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てらまち・ねっと



 先日2月24日、最高裁大法廷は沖縄の宗教施設に関して、自治体が使用料を免除して請求しないことは違法であるとの判決を出した。
 ★≪政教分離を巡る最高裁の違憲判断は、愛媛県が神社に玉串料を支払った1997年の「愛媛玉串料訴訟」、北海道砂川市が神社に市有地を無償提供した2010年の「空知太(そらちぶと)神社訴訟」に続き3例目。≫ (沖縄タイムス)。

 最高裁大法廷でこのような判決が出ることは予想されていたので、事前に最高裁で情報を見ておいた。
 今回、最高裁のWEBで一番驚いたのは、「傍聴人の皆様へ 最高裁判所広報課」というページがあって、同事件についての解説が簡潔に記されていたこと。今まで私が気が付かなかったのかもしれないけど、そうでないとしたら、最近、最高裁がこのように改めた、ということなのだろう。変わってきたことは良いことだ。

 そこの最後には、今回の訴訟の争点が示されている。
  ◇ 最高裁における争点は,①上記の免除が,政教分離規定に違反し,違憲無効といえるか否か,
②上記の免除が違憲無効である場合,被告が被告補助参加人に対して本件施設の敷地の使用料の全額を請求しないことが違法であるか否かである。


 さて、訴訟の経過。
 一審那覇地裁は18年4月、政教分離に反して違憲と認定、市は全額徴収する義務があるとしたが、二審福岡高裁那覇支部は使用料は市の裁量で減額できると変更していた。

 今回の、最高裁判決の結論から私の目線で列記すると次。
◎霊をあがめ奉る宗教的意義のある儀式で、施設には宗教性がある。
◎市が公園使用料を免除していることは政教分離を定めた憲法に違反する。
◎客観的に存在する使用料に係る債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,地方公共団体の長にその行使又は不行使について裁量はない。第1審被告において,本件使用料に係る債権の行使又は不行使についての裁量があるとはいえず,その全額を請求しないことは違法というほかない。

 すっきりとしている。
 ということで、幾つかの報道と、当該最高裁判決にリンクし、抜粋しておく。

 なお、昨日2月26日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,144 訪問者数706」。

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Google 久米至聖廟(くめしせいびょう)

●傍聴人の皆様へ 最高裁判所広報課
最高裁判所開廷期日情報

 (今は、順に入れ替わっているけれど、しばらく前までは、掲載されていたのは次。その時のアドレスを付けておくけど、今は消されている)

★傍聴人の皆様へ 最高裁判所広報課
  ≪令和3年2月24日 午後3時00分 令和元年(行ツ) 第222号 令和元年(行ヒ) 第262号 固定資産税等課税免除措置取消(住民訴訟)
 事案の概要(PDF:123KB)PDFファイル
固定資産税等課税免除措置取消(住民訴訟)請求事件について
本件は,那覇市の住民である原告が,被告那覇市長を相手に,同市の設置,管理する都市公園内に儒教の祖である孔子等を祀った廟(以下「本件施設」という。)を設置することを被告補助参加人に許可した上で,その敷地の使用料の全額を免除した当時の市長の行為は,政教分離原則に基づく憲法の諸規定(政教分離規定。憲法20条1項後段,3項,89条。)に違反し,無効であり,平成26年4月1日から同年7月24日までの間の使用料181万7063円を請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,上記怠る事実の違法確認を求める事案である。

◇ 原判決は,本件施設が宗教的性格を有する施設であること,本件施設の敷地の使用料の全額を免除した当時の市長の行為は,その直接の効果として,被告補助参加人等による本件施設を利用した宗教的活動を容易にするものであること,上記行為は,一般人の目から見て,那覇市が被告補助参加人の活動に係る特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないことなどの事情を社会通念に照らして総合的に判断し,上記行為は,那覇市と本件施設との関わり合いが,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものであるとして,政教分離規定に違反し,違憲無効であるとした。その上で,原判決は,条例等において,被告は都市公園の使用料の一部を免除することができる旨規定されており,本件施設の敷地の使用料の全額を徴収しないことが直ちに違法であるということはできないとして,具体的金額を明示することなく,被告が被告補助参加人に対して平成26年4月1日から同年7月24日までの間の使用料を請求しないことが違法であることを確認することを求める限度で原告の請求を一部認容し,その余の請求を棄却した。

