インターネット検索の世界最大手のグーグル
「日本の2月の検索エンジンシェアは、前年の40%から48%に躍進し、ヤフー・ジャパンの43%を抜き首位に立った」とされている。
(グーグルの世界・地域別シェアはブログ末のサンケイ・ビジネスにある)
そのグーグルが中国から撤退した。
インターネットから離れられない人やブログなどをやっている人は、関心が高い問題。
そこで、状況認識のために、グーグルで検索した。
例えば次。
「中国のネット利用者は今後、当局の検閲で不適切とされたコンテンツが除外される同国最大手、百度(バイドゥ)の検索エンジンを使わざるを得なくなる。」という。
中国政府の反論は「法にのっとってインターネット管理をしている」。
ともかく、
「グーグルに追随し、中国政府に表だって抵抗しようとした米企業は今のところない・・ただ、中国の強硬姿勢があらわになったことで、企業イメージを曲げずに中国とぶつかる事例が今後出てくる可能性はある」という。
「GDPが今年にも日本を抜くと言われる中国には、グーグルやネットを通じて得られる技術や情報は極めて重要なだが、中国は自らの手で得られる情報や技術を限定してしまった」
「米国が中国に影響力を及ぼす余地が小さくなっていることも浮き彫りにした」
「米グーグルは、香港版サイトを通して自主検閲のない中国本土向けサービスを始めたが、今後、香港経由のサービスの停止も予想され、効力は短命に終わる。グーグルはアジア事業の活路を日本などに求めるものとみられている。」
これらの面白いと思える報道を記録した。
一番面白かったのは、「SankeiBiz,サンケイビズ」の今朝5時発の2本の記事。
「検閲か自由か」という観点であり、グーグルと中国の争いではあるが、国家戦略と企業展開の争いでもある。
(関連) 2008年9月4日ブログ
⇒ ◆グーグルの新しい検索システム/9月2日から公開/使ってみたら快適そう
2009年1月18日ブログ
⇒ ◆ストリートビュー/グーグル・google社のプライバシー侵害問題/削除可とはいえ/ユーチューブ
2009年10月18日ブログ
⇒ ◆Googleストリートビュー、国内初のエリア拡大 名古屋や沖縄も/岐阜の一部も
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●グーグル擁護、掲示板から削除 ネット統制緩めぬ中国
朝日 2010年3月24日
米インターネット検索最大手のグーグルが、中国本土での検索事業から撤退することとなった。「ネットの自由」を掲げる米国と、「ネット管理は当然」とする中国。双方の立場が折り合う余地はないようにみえる。
■米の批判に反発、協議決裂
中国政府の反応は素早かった。グーグルが中国からの撤退を発表して2時間余りが過ぎた23日午前5時過ぎ、国務院新聞弁公室が「グーグルの道理のない非難とやり方に不満と怒りを表明する」との談話を発表。新華社通信が「米国による、企業活動の政治問題化に反対する」という評論記事を配信した。
中国政府関係者は「前日の22日までにグーグル側の動きはつかんでおり、周到な準備をしていた」と明かす。
グーグルが今年1月、中国側の要請による自己検閲を続けることはできないなどと表明した当初、中国政府は冷静な対応に努めた。しかし、米国政府が批判を強めると反発。中国当局者とグーグルとの協議は決裂した。
中国共産党中央宣伝部は23日朝、各メディア幹部に「グーグル側を批判する評論記事を掲載するように」との内部通達を出した。テレビやインターネットのニュースは新華社の記事や国務院新聞弁公室の声明を繰り返し伝えた。
ネット掲示板上のグーグル擁護の書き込みはほとんど削除され、「中国人の尊厳を傷つけたグーグルは去れ」「グーグルを使わないようにしよう」と非難一色になった。
グーグルは、中国版サイトにアクセスすると香港版に転送される措置をとった。しかし、中国からのネット利用では香港版でも天安門事件関連の画像などを見られず、香港版サイト自体にもつながりにくくなった。当局が規制を強めた可能性がある。
中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の会見で「中国政府は法にのっとってインターネット管理をしており、この立場がゆらぐことはありえない」と述べ、ネット統制の手を緩めないことを強調した。
