●解説11:日本の進路② 原子力立国計画
資源エネルギー庁
我が国のエネルギー戦略を紹介する「日本の進路」の第2回目は原子力立国についてです。原子力は、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであることに加え、少ない量で発電が可能であることや備蓄が容易なこと、燃料を一度装荷すると3~4年間は利用できること等から、エネルギーの供給安定性にも優れています。我が国は、安全確保を大前提に、エネルギー安全保障の確立と地球温暖化問題を一体的に解決する要となる原子力発電を基幹電源として推進し、「原子力立国」を目指しています。
「原子力政策大綱」(2005年10月閣議決定)では、(1) 2030年以降も総発電電力量の30%~40%程度という現在の水準程度かそれ以上の供給割合を原子力発電が担うことを目指す、(2) 使用済燃料を再処理し、回収されたプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進、(3) 高速増殖炉の2050年頃からの商業ベースでの導入を目指す、などの基本的方針が定められました。この基本的方針等を踏まえて、2006年8月には、原子力を推進する確固たる政策枠組みと具体的なプランを示した「原子力立国計画」が策定されました。
我が国は原子力発電の燃料となるウラン資源の100%を輸入に頼っており、輸入先は、カナダとオーストラリアが7割を占めています。そのため、供給源の多様化を図っていくことが重要です。また、ウラン価格が高騰する中、安定供給を確保するための戦略的な資源外交も重要です。その成功例が、世界第2位のウラン資源埋蔵量を誇るカザフスタンにおける資源外交です。2006年8月の小泉総理(当時)のカザフスタン訪問時の両国間の合意を踏まえ、2007年4月には、甘利経済産業大臣が官民合同ミッションを同行して同国を訪問し、我が国の高度な技術力(核燃料加工技術、原子炉プラント技術)を活かした日本型資源外交を展開しました。24件に及ぶ合意の結果、我が国のウラン総需要量の約3~4割に当たる権益を確保しました(従来は我が国需要量の1%)。
また、ウラン資源を有効に利用するため、再処理により使用済燃料からプルトニウムなどを分離回収・再利用する核燃料サイクルを推進することとしています。まずは、使用済燃料の再処理によって回収されるプルトニウムを軽水炉で利用するプルサーマルを着実に推進するなど、核燃料サイクルの確立に向けて政府一体となって取り組みます。さらに、より一層のウラン資源の有効利用を図ることができる高速増殖炉サイクルについては、2025年までの実証施設の実現と2050年より前の商業炉の導入を目指しています。
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