奥多摩の某沢に渓流釣りに行った。かつてその沢には2回釣行し、それぞれ24センチと27センチのヤマメを釣りあげてるが、昨日は全くダメだった。
沢登りで有名なその沢は滝が連続して現れる。その都度水に濡れ、滝を登る決断を迫られるが、天然ヤマメに出会うためには、ためらいながらも登ってしまう。
滝つぼに竿を出しながらふと横を見上げると、滝の横に鳥の巣があり、親鳥が餌を運んでいた。小さなからだのわりには大きな声で鳴く。その歌うような声がV字谷に響く。帰宅して名前を調べると、「ミソサザイ」という鳥だった。
滝の横は彼らにとって「安全な場所」なのだろう。猿や熊、蛇などの外敵からは襲われ難そうだ。今のところ人間は彼らの天敵には入っていない。しかし今後我々みたいな釣りや沢登りの人間が頻繁に訪れるようになれば、やがて彼らは住処を変えることを考えるだろうか。危険によって住処を変えざるを得ないことは、無念だろう。