりしました。
寄らば大樹の陰ということでしょうか。
生き残りをかけてなりふり構わず金と人を欲しがる姿は、同じ業界にいる私からみても、愚かとしか言いようがありません。
何も変わらない、という感覚を持ち続けていたのはなぜでしょうね。
人の世は変わっていくものだという無常観を、日本人なら自然と身に付けるものと思います。
しかしそれでも、自分とその周りは変わらないはず、とか、自然災害に会ったり犯罪被害者や加害者にはならないだろうという安全バイアスみたいなものが、私にもかかっていたのかもしれません。
これからも、社会は変わっていくでしょう。
生まれながらの情報化世代であるZ世代もそろそろ就職してきます。
私は今やっと、何もかもが変わるのだという冷厳な事実に気付きました。
気付くのが遅すぎた感がありますが、そんなことより、変化が非常なストレスと感じるようになってしまったことが残念です。