海洋堂
2007-03-11 | 模型
美術館で開催中の「造形集団海洋堂の軌跡」を見に行って来ました。
海洋堂のフィギュアをアートと捉え、近年の食玩や、かつてガレージキットメーカーとして活動していた頃の作品群を大量に展示しています。
撮影禁止ということで、写真はございませんが興味のある方はバーチャルツアーをドゾー
海洋堂と言えば、私の中では日本の模型作り文化を崩壊させた悪の権化としての位置付けです。
模型を組み立て、色を塗るというのは子供のみならず人間誰にとっても楽しい作業の筈です。もちろん、大量生産品では不可能な丁寧な仕上げを目指すならそれなりの苦労と時間は要しますが完成した時の喜びは何ものにも代えがたいものです。
しかし、もしそんな丁寧な手塗りを誰かがやってくれたら…そんな禁断の夢を実現してしまったのが海洋堂のチョコエッグシリーズのおまけだったのですね。
しかも、たったの300円!完成の喜びは、何が出るか分からないアイテムがヒットした時の喜びに代えられ、作る楽しみは手間と時間の節約に魂を売り渡した…
私が子供の頃は、まともな完成品を手に入れるなら自分で作るしかなかったから下手でも何でも、とにかく作った。そうして作る楽しみというものを手に入れていったつもりです。もし、安いお金でよい完成品が手に入るならそれで満足してしまい、それより下手な塗装を自分でしようとは思わないでいたでしょうね。
今の子供達のなかに、海洋堂よりうまく塗れると考えてチャレンジする子は、多くは現れないでしょう。
海洋堂の模型の塗装は現在、中国の安い人件費に委ねられています。数十もの工程を別々の作業員が分担して塗装することで、クォリティーを維持しているとの事ですが、彼らが作る喜びを感じながら作業している可能性はないでしょうね…
作る・色を塗る楽しみは、どこへ行ってしまったんだろう…