◇ 最高裁における争点は,①上記の免除が,政教分離規定に違反し,違憲無効といえるか否か,
②上記の免除が違憲無効である場合,被告が被告補助参加人に対して本件施設の敷地の使用料の全額を請求しないことが違法であるか否かである。

●政教分離訴訟、判決は2月24日 「孔子廟」敷地提供 最高裁
     時事 1/27
那覇市が管理する公園の敷地を儒教の祖を祭る「孔子廟」として社団法人に無償提供したことが、憲法の政教分離原則に違反するかが争われた住民訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は27日、判決期日を2月24日に指定した。
 憲法判断が示される見通し。
 那覇市は2014年、松山公園内への孔子廟設置を許可し、土地使用料も全額免除。
一審那覇地裁、二審福岡高裁那覇支部はいずれも、市の免除措置を違憲と判断していた。 

●沖縄 「孔子廟」訴訟 最高裁大法廷で弁論 開かれる
       NHK 2021年1月20日
那覇市が儒教の祖の孔子などがまつられている施設の、公園使用料を免除していることをめぐる裁判で、最高裁判所大法廷で弁論が開かれ、訴えた住民側が「政教分離を定めた憲法に違反する」と主張したのに対し、市側は「歴史文化を伝える公共施設だ」と反論しました。

那覇市の公園にある孔子などをまつった「孔子廟」は、琉球王国時代に中国からわたってきた人たちの子孫らでつくる団体が平成25年に造り、市から公園の使用料が全額免除されています。

那覇市の住民が政教分離を定めた憲法に違反すると訴えたのに対し、1審と2審は「宗教的施設とみるべきで、憲法に違反する」として、公園使用料の免除を違法と判断しました。

 双方が上告して最高裁判所で15人の裁判官全員による大法廷で弁論が開かれ、住民側は「宗教行事も行われ、宗教的な性格が濃厚なのは明らかであり、政教分離に反する」と主張しました。

一方、市側は「沖縄の歴史や文化を伝えるほか、観光資源としても活用され、公共的な施設だ」と反論しました。

判決は年度内にも言い渡される見通しです

●孔子まつる那覇の施設 使用料免除は憲法違反 最高裁大法廷
       NHK 2021年2月24日 19時05分
儒教の祖の孔子などがまつられた施設の公園使用料を那覇市が免除していることについて、最高裁判所大法廷は、政教分離を定めた憲法に違反すると判断しました。

那覇市の公園にある孔子などをまつった「孔子廟」は、琉球王国時代に中国から渡ってきた人たちの子孫らの団体が平成25年に造り、市が公園の使用料を全額免除していて、住民が政教分離を定めた憲法に違反すると訴えました。

市側は「沖縄の歴史や文化を伝え、観光にも活用される公共的な施設だ」と主張しましたが、1審と2審は「宗教的施設とみるべきで、憲法に違反する」と判断していました。

24日の判決で、最高裁判所大法廷の大谷直人裁判長は「この施設で行われる祭礼は、孔子を歴史上の偉大な人物として顕彰するだけでなく、霊をあがめ奉る宗教的意義のある儀式で、施設には宗教性がある。市が特定の宗教に対して特別な便益を提供していると評価されてもやむをえない」と指摘しました。

