ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

みんな一緒?

2017年10月27日 | 社会・政治

  生まれつき髪の毛が茶色の女子高生が、学校側から黒く染めるように強要されたことを不服として、提訴したそうですね。

 女子高生は髪を黒く染めましたが、染めが不十分だとか、黒く染めるまで登校を認めない、とか言われ、不登校になったそうです。

 嫌な話です。

 これが例えば、白人とのハーフで顔立ちからして白人ぽく、なおかつ髪が茶色いとか、黒人とのハーフで縮れ毛とかだったら、どういう対応をしたのでしょうね。

 身体的特徴を理由とした差別であると言わざるを得ません。

 日本人と一口に言っても、まるで白人のように色が白く、髪の色が薄い人もいれば、ポリネシア人のような南方系の特徴を持った人もいます。
 日本人は人種的には雑種とも言え、多くの人の髪が黒いからと言って、茶色いものを黒くしろなんて、よく言えたものです。

 高校生に、白髪になったら染めろ、禿げたら植えろ、とでも言うのでしょうか。

 だいたい、髪を染めるのだって、お金がかかります。
 その費用を負担しろとでも言うのでしょうか。

 もっと言えば、髪を金髪に染めようが、青や紫に染めようが、そんなことはどうでもよろしい。
 それはその人の個性、あるいは目印です。

 私が最も忌み嫌う、みんな一緒、という幻想の強要でしょうねぇ。

 私はなにしろ、みんな、という言葉が嫌いです。

 みんなって、誰と誰のことですか。

 少なくとも私は、生まれてこの方、みんな、なんていう気色の悪いものに所属したことはありません。 
 
 就職してから26年、会議が長引いたとか、調書の締切当日とか、やむを得ざる残業を除き、定時で帰るようにしています。

 しかし私が勤める職場、古臭いというか、つい10年ほど前まで、付き合い残業が蔓延していました。

 上司が帰らないから残る、あるいは逆に、部下が残っているから残る、みたいな。
 上司と部下が牽制しあっていたのでは、永遠に帰れません。
 それならいっそ、24時間、毎日職場にいればよいものを。

 付き合い残業をしなかった私は、陰に陽に、圧力を受けました。

 「付き合い残業しろ」とは建て前上言えませんから、「周りを見ろ」とか、「仕事を増やす」とか言われましたね。
 私はそういうことを言われると、根が天邪鬼なので、どんなに仕事を増やされようが、意地になって定時で帰るように努めました。
 ていうか、そんなに増やせるわけがないのです。
 そんなことをしたら、他の人が暇になります。
 暇になっても付き合い残業するやつはするのですから、意味がありません。

 幼稚園児じゃあるまいし。
 〇〇ちゃんが帰らないなら僕も帰らない、みたいな。

 ちょっとおかしな管理職がいて、定時で帰るなら毎日その上司の部屋に出向き、挨拶しろ、と言ってきました。

 そこまで言えば、少なくともその管理職が帰るまでは待つだろう、と踏んだようです。

 お生憎様、私は言いつけどおり、毎日、怒りの形相でその上司の部屋へ挨拶に行って、定時で帰りました。

 それがすっかり時代は変わり、なるべく残業するな、ということになりました。
 しかしそれでも、なんとなく、遅くまで頑張っている奴は偉い、みたいな風潮が残っています。

 今の私の職場のような、わりと暇な機関で日常的に残業するというのは、よっぽど無能か、あるいは残業代が欲しいだけでしょう。

 幸いにして、様々な過労死事件の影響で、職場の文化も変化してきました。
 私は時代を先取りしていたのかもしれませんね。

 
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入らずの森

2017年10月27日 | 文学

 昨夜、「入らずの森」というホラー小説を読みました。

入らずの森 (祥伝社文庫)
宇佐美 まこと
祥伝社

 帯の、夜、一人で読んではいけない、という宣伝文句に興味を持ち、購入したものです。

 愛媛の山中の過疎の村。

 足を怪我してオリンピックへの出場を断念して中学教師になり、あえて田舎の学校を希望して赴任した青年の鬱屈。
 サラリーマン生活に嫌気がさし、有機農業へ憧れを抱いてIターンでやってきた初老の夫婦の葛藤。
 両親の離婚をきっかけに、東京から祖母の家に身を寄せた不良少女。
 そしてなぜか、埼玉県の病院で死の床に着く老婆と介護する娘。

 愛媛の寒村をめぐる様々な人々の物語が重層的に語られ、最後にはその関係性が判明する、という構成。

 横溝正史を思わせるような因習的な田舎に、わが国らしい、湿った感じが雰囲気を盛り上げます。

 森に住む邪悪な生き物。
 平家の落人伝説。
 この数十年、時折起こる残忍な事件。

 和製ホラーらしい道具立てが整っていて、きれいにまとまった小説です。

 ただし、決定的な欠陥があります。

 怖くないのです。

 ホラー小説としては完璧と言えるほどの道具立てと、かちっとまとまった物語が、かえって不気味さを損なわせています。

 何が原因なのかなと考えて、たぶん、整いすぎているのだろうな、と思いました。

 ホラーは、わけが分からなくてはもちろんダメですが、きれいにまとまっていると、余韻が残らなくて、浅く感じられますから。



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