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気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

太極拳の型をいじる

2014-11-22 16:40:14 | 太極拳

 先週見学に来た人から、いつもやっている太極拳と速度が違うと言われた。競技太極拳でなければ、決められた速度はないから、自分のやりやすい速度でやればいい。教室で型をするときには、私と同じ速度でなくても構わないからと言っている。歩いたり、話す速さは、人によって違うのだから、太極拳も違って然りである。足の幅やつま先の開く角度、腕の高さなども、骨格やその他の身体状況に合わせて、変えたらいい。競技用のように細かい規定をしていたら、のびのびとすることができなくなる。

 太極拳が健康法であるならば、もっと自由でいい。型を自由に変える遊び心があってもいい(それを太極拳とは呼べないかも知れないが)。重心の位置を、前後左右を変えてやるのもいいし、腕を付けずにやるのも、胴体をきちんと使う練習になる。

 太極拳には「からだに良い」というイメージがあり、実際にも大腿四頭筋や前脛骨筋を鍛えることができるらしい。私は太極拳だけでなく動功(動作のある気功)も教えているが、気持ち良さ(リラックス感)を比較すれば、動功が良いという人の方が多い。気功は動作があっても簡単なので、緊張することなくリラックスしてできるからだろう。それは結果的に大脳を休ませることになる。私は、健康面だけを見れば気功に分があると思っている。

 太極拳を学ばれる方は、まず自分が何を求めているのかをはっきりとさせなければならない。武術(実践)的太極拳なのか、競技太極拳なのか、健康太極拳なのか。指導者も、健康をその目的としているのであれば、健康の根拠は何処にあるのかを教えなければならないだろう。

 太極拳の優位性は知名度と、動作の美しさにある。そこに魅力を感じているならば習えば良いし、もし特に太極拳にこだわりがなく、目的が健康のためということであれば、何も難しい型を何年もかかって覚えるよりも、その日からできる気功や野口整体の方が、良いのではないかと思うのである。

 


太極拳とニュートラル

2012-01-13 10:50:47 | 太極拳

 太極拳では各動作の終了時に、「ニュートラル」な状態に戻らなければならない。「ニュートラル」とは、落ち着いて(力が入り過ぎず、抜けすぎず)静止できると共に、次の動きに入る準備の整った状態である。丹田の場所で言えば、上がり過ぎず、下がり過ぎずの場所である。

 表演会を観ていると、この(動作の終了)時に、肩や腕を意識的に落として(下げて)いる人が多く、不自然な感じがする。

 私のやり方は、例えば陳式太極拳の「単鞭」であれば、両腕を左右に開いた (丹田は下がり、胸は上がっている)後、丹田を少し上げるようにする。丹田を上げると、胸が下がり、その力は肩・腕を自然に下げさせる。「単鞭」の後半、左へ捻じっている場合には、丹田を上げるだけでなく、右の股関節を緩めながら右へ引けば、身体は自然に正面に戻り、「ニュートラル」が完成する。


健康を自分で把握する 

2011-12-31 11:34:50 | 太極拳

 ここ数年「理想の立ち方」を求め、練習してきた。最近は「理想的な身体の使い方(動かし方)」を考えている(完成はしていない。完成できるかどうかもわからない)。「理想的な身体の使い方」は「理想の立ち方」が基本になる。「理想の立ち方」は、余分な緊張や偏りが無く、身心が落ち着き、重心が下がっている状態である。それを維持し、なおかつ力を上手に伝えながら動くのが「理想的な身体の使い方」である。それを実現するためには、「イメージ」と「身体を動かす順序」が大事である。「イメージ」は丹田への軽い集中と、体外の各方向(とりあえず上下・前後・左右)へ均等に意識を分散させることである(集中の程度が難しい。強すぎず、弱すぎず)。「身体を動かす順序」は、丹田の上下運動(太極拳の開合)を主にして、重心の移動、捻りを加えていくことである(捻じりを先にすると上下運動が全うできなくなるので注意が必要)。

 説明するのは容易だが、実際にやるのは大変だ。上手くできているかは、目に見える形(動作)ではなく、「感覚(気持ちが良い・安定しているなどの基準)」で捉えるようにすると良い。身体の中に緊張や偏りが生じれば、感覚で「おかしいぞ」と思えるようになる。

 週に1回の太極拳の教室で、健康を維持するのは難しい。「理想的な身体の使い方」に少しでも近づき、「日常生活を健康法にしてしまう」ように心がければ、健康は自分で把握できるようになるのではなかろうか。


太極拳と腰の反り

2011-11-03 14:23:52 | 太極拳

 太極拳をするときに、腰を反ってはいけないと言うが、本当にそうだろうか。丹田を上下すれば、当然背中や腰がその影響を受けて動く。丹田を上げれば、背中は丸く(猫背に)なり、尻は落ちる。丹田を下げれば、背中は伸びて、尻が上がり、腰も反る方向へと動く。

 丹田を下げるときに、きちんと股関節が左右に開くこと。それに前後方向への力のイメージを加え、力の方向を上下・前後・左右に均等に振り分けることができれば、形として腰が反っていても問題はない。もし上下・前後・左右に力を分散することなく、ただ腰を反れば、バランスを失う。


太極拳と頭の高さ

2011-10-25 17:07:49 | 太極拳

 前回に引き続き、太極拳の話。

 「套路(型)をするときに、頭の高さを一定に揃えた方が良い」と言う人がいるが、私はそうは思わない。丹田を上下させるときに、膝の屈伸を合わせて行なう(たとえば丹田を上げる時に膝を曲げ、下げる時に膝を伸ばす方向に動く)方が自然であり、当然頭の高さも変わる。無理に頭の高さを一定に揃えようとすれば、丹田の上下運動によって作り出された力が全身に伝わらず、不完全な太極拳になる。

 頭の高さを揃えようとする目的は何だろう。足の筋肉を鍛えるため?或いはその方が美しく観えると言うのだろうか?