そのうえで市が公園使用料を免除していることは政教分離を定めた憲法に違反すると判断しました


原告側「完全勝訴 政教分離の基準示し画期的」
原告の金城照子さんは那覇市で会見を開き、「非常に長い裁判だったが勝訴して、感激している」と述べました。
また、原告側の岩原義則弁護士は「最高裁の判決は完全勝訴だ。政教分離の基準を示したことは画期的だ」と述べました。

原告弁護団「“公共性”どうあるべきか考えさせられる判決」
原告の弁護団は東京千代田区で会見を開き、徳永信一弁護士は「那覇市は観光資源として広く知ってもらおうと公共性のある施設にしようとしたが、失敗したと言える。さまざまな文化が多様化する時代に、公共性とはどうあるべきなのかを考えさせられる判決だった」と話しました。

那覇市 城間市長「個人的には違和感」
那覇市の城間幹子市長は、記者会見を開き「個人的には違和感がある。判決文が届けばしっかり読み込み、那覇市として改善するべき点がどこにあるのか検討していきたい」と述べました。

●土地の無償提供は「違憲」 那覇市が全面敗訴 久米至聖廟巡り最高裁
    沖縄 2021年2月25日 06:50
 沖縄県那覇市管理の松山公園にある儒教施設の久米至聖廟(くめしせいびょう)(孔子廟)に市が土地を無償提供しているのは憲法の定める政教分離に違反するかが問われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、無償提供は違憲と認定した。
 土地使用料は減額できるとした二審判決を一部破棄し、市に全額請求するよう求めた。住民側の完全勝訴となり、政教分離に違反した市の説明責任が問われる。

 政教分離を巡る最高裁の違憲判断は、愛媛県が神社に玉串料を支払った1997年の「愛媛玉串料訴訟」、北海道砂川市が神社に市有地を無償提供した2010年の「空知太(そらちぶと)神社訴訟」に続き3例目。住民側は久米至聖廟の撤去や土地の明け渡しなどを求める別訴訟も那覇地裁に起こしており、今後の審理に影響を与える可能性もある。

 判決では、同施設の観光資源としての意義や歴史的価値をもって無償提供する合理性はないと指摘。「市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ない」と判断した。年約570万円の使用料相当額を免除された久米崇聖会の利益は「相当に大きい」とした。

 裁判官15人のうち14人の多数意見。1人は同施設について「宗教性がないか希薄化している」とし、違憲判断は「政教分離規定を曖昧な形で過度に拡張するもの」と反対意見を述べた。

 判決を受け、原告で「住みよい那覇市をつくる会」の金城テル代表(92)は那覇市内で会見し「市は判決を受け止め、政教分離の問題を解決してほしい」と要望。那覇市の城間幹子市長は「判決内容を精査し、改善点を検討したい」と述べるにとどめた。

 一審那覇地裁は18年4月、政教分離に反して違憲と認定、市は全額徴収する義務があるとしたが、二審福岡高裁那覇支部は使用料は市の裁量で減額できると変更していた。

[ことば]孔子廟(こうしびょう) 中国・春秋時代の思想家で、儒教の祖となった孔子を祭る建物。孔子の死後、山東省・曲阜にあった旧居を廟に改築したのが始まりで、中国各地やアジアに広がった。曲阜の孔子廟は、孔子の墓所などと共に世界文化遺産に登録されている。日本では古代から教育機関に設けられ、江戸時代に儒教から発展した「朱子学」が幕府公認の官学になってからは、各地の藩校にも数多く建設された。

最高裁判所判例集
 事件番号 令和1(行ツ)222
事件名  固定資産税等課税免除措置取消(住民訴訟)請求事件
裁判年月日  令和3年2月24日
法廷名  最高裁判所大法廷
原審裁判所名  福岡高等裁判所  那覇支部
原審事件番号  平成30(行コ)5
原審裁判年月日  平成31年4月18日
判示事項   市長が都市公園内の国公有地上に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料を全額免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例