北京にあるグーグル中国の本社では23日午前9時から職員約200人が緊急招集された。事業縮小の説明だったとみられる。ある従業員の男性は「中国政府に対して何も言うことはない。ただ、転職を考えなければならないかもしれない」と不安げに話した。
グーグル中国の本社ビル前には、撤退を惜しんで花を手向ける市民が次々と訪れた。20代の男性は語った。「中国だけが世界の言論から取り残されてしまう。これからもグーグルを支持する」
■オバマ政権、WTOへの提訴模索
「検閲の撤廃という約束をどうしたら果たせるのか模索してきたが、難しかった」
グーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者は22日、中国撤退を表明した声明で、こう説明した。
グーグルにとっては今後の成長に水を差しかねない決断だ。世界最大手とはいえ、中国では地元の「バイドゥ(百度)」に検索シェアで大きく離されていた。裏を返せば、中国は成長の伸びしろが大きい市場のはずだった。だからこそグーグルは、検索事業以外では中国にとどまることを強調した。
グーグルに追随し、中国政府に表だって抵抗しようとした米企業は今のところない。中国市場の魅力を重視しているためとみられる。ただ、中国の強硬姿勢があらわになったことで、企業イメージを曲げずに中国とぶつかる事例が今後出てくる可能性はある。
●米中関係が緊迫 人民元レートで制裁・報復、グーグル撤退でさらに
サンケイ 2010.3.23 17:59
【ワシントン=古森義久】米中関係の多様な領域のなかでも協調が強かった経済面で両国の対立が表面に出て、険悪な様相を呈してきた。人民元の通貨レートをめぐり米国議会が中国のへの制裁も辞さない姿勢をみせたのに対し、中国の商務相が報復を言明したことは米側でもとくに波紋を広げた。グーグルの中国本土撤退の動きもさらに事態を悪化させている。
中国の陳徳銘商務相は米紙ワシントン・ポストとの会見で「米国が中国の通貨レートでの不当な要求をぶつけ、制裁措置などを取れば、中国も報復し、米国が結局は苦しむだろう」と言明した。この言明が22日にワシントンで流れ、議会や政府関連機関の関係者の不満や懸念を高めた。
米国議会では3月中旬、下院議員約130人が米財務長官に書簡を出し、中国当局が人民元レートを操作して不当に低く設定していると述べ、財務省が4月15日の定例の「通貨レート操作報告」で中国を明記して非難することを求めた。上院でも民主党有力政治家のチャールズ・シューマー議員らが中国に人民元の切り上げを求め、実行しなければ、制裁として中国製品の米国への輸入に特別関税をかけることなどを盛り込んだ法案をすでに提出した。
米中間の経済や貿易の摩擦では中国と実際のビジネスをする米国企業代表たちが一貫して緩衝役となってきた。中国側の主張に理解を示し、米国の政府や議会の強硬路線を抑えるという動きも多かったのだが、全米商工会議所のマイロン・ブリリアント副会頭は21日、「中国側はもう米国実業界に抑制役を期待することはできない」と述べ、米側の議会や政府の中国に対する強硬な経済、貿易の措置を止めたり、緩めたりする役割を果たせなくなった、と言明した。同副会長はその理由として議会の広範な硬化と中国側の外国企業差別の政策をあげた。
事実、在中国の米国商工会は会員企業のアンケート調査として、「外国企業差別や一貫しない法的処遇のために中国ではもう自社は歓迎されないと強く感じる」と答えた企業が全体の38%に達したという結果を3月中旬、発表した。
中国政府はこうした米中両国間の経済・貿易関係の険悪化に対応して鍾山商務次官を24日からワシントンに派遣する。鍾次官はオバマ政権の当局者や議会の代表と会談し米中間の対立減少に努めるというが、現状は極めて厳しいといえる。
●米グーグル:中国本土撤退 米中、「妥協案」で事態悪化を回避
毎日新聞 2010年3月24日
