● 茨城県農業総合センター 水稲プール育苗法 湛水管理で細菌病予防-
水稲プール育苗法
-湛水管理で細菌病予防-
水稲のプール育苗は、ハウス内に簡易プールを設置して湛水育苗する方法です。
灌水や温度管理の手間が省力化できるだけでなく、湛水管理によって苗立枯病や籾枯細菌病の発生も抑制します。
浸漬から出芽まで
作業は通常の育苗方式と同じです。ただし、プール育苗では箱下に根が伸びやすいので、底孔の少ない苗箱を使用するか、箱底に専用の敷き紙を敷きます。
プール内に平置きして出芽させる場合には、籾の持ち上がり現象が起きやすいので、播種量を箱当たり160グラム以下にします。
育苗プールの設置
手順は以下のとおりです。
1.設置場所を出来るだけ水平にならします。
2.周囲を鉄パイプや角材などで6~7センチメートル高く囲います。
3.上から厚めのビニールやポリフィルムを二重に敷きます。下側には雑草の発生を抑える遮光性のものを用います。
4.余ったシートの端をブロックや盛り土などで押さえます。
5.シートを傷つけないように苗箱を並べます。
プールの大きさは、水の循環を良くするため、育苗箱とプールの周囲が5センチメートル程度離れるよう勘案して決めます。
育苗期の管理法
緑化期までの管理は通常の育苗と同じです。
緑化が終了したら、床土以下の水位まで入水します。
2葉目の抽出が始まったら床土の上まで湛水にします。
減水しても、床土が湿っているうちに再び湛水すれば、生育に支障ありません。
ただし、常時湛水にした方が病害の抑制効果は高まります。
入水すると、保温効果で苗が徒長しやすくなりますので、夜間に被覆の必要はありません。
また、霜が降りるような低温時以外は、昼夜ともハウスの両側を開けたままにします。特に播種期が遅い場合には、換気を十分に行い、徒長防止に努めましょう。
移植前の準備と注意点
移植時に苗箱を運搬しやすくするため、移植2~3日前には落水しておきます。
苗箱施用剤は湛水中に散布すると、薬剤が急に溶け出して薬害が心配されます。必ず落水後に散布しましょう。
プール育苗した苗は乾燥に弱いので、移植作業中に畦畔などで長時間放置しないようにします。
また、低温にも弱いので、移植時の気象条件やその後の水管理にも注意して下さい。
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