整体をするとき(背中を観るとき)に、できるだけ「まっさら」な状態になることを目指す。前回その人を観たときのことなどがアタマにあると、それが邪魔して客観的に観ることができなくなる。記憶や予想などに拠る先入観をできるだけ排除してから観るようにする。医者がカルテを見ながら診察するのとは正反対である。医者は目に見えることや、数値に現れることを対象にしているからこれで良いのだが、野口整体や気功は目に見えないものを対象にしているから、方法は異なる。
刻一刻と変化し続けている人のからだに対応するには、こちらもその人に対する観方を刻一刻とリセットして行かなければならない。こういう姿勢でのぞむのは技術よりも、からだ(生命)に対する信頼があるからだ。調子の悪さは必ずからだの上に現れ、それを自他ともに感じとることができて、自分の力で変わって(治って)行くことを信じているからだ。技術を施す(受ける)前に、からだが既にしていること(自然に変化していること)を感じた方が良い。そのときに本当に技術が必要なものなのか、もう一度考えたくなるはずだ。