【ワシントン草野和彦】米グーグルが22日、中国本土からの検索事業撤退を発表した問題について、オバマ米政権は、「見解の相違があっても(米中関係は)耐えられる」(国家安全保障会議のハマー報道官)と位置付け、事態沈静化の方向で決着を図った。ただ、撤退は「インターネットの自由化」が解決困難な米中の新たな懸案として定着したことを意味するだけでなく、米国が中国に影響力を及ぼす余地が小さくなっていることも浮き彫りにした。
米ホワイトハウスは「グーグルと中国政府が合意に達しなかったことに失望した」とする声明を発表したが、それ以上の非難は慎重に避けた。中国外務省の秦剛副報道局長も23日、「誰かが政治問題化しない限り(米中関係に)影響を与えるとは思わない」と述べ、事態悪化を避ける方向で米国と“足並み”をそろえている。
米中関係の今後の焦点は、人民元を巡り、米財務省が中国を為替操作国に認定するかどうかだ。グーグル問題の決着の図り方は、認定期限の4月15日を前に、オバマ政権が少しでも摩擦の火種を少なくしようとした結果、と見ることもできる。
過去の米政権は、台湾やチベットなど相いれない問題を内包しながらも、中国に対する関与政策をとり、国際社会に取り込もうとしてきた。オバマ政権の政策もその延長線にあるが、以前と大きく異なっているのは、経済、軍事力ともに増した中国の存在感だ。
米外交問題評議会のフェイゲンバウム上級研究員は「中国はかつてないほど、米国の政策を押し返す力を身につけている」と指摘する。グーグル問題はその一例とも言える。
米国内の対中強硬論は、「中国脅威論」の裏返しでもある。先月の米紙ワシントン・ポストなどの世論調査は、21世紀は「米国の世紀」か「中国の世紀」かを尋ねた。「中国」との回答は経済分野で41%、国際問題で43%。それぞれ40%と38%の米国を上回った。
一方、オバマ政権は「インターネットの自由化」を外交政策として推進している。財務省は今月、経済制裁を科しているイラン、スーダン、キューバの3国に対し、インターネットサービス関連のソフトの輸出を許可すると発表した。国民の情報発信を支援するのが目的だ。こうしたインターネットを外交の道具とする政策に一定の限界があることも今回の撤退は示している。
●米グーグル:中国本土撤退 国民の利益犠牲--興梠一郎・神田外語大教授の話
毎日新聞 2010年3月24日
◇興梠(こうろぎ)一郎・神田外語大教授(現代中国論)の話
GDPが今年にも日本を抜くと言われる中国がさらに経済発展し、国際基準に近づくためには、グーグルやネットを通じて得られる技術や情報は極めて重要なものだ。しかし「(中国本土からの)撤退」という結果になったことは、中国が自らの手で得られる情報や技術を限定してしまったことを意味する。
共産党の体制維持のため、多くの国民の利益を損ねることが懸念される。「情報鎖国」のような状態を続けているようでは、金融分野などの信頼が揺らぐだろうし、結果的には中国の発展を自ら阻むことにもなりかねない。
・・・・・・・
●中国からのグーグル、香港は制限も検閲もせず
2010年3月23日19時39分 読売
【香港=槙野健】米グーグル社が中国での検索事業から撤退し、検閲抜きの検索サービスを香港経由で開始したことについて、香港政府の広報担当者は23日、中国から香港のサイトへのアクセスを制限しないとの声明を出した。
声明は「香港政府は情報の自由と情報の自由な伝達を十分に尊重する」と強調、サイトの検閲もしないとしている。
●グーグル、実利より大儀 検閲拒否で中国撤退、日本に活路
SankeiBiz,サンケイビズ 2010.3.24 05:00
インターネット検索最大手の米グーグルは23日、中国本土からのサービスから撤退し、香港版サイトを通して自主検閲のない中国本土向けサービスを始めたことを明らかにした。しかし今後、香港経由のサービスの停止も予想され、グーグルはアジア事業の活路を日本などに求めるものとみられている。
百度、大喜び
グーグルは利用者を香港版サイトに自動転送することで、本土での存在感を維持しながら検閲関連法への対応方法を模索したい考えだ。だが、中国政府はすでに同社の主要サイト「Google.com」へのアクセスを遮断。香港版も阻止する可能性が高いため、ブロードポイント・アムテック(サンフランシスコ)のアナリスト、ベン・シャクター氏は今回の措置の効力は短命に終わるとみている。
