●経済キーワード【ワークシェアリング】 経済キーワード から抜粋 ↓
1ページ 【ワークシェアリングの意味と種類】
その名の通り、仕事(ワーク)を分け合う(シェア)ということです。通常、仕事というと、正社員は平日9時から5時まで働く人がほとんどですが、この時間を変えようというのです。特に、日本では、現在の不況下での失業対策として期待されています。つまり、一人あたりの労働時間を短縮し、多くの人間で仕事を分け合うことにより、失業を解消しようというのです。
今までは、不況になって人件費を削減しようというと、リストラによって人員削減をしてきましたが、人員削減をせずに、各従業員の仕事を減らすことによって賃金を削減すれば、労務費の削減になるという発想です。
すでに、昨年12月に、三洋電機がワーク・シェアリングを導入することで会社と労働組合が合意したと報じられました。また、政府(厚生労働省)、経営者団体(日経連)、労働組合組織(連合)が、ワーク・シェアリングの具体策の検討しています。
日本では、不況の際の失業対策と思われがちなこのワーク・シェアリングですが、それ以外にも目的に応じていくつかの種類があるといわれています。
1.雇用維持型(緊急避難型)
不況の際の失業対策で行なわれるものです。現在、日本でも非常に注目されているものです。
2.雇用維持型(中高年雇用維持型)
定年後の雇用対策として行なわれるものです。
3.雇用創出型
法律で労働時間短縮を義務付けて、全国的に雇用人数を増加させるものです。
4.多様就業対応型
フルタイム以外にも、いろいろなパターンの就業ができるようにするものです。これにより、子育てをしながらでも仕事をしやすくなります。
なお、海外では、欧米で導入が進んでいますが、中でも、オランダはワークシェアリングに最も成功した国と言われています。現在では失業率は1-2%という脅威の実績です。
では、このワークシェアリングは、日本でも成功するのでしょうか?まず、欧米には、就業時間という観念が明確です。ですから、労働時間を分け合うということができます。しかし、日本のように、サービス残業が日常茶飯事に起こる社会では、労働時間の観念が明確ではないので、まずは、分け合う労働時間を明確にすることから始める必要があります。
また、オランダには、フルタイムの社員とパートタイムの社員の差別を禁止する法律があります。このようにパートタイムでも待遇が悪くならないようなシステムを作らないと、なかなかパートタイムになろうという人は現れません。
他にも、ワークシェアリングを行なうためには、業務領域が明確に決まっている必要がありますが、日本では業務領域が曖昧であることが多く、これも問題となりそうです。
以上のように考えると、日本の社会でワークシェアリングが根付くには解決すべき問題が多いように思われます。政府(厚生労働省)、経営者団体(日経連)、労働組合組織(連合)の検討していますが、なかなか、意見はまとまっていません。 |