 全文
令和元年(行ツ)第222号,同年(行ヒ)第262号
固定資産税等課税免除措置取消(住民訴訟)請求事件
令和3年2月24日 大法廷判決

主 文
1 参加人の上告を棄却する。
2 原判決中第1審原告敗訴部分を破棄する。
3 前項の部分につき,第1審被告の控訴を却下し,参
加人の控訴を棄却する。
4 控訴費用及び上告費用は第1審被告の負担とする。
理 由
第1 事案の概要
1 本件は,・・・(略)・・・

2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。・・・(略)・・・

第2 令和元年(行ツ)第222号上告代理人大城浩ほかの上告理由及び同上告
補助参加代理人当山尚幸,同大島優樹の上告理由について
1 原審は,本件免除が,・・・(略)・・・

2 憲法は,20条1項後段,3項,89条において,いわゆる政教分離の原則
・・・(略)・・・そうすると,当該免除が,前
記諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当
とされる限度を超えて,政教分離規定に違反するか否かを判断するに当たっては,
当該施設の性格,当該免除をすることとした経緯,当該免除に伴う当該国公有地の
無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念
に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。
・・・(略)・・・

3(1) 前記事実関係等によれば,本件施設は,本件公園の他の部分から仕切ら
れた区域内に一体として設置されているところ,大成殿は,本件施設の本殿と位置
付けられており,その内部の正面には孔子の像及び神位が,その左右には四配の神
位がそれぞれ配置され,家族繁栄,学業成就,試験合格等を祈願する多くの人々に
よる参拝を受けているほか,大成殿の香炉灰が封入された「学業成就(祈願)カー
ド」が本件施設で販売されていたこともあったというのである。そうすると,本件
施設は,その外観等に照らして,神体又は本尊に対する参拝を受け入れる社寺との
類似性があるということができる。

本件施設で行われる釋奠祭禮は,その内容が供物を並べて孔子の霊を迎え,上
香,祝文奉読等をした後にこれを送り返すというものであることに鑑みると,思想
家である孔子を歴史上の偉大な人物として顕彰するにとどまらず,その霊の存在を
前提として,これを崇め奉るという宗教的意義を有する儀式というほかない。ま
た,参加人は釋奠祭禮の観光ショー化等を許容しない姿勢を示しており,釋奠祭禮
が主に観光振興等の世俗的な目的に基づいて行われているなどの事情もうかがわれ
ない。そして,参加人の説明によれば,至聖門の中央の扉は,孔子の霊を迎えるた
めに1年に1度,釋奠祭禮の日にのみ開かれるものであり,孔子の霊は,御庭空間
の中央を大成殿に向かって直線的に伸びる御路を進み,大成殿の正面階段の中央部
分に設けられた石龍陛を越えて大成殿へ上るというのであるから,本件施設の建物
等は,上記のような宗教的意義を有する儀式である釋奠祭禮を実施するという目的
に従って配置されたものということができる。

また,当初の至聖廟等は,少なくとも明治時代以降,社寺と同様の取扱いを受け
ていたほか,旧至聖廟等は,道教の神等を祀る天尊廟及び航海安全の守護神を祀る
天妃宮と同じ敷地内にあり,参加人はこれらを一体として維持管理し,多くの参拝
者を受け入れていたことがうかがわれる。旧至聖廟等は当初の至聖廟等を再建した
ものと位置付けられ,本件施設はその旧至聖廟等を移転したものと位置付けられて
いること等に照らせば,本件施設は当初の至聖廟等及び旧至聖廟等の宗教性を引き
継ぐものということができる。

以上によれば,本件施設については,一体としてその宗教性を肯定することがで
きることはもとより,その程度も軽微とはいえない。

(2) 本件免除がされた経緯は,市が,本件施設の観光資源等としての意義に着
目し,又はかつて琉球王国の繁栄を支えた久米三十六姓が居住し,当初の至聖廟等
があった久米地域に本件施設が所在すること等をもって本件施設の歴史的価値が認
められるとして,その敷地の使用料(公園使用料)を免除することとしたというも
のであったことがうかがわれる。