グーグルは今回の決断で世界最大のネット利用者を擁する中国での足がかりを失った。JPモルガン・チェースによれば中国はグーグルにとって今年の売り上げが6億ドル(約540億円)に上る最大市場だった。
中国のネット利用者は今後、当局の検閲で不適切とされたコンテンツが除外される同国最大手、百度(バイドゥ)の検索エンジンを使わざるを得なくなる。調査会社アナリシス・インターナショナル(北京)によればグーグルの2009年10~12月期のシェアは前四半期比5ポイント高い36%と、百度のシェア(58.6%)に迫っていた。
DGMアジアでネット広告を担当するジェームズ・ホーキング取締役は、百度のチャンスは中国以外でも拡大するとみている。百度が中国本土と海外との架け橋としての役割を果たせるのに対し、グーグルにはそれができないからだ。同取締役は、「大手広告主、たとえばアップル、デル、ヒューレット・パッカード(HP)、ソニーにしてみれば、彼らの最大の市場は中国だ。そこにグーグルがいないとすれば、別の手を考えなければならない。おそらく百度は大喜びだ」と述べた。
対抗姿勢に評価
この半面、検閲制度に対抗する姿勢を貫いたことで、他のアジア諸国でグーグルに対する評価は高まるとみられている。
調査会社ガートナーのアナリスト、ホイット・アンドルーズ氏は「グーグルは『われわれは決して検閲をしない。そのために巨大な利益をあきらめた』とアピールできる。こうした姿勢に付加価値を感じる利用者がいてもおかしくない」と述べた。
米エドワード・ジョーンズ・アンド・コーポレーションのアナリスト、アンディ・ミードラー氏は「グーグルには成長市場がある。こうした地域の潜在力はしばしば予想を上回るので、グーグルが投資機会を逃さないことを望む」と述べ、同社株の購入を推奨した。
グーグルの利用者獲得の努力は、中国以外のアジア諸国で効果を表している。調査会社コムスコアによれば、グーグルのシェアは75%を超える英独仏などに比べアジアでの成長余地は大きい。日本の2月の検索エンジンシェアは、グーグルが前年の40%から48%に躍進し、ヤフー・ジャパンの43%を抜き首位に立った。
カウフマン・ブラザーズのアナリスト、アーロン・ケスラー氏(サンフランシスコ在勤)は「明らかに日本は大市場で、グーグルはシェアを伸ばしつつある。日本はグーグルのアジア戦略の鍵を握る市場だ」と述べた。(ブルームバーグ Brian Womack、Mary Childs)
●グーグル撤退 事業環境悪化で「脱中国」 米企業、リスク再認識
SankeiBiz,サンケイビズ 2010.3.24 05:00
米インターネット検索大手グーグルの中国撤退は、米企業に中国偏重のリスクを再認識させることになった。米国の経営者は中国当局による事業規制リスクを象徴するグーグル問題以外でも中国での事業環境が悪化していると感じており、グーグル問題を機に中国以外のアジア市場に目を向けることになりそうだ。
2006~09年に米国通商代表を務めたスーザン・シュワブ氏は先週、香港でインタビューに応じ、「アジアで中国市場が最大のターゲットであることに変わりはないが、多くの米企業が別の選択肢を模索している」と述べた。中国を除くアジアの新興国の人口は20億人。経済成長率で中国との差を縮めつつある。
各社に事業多角化を迫る要因の一つが、中国におけるコストの上昇だ。衣料大手VFコーポレーションのトマス・ネルソン副社長は、「当社はソーシング戦略や製造供給元を、積極的に中国以外に移している」と述べた。同社はアウトドア衣料ブランドの「ザ・ノース・フェイス」、ジーンズの「リー」、「ラングラー」などで知られる。ネルソン副社長によれば、同社の20億ドルのグローバルソーシングのうち、インドネシアの占める割合は8%で、過去3年間で2倍に増えているという。
中国では他にも、輸出業者に対する戻し減税の縮小、インフレの加速、労働法の厳格化、沿岸部の産業都市の労働力不足、将来的な人民元の上昇など、輸出産業のコスト増を招く要素が多い。これらがすべて、企業の目を中国以外に向けさせる原因となっている。
・・・(ブルームバーグ Frederik Balfour)
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