しかしながら,市は,本件公園の用地として,新たに国から国有地を購入し,又
は借り受けたものであるところ,参加人は自己の所有する土地上に旧至聖廟等を有
していた上,本件土地利用計画案においては,本件委員会等で至聖廟の宗教性を問
題視する意見があったこと等を踏まえて,大成殿を建設する予定の敷地につき参加
人の所有する土地との換地をするなどして,大成殿を私有地内に配置することが考
えられる旨の整理がされていたというのである。また,本件施設は,当初の至聖廟
等とは異なる場所に平成25年に新築されたものであって,当初の至聖廟等を復元
したものであることはうかがわれず,法令上の文化財としての取扱いを受けている
などの事情もうかがわれない。

そうすると,本件施設の観光資源等としての意義や歴史的価値をもって,直ち
に,参加人に対して本件免除により新たに本件施設の敷地として国公有地を無償で
提供することの必要性及び合理性を裏付けるものとはいえない。

(3) ・・・(略)・・・このような参加人の本件施設における活動の内容や
位置付け等を考慮すると,本件免除は,参加人に上記利益を享受させることによ
り,参加人が本件施設を利用した宗教的活動を行うことを容易にするものであると
いうことができ,その効果が間接的,付随的なものにとどまるとはいえない。

(4) これまで説示したところによれば,本件施設の観光資源等としての意義や
歴史的価値を考慮しても,本件免除は,一般人の目から見て,市が参加人の上記活
動に係る特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価され
てもやむを得ないものといえる。

(5) 以上のような事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すると,本
件免除は,市と宗教との関わり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,
信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超え
るものとして,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に該当すると解するのが相当
である。

4 以上によれば,本件免除が憲法20条1項後段,89条に違反するか否かに
ついて判断するまでもなく,本件免除を違憲とした原審の判断は是認することがで
きる。また,原判決について,上告理由としての理由の不備があるということもで
きない。論旨はいずれも採用することができない。

第3 令和元年(行ヒ)第262号上告代理人德永信一,同岩原義則の上告受理
申立て理由について
1 原審は,・・・(略)・・・

2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1) ・・・(略)・・・
(2) 使用料等の地方公共団体の歳入に係る督促について定める地方自治法23
1条の3第1項等の規定並びに地方公共団体が有する債権の管理について定める同
法240条及び地方自治法施行令171条の2から171条の7までの規定によれ
ば,客観的に存在する使用料に係る債権を理由もなく放置したり免除したりするこ
とは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使について裁量
はないというべきである(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23
日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照)。

そして,公園条例11条の2第8号は使用料の一部の免除について定めているも
のの,事実審の口頭弁論終結時までに,同号に基づく免除の処分はされておらず,
公園条例及び公園条例施行規則において,一旦発生した使用料の徴収の猶予等を定
めた規定も存在しない。また,本件において,地方自治法施行令171条の5から
171条の7までに規定する徴収停止等の要件に該当する事情もうかがわれない。
そうすると,第1審被告において,本件使用料に係る債権の行使又は不行使につい
ての裁量があるとはいえず,その全額を請求しないことは違法というほかない。

(3) 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の
違反があり,論旨は以上と同旨をいうものとして理由がある。

第4 結論
以上の次第で,参加人の上告を棄却することとし,原判決中第1審原告敗訴部分
は破棄を免れず,第1審原告の請求は理由があり,これを認容した第1審判決は正
当であるから,上記部分につき,参加人の控訴を棄却し,同控訴の提起後にされた
第1審被告の控訴は,二重上訴であって不適法であるから,却下することとする。
よって,裁判官林景一の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文の
とおり判決する。

裁判官林景一の反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見が,本件免除が憲法20条3項に違反し無効であるとしたことに
ついては賛同することができない。その理由は次のとおりである。
・・・(以下、略)・・・



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